279 / 764
-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-
-第三章七十八節 相変わらずのマルティスと戸惑いの注意事項と反面教師-
しおりを挟むただ話を聞きに行くだけで一波乱!…するだけなのにまた一波乱と!…そんな
こんなでマサツグ達は戸惑いながらも宮殿へと辿り着く…その際道中何やら
ずっとベルベッタの様子も可笑しかったのだが、尋ねるに尋ねられず…とにかく
宮殿に入ってはマルティスの元へ!…ギルド設置に関して詳しい話を聞きに
行こうとして居ると、ロディがふとある質問を口にする。その質問と言うのも
マルティスに関するモノであり…それこそこの話にきっかけに当たる部分で
あった。
「……にしても何でまた急にギルドを設置しようと考えたのかしら?…
…まぁ元々接触が無かったからってのも有るだろうけど…
何か理由を知らない?」
「ッ!…いいえ全く!…正直私達も族長の考えは良く分からなくて!…
でも間違った方向には進んで居ないから任せているの…
…それもそれで如何かと思う所は有るけど、今更言った所で始まらないし…」
「……そうなの…まぁそれぞれ生き方ってものが有る訳だしね?…
深くは尋ねないけど……」
突然のお仕事の話に歓喜する一方で、ロディはちゃんとその訳についても
考えて居た様子で…ベルベッタに今回の件について質問をし、少しでも
仲良くなれたらとベルベッタ共々友好関係を図ろうとするのだが!…帰って
来た言葉に戸惑ってしまう。何故ならベルベッタが言うには全ての決定権は
マルティスに有る様で、ダークエルフ達全体はこれを黙認して居るらしく!…
あのギルドの会議室で聞かされた話をそのままに!…一応ベルベッタ自身も
思う所が有るようだがやはり不和を恐れているのか、その声も何処と無しに
不安感を露わにしていた…そしてそれを聞いたロディももはや何も言う事が
出来ず、ただ仕方が無いと言った様子で肯定し…珍しくオズオズと引き
下がり…マサツグがその様子を見て珍しい!…と言った反応を見て居ると、
ベルベッタは溜息を吐く!…
「……はあぁ~…だとしても少し位は説明が欲しいものだわ…
…毎回の事だけど…」
「…まぁそれもそうよね?…
事前に何も聞かされずに営業に行って来いって言われてる様なモノだし…」
「ッ?…エイギョウ?…」
「ッ!…あっ!…いや気にしないで、こちらの話…」
やはりマルティスに対して不満を持っている様子で言葉を呟き…ベルベッタが
肩を落として項垂れ始めていると、同情する様にロディが言葉を掛ける。
その際身に覚えが有る様子で例え話をすると、ベルベッタは聞いた事の無い
言葉と言った様子で反応し…ロディはロディでハッとし!…思わず自分でも
つい口が!…と言った反応で気にしないよう声を掛けると、先を急ぐ!…
そして周りの者達に話を聞きつつマルティスの元へと向かうと、一同が辿り
着いたのは会議室で有り、何でも女王様と今まさに話し合い中の様で!…
ロディが丁度良いとばかりに会議室の扉に手を伸ばすと、ノックをする!…
__……コンコンッ!…ガチャ!!…
「…失礼しますわ!…女王陛下様?…」
「ッ!…ロ、ロディ様!?…あっ…きゅ、急に如何して?…」
「いえ、此方もお仕事のお話をしたくて!…
マルティス殿、少々宜しいでしょうか?…」
__……チラッ?…ッ!……ジィ~~~………
扉をノックしたのち何の躊躇いも無く扉を開け!…中に居た女王様とマルティスに
笑顔で声を掛けると、突然のロディの登場に女王様も困惑する!…勿論困惑と
言っても歓喜の意味も含めてなのだが、とにかく席から立ち上がっては口に手を
当て驚き!…そしてロディもそんな女王様からの呼び掛けに対して普通に接し!…
ただお仕事で来た事を伝え女王様に会釈をすると、次にマルティスの座って居る
席へ視線を向けては声を掛ける。するとマルティスもロディの呼び掛けに応じる
よう振り向くと、ロディの顔を見詰め!…するとロディも避ける事無く見詰め
返し!…まるで恋に落ちる五秒前と言った雰囲気を見せて居ると、女王様が
嫉妬する!…
「……ッ!!…ンン!!…で、では私は少し席を立った方が宜しいでしょうか?」
「ッ!…あぁ~!…そんな事は無いですわ!…」
__ぷくぅ~……ッ!…ぷふッ!…ッ~~~~!!…
まるで気を利かせつつも邪魔をする様に!…咳払いをして自分が居る事をアピール
すると、席を立つ様な素振りを見せ!…そんな女王様の様子にさすがのロディも
恐縮すると、大丈夫!と慌てて返事をする!…その際傍からその様子を見ていた
マサツグの目には、しっかりと膨れている女王様の素顔が映って居り!…
当然そんな光景を目にしたマサツグは珍しい物を見た!と!…思わず顔を逸らし
笑いそうになって居ると、ロディは構わず話しを続ける!…
「……と言うよりいてくれた方が色々と助かるかも?…」
「ッ!…え?…」
「いえね?…ダークエルフ達の集落にギルドを建設するって言う話を聞いて…
居ても立っても居られなくてここまで商談をしに来たんです!」
__…ガタタッ…ガタガタッ…ギイィ…
この時女王様が居る事も含めて好都合と言った様子でロディが言葉を口に
すると、その言葉に女王様は若干戸惑い!…ロディは今回来た理由を簡単に
説明し始め!…そしてマルティスにも本題の話をしに来た!と言った様子で
視線を向けると、マルティスも理解した様子でロディの居る方へ振り向く…
その際やはりマルティスは物静かで何も語ろうとはせず、眼を閉じると
クルっと振り向き!…その様子に女王様も察したのか、改めて席に座り直し
参加する姿勢を見せると、ロディも空いている席に座るなり早速商談を
始める!…
「……では早速話をさせて貰うわね!…
…まず聞きたいのは…」
「…土地の話だな?…土地に関しては開拓する他無いと考えている…
場所は集落より少し北…我々の集落とも離れて居らず良い場所がある…
そこを我々で開拓し土地を作ろうと考えていた…」
「ッ!?…こ、心を読んで!?…いやそれよりもあの森を自分達で!……」
ロディが意気揚々と早速本題の話をしようとすると、マルティスは思考を先読み
する様に!…ロディが話を振る前に土地の話を口にし始め、自分達で開拓し
場所を作る事をロディに答えて見せると、その答えを聞いたロディは驚いた反応
を見せる!…自身の質問を読まれた事にも当然驚くのだが、自分達で開拓すると
言った言葉にも驚き!…だがいつまでも驚いては居られないので!…気を取り
直すよう次の質問に移ろうとすると、またマルティスに読まれる!…
「…なるほど?…じゃあ次に…」
「…施設とやらか……なるほど確かにそれは盲点だった…
だとすると外より人を招き入れて発展…させる他無いだろう…
我々の中での物流と言うのは物々交換…金と言った概念は無い…」
「ッ!?…この子また私の!!…
…何かここまで見られると逆に心地が良いわね!…
うぅ~ん……物々かぁ…
…じゃあ、ギルドを建てた暁にはその物々交換を
お金のやり取りに変えて貰うって事は可能?…
…勿論多少なりとも勉強が必要になるけど?…」
恐らくロディは冒険者達の宿泊施設や物資供給場所についての質問をしようとした
のであろうが、マルティスはまた心を読んだ様子で先に返答し!…その際それは
考えて居なかったと!…だが直ぐに案を思い付いた様子で外部から人を入れる事を
検討すると言うと、またロディを驚かせる!…この時見事なまでに読まれていると
その表情をポカ~ンとさせると、寧ろ気持ちが良いと!…何やら変な言葉を
口にし!…マサツグやベルベッタが戸惑って居ると、更に話を続ける!…この時
ロディが気にしたのはお金のやり取りの話で、ロディが質問をすると…
「…読み書き計算の概念なら大丈夫である…直ぐに順応も出来よう…
そして汝を見た所…そのクエストとやらを受けて物を金に…
そうして交易を始めさせようと言う訳か…なるほど…」
「ッ!?…お、お見事!……
と、読み書き計算が出来るのも有り難いわね!…
だとすれば問題はあんまりないか…開拓の方もまず私達が介入するし…
防衛面の方でも多少なりとも私達が入る!…
それに話を聞いている限りだとダークエルフ達自身も武力を
持っているみたいだし……取り敢えず聞きたい事は聞けたかしら?…
あとは女王様からギルドを建てるに当たっての注意事項みたいなのを
聞いて欲しい位…」
ロディの質問に対してマルティスはやはりポーカーフェイス!…全くブレる事
無く出来ると答えると、更にはロディの考えも読んだのか!…どうやって普及
させて行くかのビジョンまで見えた様に言葉を呟き!…マルティス自身も顎に
手を当て納得した様な反応を見せると、ロディもこれには脱帽の様子を見せる!…
そしてマルティスの思考能力の高さにも驚いて居ると、ロディの方でも確認を
取りたかった事は全て聞けたのか…最後に女王様からの話を聞く様にロディが
話すと、その言葉にマルティスが疑問を持つ!…
「……ッ?…注意事項?…それは汝が伝える物では無いのか?…」
「ッ!…あぁ~…まぁそうなんだけどね?…
ただ私達の方で言える事って基本的に無いのよ…
建ててる時に建設現場に立ち入らない様に!とかそれだけで…
建てた後の事は何も…そこから先はそれぞれ長が治安を管理!…
あくまでも私達は発展のお手伝いをするだけだから!…ね?…」
「……なるほど、そう言うモノなのか……では女王!…
その気を付けた方が良いこことは何か?…」
マルティスが疑問を持った事と言うのはそのロディの最後の言葉に有る!…
注意事項と言う言葉で!…確かに色々と有るだろうが何故本人から説明を
しないのかについて疑問を持つと、すかさずロディにツッコミを入れる!…
まぁ当然の疑問であり問い掛けられても仕方がないのだが…ロディはその
質問に答え辛そうな表情を浮かべると、建設時の注意位しか出来ないと
答え!…そしてその後の事に関してはノータッチと、各町や国で管理を
任せているとだけ伝え!…あくまでもギルドは国の発展のお手伝いに徹する
だけだ!とマルティスにそれと無く伝えると、後はその本人に伝わる事を
ロディが願う!…とまぁ傍から聞いているマサツグ達からしてもハッキリ
言って説明不足なのだが、マルティスはその説明で何故か納得をし!…
恐らくロディの心を読んだのか、それ以上に尋ねる事は無く…しかしロディに
尋ねる事は無いのだが、女王様に話を聞くようマルティスが声を掛けると、
その言葉に女王様が戸惑う!…
「ッ!…えっ!?…えぇ~っと?……そうですねぇ?……ッ!…」
__ジィ~~~!!……
{ッ!?…ロ、ロディ様から熱視線!?…あぁ!!…期待されている!!…
この期待を裏切らない為にも何か!…何か!!……ッ!!…}
突然の問い掛けに女王様は困惑し!…その後ろに控えていたルティナも
え!?…っと言った様子で表情を変えると、次にはワタワタとし始める!…
それこそアヤが戻って来てなければギルドが誘拐犯を連れて来た!…等と
言えるのだろうが、実際の所は脱走で!…とにかくその問い掛けに対して
女王様は慌て!…何か良い言葉は無いか!と思考を駆け巡らせて居ると、
ここある視線を感じる!…そしてその視線の感じる方に顔を上げると、
そこには両手を組んで祈る様なロディの姿が有り!…その姿は当然助けを
求めている様にしか見えず!…女王様もその姿を見て必死に何とかしよう!
と考えると、次にはこの言葉が出て来る!…
「…た、例えば!…
…例えば娘が国を脱走する為にギルドを使う!…とか?……」
「………娘が…脱走?…」
__……………ブフッ!!!…
「ッ!?…ちょ!?…マサツグちゃん!?」
女王様ももはやテンパり過ぎて何も思い付かなかったのか、注意例として
自身の娘の脱走を語り!…当然これにはさすがのマルティスも困惑して
しまい!…思わず女王様に話を確認するよう復唱すると、珍しく首を傾げて
見せる!…するとその後会議室内はまるで水でも打ったようシンと静まり
返ると、ただただ女王様は顔を赤くし!…時が止まったかの様にロディと
ベルベッタも固まり!…誰もがその女王様の言葉の意味に処理が追い付いて
いない様子を見せて居ると、遂にはマサツグが吹き出す!…すると当然
マサツグが噴き出した事で全員がピクッと反応しては、ロディが慌てて
ツッコミを入れ!…マサツグは笑うのを耐えながら徐に片手を上げ始め、
その手をロディに突き出し謝る様な素振りを見せるのだが!…笑いに
耐える事が出来ずプルプルと震えていた!…
「ご、ごめ!…ンフ!!…その女王様の言う娘さんと知り合いなモンで!…」
「だからって何で笑うのよ!!…ちょっとはタイミングを考えて!!!…」
「だからゴメンって!!…でも…ンフ!!…やっぱ耐えれない!!…」
「……なるほど…そう言う事か…」
必死に笑いを押さえようとするがその度にアヤの笑顔が頭の中を過る!…その際
何故か二日酔いの表情も出て来るといよいよ耐えれず!…言い訳をするよう
マサツグが知り合いとだけ言葉を口にすると、やはりプルプルと震えて見せる!…
すると当然これにはロディも不謹慎!と言った様子で慌てると、マサツグを
注意し!…その注意を受けてマサツグも頑張り押さえようとするのだが!…
やはり耐えれない様子で再度吹き出しそうになって居ると、マルティスも納得した
様子で言葉を呟く!…一体何を納得したのか疑問が残る所なのだが…とにかく
粗方の話を聞いた所でロディも納得すると、マサツグ達もお役御免となる
のであった。
さて、その後のマサツグ達は笑いが落ち着いてから宿屋に戻ろうとするのだが…
その前にベルベッタに呼び止められると、奇妙な質問をされて居た。
「ッ!…ねぇ、ちょっと良いかしら?…」
「ッ!……ん、どした?…」
「……ど、如何したらそんな風に猛獣を手懐けられるの?…」
「……へ?」
それこそ宿屋へ戻る為にマサツグがシロを抱えて居ると、突如ベルベッタに
声を掛けられ!…声を掛けられた事でマサツグはシロを抱えたまま返事をし、
一体何事?とばかりに呑気に返事をすると、次にはその奇妙な質問…その
マサツグのテイム力について質問をされる。その際今まさに抱えて居るシロと
付いて来て居るフィロネウスを交互に見ると、若干怯える?…いや戸惑った
様な反応を見せ!…マサツグもそんなベルベッタの反応に釣られて戸惑って
居ると、更にこう言葉を続ける!…
「ほ、ほら…私って魔獣使いじゃない?…
…でも扱えるのってあの蝙蝠達と蛇位だし…
他にも扱おうと思えば扱えるけど…猛獣系統は…
ただでさえその猛獣も少ないのにあのブラッドファング!…
せめてアレだけでも従えさせる事が出来れば私ももっと!…」
「……つまりはその魔獣使いとして更に強くなりたいって事か?…」
「ッ!…そ、そう!…もし何か秘訣があるなら教えて欲しい!…」
ベルベッタは如何やら伸び悩んで居るらしく、マサツグがフェンリルやら
魔王やら連れて居る事から何か掴める物は無いかと考えたらしい…ただ急に
何故そんな事を思ったのかは不明なのだが、せめてブラッドファングだけ
でも手懐けたいらしく!…その秘訣についてマサツグに尋ねるよう切羽
詰まった様子で声を掛けると、マサツグも簡単に解釈をしては納得をする。
その際ベルベッタに考えが有っているかを尋ねると、ベルベッタは頷いて
肯定し!…マサツグが理解してくれたと言った様子で喜び!…改めてその
秘訣について尋ねようとすると、マサツグも戸惑った反応で返事をする。
「って、言われてもなぁ?…
ただ出来そうな奴と出来無さそうな奴を見分けているだけだからな?…」
「ッ!?…え?…それって如何言う?…
な、何でも従えさせる事が出来るんじゃないの?…」
「うぅ~ん…出来ん事は無いと思うけど…ただあんまりやりたくないと言うか…
簡単に言うとそのモンスターを目の前にした時…その目を見て判断するんだ。」
「め、目ぇ?…」
マサツグが言うにはただ見分けているだけらしく、これと言った秘訣は無い様で…
当然それを聞かされたベルベッタは戸惑い!…マサツグに何でも手懐ける事が
出来るんじゃ…と問い掛けると、マサツグも一応肯定をする…だがそれはあくま
でもスキルが有るから出来る事で、普通では出来ないと!…説明をしようにも
相手はNPC !…当然スキルなど説明しようがなく、とにかく見分け方としてその
モンスターの目を見ていると答えると、マサツグからの回答にベルベッタは更に
戸惑う!…まるで今まで見た事が無いと言った様子で反応をするのだが、
マサツグはその代表例として抱えているシロを一旦降ろすと、ベルベッタに
シロを見せる!…
__……ストッ…クルッ!…
「ほれ?…シロの目を見てみ?…
こんな感じで目がキラキラしてて…あと純真そうだったら大体出来る!…」
「ッ!!…じゅ、純真って!…貴方魔王相手に!!…」
全く何の話をして居るのか分からないシロはただされるがままに振り向き!…
その目の前に立っているベルベッタの顔を見上げると、一点に凝視をする!…
その際見詰められる事にベルベッタは戸惑った反応を見せるのだが、マサツグは
構わず話を続け!…シロみたいな目をして居れば大体テイムは出来ると!…
至ってマサツグらしいアバウトな回答で更にベルベッタを戸惑わせると、
ベルベッタはあるツッコミを入れる!…そのツッコミと言うはフィロネウスの
事であり、相手は魔王と!…まるでフィロネウスには純真さが無いと言わん
ばかりに戸惑いの言葉を漏らし!…そのベルベッタの言葉にフィロネウスも
ムッとした様な反応を見せると、すかさず文句を言い出す!…
「ッ!…何じゃ?…わっちは純真では無いと言いたいのかえ?…」
「ッ!?…い、いやそう言う訳じゃなくて…」
「そう言うトコで言われるんだぞフィロネウス!…ったく!…
ほれ見てみ?…フィロネウスもシロと一緒で目が死んで無いから。」
「ッ!?…目、目が死んでるとは如何言う事じゃマサツグ!…」
フィロネウスはベルベッタに喧嘩を売られたとばかりに一睨み!…更にはその手に
炎を握るよう火の玉を出現させると、次にはベルベッタに身構えて見せる!…当然
これにはベルベッタも慌てると、滅相も無い!と言った様子で両手を突き出し
否定をするのだが…逆にマサツグが煽るよう一部を肯定し始め!…次はフィロ
ネウスと言った様子で腕を伸ばすと、その身構えて居るフィロネウスを押さえては
直立させる。その際やはりベルベッタに目を見るよう声を掛けると、シロと一緒と
語り!…この時目は死んで居ないと話して見せ、そのマサツグの言葉でフィロ
ネウスがハッとすると、マサツグにツッコミを入れる!…さてマサツグが言う
テイム出来る目を持つ二人を並べた所で、ベルベッタは恐る恐るその二人の目を
覗き込み…そしてマサツグが言いたい事を理解したのか、徐々に二人に対しての
恐怖心が消えて行くと、最終的にはジッと見詰め合い始める…
__スッ…ジィ~~~…………
「……どうだ?…何と無く分かるだろ?」
「ッ!…えっ…えぇ…言いたい事は…
でもこれって戦闘中にジッと見てられるものなのかしら?…」
「あぁ~…それに関しては慣れだな?…慣れ。
慣れて来ると一目見ただけで判断出来ると言うか……
って、言ってるけど俺もシロに教えて貰った口だからな?…」
シロとフィロネウスを交互に見詰め…何かキラキラする様な目の輝きを目に
すると、ベルベッタはマサツグの言いたい事を理解する!…それは二人が
幼女だからとかではなく単純に何か感じる物が有るからであり、マサツグも
そんなベルベッタの様子を見て同意を求めるよう声を掛けると、ベルベッタは
戸惑いながらも返事をする…その際更に疑問に思った事が有るのか、マサツグに
戦闘中を踏まえての話を振るのだが…マサツグはその問い掛けに対して慣れと
答え、その目はシロに教えて貰ったと苦笑いしながら答えると、そのマサツグの
言葉にシロが反応する!…
「ッ!…え?…シ、シロですか?…」
「ッ!…あぁ、そうだな!…最初子犬で出会った時……って、まだ子犬だけど…
そんな時のシロの目は今も変わらずキラキラしてるんだよ!…
で、その目をジッと見て居る内に何と無く分かる様になって来て…
気が付いたらフィロネウスをテイム出来る様になってたって訳!…」
「ッ!…ふおおぉぉ~~~!!!…」
全く身に覚えがない様子で振り向くとマサツグを見詰め!…戸惑い気味に
マサツグへ確認の言葉を掛けると、マサツグはシロを拾った時の事を
思い出す様に答え始める!…その際シロの事を子犬と言ってはもはや狼で
ある事を忘れた様子で、とにかくシロが基本となって居た事を話し!…
そして気が付けばフィロネウスと!…まるでシロのお陰でテイム出来たと
ばかりにマサツグが話すと、シロも興奮した様子で歓喜する!…この時
いつもの様に感情を爆発させるよう尻尾を振ると、風を巻き起こし!…
そんな様子にフィロネウスは不服ばかりに!…納得が行かないと言った
様子で腕を組み膨れて見せると、マサツグに文句を言う!…
「……ふん!…この様な小娘と!…
わっちの高貴な麗しい瞳を一緒にせんでくりゃれ?…
わっちに見詰められたいが為に!…自身の国を差し出す男までぇ!…」
「……でも、今はシロと一緒でちんちくりんなのです!…」
「ッ!?…な、なにょおおぉ~~~~~!!!」
__ヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!……
自分をシロと一緒にされた事が不服とばかりに文句を言い出すと、かつての自分の
美貌を語り始め!…その際何処かで聞き覚えが有る様な…まるで傾国の狐と言った
様子で自慢話をしそうになるのだが、シロはそれを嘲笑う様にチャチャを入れる!…
この時会心の一撃とばかりに今は自分と一緒!…とシロが口にすると、フィロ
ネウスは目に見えてショックを受け!…そこからはまるで子供の喧嘩と言った
具合に!…互いに額を合わせ歯を剥き出しにして唸り合い始めると、マサツグが
すかさず仲裁に入る!…
「ッ!…はいはい喧嘩しない!!…
フィロネウスも大人だったらもっと余裕を持て!…
余裕を持ってないから今の姿なんだろ?…」
「ッ?!…マ、マサツグまで!?…と言うか!!…
この様な姿にしたのはマサツグでは無いか!!…
あの様に妖艶な姿が!…姿があぁぁ!!…ッ~~~!!…
これでは威厳も保てんでは無いか!!」
「……ッ?…何で威厳なんか保たにゃならんのだ?…
もう俺の……物なのに?…別に威厳なんか要らんだろ?」
「ッ!?…マ、マサツグが俺のモノって!!……
そ、それは女として見ているのかそれとも物として見られているのか?…」
二人の顔の間に手を差し込むと待つ様に言い!…それに吃驚して二人が離れて
見せると、マサツグは続けてフィロネウスに余裕を持つよう言葉を掛ける。
この時呆れた表情を見せつつツッコミを入れると、フィロネウスはその言葉で
更にショックを受け!…遂にはマサツグにまで文句を言い出し!…全ては
マサツグのせい!と言った具合に荒れに荒れる様子を見せると、マサツグは
その文句を聞くなり首を傾げる。その際マサツグが疑問に思った事と言うのは
威厳と言う言葉で、マサツグとしてはもう娘の様に感じているのか威厳は
要らないと…そう言う意味で自分のモノとフィロネウスに話すのだが、フィロ
ネウスはその言葉を聞くなり違った様子で受け取り!…顔を赤くしたり不安げな
表情を見せたり…とにかく慌しい様子を見せて居た。それでもマサツグに
そう言われた事は嬉しい様で、モジモジとしており!…シロはシロでその様子に
ヤキモチを焼き!…徐にマサツグの居る方に振り返ると、いつもの様に攀じ登り
始める!…
__……むっすぅ~~~!!!…ガッシ!!…ヨジヨジヨジヨジ!…
「ッ!…ん?…シロ如何したん…」
__ガッシイィィィン!!!…ブンブンブンブン!!…
「……ッ!…何じゃ白いの!…わっちに対する挑戦かえ!?…」
膨れっ面でマサツグをクライム!…マサツグも攀じ登られた事で戸惑いながら
シロに声を掛けるのだが、シロは返事をせず!…そうこうして居る間にも
シロはマサツグの頭まで登り!…思いっきり離れない!とばかりに頭へしがみ
付くと、フィロネウスに位置的マウントと親密度でマウントを取って見せよう
とする!…その際尻尾を振って更に風を送ると、フィロネウスもその様子に
気が付き!…ジッと見た後シロに対して一睨み!…やはり仲が悪いのか文句を
口にすると、視線だけでバチバチと火花を散らしていた!…そして当然その
様子をベルベッタも見て居る訳なのだが、それを見て心の中で一言…
{……やっぱ地道に頑張ろう…
マサツグみたいになれたとしてもこの状況は勘弁だもの…
…と言うか疲れないのかしら?…}
__ヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!…
「……はあぁ~~!!…全く!…いい加減にしないと!…
二人揃ってお仕置きか?…」
__ビクゥ~ン!?…キュ~ン……
一度はマサツグみたいに強力なペットを持つ事に憧れて居た様で、そして現実を
見せられた事に…身の丈に合ったモンスターを従えようと改めて考え、マサツグ
の心配をするよう疲れないのか?と考えていると、その目の前でまた二人の
幼女が喧嘩をしていた!…するとこれにはマサツグも大きく溜息を吐き始めると、
さすがに若干カチンと来たのか!…喧嘩をする二人に対してお仕置きの言葉を
口にし!…その言葉を聞いて途端に二人が過敏に反応すると、次には二人揃って
シュンとする!…するとこれだけはベルベッタも凄い!…と感じた様で、素直に
マサツグへ尊敬の視線を送り!…因みに現在の場所は王宮の廊下中央!…衛兵達が
困惑した様子で立ち往生をしては!…早く退いてくれないか?と願われるので
あった…
0
お気に入りに追加
563
あなたにおすすめの小説
いや、自由に生きろって言われても。
SHO
ファンタジー
☆★☆この作品はアルファポリス様より書籍化されます☆★☆
書籍化にあたってのタイトル、著者名の変更はありません。
異世界召喚に巻き込まれた青年と召喚された張本人の少女。彼等の通った後に残るのは悪人の骸…だけではないかも知れない。巻き込まれた異世界召喚先では自由に生きるつもりだった主人公。だが捨て犬捨て猫を無視出来ない優しさが災い?してホントは関わりたくない厄介事に自ら巻き込まれに行く。敵には一切容赦せず、売られたケンカは全部買う。大事な仲間は必ず守る。無自覚鈍感最強ヤローの冒険譚を見よ!
◎本作のスピンオフ的作品『職業:冒険者。能力:サイキック。前世:日本人。』を並行連載中です。気になった方はこちらも是非!*2017.2.26完結済です。
拙作をお読み頂いた方、お気に入り登録して頂いた皆様、有難う御座います!
2017/3/26本編完結致しました。
2017/6/13より新展開!不定期更新にて連載再開!
2017/12/8第三部完結しました。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)
みなせ
ファンタジー
転生先は、ゲーム由来の異世界。
ヒロインの意地悪な姉役だったわ。
でも、私、お約束のチートを手に入れましたの。
ヒロインの邪魔をせず、
とっとと舞台から退場……の筈だったのに……
なかなか家から離れられないし、
せっかくのチートを使いたいのに、
使う暇も無い。
これどうしたらいいのかしら?
【本編完結】転生隠者はまったり怠惰に暮らしたい(仮)
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
弟のお前は無能だからと勇者な兄にパーティを追い出されました。実は俺のおかげで勇者だったんですけどね
カッパ
ファンタジー
兄は知らない、俺を無能だと馬鹿にしあざ笑う兄は真実を知らない。
本当の無能は兄であることを。実は俺の能力で勇者たりえたことを。
俺の能力は、自分を守ってくれる勇者を生み出すもの。
どれだけ無能であっても、俺が勇者に選んだ者は途端に有能な勇者になるのだ。
だがそれを知らない兄は俺をお荷物と追い出した。
ならば俺も兄は不要の存在となるので、勇者の任を解いてしまおう。
かくして勇者では無くなった兄は無能へと逆戻り。
当然のようにパーティは壊滅状態。
戻ってきてほしいだって?馬鹿を言うんじゃない。
俺を追放したことを後悔しても、もう遅いんだよ!
===
【第16回ファンタジー小説大賞】にて一次選考通過の[奨励賞]いただきました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる