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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章八十九節 様子の可笑しいロディと苦しい言い訳と逃げられない質問-

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__トントントン!!…カンカンカン!!…


「……はあぁ~……」


「…ロディちゃん?……何をそんなに大きな溜息を吐いて居るのかな?…」


謎の伝令をエルフの国から受けて更に一週間後、ギルドも九割が完成し…いよいよ

ダークエルフの集落にも人が集まれる様になろうとして居ると、ここで問題が

発生する!…それはマサツグがそろそろ別の大陸の事も視野に入れて移動しようか

と考える際、そのエルフの国より何やら不穏な気配を感じ!…と言うよりも何か

ロディがソワソワとしており!…異様なまでの不自然さをマサツグ達に見せて

居ると、アヤも気が付いた様子で変に感じていた!…今までロディに対して不気味

と思った事は数知れないのだが、このソワソワに関しては初めてで!…マサツグも

隙を見てはロディに話し掛け、そのソワソワしている理由について尋ねようとする

と、ロディは珍しく歯切れの悪い回答をするのであった。


「ッ!?…ッ!?……何だマサツグちゃんじゃないのよぉ~!…

吃驚したぁ~…」


「…で、何でそんな溜息を吐いて居るのかな?」


「ッ!?…えぇ~っと?…それはぁ~?…」


「あの使者が来てからソワソワ!…

間違いなく何かがあった事は分かるんだけど?…」


「う、うぅ~ん……」


別に脅かそうと思って後ろから声を掛けた訳では無い…寧ろ真正面から声を掛けた

のだがロディは酷く驚き!…慌ててその声の正体を探す様に辺りを見回すと、

そこで漸くマサツグの姿を見つけて安堵する!…まるで明らかに何かで悩んで居て

声を掛けられて驚いた様な!…典型的な驚き様を見せては自身の胸に手を当て一息

吐き…マサツグも構わず質問を続けるようその溜息の理由について尋ねると、

ロディはやはり可笑しな挙動を取って見せる!…ある種その動きもワザとらしく

演技では無いのか?とも伺えるのだが、マサツグは構わず質問をし!…そして

マサツグに詰め寄られた事でロディも戸惑い!…唸る様に声を漏らし珍しく

マサツグから逃げる様な素振りを見せて居ると、そこへ作業員からの呼び声が

掛かる!…


「…現場監督ぅ~~、ちょっと良いですかぁ~~!!!」


「ッ!!…ナイスタイミング!!…ハァ~イ!!!

ごめんなさいね?…呼ばれたから行くわ!…」


__ギュッピギュッピギュッピギュッピ!!…ッ!!……


「……逃げられた…」


その作業員の用件も何かは分からないのだが…ロディは助かった!…と言った

様子で表情を明るくすると、その作業員に手を振って返事をし!…マサツグにも

途端に謝って見せるとそそくさと…その場から逃げる様に作業員の所へと駆けて

行くと、マサツグも逃がしたと言った様子で言葉を零す!…その際苦虫を噛んだ

様な表情も浮かべて居ると、その一部始終を見ていたのか!…アヤがマサツグの

居る方へ来るなり声を掛け出し…その訳について聞き始めると、苦笑いをして

見せる。


「……最近如何したの?…そんなにギルドマスターを追い駆けて…

仕事中でも見かけたら追い駆けて行っちゃうし?…何か変な事でもあったの?…」


「…アヤは気にならない?…

あれだけ真正面からぶつかって来る様な人間が急にソワソワし始めたら…

それもエルフの国から使者が来てずっとなんだぞ?…」


「ッ!…うぅ~ん…気にならないって言ったら嘘になるけど…

でも相手はギルドマスターだしね?…各国のお偉いさん達とも話もするし…

やっぱギルドをやる上で色々と守秘義務が出て来るだろうし?…」


{…自分が運営の人間である事をカミングアウトして来るのに?…}


アヤが単刀直入にマサツグへ何があったのか?を聞き出すと、マサツグは逆に

アヤへ質問をし!…ロディの様子が可笑しい事、ここ最近ずっとソワソワして

居る事…とにかく怪しい!…と言った様子で言葉を続けると、その問い掛けに

対してアヤも気になると返事をする!…しかしそれも何かしら理由が有るからと

それっぽいモノを上げ出すと、仕方が無いと言い…中でも重役と言う言葉を

口にすると、守秘義務と言い…その守秘義務に関してもマサツグはツッコむよう

心の中である事を考えると、やはりロディの事を疑うのであった!…さてアヤと

そんな話をして居ると、フィロネウスもマサツグ達と合流し始め!…周りの

様子を見て来たとばかりに声を掛けると、マサツグに飛び付いては甘え出す!…


__ガサァ!!…ヒュウウウゥゥ!!……ガッシ!!…ッ!?…


「ただいまなのじゃマサツグ!!…もう今日は仕事納めしてもよさそうじゃぞ?…

周りに敵の気配はない!…と言うよりもわっちが焼いて来た!」


「……フィロネウス?…最近お前さんもシロの影響受けてない?…

行動がアグレッシブルと言うか…」


「……のじゃ?…わっちは元からこうじゃが?…」


飛び付いて…と言うよりも「降って来て」が正しいだろうか?…周りの木々を

足場にマサツグの頭の上からスカイダイブをすると、上手い具合にマサツグの

背中に張り付き!…そして当然突如張り付かれた事でマサツグも驚き!…

一体何があったのか?とその衝撃の有った自身の背中に視線を向けると、

そこでフィロネウスがくっ付いて居るのを目撃する!…するとフィロネウスは

何事も無く帰還報告をし始めると、上機嫌でシロの様に尻尾を振り!…

マサツグに今日の仕事は終わりと!…既に自分が処理を済ませたから誉めてと

言わんばかりに満面の笑みを見せて居ると、マサツグも新名フィロネウスの

様子に戸惑いを覚える!…その際シロに似て来た?…と声を掛けると、フィロ

ネウスは元からと答え!…獣娘は皆こうなのか?とマサツグは考え…アヤも

その様子を見て更に苦笑いをして居ると、その一方ではやはり頭を抱えて悩んで

居る者も居るのであった。


「……はあぁ~……女王様も何を考えてのこのお願いなのかしら?…」


「…現場監督?…一体如何なされたのですか?…」


「ッ!…え?…あっ…あぁ!…気にしないで?…こっちの話!!……」


仕事にも身が入らない様子で悩んではその女王様の真意を考え!…先程

問い詰められた際いっそマサツグに話せば良かったか?…等と考えて

居ると、そんなロディの様子に作業員も心配をする…その際恐る恐る

尋ねる様に声を掛けられると、やはりロディは戸惑った様子で反応し!…

そんなロディの様子に作業員も更に心配!…しかしロディは何でも無い!と

両手を振って答えて見せると、無理やり話を終わらせる!…そして改めて

自身の頭の中で状況を整理し始めると、運営者権限で回想を流すのだが…


「……はあぁ~…バックログから一週間前…時間帯的には昼頃かしら?…

とにかくエルフの使者達の会話を再度流して…」


__ピピピッ!…ヴウン!!…


『…運営者権限によりバックログを取得……一週間前・昼頃…

プレ・ハッブ内でのエルフの使者達との会話を再生します…』


ロディは運営のデバッガー画面を開くと徐にバックログを開き出し…そこから

一週間前の記録を抜き出すと、自身の前に開示する!…そして当然そんな様子等

NPC達に分かる筈もなく、ただ淡々と時間を指定してログを探し…そのログを

見つけた所で動画として自身の目の前に表示!…まるで動画サイトの動画を

見るよう再生ボタンに手を伸ばすと、自身が体験したログを確認し始める。

するとその画面にはあの時同様自身の姿とそのエルフの使者の姿が映っており、

今まさにその内容について話されようとして居た。


__一週間前・昼頃…プレ・ハッブ内にて…


「じ、実は折り入ってロディ様にお願いしたい事が御座いまして!…」


「ッ!…別に無理して様呼び出なくて良いのよ?…

まぁ、私としてはロディちゃん♥!…の方が嬉しいけど…」


「は、はぁ…で、ではロディ…ちゃん?…

そのお話と言うのは女王様から出して…」


工事現場でよく見かけるプレハブ内の映像だろうか?…とにかく畳が敷かれて

有ってはその中央で向かい合う様に座っており、少し緊張した様子でエルフの

使者が話し出すと、ロディはそんな使者に対して畏まらなくて良いと声を

掛ける。その際無茶振りをするようちゃん付けで呼ぶよう言葉を続けると、当然

エルフの使者は困惑し!…それでも言われた通りに戸惑いながらもちゃん付け…

本題に入るよう女王様からの伝言と口にすると、ロディの表情は途端に真剣な

モノへと変わり出す!…


「ッ!!…続けて?」


「ッ!…は、はい!…実は…」


__……ガッ…ガガガガッ……


「ッ!?…あれ?…何で急にログが荒れて?…

ッ!…サイバー攻撃!!……を受けてる訳でも無い?…

だったら如何してノイズが?…何処かにバグが?…」


女王様からの話を聞いた途端ロディは重要!と判断したのだろう…ロディは

その戸惑うエルフの使者に話をするよう言葉を呟き!…それを聞いてエルフの

使者も若干慌てた様子で返事をすると、単刀直入に本題へ入ろうとし始める!…

そして今まさにその話の内容が語られようとした途端!…突如その動画ログに

ノイズが走り!…これにはロディも驚いた様子で反応を示し、すかさずその

ノイズが走った原因を調査し始めると、別の所からの攻撃も踏まえる!…しかし

原因を調査した所でそのノイズが走った原因は分からず、何度巻き戻しても

その部分だけノイズが走り!…


__ガガガッ!…ザアアアァァァ!!……


「……ッ!?……それ…マジで言ってるの?…

まさかあの女王様がそんな事を!…」


「は、はい!…女王陛下の御意思で!……

わ、私達としても何が何だか!?…

と、とにかく女王様はこの事をロディ様にもと!…

私達はそれを伝えに来た次第に御座います!!……」


「……やっぱり飛んでしまうわねぇ?…

まぁ内容を忘れた訳じゃないし…別に問題無いのは無いけど…

気掛かりねぇ?…後でアンジュちゃんに報告しましょ!…

……にしてもやっぱ聞き間違いじゃなかった様ね?…

この子達の反応を見る限りあの時…うぅ~ん…」


肝心な部分だけまるで意図的に聞けない様にノイズが走り!…その後そのまま

ログを流して見ると、動画は問題無く進み出す!…当然これにはロディも困惑

してしまい、ただ流れる動画ログを見詰め!…とにもかくにも問題有りと

判断し!…後日自分より詳しい者にその原因を突き止める様にお願いする事を

決めると、内容ではなくそのエルフの使者の表情に視線を向ける!…その際

そのエルフの使者の表情はと言うと、改めて自分達で話しても奇怪なのか?…

やはり慌ててふためき戸惑って居る様に見え!…話は聞けなかったがその表情で

間違い無いと!…自身の聞き間違いで無かった事を改めて再確認しその動画

ログを閉じると、再び頭を抱えては悩み出す!…


「……はああぁぁ~~~…如何説明しろっていうのよぉ~~?…

大体一国の女王様が一人のに対して!……」


__ッ!…ザワザワ!…ザワザワ!……


「……あぁ~もう!!…困ったちゃんな女王様だ事!!…

とにかくこの事だけはマサツグちゃん達に伏せなくちゃ!!…」


俗に言うクソデカ溜息を吐いては愚痴を零し!…その場でしゃがみ込む様に

項垂れると、何やら意味深な言葉も漏らし始める!…当然その場に他の

冒険者プレイヤー達は居ないのだが、NPCから見てもその様子は不審であり!…作業員達が

揃いも揃ってそんなロディの様子に視線を向けると、ざわつき始める!…

しかしそんな事気にして居ないロディはただ一人芝居を続けると、また一人

吹っ切れた様子で突如立ち上がり!…そして女王様の愚痴をまた零し!…

とにかくマサツグ達には話せない!と決意を固めて居ると、たまたま近くを

通り掛かったシロがそれを耳にする!…


「ッ!…ご主人様が如何したのですか?」


「ッ!…え?……ッ!?!?…シ、シロちゃん!?…」


「ッ?…はいです!!…シロです!!」


「……い、今の聞いてた?…」


この時シロはその現地で出来た友達と遠征に来ていたのか、ギルドの建設現場まで

足を伸ばしており!…マサツグの名前が出て来た事でシロはすかさず反応し!…

ロディも今までシロの存在に気が付いて居なかった様子でスッとその声の聞こえた

方に視線を向けると、そこで首を傾げて見上げて来るシロの姿を目撃する!…

すると当然シロがいつの間にか自身の足元に居る事でロディは驚きシロの名前を

口にすると、シロは手を上げて返事をし!…この時そのシロが連れて来た友達たち

もロディを見上げては誰?…と言った様子で…とにかく今の話が聞かれたかに

ついてシロに確認を取り出すと、シロは満面の笑みでこう答える!…


「ッ!…はいです!!!」


__ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!………ッ?…


「お、お願いシロちゃん!!…今のお話内緒にして!?…

でないと色々と問題が起きちゃうから!!!…ね!?…」


「ッ!?…は、はいです!……」


無慈悲な返答にロディは崩れ!…その場で四つん這いになり声にならない声を

上げると、その様子にシロ達は揃いも揃って首を傾げる!…あの人は何をして

居るのだろう?…そんな純真な子供の眼差しがロディのケツに突き刺さり!…

ロディも直ぐにハッと我に返りなり!…すかさずシロへ縋り付くよう必死に

先程の話を内緒にするよう訴え出すと、その気迫に負けた様子でシロも同意を

してしまう!…一体何が彼をそうさせたのか?…シロはただロディの様子に

戸惑い!…ロディはロディで更に口封じを考え出し、ハッと思い付いた様子で

シロから離れて立ち上がると、ある提案をする!…


「……皆…お菓子食べたくない?…」


「ッ!…え?…」


__ッ!!…食べたぁい!!…おじさんくれるの!?…


「…うふふ♪…

さっきの事を誰にも言わないって約束してくれたらあげるわよぉ?…」


__はぁ~い!!!……


ロディが考えた事と言うのは物で釣ってシロ達を買収する事!…如何しても

秘密にしたいが為の子供に対する特攻カードで有り!…当然これにはシロも

戸惑った様子で反応…そして周りの友達は危機感が無いのか思いっきり

釣られた様子で喜び出すと、ロディは続けて条件を口にする!…その条件と

言うのもやはり漏洩が怖いのか、シロ同様先程の事を黙って居る事であり!…

何の事か分かって居ない様子でダークエルフの子供達が手を上げて返事を

し始め!…ロディもそれを見て笑顔で頷いて見せると、九割完成のギルドへ

案内する!…


「よし!…いいお返事も聞けた事だし!…

じゃあ食べに行きましょうか!!

付いて来て!!…こっちよ!!」


__はぁ~い!!!………


{……いいか、シロ?…

知らない人にお菓子をあげるからと言われても絶対に付いて行くんじゃないぞ?…

それが知って居る人であっても駄目だからな!…

更に俺が怪我をしたから来てくれ!…何て言われても付いて行かない様に!…

もし連れて行かれそうになったらギルドに逃げ込むんだ!!…いいな?…}


「……うぅ~ん…良いのかなぁ?…」


もはやロディのやって居る事は誘拐のそれに近いのだが、ロディも背に腹は

代えられないと言った具合に!…笑顔でギルドの中へと案内して行き!…

子供達も案内されるがままに中へと入って行くと、当然シロはその様子に

疑問を持つ!…この時シロの頭の中ではマサツグに言い聞かせられていた

言葉が出て来ると、同時にロディに対して若干警戒をし始め!…ロディも

ロディでそんなシロに様子に気が付いたのか、シロに手招きするよう笑顔で

案内をしようとして居ると、異変に気が付いた様子でギルドの中からルンが

顔を出す。


「……ギルドマスター何をして?…って、シロちゃん?…

…あれ?…マサツグさんは何処に?…」


「ッ!?…マ、マサツグちゃんなら別の仕事に就いてるわよ?…

大丈夫!!…この近くに居るから!!…」


「……何か様子が可笑しいですけど?…何か有りました?…」


恐らく半身だけギルドに体を入れて居たせいだろうか…一向に入って来ないギルド

マスターの様子を不審に思い、ルンが様子を見にヒョコっと顔を出すと、そこで

戸惑って居るシロの姿を見つける。当然シロが居ると言う事はマサツグもその傍に

居る筈なのだが、何処にもその姿が無く…更にそれを不審に思いルンはポロッと

疑問の言葉を口にし…すると何故かロディがそれに答えるよう返事をし、ルンに

対し明らかなまでに動揺する様を見せると、更にルンは怪しがる!…勿論そんな

ロディの様子に何が有ったのか?を問い掛けると、ロディは更に狼狽え!…


「ッ!?!?…べ!…べべべ別に何も無いわよぅ!!…

ルンちゃん勘繰り過ぎ!!……ッ!…そうだ!…

さっき入って行った子供達にパンケーキを出してあげて!!…

親交を深める的な意味でも!!…」


「……ッ?…はぁ…了解しました…」


「……はあぁ~~…あ、危なかったわ!!…

……さて?…シロちゃ~ん!!…改めてパンケーキを……ッ!?…」


ルンに対して両手を振り!…その表情からも明らかなまでの動揺が見て取れると、

やはり不審に思ってしまう!…その際ロディは誤魔化す口実として先程の子供達の

事を口にすると、話をはぐらかす様に御馳走をするよう言い!…するとやはり

明らかに様子が可笑しいロディに対し!…ルンも不審に思った様子でその表情を

険しくさせると、一応は指示を聞いた様子で返事をする。そして言われた通り

ルンがギルドの中へと消えて行くと、ロディはホッと安堵し!…再度シロを呼び

改めて御馳走するよう言おうとするのだが、その時シロは近くに居たマサツグに

向かい全力で駆けて行くと、ロディを更に窮地へ追い遣ろうとして居た!…


__テテテテテテテ!!!…ごしゅじんさまぁ~~!!!…


「ッ!?…シ!!…シロちゃあぁ~~~ン!?!?…」


「ッ!…シロ!…何でここに?…」


シロはマサツグを見つけるなり手を振って駆けて行き!…ロディもマサツグが

近くに居る事で慌ててふためき!…何ならシロが呼びに行った事で更に

どうしようもない焦りを覚えると、何とかシロを呼び戻せないかと声を張る!…

しかしこれまた当然な事にその程度でシロを呼び止められる訳もなく!…

シロはマサツグと合流するなり足にしがみ付き!…マサツグも驚いた様子で

シロが今ここに居る事に戸惑った反応を見せ、シロにその理由を尋ねるよう

声を掛けると、シロは問われた事に対して何の疑いも無く答え出す!…


「お友達と一緒に探検をしてたのです!!…

…っで?…さっきピカピカさんにパンケーキを食べない?

って誘われたのですが?……行っても良いですか?…」


「ッ!…パンケーキを食べに?……」


__……チラッ?…ッ!?!?…スヒュ~♪…スヒュ~♪……


「……そうかそうか!…

じゃあ俺達も休憩って事でギルドに行くか!…な?…アヤ?…」


マサツグに答える際確かに秘密にしてくれ!と言った内容に関しては話して

居ないのだが!…先程誘われた事に対してシロ自身やはり不審に思って居た

のか許可を貰う様にマサツグへ問い掛け始めると、そのシロの言葉にマサツグも

勿論反応する!…普通に考えれば別に特段可笑しな事では無いのだが、今回に

限っては違い!…マサツグはチラッとロディの方に視線を向け、如何言う意図が

有るのかを探ろうとすると、ロディも露骨に視線を逸らす!…その際マサツグの

前で口笛を吹いて見せると、更に怪しさを全面に出し!…これを見て何か有る!

とは感じない者は居ないだろうと!…マサツグもその提案に乗っかるようアヤに

声を掛けてギルドへ向かおうとすると、ロディはまたもや地面に這い蹲る!…


__ドンッ!!…ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!……


{な!…何て事なの!?…今日は厄日か何かかしら!?…

まさか結果としてマサツグちゃん本人を呼ぶ事になるなんて!!…

…とは言えここで無理矢理帰すのも逆に怪しまれる!…

ここは私が全員分の食事代を持って不問とし!…

何とか難を乗り切るしかないわ!!…}


「……やいケッタイの!…お主何を訳の分からぬ事を考えて居るのじゃ?…」


「ッ!…へ?…」


本日二度目となる四つん這いに今度はマサツグ達の視線が刺さり!…ロディは

心の中で厄日!?…と狼狽えを露わにして更に作戦を考えると、何事も無く

乗り切ろうとする!…その際何とか平常心を持ってマサツグ達と接しようと

するのだが、そのマサツグにしがみ付いて居るフィロネウスがジッとロディを

見詰め!…まるでロディの心を読んだかの様に声を掛け出し、フィロネウス

からの問い掛けに対してロディがまた一気に焦りを露わにすると、フィロ

ネウスはまるで尋問を始める様に声を掛ける!…


「先程からお主の表情…顔色も優れんようじゃの?…

まるで隠し事がバレないよう必死になって居る様に見える…」


「ッ!?!?…な!…なななな何の事かしら!?…」


「声も裏返って居るがこれは如何言う事か?…

何も無ければその様に狼狽える事の無かろうて?…

それに馳走をするとはまた豪気な…

一体何を考えて居るのじゃろうか?…」


まるで徐々に追い詰めるよう声を掛け…焦るロディの様子を楽しむ様に笑みを

浮かべると、フィロネウスは次々に質問を続ける!…その時のフィロネウスは

まるで今までの恨みを晴らす様に!…嬉々として言葉を掛けてはその反応を

楽しみ!…ロディもロディでそのフィロネウスの一言一言に一々反応すると、

徐々に追い詰められるよう後退りをしては青褪め始める!…しかしそれでも

何とか誤魔化そうとロディは言葉を選び奮闘しようとするのだが、フィロネウスは

巧みにロディの逃げ道を潰し!…今のロディには信用が無いと!…更にまた

心を読んだが如くロディの事を追い詰めて行くと、ロディも必死に打開策を

考える!…


{ッ!?!?…クッ!!…さすが魔王と言った所かしら!?…

でもこっちだって運営の人間!!…早々簡単にボロは出さないわ!!!}


「と、とにかく何も無いんだって!!……ほら貴方達も!…

頑張ってくれてるから今日は奢っちゃうわよ!!」


「ッ!!…奢り!?…やったあぁ!!!」


__………コクリッ!…


その際相手は魔王だと言う事と再確認すると、自分が口にする言葉も更に選び!…

真っ向から受けて立つ姿勢をフィロネウスに見せ!…とにかく何でも無い事を口に

すると、最初に考えていた通りに奢りで有耶無耶にしようとする!…するとその

奢りの言葉に真っ先に釣られたのは呑兵衛のエルフで、意気揚々とギルドへ向かい

走り出し!…だが肝心のマサツグとフィロネウスは今だロディの事を怪しんで

おり!…まるで二人で結託するよう視線を合わせ頷いて見せると、その様子に

ロディも警戒する!…


{ッ!!…やっぱり早々簡単には行かないわよね!!…

…まぁアヤちゃんはこの中で一番チョロそうだし想定内だったけど…

さて如何誤魔化した物か!…

…ってかアヤちゃんもシロちゃん位に警戒して欲しかったわね…}


「……まぁとにかくギルドに行くとするか…

話は後でも出来る事だし…」


二人揃って結託する様な素振りを見せるマサツグとフィロネウスに!…

想定内!…と言った様子で覚悟を決めると、アヤの事をチョロいと思ってしまう…

まぁ実際チョロかった訳では有るのだが、アヤの事をふと心配してしまい!…

とにかくマサツグとフィロネウスの出方を伺って居ると、マサツグが突如不敵に

笑っては話を振る!…何でもロディの誘いに乗った様子で言葉を口にすると、

シロとフィロネウスを連れてギルドへ向かい!…その際ロディの様子に目も

くれず!…ただ先にギルドへ向かうようロディの隣を通り過ぎようとすると、

ロディも安堵した様子で言葉を口にする!…


「ッ!…そ、そうね?…お疲れ様!!…じゃあ中に入って…」


「食後の後でたっぷり話を聞かせて貰うとしようぞ?…

何せ時間もたっぷりある訳じゃからの?…」


「ウグッ!?……」


この時マサツグ達を労わる様にお疲れ!と声を掛けるのだが、マサツグに張り

付いているフィロネウスが!…通り過ぎ様にロディの事をニヤッと妖しく

笑って見せ!…改めてまだ話は終わっていない!…とばかりに挑発をすると、

そのままマサツグ達と共にギルドの中へと姿を消して行く!…そして当然

そんな挑発をされたものなので、ロディは怯み!…改めてまだ話が終わって

いない事に悲観をし…ロディ自身が如何してこうなった?…と考え出すと、

マサツグ達の後を追ってギルドの中に入って行くのであった!…


因みにギルドの中に入るとそこにはいつものギルドの風景が映っており、

賑わって居るのか獣人やエルフ!…先程のダークエルフの子供達も席に

着いては一足先にパンケーキを頬張っていた!…


「ッ!?…なにこれ美味しい!!…」


「こんなの初めて食べたぁ!!!」


「……ッ!…シロちゃんも一緒に食べよ!!」


「ッ!…はいです!!」


__テテテ!!…ッ!………


それぞれ用意されたパンケーキに目を輝かせると、初めて食べると喜び!…

そのフワフワの食感に甘い匂い!…何もかもが初めて!と言った様子で

口の端に蜂蜜を付け舌鼓を打って居ると、シロを見つけるなり一緒に

食べよう!と誘い出す!…するとシロも誘われるままに返事をすると、

その呼ばれた方へ元気に駆けて行き!…マサツグはマサツグでそれを見て

微笑ましくなる一方で寂しさを覚え!…フィロネウスもそんなマサツグの

様子に気が付いてか慰める様に頭を撫でると、ご満悦の表情を浮かべる!…


「よしよぉ~し!…マサツグにはわっちが居るからの?…

寂しくな~い!…寂しくな~い!…」


「……その表情が無ければ俺も感謝する所なんだがな?…」


「ッ!…な、何の事かやぁ~?…」


「ッ!…うっふふふふふ♪…」


まるでマサツグを実の子の様にあやすと笑みを浮かべ!…マサツグも見えない

ながらも何かを感じたのかフィロネウスにツッコミを入れると、フィロネウスは

ドキッとした様子で反応する!…フィロネウスとしてはこれはチャンスと考えた

のだろうが、思惑は外れ!…そんな様子を目にしてかロディは他人事の様に

笑って見せ!…フィロネウスもそんなロディの反応にカチン!と来た様子で

ムッとした表情をすると、先程の続きとばかりに質問を再開するのであった!…

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