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-第三章-サマーオーシャン連合国-エルフの国編-

-第三章三節 エルフの少女と森への寄り道と森での奇襲-

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悪質な冒険者プレイヤー達を無双した次の日…本当だったら今日の昼過ぎにユグドラドへ

辿り着いて居る筈なのだが、何故かマサツグ達は馬車を止めて違う事をしていた。

別にまた何かに襲われたとかそう言った問題が起きたとかではなく、とある事が

気になり…はたまたちょっとした依頼でも有り、その依頼を達成する為に…

マサツグ達は寄り道をする様に近くの森へ足を運んでいた。では何故寄り道を

したのか?…そのちょっとした依頼とは何なのか?…その答えは朝のある出来事が

きっかけで、理由はその昨日助けたエルフの少女からのあるお話が始まりで

あった。


__ユグドラドへの道中…三日目・朝…



「……んん…ふあぁ~あぁ……あぁ!…

…良く寝た……ってあれ?…」


__ヒッシ!……スゥ…スゥ…


「…今日も今日とてシロが引っ付き虫…

…まぁ良いんだ…別にそれは問題ではないんだが…」


__ヒッシ!……スゥ…スゥ…


朝目が覚めると馬車の中から始まり…いつもの様に起床し辺りを見渡すと、

自身の腹にくっ付き眠るシロの姿を見つける。もはや慣れた様子でその

シロの姿を見るなりマサツグは微笑むのだが…マサツグが疑問に思った所は

そこでは無く、レイヴンの方に視線を向けるとそこには昨日助けたエルフの

少女が寝ており、その際シロの真似をするようレイヴンに抱き付いて眠る少女の

姿を見つけて、マサツグは思わず戸惑ってしまうのであった。レイヴン曰く

「逆に怖がられるんじゃ?…」と言って居たにも関わらず、思いのほか

好かれており…とにかく安心し切った様子でレイヴンに抱き着き…レイヴンも

知ってか知らずか同じ様に安心し切った様子で寝ていると、マサツグが起きた

事でかシロも目を覚まし出す。


「んん~……ふああぁ~……おはようございます…

ごしゅじんさまぁ~……ッ?…ごしゅじんさま?…」


「…ッ!…あ、あぁ!…おはようシロ!……

今日は大丈夫みたいだな?」


「ッ!…はいです!…でもごしゅじんさまに甘えたいのです!!」


「あははは…お手柔らかに…」


シロは眠い目を擦りながら目を覚ますと、マサツグに朝の挨拶をするのだが…

マサツグは戸惑った表情でレイヴンの事を見詰めており、シロも若干戸惑った

様子でそのマサツグの様子を目にすると、もう一度マサツグに呼び掛ける。

すると今度はちゃんとマサツグの耳に届いたのか、マサツグはハッと気が付くと

シロの方に振り向いて慌てて挨拶をし!…その際昨日の様な事になって

居ないと…確認するようシロに声を掛けると、シロは元気に返事をしては

甘えたいと口にする!…そんなシロの言葉を聞いてマサツグは苦笑いをするだが、

シロは満面の笑みで尻尾を振っており!…いつものシロが戻って来た事に

安堵しつつ…マサツグがシロに返事をしながら大きく伸びをしていると、

レイヴンも目を覚まし始める…


「……ん?…もう朝か……って、うわあぁ!?…な、ななななん!!…」


__ビクッ!!…ガバァ!!…バッ!!…バッ!!…ぷるぷるぷるぷる…


「え?…え?…何これ?…ドッキリ?…」


「……おはようレイヴン…そりゃ残念ながら天然だ」


「うぇえぇぇぇ!?…」


この時レイヴンは馬車の壁へもたれ掛かる様に座った状態で寝て居たのだが、

目を覚まして直ぐに目にしたのがその自身に抱き着いて居るエルフの少女で!…

慌てて跳び起きる様に驚いて見せると、その抱き着いていたエルフの少女も

慌てて跳び起きては怯え出し!…マサツグに確認を取るよう声を掛け出すと、

マサツグも分からないと言った様子で返事をする。その際レイヴンの慌て様に

若干呆れた様に返事をすると、レイヴンは更に戸惑い!…だがエルフの少女は

今だレイヴンに抱き着いて居り!…何故こうなったのかを理解出来ないまま

マサツグ達が戸惑っていると、そのエルフの少女はポツリと零す…


「……お父さん…」


「ッ!……え?…」


「お父さん…如何したの?…私だよ?…

[セラ]だよ?…」


「…お…お父さん?…」


そのエルフの少女はレイヴンを見詰めるとお父さんと呟き!…その一言に

レイヴンが驚いた様子で反応すると、エルフの少女は更に続けて自身の名前を

口にする。この時まだレイヴンの事を自身の父親だと思って居るのか、自分が

レイヴンの娘である様に名乗り出し!…当然身に覚えのないレイヴンは更に

戸惑い!…困惑した様子でそのセラと名乗る少女の言葉を復唱していると、

マサツグが尋ねる様にそのセラへ声を掛ける。


「……えぇ~っと…セラちゃんだっけ?…

この人本当にお父さん?…」


__ビクッ!!!……コクリッ………チラッ?×2…


「ちょ!?…違!!…てか、俺こんなんだぞ!?…

致せる訳ないだろ!?…」


「ッ!…でも匂いお父さんだもん!!」


「臭いって何!?…見た目とかじゃなくて!?…」


セラと名乗るエルフの少女は人見知りなのか?…マサツグが声を掛けると酷く

怯えた様子を見せ、しかしマサツグの言葉はしっかり聞いていたのか時間差で

軽く頷くと、その頷きようを見たマサツグとシロはレイヴンに疑いの視線を

向け出す!…この時さすがは親子か、二人揃って似た様な表情を見せ!…

当然その視線にレイヴンは慌てて違うと言い!…自身の種族を指す様にナニが

出来ないと反論をすると、更にそれに反論するようセラは匂いが一緒と肯定する。

その際必死に訴える様な表情をして見せると、マサツグとシロの視線は更に

強まり!…レイヴンは否定をされた事で更に戸惑い!…セラに困惑しつつも

ツッコミを入れていると、セラはレイヴンの事等お構いなしにある話をする。


「……お父さん…セラ…良い子にしてたよ?…ちゃんと待ってたよ?…

…確かに昨日は出て来てお迎えに行こうってしてたけど…

それでもちゃんと待ってたよ?……何で帰ってこないの?…」


「…え?……」


「お母さん…お家で泣いてるよ?…お父さんが帰って来ないからって…

ねぇ?…一緒に帰ろ?…また皆で一緒に暮らそ?…

もうあのお化けの事は放っておいて!…

お母さんとセラと三人で一緒に過ごそ!…」


「ッ!?…ま、待って!!…話が見えない!……って、この子?…」


もはやセラの中ではレイヴンは父親確定なのか…レイヴンの事をお父さんと

呼ぶと、意味深な言葉を口にする…その言葉でレイヴンはもはや何も言えない

のか、ただ戸惑った様子で言葉を漏らし…セラは続けて自身の母親の話をし

始め…レイヴンを一緒に何処かへ連れて帰ろうと説得していると、レイヴンも

ハッと我に返ってはセラを一旦落ち着かせようとするのだが…ふと何かに

気が付いた様子でセラを凝視し…ある事を確認した様子で言葉を漏らすと、

そのある事を口に出して言い出す。


「……間違いない…この子ハーフエルフだ」


「ッ!…と言いますと?…」


「……恐らく人間とエルフのハーフ…

まだ冒険者達に対して開国的な体制を取っていた時に出来た子かな?…

それにこの子目を患ってる…だからワイトの俺を見ても何とも思わないし…

さっき匂いが一緒なんて言い方をしたんだと思う…でも何であんな所に?…

迎えに来たにしても色々とまだ気になる点が?…」


レイヴンが気付いた事とはそのセラがハーフエルフと言う事で、マサツグが

気になった様子で声を掛けると、レイヴンはその詳しい話をセラを見ながら

話し出す。セラは人間とエルフのハーフ…出来た頃合いから目が見えて

居ない理由等…色々語っては先程までのセラの言動の理由について理解した

様子で話し続けるのだが、やはり不明な点が多く!…何故あんな所に

居たのか?…迎えに来たと言う言葉についても未だ悩んだ様子でレイヴンが

セラの事を見詰めていると、シロが徐にセラへ声を掛け出す。


「……セラちゃん!」


「…ッ!……ワンワンの臭いがする!…」


「ムッ!!…シロはワンワンじゃないです!!

フェンリルです!!!」


{……いや、ワンワンだろ?…}×2


レイヴンに抱き着いて居るセラの後ろに立つようシロがマサツグから離れると、

まるで友達になるよう声を掛け!…そのシロの声に反応し、セラが後ろに

振り返ると徐に鼻をヒクヒクとさせては、臭いで判断したのかシロの事を

犬扱いする…するとそのセラの一言にシロはムスッとした様子で膨れ出すと、

セラに訂正するよう腕をバタバタと振り回しながら文句を言い!…だがその

シロの文句も結局は犬で!…マサツグとレイヴンが二人揃ってシロの今までの

様子や、行動を思い出し…心の中でツッコミを入れていると、シロは気を取り

直した様子でセラに再度話し掛ける。


「……全くもう!!……セラちゃんのお母さんは近くに居るのですか?…

ちょっとだけですが何か同じ様な?…優しい良い匂いがするのです!…」


「ッ!…」×2


若干ご立腹気味ながらもシロはここで良い質問をする!…それは近くに

セラの母親が居るかどうかと言う事で、シロは何かを感じ取って居るのか

セラと同じ匂いがすると言うと、そのセラの母親の事を優しい匂いと

表現する。その際何か思い出す様な表情もして見せると、マサツグは

ハッとした様子で見詰めるのだが…それよりもシロの質問の方に集中し、

レイヴン共々シロの質問に感心をしていると、セラは昨日遭った事を

話し出す。


「……うん…森の中でお母さんに待つよう言われて待って居て…

暫くして足音が聞こえたと思ったら…あの怖い人達が…

怖くて逃げ出して!…何処に居るのかも分からないまま走って居たら!…

こうしてお父さんと出会えたの!…」


__ガバァ!!…ッ!?…オロオロ!…ワタワタ!…


セラはシロの問い掛けに対して素直に答え出すと、最初自分は森の中に居たと

言い出し!…その理由を母親に待つよう言われたと言い…素直に待って居た

所であの輩に襲われたと説明すると、ここまで逃げて来たと答える。その際

やはりレイヴンの事をお父さんと言うと、セラはレイヴンに抱き着き!…

レイヴンはレイヴンで戸惑い…ワタワタとした反応を見せていると、マサツグが

疑問を持った様子でセラに質問をする。


「……ッ?…お母さんに待つよう言われた?…」


「ッ!?…う、うん!……お母さん獲物を捕まえる仕事をして居るの!…

その仕事がきっかけでセラが生まれたってお母さんは言ってたけど…

今は悲しそうで……で、今日はセラのお世話係さんが忙しいって、

セラを一緒に仕事場に連れて来てくれたんだけど…」


「……やっぱさっきから警戒されている事が気になるんだが?…

まあとにかく!…何と無くだがここで話が繋がったな?…」


「お父さん!…お父さん!!…」


マサツグが疑問を持ったトーンでセラに話し掛けると、セラはマサツグに

対してだけは警戒した様子で…質問をされた事にビクッとした反応を見せ、

だがレイヴンが居る事で安心して居るのか大丈夫と言った様子で持ち直すと、

マサツグの質問に対して答え始める。その際新たにセラの母親が狩人である事、

森に居た理由はヘルパーさんが居ないので仕方なく連れて来たと言った具合に

理解し!…母親の帰りを待って居た際あの輩に襲われてここに居ると頭の中で

話を繋げ!…マサツグが納得した様子で頷いて居ると、改めてセラに警戒されて

いる事が気になってしまう…まぁ警戒されても仕方がないのか?…とマサツグは

理解しようとするのだが、如何にも見せつけられている様な気がしては納得が

行かず!…思わずその表情を表に出してしまうと、シロがそのマサツグの表情に

気が付いた様子で戻って来る。


__………ッ!…テテテテ!…ぴょいん!…


「ッ!?…シ、シロ!?…」


「ご主人様ぁ~♪…ごしゅじんさまぁ~♪」


「ッ!…急に甘えたになったな?…」


シロは戻って来るなりマサツグへ飛び付き、マサツグはマサツグで戸惑い

ながらもシロを受け止めると、シロはそのまま自身の頭を擦り付ける様に

マサツグへ甘え出す!…まるで見せて来るなら見せ返せとばかりに!…

シロは上機嫌でマサツグに甘え続けていると、そのシロの様子にマサツグは

戸惑いながらも答え…シロの頭に手を置いては優しく撫で出し…それに

反応するようシロも更に擦り寄って来ると、尻尾を全力で振る!…まるで

先程の言葉通りになったようシロはもはや子犬になっており…レイヴンは

疲れた様子で溜息を吐き…面倒臭いと言った様子で諦め出して居ると、

マサツグにある提案をする。


「……ハアァ~…このままだと埒が明かない!…

恐らくまだこの子の母親は森の中に居る筈!…

向こうもこの子を探して居る事だろうし…ちょっと寄り道になるが?…」


「……仕方がないだろ?…とにかくこの子を親元に返さないと…」


__ブンブンブンブン!……ッ?…


レイヴンが提案した事とはセラを母親の所へ返す事で…セラの母親は

まだ森の中に居ると考えて、心配して居ると話し!…同時に寄り道に

なると言った様子で申し訳なさそうにレイヴンがマサツグに話すと、

マサツグは察した様子で返事をする…この時その親御さんの気持ちが

理解出来るのか、シロを優しく撫でてはジッと見詰め…その際シロは

何も分かっていない様子で…ただ何かを感じた様子でマサツグの顔を

見上げると、不思議そうに首を傾げては満足げな笑みを浮かべる。

さてこうしてマサツグ達はそのセラの母親を探す為に近くの森へ向かった

のだが…


  ------------------------------------------------------------------------

         「エルフ達の狩場・ゾネアマスの森」

  エルフの国・ユグドラドから南に数十キロ離れた森で、この森では

  質の良い果物や野菜が取れる事から「豊穣の森」として崇められて

  おり、更にその野菜や果物を求めて…野生の動物達がやって来る事

  からエルフ達の絶好の狩場ともなっている。その際エルフ達の信条で

  狩り過ぎる事は良しとはせず!…必要以上の狩りをしないのが決まり

  となって居るのだが、それ以上に余所からの密猟者に対しては厳しく、

  見つけ次第攻撃!…或いは仕掛けて有る罠に嵌めるよう誘導され…

  手厳しい歓迎を受ける事になる。その為滅多な事では入らないよう

  ギルドの方でもお触れを出しているとか…

  ------------------------------------------------------------------------


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……スンスン…


「……セラちゃんの母親が居る森はここだってシロが言っていたが…

豪く物騒な注意文が出て来たな?…」


「…うぅ~ん…確かにここのマナ濃度は凄いな?…

このマナの影響で野菜や果物が良く育つのか或いは……

ここでならどんな強力な魔法でも撃てそうな?…」


「……だからって試すなよ?…それこそ面倒事に…」


「…冗談に決まってるだろ?…」


セラの母親を探す為にマサツグ達はセラを連れて一旦馬車を降り…シロの

鼻を頼りにその森へ足を運んで来ると、マサツグ達の目の前にいつもの

名所案内が表示される。そこには野菜や果物が良く採れると書かれて居る

他に、エルフ達の狩場と紹介されて有り…更に物騒にも狩人のエルフに

襲われると…何やら気になる文章が書かれて有る事を見つけると、その文章に

マサツグは嫌な予感を感じ始める!…そしてその隣では同じ様に名所案内に

目を通すと、森からマナを感じるとレイヴンが話しており…このマナが

影響して野菜が育つのかと推測し、自分でも強力な魔法が打てそうとウキウキ

した様子で話して居ると、マサツグから冷静なツッコミを受ける。そして

面倒事は御免と更に念を押されると、レイヴンは冗談と言ってマサツグに

笑うのだが…そんな二人の戦闘を歩いているシロがハッと何かに気が付いた

様子で足を止めると、二人に止まるよう声を掛ける。


「…ッ!…ちょっと待ってください!!…」


「ッ!?…ど、如何したシロ?…」


__じぃ~~!!!…スゥッ…バシュン!!…


「ッ!?…」


突如止まる様に言われた事でマサツグとレイヴンは慌てて止まり…シロに

何が有ったのかを尋ねるが、シロはある一点を見詰めたまま返事をしよう

とはしない!…するとそこから徐に半歩スッと右足を後ろに下げ出すと、

まるでボールを蹴り上げる様に右足を振り上げ!…そこからカマイタチを

飛ばし!…何かを切った様に見せると、次の瞬間地面に隠されていた

捕獲ネットが姿を現す!…


__スパッ!!…ばさあぁぁ!!……キィ……キィ…


「ッ!?…な!?…」


「…ふぅ~…変なのが見えたので何かなと思いましたが…

何でしょう?…コレ?…」


__……チラッ?…コクリ×2


まるで吊し上げる様に丸まった状態でその捕獲ネットが地面から姿を現すと、

何も入っていないのにユラユラと揺れて…シロは如何やら罠を見つけたらしく!…

それを解除する為にカマイタチを飛ばしワザと罠を起動させたらしいのだが…

目の前で罠が起動した事にマサツグ達は驚き!…シロはこれを罠と分かって

いない様子で指をさし、マサツグ達にこれは何?…と言った様子で尋ねるのだが…

マサツグ達はマサツグ達で!…改めて気を引き締めないとヤバいと言う事を

自覚させられると、互いに向き合っては頷くのであった!…さて、そこからは

マサツグも感知サーチを駆使しながら進んで行き、シロに以前セラの母親の匂いを

追わせて居るのだが…ここで奇妙な視線を感じ始める!…


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……スンスン……ッ~~~…


「……ごしゅじんさまぁ~?…」


「…分かってる!…俺も何と無く感じてるし!…何より反応が出ている!…」


「ッ!…敵!?…モンスターか?…」


「……いや…この感じだと人……で、あの名所案内通りだとするんなら!…」


更にセラの母親の匂いを辿って森の奥に向かい歩いていると、シロがまず

気が付いた様子で声を掛け…そのシロの呼び掛けにマサツグも反応し!…

分かっている!…と辺りを警戒した様子でシロに返事をすると、自身の

ミニマップに反応が有る事を口にする!…そのマサツグの言葉にレイヴンも

途端に警戒をするのだが!…その際モンスターであるかどうかを確認すると、

マサツグは人だと答え!…人である事は?…と言った様子で、あの名所案内の

内容を思い出すよう言葉を口にして居ると、次の瞬間マサツグ達に向けて

何処からともなく矢が飛ばされる!…


__カサッ……バシュンッ!!…


「ッ!?…来たぞ!?…」


__バッ!!…ガキイィン!!!……ガサガサッ!!…バババッ!!…


「…貴様達!…一体何者だ!?…この森に何の用だ!!…」


木の上からマサツグ達を狙う様に!…まずは小手調べと言った様子で一矢

だけが飛んで来ると、マサツグはそれに反応するようシロやレイヴン達の

前に飛び出て!…直ぐに大剣を鞘から抜き!…受け止める様にその矢を

弾いて見せると、次には木の上から三人の女性エルフが降って来る!…それと

同時にマサツグ達に対して弓矢を構えると、明らかな敵意をマサツグ達に

向け!…眼光鋭くマサツグ達を睨み!…一応目的は聞いてやると言った

様子で言葉を口にすると、その攻撃的なエルフの言葉にマサツグも戸惑う!…


「…おいおい!…攻撃的とは書いて有ったが殺意まで向けて来るとは!…

最初から密猟者として見られているみたいだな?…」


「…今私達は忙しいのだ!…森を荒らすのなら手加減はしない!…

密猟者なのならもっと容赦はしない!!…

このまま振り返って森を出て行くか!…

貴様達の頭を撃ち抜かれるか!!……何方か選べ!!!」


__スッ…ヴヴヴヴ!!……スッ…ッ!…


「……選択肢に対話の項目が無い事に困惑を覚えるな?…

ギャルゲーならフラグ回収し損ねたか?…って慌てる所だな?…」


「ッ!…ぎゃるげー?…何の話をして居るのか分からんが!!……ッ!!…」


完全に敵として認識されている事にマサツグは苦笑いをし…エルフ達に対して

防御するよう大剣を構え直して居ると、明らかに殺る気満々のエルフ達は

最初から話を聞く気など無い様子で…高圧的な態度で選択肢を提示し!…

選択を迫るよう声を荒げると、更に弓を引き絞る!…そんなエルフ達を相手に

シロもいつでも動けるよう臨戦態勢を整え出すのだが、マサツグは後ろ手に

「待て」を指示し!…シロはその「待て」の指示通りに押し留まり、マサツグも

それをチラッと確認した所でエルフ達の方を振り向くと、余裕とばかりに

言葉を口にするのだが…その言葉にエルフ達は困惑と同時に不快感を覚え!…

更に怒った様子で弓を引き絞ろうとするのだが!…ふとある物を目にすると、

途端に戸惑いを覚える!…


「…ッ!…この声と匂いは?…

アクアと…ウィンティアと…ホムラ?……皆ただいま!!…

お父さんも一緒だよ!!」


「セ!…セラ!?…何で密猟者と一緒に!?…

それに攫われた筈じゃ!?…」


「お父さん達が助けてくれたの!!…

セラ…必死に捕まらないよう逃げて居たら…

偶然お父さんに出会えたの!!」


「ッ!?…え!?…そ、それって如何言う!?…」


エルフの三人が戸惑いを思えたモノ…それは他でも無いレイヴンと手を繋ぎ

ながらボウッ…として居るセラの姿で、セラも三人の声と匂いを識別し…

それぞれ青髪のロングヘアーのエルフをアクア・緑髪のショートをウィンティア、

そして赤髪ポニーテールをホムラとそれぞれ指差して答え、その際上機嫌で

三人にただいまと言い出し!…その上機嫌のセラの様子を見て三人が戸惑った

様子でセラに声を掛けるが、セラはただレイヴンと手を握ったままお父さんを

連れて来たと説明をする。この時何度セラの様子を見直しても明らかに無理やり

連れて来られた様子はなく、更に脅されている様子もなく…だがレイヴンは

顔に手を当て何故か悲観しており…逆にこの様子は何!?…と言った様子で

三人のエルフが戸惑っていると、その三人の後ろよりもう一人女性エルフが

姿を現す。


「……簡単な事じゃないか…その冒険者達はセラを助けてくれた!…

そしてここまで送り届けてくれたって事だろ?…」


「…ッ!?…猟長!!…」


「ッ!?…猟長?…聞いた事が無いが?…」


突如後ろから声がした事でその三人のエルフが降り返ると、そこに居たのは

まるでアマゾネスみたいな金髪のナイスバデーな筋肉質の女性エルフで!…

何処かセラと面影が似ており…歴戦の跡か体中に傷跡が残っている様子が

見られると、そのアマゾネスを見るなり三人のエルフは慌てて猟長と口にする。

そしてその初めて聞く言葉にマサツグは思わず知らないと口にするのだが、

その言葉を聞く限りそのアマゾネスが三人のリーダーらしく…だがマサツグ達を

前にしてもそのアマゾネスは妙に微笑んでおり、マサツグ達も戸惑った様子で

睨めっこを続けていると、シロがハッと気が付いた様子でマサツグにある事を

言い出す。


「ッ!…ご主人様!!…この人です!!…

この人がセラちゃんのお母さんです!!!」


「ッ!…え?…」


{こ、この典型的なアマゾネスが!?…

まぁ確かに狩場に連れて来る位だから肝っ玉なんだろうとは

思ってはいたが!!…}


{まさか歴戦種とは!?……

…って事はこの華奢な子があんな風に?…}


{それはそれで気になるな!……}×2


シロは慌てた様子でそのアマゾネスを指差すと、アマゾネスの事をセラの

母親と言い!…その言葉にマサツグとレイヴンは戸惑い!…この華奢な

少女の母親がアマゾネスである事に驚きを覚えると、ある意味で今後の

成長に若干興味を持ってしまう…だが当然そんな事を口にする訳が無いので

心の中に仕舞い…表情では戸惑って見せ、一応警戒をした様子でいつでも

動けるよう身構えていると、アマゾネスは微笑みながらマサツグに話し

掛け出す。


「…あたしの娘を返しに来てくれたんだね?…

セラの様子を見る限りアンタ達は犯人じゃない!…

……じゃあその犯人は何処に行ったか知らないかい?…」


「え?…えぇ~っと……

全員俺がぶちのめしてしまったが?…いけなかった?…」


「ッ!…ぶちのめし!…あっはっはっはっはっはっは!!!!」


「え!?…えぇ~…」


アマゾネスはまず…自分の娘を返しに来てくれた事を確認するよう声を

掛けると、その犯人を確認するよう続けて言葉を口にし…その際マサツグ達は

その犯人じゃないと娘の様子で断定し!…ではその犯人達が如何なったのかを

興味本位で聞き出すと、マサツグは突然の問い掛けに戸惑いながらも正直に

答える。この時マサツグは自身の右手で拳を握ると、ぶちのめしたと答えては

駄目だったかを確認し…そのぶちのめしたと言う言葉に!…アマゾネスはツボに

入ったよう突如噴出し大笑いをし始めると、その場に居る者全員を戸惑わせる。

当然マサツグも驚いては困惑の声を漏らし…森に響く勢いでアマゾネスは

大笑い!…暫くして落ち着きを取り戻したのは、数分後の事であった…


「ひぃ~!…あぁ!…笑った!…こんなに笑ったのは何時振りだろうねぇ?…」


「…こっちもそんな大笑いされるとは思っても居なかったが?…」


「まぁとにかくだ!…あたしの娘を助けてくれた事!…深く感謝する!…

それと同時に娘の恩人に対して弓を向けた事!…これも深く謝罪する!」


__スッ…ッ!?…スススッ!…


目に若干の涙を溜めながら漸く落ち着きを取り戻し…久しぶりに笑ったと

アマゾネスが言うと、笑った際溢れ出た涙を拭い出す…そしてその大ウケ様に

マサツグも予想外と言った様子で言葉を漏らすと、アマゾネスは仕切り直す様に

呼吸を整え…改まった様子でマサツグ達に感謝の言葉を口にし、更に攻撃した

事についても謝罪をすると、アマゾネスはマサツグ達に頭を下げ出す。この時

その三人の部下のエルフもアマゾネスが頭を下げた事で戸惑うと、慌てて同じ様に

頭を下げ!…その様子にマサツグ達はいつもの様に慌て出し!…頭を上げる様に

声を掛けるのだが、その様子が見えないセラはシロと共に不思議そうな様子で

首を傾げるのであった。

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 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお
ファンタジー
俺には二人の幼馴染がいた。 俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて まるでない、凡愚で普通の人種だった。 そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。 だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が 勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。 自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の 関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に 衝撃な展開が舞い込んできた。 そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

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