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-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章五十二節 トラウマの人形と怪しい地下と二度目の罠-

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突如として天井から降って来た木製人形達にマサツグ達が驚いて居ると、

その木製人形達は徐にブリッジ状態になり始める!…何故そんなポーズを

急に取り出したのかは分からないが、軋む様な音を立てながらカタカタと

動き続け!…先程までのゆっくりとした動きも何処へやら…その呪われ

そうな虚ろな表情をマサツグ達の方に向けると、何やら主な生息地が

キッチンの黒光りする嫌な虫を連想するような機敏な動きを見せる!…

木製人形達の関節は球体関節なのか、頭は百八十度回転しており!…

カタカタと奇妙な笑い声を上げながらマサツグ達の方に襲い掛かり始めると、

その光景にマサツグ達は悲鳴を上げる!…


__ぐりぃ~ん!…ガタッ!!…カタカタカタカタ!!…


「エ…エク○シストぉぉ~~!!!」


「ッ!?…ぎゃああああぁぁぁ!!!

気持ち悪い!!…本当に気持ち悪い!!!」


「ご!…ごしゅじんさまぁ~~~!!!」


音を立てながら迫って来るその不気味さに全員が恐怖し!…身を寄せ合うよう

まるでカップルの様に悲鳴を上げて居ると、シロもマサツグの脚にしがみ

付いては初めて恐怖した様子で悲鳴を上げる!…あの恐れ知らずのシロが

ここまで!?…その様子にマサツグが気付くと思わず驚くのだが、それ以上に

驚いたのはレイヴンの様子で…恐らく同じアンデッド同士、何なら骸骨が

本気で驚き恐怖している姿を見ると、マサツグはそれを見て逆に冷静さを

取り戻し出す。


__ぎゃあああああぁぁぁぁ!!!…


「ッ!?…レ…レイヴン!?……って、言ってる場合じゃ無いよな!?

鑑定アプレェィザァル!!」


__ピピピ!…ヴウン!…

 -----------------------------------------------------------------------

 「マジックドール(人型)」  

 Lv.27

   HP 4450 ATK 280    DEF 200

        MATK   0   MDEF   0


 NO SKILL

 -----------------------------------------------------------------------

「ッ!…案外大した事は無い!!…レイヴン!!

気をしっかり持て!!!」


幸か不幸かレイヴンの絶叫でマサツグが気を取り直すと、慌てた様子で

鑑定アプレェィザァルを発動し!…相手が見掛け倒しで大した事が無いと分かると、

悲鳴を上げるレイヴンにしっかりするよう声を掛ける!…その際シロも

自身の後ろに隠して向かって来る敵に対して刀を構える!…レイヴンも

マサツグの言葉を聞いてハッ!と意識を取り戻すと臨戦態勢を取り直す!…


「ッ!?…あっ!?…あぁ!!…ス、スマン!!

…少しトラウマが!…」


__カタカタカタカタ!!…バッ!!…


「ッ!?…させるかぁ!!!」


やはり色々と思い浮かべてしまうモノが有ったのか、レイヴンはマサツグに

謝ると言い訳を口にし…その間にも最初の一体がマサツグに襲い掛かろうと

して居る所で、マサツグは迎え撃つようまずは逃げ道確保で後方の人形達に

向かい出すと、丁度その人形はマサツグに向かって飛び掛かろうとする!…

それに対してマサツグは瞬時に対応するよう、飛び掛かって来た人形に対して

吠えては潜り込む様に回避し!…すかさず上半身と下半身を分ける様に腰の

部分に刀を滑り込ませると、真っ二つに斬って見せる!…


__スッ…ズバンッ!!!…ゴトッ!!…ボタッ!!…


「…ッ!!…斬っちまえばこっちのモン!…」


__ウゴウゴ…ウゴウゴ……カタカタカタカタ!!…


「ッ!?…う、嘘だろ!?…」


マサツグの刀は人形の上半身と下半身を見事に斬り分け!…マサツグ自身も

確かな手応えが有ったとばかりに吠えて見せると、その上半身と下半身は

床に転がり落ちて藻掻き出す!…まるで殺虫剤を掛けられたあの虫の様に…

これでマサツグもまずは一体!…と言った具合に次の人形に取り掛かろうと

するのだが…斬った筈の人形はまだ動けるのか、上半身だけが動き出しては

腕の力のみで通路内を徘徊し始める!…そんな光景を目にしたマサツグが

有り得ない!と言った様子で慌てて居ると、その真っ二つに斬った人形の

上半身は再度マサツグに襲い掛かる!…


__カタカタカタカタ!!…バッ!!…


「うわああぁぁ!!…気色悪ぃ!!」


「ッ!?…ご主人様!!…エイ!!」


__フォン!!…ズバアァァ!!…ッ!?…


再度飛び掛かる様に人形の上半身がマサツグへ襲い掛かると、マサツグも

その呪われそうな表情が迫って来ている事に恐怖し!…思わず上半身を

迎え打つ事が出来ないで居ると、シロはマサツグのピンチを悟っては空に

爪を立てるようカマイタチを飛ばす!…カマイタチは真っ直ぐにその飛び

掛かる上半身の頭に向かって飛んで行くと、そのまま頭を真っ二つに

切り裂き!…マサツグも突如目の前で人形の頭が縦に真っ二つに裂けた事で

驚いて居ると、今度は完全に倒したのか上半身はいつもの様に消滅し始める!…


__ぱあああぁぁぁ!!…


「ッ!…シロ!!…」


「ご主人様!!…」


「…ナイスだ!!…レイヴン!!

こいつ等の弱点は頭だ!!」


「ッ!!…了解だ!!…弱点さえ分かればこっちのモンだ!!!」


消滅する上半身を目の前に!…シロに助けて貰ったと自覚するとマサツグは

振り返って名前を呼び、シロはシロでマサツグの事を心配した様子で構え

ながら呼び掛けると、マサツグは安心させるよう褒めてはサムズアップを送る!…

そして今の光景を見て悟ったのかマサツグはレイヴンに人形の弱点の場所を

教えると、それを聞いたレイヴンはやる気を見せた様子で了解し!…先程から

驚かされた恨みとばかりに魔法を唱え始めると、人形の頭に狙いを定める!…


「……さっきからよくも人のトラウマを抉りやがって!!…

その頭を炭に変えてやる!!…

《紅蓮の火球よ!!…我が目の前に立ちはだかる障害を焼き払え!!…

ファイアーボール!!!》」


__ゴオオォォ!!…バババシュン!!…チュドオオォォ!!!…


「…ッ!…おぉ!!…荒ぶっておられる!…」


そこからの処理は実に早いモノであった…余程思い出したくも無い

トラウマだったのか、レイヴンは鬼の様に火の玉を宙に生成し

続けるとマシンガンの様に絶え間なく放ち続け!…文字通り人形達を

消し炭にしてしまうと、漸く安堵した様子で一息吐く!…その間

マサツグとシロは被害を被らない様に避けて居たのだが、レイヴンは

本当に消滅するまで人形達に向かい火の玉を放ち続け!…その様子

から洋館に火が移らないか?…マサツグが心配をして、シロはシロで

レイヴンの様子に驚いた反応を見せて居た。こうして罠で現れた

人形達はレイヴンの手によって焼却され、一同は改めて地下に向かって

歩き出すのだが…その際レイヴンは今まで以上に警戒した様子を

見せており、その様子を見たマサツグは心配になるのであった。


__コッ…コッ…コッ…コッ……バッ!…ババッ!…バッ!…


「……レイヴン?…首痛くならないか?…」


「ッ!?…だってあいつ等天井から降って来ただろ!?…

フォ〇ルマスターとリ〇デッドを足して2で割った様な奴ら!!…

もう思い出したくも無い!!…

いっその事この洋館焼いてしまおうぜ!?…」


「…さすが任〇堂…見事に人へトラウマを植え付けてるな?…」


地下へと移動する道中…しきりに天井を見上げながら歩くレイヴンに

マサツグが声を掛けると、レイヴンはビクッと反応し!…そんな様子に

マサツグは呆れつつも疲れないか?と声を掛けると、レイヴンはやはり

天井を気にした様子で返事をする!…この時レイヴンは若干怯えた様子を

見せながら俗に言う「みんなのトラウマ」と呼ばれるモンスター達を

想像しているのか、そのモンスター達の名前を挙げては先程の人形達を

毛嫌いし!…その名前が出て来た事に対してマサツグもさすがと言った

様子で更に呆れた様子を見せて居たが、遂に一同は地下へ向かう扉の

前まで辿り着く。その間モンスター等に襲われる事は無かったのだが、

如何にも薄気味悪く…警戒しつつも扉に拾った鍵を差し込み、ロックを

解除して扉を開け出すと目の前には地下へ続く階段が…更に見通しが

悪いとばかりに闇が広がっていた…


__ガチャッ!!…キイイイィィィ……コオオォォォ…


「…ッ!…うわぁ!…真っ暗だな?…」


「…ここって松明が設置されてる訳でも無いからな?……

明かりの確保は各自って所か?……当時の生活ぶりだと…ランプか…

近くに置いてないし…」


「……この先モンスター出て来ると思う?…」


「…………。」


ただ先行き不安な闇が広がる光景を前に…マサツグとレイヴンは明かりが

無い事を確認すると、先へ進む事に躊躇いを覚える…一寸先は闇!…

まさにこの事と言える位に光りは無く!…近くに灯りになりそうな物は

無いか?と辺りを見渡すが、明かりになりそうな物等何一つとしてない!…

そんな軽い詰み状態からか思わず当時の生活ぶりを想像する等…瞑想し

始め!…更に恐怖心を煽るよう地下から空洞音の様な風の音が聞こえ出すと、

より一層不気味さが押し寄せて来る!…とは言ったモノのここで立ち往生

している訳にも行かないので!…モンスターが出て来ない事を祈りながら!…

壁に手を着き3人が地下へと進み出すと、互いに声を掛け合いながら探索を

開始する。


__コッ…コッ…コッ…コッ……


「……やっぱ何も見えないなぁ?…ちゃんと居るか?…」


「あっ…あぁ…何とか…」


「シロも居ます!」


「…感知サーチを使った限りは敵の影は見えない…って、ん?…」


暗闇の中…壁に手を着きながら3人は地下を進み続け、互いにはぐれないよう

声を掛け合いながら感知サーチを発動すると、闇雲に進み続ける!…素直に一度

引き返し灯りになる様な物を見つけて来たら良かったと後悔しつつ、感知サーチ

発動させ続けていると、マサツグの視界には何やら青いアイコンが見え出し…

その反応にマサツグは疑問の表情を浮かべて反応が有った方に振り返ると、

そこには明かりが灯っているのか…妙に広い空間を見つける。


「ッ!…明かりが…点いてる?…それに友好モブの反応も!…」


「ちょっと待て!!…それってまた罠なんじゃ!?…」


「…確かにそうだが…他に何も見つけられないし…

ってか何も見えてないし……そう言えば痕跡の方は?…」


「……この先を進んで左に曲がった方…痕跡は大分近付いているのか

ハッキリと見えるぞ?…」


マサツグが明かりを見つけた事と更に感知サーチに反応が有った事を伝えると、

その話を聞いたレイヴンは慌てた様子で注意を促し!…罠の可能性も

ある事を含めて一度考えるようマサツグに呼び掛けるのだが、マサツグは

行く気なのかレイヴンの言葉に口籠る。そして何もまだ見つけて居ない等

色々と思う所が有るのか、マサツグは言い訳をする様にその灯りの方へと

行こうとするのだが、ふと思い出した様に痕跡についてレイヴンへ尋ね出し…

レイヴンのその問い掛けに嫌な予感を感じつつ…マサツグへ素直に痕跡の

道について答えると、見えなくとも分かるマサツグの笑みが零れる声が

聞こえて来る。


「…如何やら行き先は同じみたいだぞ?…」


「ッ!?…うわぁ……」


__コッ…コッ…コッ…コッ……ギイイィィ…ッ!?…


そうして行き先は決まったとばかりに!…強制的にその明るい部屋に

向かって歩く事になると、レイヴンは最悪と言った様子で言葉を漏らし!…

一同はレイヴンの痕跡通り…角を左に曲がってその見えて来た明かりに

向かい歩き続けていると、遂にその妙に広い空間へと辿り着く。部屋の

中は松明で照らされては若干明るいと言った程度か、入った際奥の壁に

目を向けると明らかに可笑しいと言った鉄製の檻が多数置かれて有り!…

部屋の中にゲスデウスは居ないのか、それらしき人影が見当たらない事に

マサツグは落胆する…


「……はあぁ~…空振りかぁ?…

それらしい人影は無いんだが?…」


「……痕跡もここで切れてるな?…っと言うより…

何でこんな所で切れてる?…可笑しい!…

痕跡は太くなって行ってるし!…

あの太さだと術者の元まで行ける筈!…

なのに?……やっぱり罠臭い!!…マサツグ、今すぐ戻った方が!…」


「その前に!!…アレは助けた方が良いと思うか?…」


「ッ!…え?……ッ!!…」


空振りに終わった…とマサツグが嘆いて居るのを尻目に、レイヴンは

ここまで来て痕跡が切れて居るのは可笑しいと!…専門的な知識で

考えてはやはり罠なんじゃ!?と一人慌て始め、マサツグに早くこの

部屋を出るよう訴え出すのだが!…マサツグはある事に気付いた様子で

待つようレイヴンに返事をすると、徐に壁際の檻の一つに向かって

指を差す…そんなマサツグの様子にレイヴンは戸惑い続けるのだが、

マサツグが真剣な表情をして居る事に気が付くと、一体何事!?と

言った様子で気になり!…マサツグの指差す方へ振り向き目を凝らすと、

そこには狐耳の獣人が一人…年にして約18~19位の女性が一人監禁

されており、薄着姿で放置されて居る様子が目に映った。


{お…檻の中に女性?…見た感じ怪我等はしていないが?…

いや、確かにこの場所でこうして監禁されて居るのは可笑しいと思うが?…

だがこれって?…助けるべきなのか?…人道的には助けるべきなんだろうが…

如何にも罠臭い!!…とは言え話を聞いた限り痕跡の主はクソ野郎だし…

ここに人を監禁して乱暴を働いても可笑しくは無いが?…}


「…うぅ~ん……」


まだ様子を見る限りそのキツネの女性は酷い目に遭ってはいない様だが、

そのまま放置する訳にも行かず…しかしその光景を目にしたレイヴンは

女性を含めて可笑しい!…罠なのでは?…と考えると、またまたその場で

如何したものか?と悩み続ける!…何もかもが胡散臭くて疑わしく!…

何が正しくて何が間違って居るのか?…先程の人形達の罠も含めて軽い

ゲシュタルト崩壊を起こしてしまって居ると、マサツグは待てなかった

様子で一人!…その檻の方に向かって歩き始める。


__…………ザッ!…


「……ッ!…ちょ!?…」


「とにかく助けた方が良いだろ?…さっさと解放…」


レイヴンが罠かもしれないと考えているこの状況下で、マサツグはただ

助ける事しか頭に無いのか…何も考えていない様子でその部屋へと足を

踏み入れ出すと、それに気付いたレイヴンは途端に慌てた反応を

見せる。そしてその狐耳の女性が捕まっている檻へ向かおうとする

マサツグに対して、腕を伸ばし制止を呼び掛けようとするのだが…

マサツグはレイヴンの心配など御構い無しに、大丈夫と言った様子で

返事をすると無警戒に部屋を横断しようとする。しかし当然ながらそう

簡単に行く訳も無く!…


__………ッ…


「ッ!?…ご主人様、変です!!…

何か!…何か壁の中に居るのです!!!」


「え!?…」


__ゴゴゴゴゴゴゴ!!…


シロは何か異音を聞いたのか耳をピクっと反応させるとハッ!とした

表情を見せ!…その異音を異変を感じ取ったのか慌てた様子でマサツグに

向かって危ないと叫び出すと、そのシロの警告を聞いたマサツグは思わず

足を止める!…しかし既に時お寿司と言った所か今度はマサツグ達の耳でも

ハッキリと聞き取れる位に、何かが崩れ出す様な音が部屋の壁から聞こえ

出すと、そのシロが異変と言った音の正体が姿を現す!…地下室の壁が

崩れ出したかと思えばそこから現れたのは人の形をした巨大な岩で!…

部屋の天井ギリギリの高さで軽く3m位は有ろうか二体も現れると、檻を

護る様に仁王立ちし始める!…


__ゴゴゴゴゴゴ!!……ゴスゥゥゥン!!!…


「ッ!?…デッカ!?…てかこんなもん地下に置いとくなよ!?…」


「チッ!!…やっぱり罠だったじゃねぇかよ!!…

…確かに捕まっている人を放置するのも!…あぁ~!!…

ウダウダ言っても仕方がねぇ!!…鑑定アプレェィザァル!!」


__ピピピ!…ヴウン!…

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 「ストーンゴーレム」  

 Lv.45

   HP 6000 ATK 420    DEF 550

        MATK   0   MDEF 500


 SKILL

 強化外殻 Lv.8 ダブルコア 
 -----------------------------------------------------------------------


突如目の前に現れたゴーレムにマサツグが驚いて居ると、後方では

レイヴンがやはり罠だった!とマサツグの軽率な行動に呆れた反応を

見せる!…だが檻に人が捕まって居るのも事実で、助ける為には結局

こうなったのか?…等と考え出すと、何が正しくて何がいけなかった

のか?と更に長考し…最終的に考える事が面倒臭くなると一人

吹っ切れては安定の初手から入り出す。そうして情報を手に入れた所で

レイヴンは杖を構えると高速詠唱をし出し!…自身の周りに氷の塊…

それも鋭利に尖っている物を出現させると、そのゴーレムに向けて

撃ち放ち始める!…


「《貫ける氷の槍!!…刺し穿ちて敵を凍てつかせん!!…

アイスボルト!!!》」


__パキパキパキパキ!!…バババヒュン!!……ガガガスッ!!…


「…ッ!?…チッ!!…やはり真面に攻撃は入らないか!!…

ヤブ!!…良く聞いてくれ!!…こいつ等は魔力コアで動いている!

黙らせるには魔力コアを破壊しろ!!」


「ちょ!?…えぇ!?…ま、魔力コア!?…

何それ聞いた事無いんだが!?…てかそんなの何処に!?…

えぇ~っと!!……ッ!?…」


レイヴンが放ったアイスボルトは二体居る内の片方に命中し、大きく

怯ませる事に成功するとそのまま後退りをさせる!…だがダメージは

入っていないのかそのゴーレムの体に傷は付いて居らず、レイヴンも

それを見てやはり!…と言った具合に舌打ちをすると、マサツグに

慌てた様子でゴーレムの倒し方を教え始める!依然マサツグの

目の前にはまだ何もされて居ないゴーレムが鎮座しており、向かって

くれば攻撃すると言った構えを見せて居るのだが…マサツグは

レイヴンから説明を聞いた際、まだ聞いた事の無い単語が出て来ると

途端に慌て出し!…とにかくそれっぽい物を慌てた様子で探して居ると、

ふと目の前のゴーレムの頭と胸が薄っすらと紫色に光っているのを

見つける。


「あれか!?…でも二か所あるんだが!?……どっちを攻撃すれば!?…」


__チラッ…チラッ…チラッ…チラッ…


それらしき場所を見つけてマサツグは顔を少しだけ明るくさせる

のだが、直ぐにまた困惑の表情を見せる!…何故ならターゲットは

二か所有り、どっちを攻撃したら良いのか分からないからである!…

普段のマサツグなら両方攻撃して終わらせると言った脳筋プレイを

して見せる所なのだが、今回はそう言う訳にも行かず!…迂闊に

攻撃してゴーレムを暴走させ、後ろに居る狐耳の女性に被害が及ぶ!…

と言ったパターンも考えられると、マサツグは攻撃をしたくとも

出来ない状態に陥っていた!…どっちが本命!?…ただゴーレムの

頭と胸を交互に見ては悩み!…その場から動けないで居ると、

レイヴンはそんなマサツグの様子に気が付いてか更に言葉を付け足す!…


「コアは一つだけとは限らない!!…見た感じその二つだ!!

とにかくコアを見つけたら全てぶっ壊せば良い!!」


「えぇ~!…マジかよ!……って、嘆いてる暇も無いよな!?」


__ジャキッ!!…スウゥ…ヴォン!!…


「覚悟しやがれ!…レジロ〇クもどき!!」


レイヴンはマサツグに単純明快…全部のコアを破壊すれば良いとだけ

叫びながら答えると、先程自身の魔法を当てたゴーレムの相手を

引き受け始める。魔法を受けた方のゴーレムも体勢を立て直すと

レイヴンを敵と認識した様子で動き始めると、ゆっくりレイヴンに

向かい歩き出し…マサツグもレイヴンの言葉を聞いて戸惑うが、迷いを

断ち切った様子で刀から大剣に装備換装スイッチすると、改めて目の前に

立って居るゴーレムへ大剣を構え出す!…その際気になる言葉を口に

するのだが…レイヴンはツッコんでいる暇が無いのか目の前のゴーレムに

集中し、マサツグもツッコミが無い事を気にする事無く大剣を手に

掛け出すと、大きくジャンプしてはまず頭を狙い始める!…


__バッ!!…ババッ!!…ジャコンッ!!…


「取り敢えず!!…まずは一発!!…兜割…」


__ヴォン!!…ガッキィィィーーーンンン!!!……


「ッ!?!?……あっ!…いっ!…うっ!…えっ!…おぉぉぉ!!!…

何かこの感覚久しぶりぃぃぃ!!…めっっっっちゃ痺れるぅぅぅぅ!!!…」


大きくジャンプしたマサツグは威勢そのままにゴーレムの頭へ向かい

兜割りを繰り出す!…のだが、その頭に兜割りが入った瞬間!…

身に覚えのあるジィ~ン!…とした痺れを両腕に感じると、マサツグは

体勢そのままに一気に失速する!…それはまるであのオリハルコンを

掘りに行った時に感じた…岩盤にぶち当たった時の様な!…とにかく

余りの硬さにマサツグは少しの間動けなくなるのだが、効果が無かった

訳では無く!…ゴーレムの頭部が割れて中からコアが露呈すると、

マサツグは「してやったり!…」とほくそ笑む!…


「へ…へへへ!…とにかくこれでコイツを倒す算段は……ッ!?…

ちょ!?…はぁ!?…」


__ゴゴゴゴゴゴ!!…


「まっ!?……おいおい!…冗談キツイぜ…」


ゴーレムはマサツグの一撃が効いたのか大きく後ろに仰け反り、マサツグは

先程の反動でかスタンの異常状態が負荷されると、不格好に着地しては

その場から動けずに居た。だがこれでゴーレムの頭部のコアは剥き出し!…

後は殴るだけとマサツグは勝利を確信し、改めてゴーレムの方に視線を

向けるのだが…そこでトンデモナイ光景を目にするとマサツグの表情は

一気に驚き困惑のモノへと変わり始める!…何故なら…その破壊して

剥き出しにした筈のコアは徐々に修復されて行き、またあの硬い頭部の

中へと隠れようとして居たからである!当然そんな光景を目にした

マサツグは慌てて追撃を放とうと藻掻くのだが、体が言う事を聞かず!…

結局コアはまた頭の中に消えて行き、ゴーレムの仰け反った状態から戻ると、

同じタイミングでマサツグのスタンが解除される。


「……ッ!…だぁ!!……はぁ!…はぁ!…」


__ゴゴゴゴゴ!!…ヴォン!!…ドガアァァン!!…


「ッ!?…」


__バッ!!…ドガアァァン!!…


スタン状態から解放されるとマサツグは息を切らす!…やはり弾かれては

いないものの大きくTPを消耗しており、まだ腕に痺れが残っている様な

感覚を覚えると、大剣を握る手に力が入らない様な違和感を感じる!…

そうこうしている間にゴーレムは腕を振り上げると、マサツグに向かい

突き出し!…マサツグもそれに気付き咄嗟にドッジロールで回避すると、

ゴーレムの攻撃は空振りに終わり事無きを得る。幸いゴーレムの攻撃は

遅く比較的に回避はし易いのだが、しかしこのままではジリ貧に変わりは

無く…こうしている間にもレイヴンの方も徐々に追い込まれ、マサツグも

改めて状況の方を確認し出すと、ある考えに至る。


{クソったれ!!…面倒で仕方がねぇな!!!…

さっきの感覚だとまた攻撃しても同じ結果になる!…

一人じゃ倒せないって事か!?……だとすると!…}


「…シロ!!」


このまま兜割りしてもまた同じ様な事になるだけ…如何しても二の攻撃が

出来ない!…レイヴンはもう一体の方に掛かりっきりで詠唱どころか

攻撃も出来る訳が無く!…一人で倒せないとマサツグが悟ると、自ずと

答えは一つになる。そして肝心のマサツグの答えはと言うと、さすがの

ゴーレムの大きさに圧倒されたのか…ただ二人の邪魔にならないよう

出入口付近で心配そうな表情を浮かべては佇んでおり、マサツグはゴーレムを

睨みながら声を掛けると、突如声を掛けられた事にシロは驚きつつも

返事をする。


「ッ!!…は、はいです!!」


「俺がアイツのドタマかち割ったらすかさずコアに攻撃するんだ!!

一撃で無くても良い!!…まずは地道にぶっ倒すぞ!!!」


「ッ!…了解です!!!」


シロの返事を聞いた所でマサツグはゴーレムを睨み付けたまま!…

ただ協力して戦う様に指示を出すと、それを聞いたシロはハッ!と

した表情を見せて次にやる気の表情で返事をし!…急ぎマサツグの

元まで駆け付けると、臨戦態勢に入り出す!…そしてこの時マサツグは

気付いてはいなかったのだが、これがシロと初めての正真正銘の

共闘で有り!…シロはその事を分かって居るのかいつも以上にやる気を

漲らせると、自身の体に風を纏い出す!…


__バシュン!!…ゴゴゴゴゴ!!…


「ッ!?…シ、シロ?…」


「ッ!!…何ですかご主人様!!…」


「……いや…何でも無い!…行くぞ!!」


「はいです!!!」


シロが駆け付けて来たと思えば隣で風を纏い出し!…その突然の出来事に

マサツグが驚いて居ると、シロはやる気に満ち溢れた表情でマサツグに

返事をする!…その様子を見る限りシロは無自覚!…そんなシロの様子に

マサツグは戸惑うのだが、今は如何でも良い…いやむしろ好都合とばかりに

マサツグが判断すると、シロに声を掛けては大剣を構える!…そのマサツグの

言葉にシロもやる気を見せた返事をしてはゴーレムに対して身構え!…

丁度ゴーレムが拳を振り上げ攻撃の体勢に入ると、その攻撃をチャンスと

ばかりにマサツグ達は動き出す!…


__ゴゴゴゴゴ!!…ヴォン!!…ドガアァァン!!……バッ!!…


「オオオオォォォ!!!…兜割りぃぃぃ!!!」


__ガッキィィィーーーンンン!!!……ッ!!…


「ッ!?…つあぁぁ!…ッ!!…

行けぇぇぇぇ!!…シロおおおぉぉぉ!!!!」


ゴーレムがマサツグに向かい拳を振り下ろすと、マサツグは先程同様

ドッジロールで回避し!…そこからすかさず体勢を立て直すとマサツグは

再び大きくジャンプしては大剣を上段に構え、思いっきりゴーレムの頭に

向かい自身の体重を掛けて斬り掛かる!…この時マサツグも気合を入れる

よう叫んでは力一杯振り下ろし!…またもやゴーレムの頭を砕いて

見せると、スタン状態のまま落下する!…それを見てシロは慌ててマサツグに

駆け寄ろうとするのだが、マサツグはそれを見越してかシロに向かって叫び!…

それを聞いてシロもハッとするとゴーレムの方に向き直して、思いっきり

ゴーレムに向かって駆け出す!…


「ッ!!……ッ!…はああああああぁぁぁぁ!!!!」


__バッ!!…ぴょん!…ぴょん!…スタッ!…


「一撃で!…一撃です!!」


やはりマサツグの一撃は尋常では無いのかゴーレムは再びよろめき!…

頭部のコアを露出させ!…また修復し始めると、よろめいている隙を

狙う様にシロは身軽に跳んでは一気にそのゴーレムの頭部まで辿り着く!

そしてそのコアに向かって両手を伸ばすと、シロは一撃で終わらせる

つもりか掌に力を入れるよう大気を圧縮し出し!…まるでバルデウスの

ゲイルジャッジメント!…とまでは行かないものの真空波を放つと、

シロは一撃でゴーレムの頭部を破壊して見せる!…


__コオオォォ!!!…カッ!!…バシュウウゥゥゥン!!!…


「ッ!?…え!?…あれって!?…」


「ッ!!…出来たのです!!」


まさかの光景を目にしたマサツグはその場で動け無くなるも当然驚き!…

シロはシロで始めてやった技が上手く出来た事に喜んでいると、ゴーレムの

頭部のコアは光りを失ったよう黒く煤けてそのまま消滅する…しかしまだ

倒すまでには至っていないのか、今だ胸部のコアは薄紫に光っており!…

若干動きが鈍くなるも頭部に誰かが居る事を悟ると、急いだ様子で

起き上がり始める!…


__……ゴゴゴゴゴゴゴ!!!…ッ!…トッ…


「ッ!?…本当に面倒だな!?…

やっぱ二個破壊しないと駄目ってか!?」


「ご主人様!!!」


「上出来だシロ!!…もういっちょ行くぞ!!」


「はいです!!!」


ゴーレムが態勢を整え出すとシロはその場から身を翻す様に飛び降り、

マサツグはマサツグでスタン状態が解除されたのか、同じ様に態勢を

整えまだ動くゴーレムに文句を言うと、大剣を構え直しては残る胸部に

狙いを定める!…そうしてマサツグが息を整えて居ると、丁度シロが

マサツグの隣に戻って来て!…マサツグはシロが戻った事に気が付くと

先程の活躍を褒めてもう一度と言い出し、シロもテンションが上がって

来たのか元気に返事をすると、再度身構え始める!そうして今度は

畳み掛けるよう二人同時に動き出すと、マサツグは漸く立ち上がった

ばかりのゴーレムに対して天昇剣を繰り出すと胸部の岩を破壊し!…

シロに攻撃する様に指示を出す!


__ゴゴゴゴゴ!!…バッ!!…ヴォン!!…


「はあああああぁぁぁ!!…天昇剣!!!

…からの!!…兜割りぃ!!!」


__ドガガガガガ!!!…ヴォン!!…バキィィィン!!!…


「ッ!?…もう手の感覚が!!…シロ!!!」


マサツグは一気にゴーレムの足元まで間合いを詰めると、そこから大きく

ジャンプするよう下から斬り上げ!…更にジャンプで上がり切り、

追撃の兜割りを胸部にクリティカルヒットさせると、またもや受け身も

ままならない様子で落下する!…その際一連のマサツグの連撃はまるで

某ファイア〇エム〇レムに出て来る傭兵団・団長の息子の様で、ゴーレムを

相手にしながら様子を見ていたレイヴンも、マサツグの動きを見るなり

驚いた反応を見せて居た。そうしてマサツグは落下して行く中、先程同様に

シロへ叫ぶと追撃を任せ!…その声に反応するようシロも剥き出しになった

胸部のコアに向かって駆け出して行くと、同じ方法で真空波を胸部コアに

向かってお見舞いする!…


__バッ!!…コオオォォ!!!…


「これで!!…終わりです!!!」


__カッ!!…バシュウウゥゥゥン!!!…ドゴォ!!…


シロは一回でコツを掴んだのか、またもや仰け反るゴーレムに対し

一直線に胸部へ向かって行ってはコアまで辿り着き!…真空波の構えを

取って今度は時間を掛けずに止めを刺しに掛かると、そのまま力を込め

過ぎたのかゴーレムの胸部に風穴を開けてしまう!…これでゴーレムの

コアは完全に消滅!…ゴーレムも仰け反ったまま硬直するとそのまま

動かなくなるのだが…如何にも嫌な予感がマサツグの中に生まれ出す…


__……シィ~ン…


「……終わった?…コアは全部破壊した筈…」


仰け反ったまま硬直…その後……そうこの[何も起きない]と

言う点が不気味なのである!…倒されたら本来光になって消えるなり…

瓦礫に変わって消えるなりする筈が何も起きないのである!…そんな

奇妙な静けさ…レイヴンは今だ相手をして居るのだが、とにかく動きが

無い事にマサツグが変だと言った様子で見詰めて居ると、ゴーレムは

最後の力を振り絞る様に突如として動き出す!…


__ゴゴゴゴゴゴ!!…


「ッ!?…嘘だろ!?…まだ動け!?…」


「わわわわ!!…」


「ッ!?…シロ!?」


__くるりん…シュタッ!…


まるで全身を痙攣させるよう徐々に起き上がる始めると、その様子に

マサツグは戸惑い!…マサツグがスタン状態の影響で動けないで

居ると、遂にはゴーレムがその場で直立する!…そしてゴーレムに

くっ付いていたシロもシロとて振り落とされる様に落下すると、

その様子を見てマサツグは慌ててシロに声を掛けるのだが、シロは

何とか受け身を取って見せ!…マサツグはそれを見てホッと胸を撫で

下ろすが、まだ終わってないとばかりにゴーレムは最後の行動に出る!…


__ゴゴゴゴゴゴ!!!…グラアァ!!…


「ッ!?…マジかよ!!…」


「ッ!?…ご主人様!!…」


「ッ!!…俺の底力を舐めるなアアアァァァ!!!」


ゴーレムは最後の意地を見せるようその場で直立すると、両手を上げては

マサツグ達の居る方に向かい倒れ込み始める!…その様子を見てマサツグが

青褪めて居ると、シロもその異変に気が付いた様子で駆け出し!…せめて

マサツグだけでも助けようと考えたのかタックルの体勢を取ると、マサツグは

やられる気はサラサラ無いとばかりに吠えては根性を見せる!…瞬時に刹那を

発動するとまずは強制的にスタン状態を部分的に解除し、両腕は今だスタンの

影響でか動かせないのだが…飛んで来たシロの首根っこを口で銜えるよう…

タイミング良く服に噛み付くと、そのままゴーレムの倒れる範囲外まで逃げて

見せる!…


__ヴウン!!…ガッ!!…バシュン!!!…ドガアアァァァァン!!!…


「ッ~~~~~!!!……ッ?…あれ?…

ッ!?…ご主人様?…」


「……ふぅ~…ふぃぶかぼふぁほはぁ~死ぬかと思ったぁ~!…」


「……ぶら~ん…です……♪」


シロは目を瞑り痛みに耐える様な表情を見せて居るのだが、何も無く…

その事に疑問を感じたのか恐る恐る目を開けて状態を確認すると、自身が

マサツグに銜えられて居る事に気が付く!…そしてその状況に驚くと

シロはマサツグの事を戸惑いながらも呼び出すのだが、マサツグは

マサツグでシロを咥えたまま言葉を口にすると、ただ安堵の表情を

見せており…シロは一向に下ろされないまま無抵抗に銜えられて居ると、

その状況が楽しいのか…何故か大人しく子犬の様にぶら~んと

ぶら下がり続けるのであった。……尚、レイヴンは今だゴーレムとお戯れ中…

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