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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章六十九節 後日の反省会と隷属の首輪と漸くの学び…-

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翌日、いつもの様に全身をピクリとも動かす事の出来ない朝から始まり…

身支度を整えて部屋を後にすると、早速レイヴンと合流する。その際

レイヴンの方もマサツグと合流しようと思って居たのか、出会うなり

気さくに手を上げて挨拶をし…そんなレイヴンにマサツグも手を上げて

挨拶を交わして合って居ると、二人の話題はあのメイドさん達の奇襲に

ついての話になる。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「…そう言えばあの魔法レイヴンが教えたんだよな?…

…何てモンを教えてんだよ!…こちとら脚痺れてたってのに!!…

…それにあの連係プレイもレイヴンが考えたもんだろ!?…」


「ッ!…それでも全弾回避すんのな?……

まぁ、面白い位に直ぐ魔法を習得してくれてたから色々教えてたけど…

まさかあんな軽快なフットワークで魔法を乱発するとは俺も思わなかった!…

それに連係プレイって言っても初歩の初歩位しか教えて無いし…

アレはあのメイドさん達が自力で昇華させたものだよ……」


二人肩を並べて王宮の通路を歩いてはメイドさん達の波状攻撃について

振り返り!…マサツグはあの時自身の足が痺れて居た事を話し出すと、

レイヴンは若干驚いた様子でマサツグが回避し切って居た事を思い出す。

そしてメイドさん達に魔法を教えた理由についても面白かったからと

話すと、更に連携も初歩を教えたと嬉々として語り…

あそこまでマサツグを苦しめる戦法を編み出したのは彼女達自身と…

まるで弟子の成長を喜ぶ様にレイヴンが語り続けて居ると、マサツグは

呆れた様子でツッコミを入れる!…


「そう言う問題じゃねぇんだよ!!…」


「いやぁ~…はっはっはっは…まさかこんな事になるとは…」


「襲われる方は堪ったもんじゃねぇよ!!……はあぁ~…ったく!…

一介のメイドさん達がやって見せる様な動きじゃねえんだよアレ!!…

あれはちょっとしたモンスターを相手でも倒せるレベルだぞ!?…

ちゃんと魔法の詠唱時間やクールタイム!…TP配分まで考えて!…

最期の方はもはや乱発感があったが…とにかくヤバかったんだからな!?…」


「……英雄様のマサツグを相手にここまで言わせる事が出来たんだから…

ある意味で成功か?…いやでもやっぱ被弾させて無いし…まだまだ改良の余地が?…」


「おい!!…」


マサツグからのツッコミを受けてレイヴンは苦笑いをするとまさかと言った

様子で返事をし…そんなレイヴンの返事を聞いてマサツグは更にどれ程までに

苦戦したのかを語り出すと、アレはメイドさんの動きじゃない!…と驚愕した

表情で結論を口にする!…その際そこそこのレベルのモンスターとやり合っても

勝てるとマサツグは焦った様子で語り出すと、レイヴンは満足している様な、

していない様な…とにかくまだまだ教えるべき事は有るか?…と言った様子で

悩んで見せると、更にマサツグがツッコミを入れ出し!…そんな会話をしつつ

二人が執務室の前を通ろうとすると、その部屋の中からミスティーとフィアナの

声が聞こえて来る。


__コッ…コッ…コッ…コッ……ッ~~……ッ!…


「……では…お姉様には今日から一週間!…

これを首から下げて公務をして貰います。」


「うぅ~…余は女王なのにぃ~!…」


「関係ありません!!…

こうでもしないと言う事を聞きませんからね!…」


「うぅ~…」


執務室の中では未だ昨日の事を引っ張って居るのか、ミスティーは若干お怒りの

トーンでフィアナに何かを強要しており!…それに対してフィアナは不服そうに

唸っては自身の事を女王と言って何とかやめさせようとするのだが、ミスティーは

聞かず!…お仕置きと言った様子で更に声を強め、フィアナに反省を促すよう

叱り付けると、もはや反論の余地も無いのか部屋の中からはフィアナの唸る声しか

聞こえて来ない…そんな中の様子を執務室の外から聞いていたマサツグ達は、

思わず足を止めると如何言う事か?…と悩み出すのだが…百聞は一見に如かず!…

とにかく様子を確認するよう執務室の方へ足を進めると、そのフィアナの状態を

確認する。


__……ガチャッ!……ッ!?…


「お~い、一体何を騒いで……ッ!…」


__プラ~ン……


「……私は悪い事をしました。現在反省中?…」


「何この漫画のオチに使われてそうな首輪の看板は?…」


ノックをする事も忘れた様子でマサツグ達が執務室の中へ入って行くと、

そこにはまた正座をさせられているフィアナに仁王立ちのミスティーと…

更にフィアナの首には看板が下げられており、その看板には…


[わたしはわるいことをしました。げんざいはんせいちゅう。]


と書かれた…何とも情けない漫画のオチの様な姿を見せるフィアナを

見つけるのであった!…そしてそんな看板の文字をレイヴンは戸惑った

様子で音読して、マサツグが率直に感じた事を口に出し!…フィアナは

フィアナで二人に見られた事にショックを受けた様子で顔を赤らめ!…

ミスティーは二人に気が付いたのかフィアナを置いて会釈をし始めると、

その疑問に答えるようあの看板は何なのかを説明する。


「ッ!…マサツグ様、レイヴン様!…御機嫌ようございます!…

…ッ!…あぁ!…これですか?これはですねぇ…

昔からお姉様はやり過ぎる所があったのでお母様がお仕置き様に

作った調教……コホン!…お仕置き様のアイテムです♪」


__ッ!?…


{{今調教って言わなかった!?…何なら隠せてないぞ!?…}}×2


何も無かった様にミスティーは笑顔でマサツグ達に挨拶をすると、嬉々とした

様子で看板の説明をし始め!…この時その看板をフィアナ達の母親が作った

調教用…お仕置き用のアイテムと言い直して見せるのだが、ハッキリと疑問の

残る形で口にした為隠し切れず!…明らかな動揺具合をマサツグとレイヴンが

揃って見せて居ると、心の中でも二人揃ってミスティーにツッコみを入れる!…

その際ミスティーは一切表情を変える事無く看板首輪の説明をしたので、

マサツグとレイヴンは不気味に感じてしまい!…思わずミスティーに何かしらの

闇を感じて居ると、中の騒ぎを聞き付けたのか執務室にロディがやって来る。


__ギュピッ!…ギュピッ!…ギュピッ!…ギュピッ!…


「皆おはよう!!…朝から元気が良いわねぇ!…って、あらぁ?…

これは……ッ!…まぁた珍しい物を着けてるのねぇ?」


「ッ!…あぁ!…おはよう御座います!…

…って、知ってるんですか?…」


「知ってるも何もこれ…隷属の首輪じゃない!……

それにこの看板!…面白い使い方をしてるわね?」


「ッ!…隷属の首輪って!……」


ロディは部屋に入って来るなり全員に挨拶をし始め、更にマサツグ達の

後ろから見下ろすようフィアナの様子を確認すると、一人だけ着眼点が

違う様子でマジマジとフィアナの事を見詰め出す。そして何かを理解した

様子で反応を示すと、珍しいと言葉を口にしてはスッと腰に手を当て

仁王立ちし…そのロディの言葉にマサツグ達は挨拶をしつつ、改めて

何に気付いたのかを問い掛け出すと、ロディはフィアナの首に巻かれて

有る首輪を[隷属の首輪]と言って答える。その際首輪の使い方が面白いと

言って笑い出すのだが、マサツグだけはその首輪の名前に聞き覚えが

有ると言った様子で若干驚き!…その首輪の事を知らないレイヴンは

一人疑問の様子を浮かべると、その[隷属の首輪]と言う物が如何言うモノ

なのかをロディに尋ね始める。


「えぇ~っと…スイマセン…その[隷属の首輪]って?…」


「ッ!…あら、知らない?…って、知らなくても当然よね?…

だってこれだし…」


「……え?…」


「……ッ!?…あぁ、ごめんなさい!!…

つい独り言を!…お、おほほほほほ……ン゛ン゛!………ふぅ…」


レイヴンが戸惑った様子でロディに問い掛け出すと、そのレイヴンからの

質問にロディは逆に戸惑うのだが…直ぐに理解した様子でスッと気を取り

直して見せると、再度フィアナの首輪に注目する…その際気になる事を

小声で呟くよう口にし始めると、よく聞き取れなかった様子でレイヴンは

戸惑うのだが!…そんなレイヴンの様子にロディは慌てた反応を見せると、

直ぐ謝り誤魔化し笑っては咳払いをしつつ!…とにかくレイヴンからの

更なる追及が無い事を確認すると、ホッと安堵し…改めて質問に答えるよう

[隷属の首輪]についての説明をし始める。


「じゃあ説明するわね?…[隷属の首輪]って言うのはねぇ?…

昔の貴族が娯楽目的で作ったいけ好かない首輪の事で、その首輪を着けられると

その着けた本人の命令を忠実に聞いちゃう!…何なら奴隷同然の様に反抗する

事すら許されない絶対服従を誓わされる制限の無いマジックアイテムの事なの!…

当然そんな物騒な物各国や町では危険物と見なされて、見つけ次第廃棄する様に

なっているのだけど……

でも、やっぱり少なからず隠れて持っていたりする奴がいる訳で…

……まぁ、とにかく色々と面倒事になっている魔道具の一つと思って頂戴♪

…でも変ね?…これからはそんな強力な拘束力は無い様に見えるわね?……」


ロディが話し出した[隷属の首輪]についての説明は、ホエールビアードの道具屋で

マサツグが聞いたものと同じで有り…その話を聞いたレイヴンやミスティー…

首輪を現在進行形で着けている当本人を驚かせては酷く困惑させる物であった!…

何でそんな物騒な物が今ここに!?…とフィアナは自身の首元を見詰めては

青褪めた表情を見せるのだが、ロディは別に気にする事無くジィ~っと見詰めては

拘束する為の魔力が無いと言い…しかしフィアナにとっては如何でも良く!…

直ぐに外すようミスティーに訴え出すのだが!…


「ッ!…なっ!…なぁ、ミスティー!?…ロディ殿もこう言って居られるのだ!…

こんな物騒な物外してさっさと廃棄した方が良いのではないか!?…

た、確かに今回の余の言った事ややった事には節度が欠けて居ったが!…」


「お姉様は黙って居て下さい!…」


「ッ!?……はい…」


フィアナは必死に外すよう訴えて出しては同時に反省したとミスティーに

訴えるが、ミスティーはスッと真顔になると聞き入れず!…寧ろ圧を掛けるよう

フィアナを見下ろして見せると、その圧に負けたのかフィアナは俯き返事をする…

そこには最初に出会った時の様な威厳は何処にも無く…ただ小さく反省をする

メスライオンが一人!…余りの変わり様にマサツグも無言になって戸惑いを

覚えて居ると、ミスティーは徐に確認するようロディに質問をし始める。


「…ロディ様?…少し宜しいでしょうか?…」


「ッ!…ん?何かしら?…」


「これって…?…」


__ッ!?!?!?…


「…ッ?…えぇ、問題無いわよ?…だってただの首輪同然ですもの?…

隷属の効力は切れてるし、術者が居る訳じゃ無いから拘束力も無い!…

だから着けても着けなくても隷属の効力は受けないわよ?」


ミスティーが徐にロディへ問い掛け出した事でロディは不思議そうに返事をする

のだが、次に質問し出した言葉でマサツグ達が戸惑いを覚え出すと、フィアナは

容赦の無い自身の妹に恐怖を覚え始める!…そしてその言葉と言うのは今着けて

いる[隷属の首輪]に対する安全性の確認についての言葉なのだが、如何にも首輪を

着けさせる事を前提に話を進めており!…あの話を聞いても尚外そうとしたない

ミスティーに!…フィアナは話を聞いていたのか!?…と訴える様な視線で

ミスティーを見詰めるのだが、ミスティーは我関せずを貫き!…ミスティーの

問い掛けに対してロディは何も考えていない様子で答え出すと、ミスティーの中で

判断が下される!…


「……お姉様?…」


「ッ!…は、はい?…」


「……しっかり反省して居て下さいね?…」


「ッ!?……はい…」


ロディの説明を一通り聞いた所でミスティーは徐にフィアナの方へ振り向くと、

フィアナの事を呼んでは何故か満面の笑みを浮かべ出し!…そんな

ミスティーの表情にフィアナは嫌な予感を感じつつ、恐る恐るミスティーに

返事をして見せると、やはり着けて居るよう言い聞かせられる様に反省を

促す言葉を掛けられる。そしてその言葉を聞いた事でフィアナも観念したのか…

その場でガックリと折れる様に俯き出すと、悲しい声でミスティーに返事をし…

その一連のやり取りを見せられて居たマサツグとレイヴンも改めてミスティーを

怒らせてはいけない!…と感じて居ると、心の中でフィアナに憐みの言葉を

掛け出す!…


{{…あぁ~っと……南無三!!……}}×2


「…あららら…大変ね?…」


これにはロディも苦笑い…と言うより止めを刺した様なモノなのだが…

こうしてフィアナはこれより一週間!…その看板付き首輪を着け続ける事が

決定してしまうのだが…本来の目的はそこに有らず!…その一連の様子を

見てマサツグ達が戸惑って居ると、突如レイヴンは思い出した様にその場を

後にし始め…徐にマサツグへ声を掛け出しては部屋を後にする!…


「ッ!…そうだ!…悪いヤブ!!…俺もう行くわ!!」


「ッ!…え?…」


「衛兵達とメイドさんの訓練!……俺やっぱ試してみるわ!!

…今度は本腰を入れて教えてみるつもりだから!…

回避し切るのは難しいかもしれんぞ!?」


「ッ!?…ちょっと待て!?…また俺が被害に遭うのかよ!?」


レイヴンに急いでいると言われてマサツグは戸惑い…一体如何言う事か?と

尋ねようとすると、レイヴンは訓練が有ると言い出す!この時声色からは

まるで吹っ切れた様な!…決意が固まった様な明るい声が聞こえて来ると、

衛兵やメイドさん達をもっと強くすると言い出し!…その際またマサツグを

実験台にする様な事を言うと、そのレイヴンの言葉にマサツグは慌てて

ツッコミを入れ出す!…そうしてレイヴンはその事だけを言い残してその場を

後にし、執務室にはマサツグ・ミスティー・フィアナ・ロディの四人だけが

残り…ロディも今日から作業が有ると言った様子で部屋に居る全員に声を

掛け出すと、部屋を後にするよう移動し始める。


「……ッ!…っと、そろそろ私も行かなきゃ!…

今日から早速ギルドを建築……の前に契約をしなくちゃいけないし!」


「ッ!…もう始めてしまうのか?

もう少しゆっくりでも構わんのだぞ?…

何なら観光も…っと言っても何も無いが……」


「あら♪…それは有り難いお言葉だけど……

やっぱりそう言うのって仕事を終えてからゆっくりするモノでしょ?…

だから今日からキッチリ仕事をさせて貰うわ!」


ロディも時間を気にした様子で動き出すと、その様子にフィアナはハッと

気付いた様子で元の調子に戻り始め…もう少し休むよう労わる様な事を

ロディに言うのだが、ロディはそんなフィアナの言葉にお礼を言って

作業をすると答える。そして観光は後でじっくり見て回るとフィアナに

答えると、フィアナにその逞しい背中を見せつつ…手を振って

挨拶をし、レイヴン同様部屋を後にしようとすると、マサツグがハッと

思い付いた様子でロディに声を掛け出す。


「ッ!…あっ…じゃあ俺も付いて行って良い?…

そのギルドの建築って奴を見てみたいし!」


「ッ!…えぇ、勿論構わないわ!!…

ただ先に行っておくけど何にも特別な建築はしないわよ?

だってハリボテを作るだけですもの…」


「いやぁ…何方かと言うとその土地神との

契約方法の方が気になるかな?…って…」


「あぁ…まあいいわ!…見学は自由よ!

それに今から現場に直行するし!…何なら一緒に行くかしら?…」


興味を持った表情でマサツグがロディに問い掛け出したのはギルドの建設の

見学について、その事を問われたロディも何の問題も無いと言った様子で

マサツグの方に振り返っては、サムズアップをしながら笑顔で返事をし!…

その際何も面白い様子は無いと先に説明するようマサツグに話して見せると、

マサツグは契約の様子の方が気になると答える。するとロディはマサツグの

言葉を聞くなり理解した様子で言葉を漏らしては数回頷き…如何やらマサツグ

同様契約の様子が気になる者が居る様で、納得したのか再度マサツグに見学は

自由と答えると、笑顔で一緒に行く事を勧め出す。そうしてロディの誘いに

乗るようマサツグは頷くと、一緒に執務室を後にし始めるのだが…


「ッ!?…マ、マサツグも行ってしまうのか!?…だったら余も!…」


「ッ!…別に良いですけど?…その恰好で外に出て行くつもりですか?…

その格好ですと…物凄い注目を浴びる事になりますが?…」


「ッ!?…クゥ!!…」


「あ、あははははは…」


執務室を後にしようとするマサツグを呼び止める様に、慌ててフィアナが

声を掛け出し!…これまた慌てて立ち上りマサツグの後を追い始めようと

すると、ミスティーが呼び止める様にある事を言い出す!…それは首に

掛けて有る看板の事であり、恥ずかしくないのか?と言う問い掛けなのだが…

それを聞いたフィアナはハッと気が付いた様子で足を止め、悔しそうな

表情でスゴスゴと机のある方に戻り出すと、その様子を見たマサツグは

苦笑いをする事しか出来ないのであった。そうして執務室に残るよう

フィアナとミスティーはマサツグ達に別れを告げ、マサツグ達はそのギルドの

建設現場へと向かい出すのだが、この時シロはと言うとまだ部屋で熟睡

しており…マサツグも起こした方が良いのか、起こさない方が良いのか?…

ロディと一緒に移動しながら悩んで居ると、反対方向からメイドさんの

ノーマとすれ違う。


__コッ…コッ…コッ…コッ……うぅ~ん……ッ!…


「ッ!…これは…マサツグ様にロディ様…

おはよう御座います…」


「「(あら、)おはよう!…」」


「…これから何方に向かわれるのですか?…」


マサツグが通路の反対方向から歩いて来るノーマに気が付くと、向こうも

気が付いた様子で足を止め…そして丁度すれ違う所でノーマが会釈をして

マサツグ達に挨拶をすると、マサツグ達も挨拶を返し…ノーマが頭を上げて

マサツグとロディの顔を交互に見て行き先について聞くと、マサツグは

素直に行き先を答える。その際ハッと思い付いた表情をして見せると、

マサツグは徐にノーマにお願いをし始める。


「え?…あぁ、ギルドの建設現場に……ッ!…

そうだ丁度良い!」


__…ッ?…ピクピクッ…


「少し頼み事を頼む!…もしシロが俺の事を探し回って居たら

さっき言ったギルドの建設現場に来て欲しいって伝えてくれ!…

そこに俺は居るって!……俺は今からそこに行こうと思ってるから!…」


「ッ!…畏まりました…そうお伝えします…」


「悪いけど頼んだよ!…じゃ!…」


マサツグがノーマにお願いをする際…ノーマは首を傾げて不思議そうな表情を

マサツグに向けると、自身の耳をピクピクと反応させ…マサツグはそんな

ノーマにシロへの伝言をお願いすると、これで安心と言った様子で安堵の

表情を見せる。自身の居場所を伝えて置く事でシロも安心する!…そう思い

マサツグはこの伝言をノーマに残したのだが、この後に起きる事など全く

予期せず!…ノーマもそのマサツグの伝言を聞き届けたのか了解したと

答えては会釈をし…そのノーマの返事にマサツグは任せたと言って、改めて

ロディと一緒に建設現場へと向かい出すと、ロディから気になる質問をされる…


「……マサツグちゃん大丈夫なの?…」


「ッ!…へ?…何がですか?…」


「シロちゃん!…多分パニくるわよ?…」


「え?…伝言を残したのに?…」


ロディから質問されたのは心配の言葉であった…当然突如そんな言葉を

掛けられた事にマサツグは若干戸惑った様子で返事をし、ロディはそんな

マサツグの返事を聞いてこの後にやって来るであろう災難を予期した様子で

シロの事を話し出すと、理解出来ないマサツグはロディに理由を尋ねる。

その際先程の伝言の事もロディに話して見せるのだが、ロディはマサツグに

呆れた様子で溜息を吐き出すと、その理由を話し出す。


「…はあぁ~……だって、建設現場の場所教えてないもの?…」


「あっ………」


__………。


「……如何しましょ?…」


ロディが話した心配の理由…それは根本的な事で[明確な場所を伝えて居ない]と

言う事であり!…当然その事を突き付けられたマサツグはハッと気付いた様子で

思わず固まってしまうと、ロディとの間に妙な沈黙を作ってしまう…そして

そんな固まるマサツグを前にロディは戸惑った表情を見せて居ると、マサツグは

呟く様な小さな声で如何しようと言い出し!…そんなマサツグの呟きに対して

更に戸惑った反応を見せて居ると、何やら騒がしい足音が聞こえ出す!…


「いや如何しましょ?…って、言われても如何しようもないでしょ?…

幸いまだ王宮の中だし!…今の内にシロちゃんを見つけて起こすなり!…

お留守番をするなり!…ハッキリして頂戴!…」


「うぅ~ん!!…」


__……ドドドドドドドドド!!!!…


「ッ!…何この足音?…」


ロディは呆れた表情を浮かべながらマサツグの一言にツッコミを入れ!…

選択肢を二つ挙げると、何方か片方を選ぶ様に迫り出す!そのロディの

迫り様にマサツグも答えを考える様に腕を組んでは悩み始めると、同時に

唸り出し!…シロを無理に起こすのは可哀そう!…けどその建設の様子も

見てみたい!…と言った葛藤に苛まれて居ると、通路内に響く勢いで

何かが走って来る足音が聞こえ出す!…当然その足音に気が付いた二人は

何の足音?…と言った様子で困惑するのだが、その直後足音の正体は

近付いて来ると同時にその足音を更に大きくしながら姿を現す!…


__ドドドドドドドドド!!!!…バッ!!…


「「ッ!?…シ、シロ(ちゃん)!?」」×2


__ッ!…シュタン!!…バッ!!…


徐々に聞こえて来る足音の方にマサツグとロディは視線を移し!…

一体何が迫って来て居るのか!?…と確認し出すと、次の瞬間

シロが全力疾走で姿を現す!…あの体でこの響きよう、当然二人は

そのシロの登場に戸惑った反応を見せるのだが、シロもすぐ

気付いた様子で視線をマサツグの方に向けると、方向転換して

マサツグに向かい駆け出す!…


「ッ!!…みぃ~つぅ~けぇ~!!!…」


「ッ!?…ロディさん離れて!!!…」


「え!?…ちょ、ちょっとぉ!?…」


「まぁ~しぃ~たあぁぁぁぁぁ!!!!」


シロは方向転換をする際近くにあった柱に飛び掛かっては大きく踏み込み!…

そして蹴飛ばす様にして推進力を得ると、勢いを殺す事無くマサツグへ

一直線に飛んで行く!…その際マサツグを見つけたとシロは言い出すのだが、

マサツグはシロが飛んで来る事を予期すると巻き込まない様に慌ててロディを

押し飛ばし!…突如押し飛ばされた事でロディは戸惑い!…マサツグとの

距離を開けられた所でシロがマサツグの腹部目掛けて飛んで行くと、事件が

起きる!…


__ドゴスゥ!!!…ザザザザザザザザザ!!!……シュウウゥゥゥ!!…


「ッ!?…え?…えぇ!?…ちょ!…ちょっとぉ!?…」


__………。


勢いの付いたシロの突撃は真っ直ぐマサツグの腹部に突き刺さり!…

それに耐えるようマサツグが踏ん張り受け止めると、そこには

まるで車が急ブレーキを掛けたかの様なブレーキ痕二本が出来上がる!…

当然そんな頭突きを貰っている光景を目にしたロディは慌てて戸惑い!…

マサツグとシロの二人に声を掛け出すが返事は無く!…ただシロは

マサツグに張り付く様に!…マサツグはシロを抱える様にして固まって

しまうと、マサツグのその踏ん張っていた足裏からは若干ながら煙が

立っていた!…そして…


__……スッ…ッ!…


「……シロ?…この際飛んで来る事は許す!…

けどそろそろあの勢いで飛んで来るのは何とかしてくれないか?…

俺の腹筋が今までに体験した事の無い勢いで痙攣してるんだが?…」


「……はいです…シロも…痛いの…です…」


__ッ~~~~!!!…オオオオオォォォォォアアアアアァァァァァ!!!…


ロディがその事故の現場を目撃したまま固まって居ると、徐々にその事故の

当事者である二人が動き出し…先に喋り出したのはマサツグで、シロに勢いを

付けて飛んで来る事を止める様に訴え出すと、シロもマサツグの言葉に

納得したのか返事をしては頭に手を当て出し!…そして二人揃ってその場に

崩れるとこれまた二人揃って悶絶の呻き声を上げ!…その事故を見ていた

ロディはと言うと、その程度で済んで居る事に戸惑いを覚える!…


{ちょ!?…ちょっと待ちなさいな!?…え!?…

あの頭突きに耐える程の腹筋って!…見た所さっきの頭突きは

ドラゴンの尻尾が全力で飛んで来た物に近かったわよ!?…

…確かに全力って言ってもまだ子供クラスの話であって!…

さすがに大人の一撃は耐えれそうに無いけど…ってそうじゃなくて!?…

マサツグちゃん貴方どんな腹筋してるのよ!?…それにシロちゃんも!!…

まるでミサイルの様な容赦の無い一撃!!…もはや見事としか言い様の

ないレベルだったわよ!?…それを自分の主人に向かって!……

…まぁ…それだけ信頼し合ってるって事なのかもしれないけど…

それにしたって?…}


__オオオオオォォォォォアアアアアァァァァァ!!!…


「……貴方達の愛って…命掛け過ぎてない?…殺意高すぎない?…」


ただ目の前で悶えているマサツグとシロを見てはそのマサツグの腹筋!…

シロの頭突きの威力に驚き!…心の中でその両者のぶつかり様について

ツッコみを入れ倒して居ると、色々と混乱し始める!…その際シロの

頭突きをドラゴンの幼体の一撃に例えては威力が有り過ぎとツッコみ!…

それに耐えたマサツグに関しても腹筋の硬さについてツッコみ!…

とにかく互いにトンデモナイ物を見せた事にロディは驚きつつ!…

今だ悶えている二人を見下ろしては、ただ二人に一言…漸く出た様子で

ツッコミの言葉を口にするのであった。……因みにこの後ノーマが

現場にやって来て、シロにあの伝言を伝えたのか…遅かったと言った

様子で反省をするのであった…

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よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

あおアンドあお
ファンタジー
俺には二人の幼馴染がいた。 俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて まるでない、凡愚で普通の人種だった。 そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。 だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が 勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。 自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の 関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に 衝撃な展開が舞い込んできた。 そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

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