上 下
138 / 743
-第ニ章-サマーオーシャン連合国-獣人の国編-

-第二章三十四節 ゲスデウス邸潜入・後編と感知のレベルと秘密の部屋-

しおりを挟む



二階の書斎にて屋敷の見取り図を見つけ…その後奥さんの部屋とゲスデウス

本人の部屋を後にし、一階左一番奥の部屋に向かおうとする際…マサツグは

何やら階段下から慌しい様子を耳にする。それは何かに変な事が有ったと

言わんばかりに!…先程まで寝ていた兵士達も階段の踊り場から撤収して

別の兵士達と入れ替わり、右往左往して何かを探して居る様な物音を立て

ていた。


__ガッチャ!!…ガッチャ!!…ガッチャ!!…ガッチャ!!…


{ッ!?…階段下が騒がしい?……ッ!…

やっぱバレたのか?…だとすると面倒!…}


「おい見つかったか!?」


「いや、ここには無い!!

別の所じゃないのか!?」


この騒ぎに発展したのはマサツグがゲスデウスの部屋から出て直ぐの事…

兵士達はやはり何かを探して居るのか二階にまで聞こえる声で慌ただしく

会話をしており、その声からも何やら焦りの様子が伺える!…その焦りも

侵入者が見つかったから慌てて居るのか?…それとも別の何かか?…

とにかく何かを探して居る事には違いない会話が聞こえて来てはマサツグは

近場の影の中に隠れ!…様子を伺っているとその兵士達の捜索の手は

マサツグの隠れて居る二階にまで及ぼうとしていた!…


「…分かった!!

じゃあ、俺は二階を調べる!!」


__コッコッコッコッコッ!!…


{ッ!?…やっべ!?……何か見つかる様なヘマしたかな?…}


その慌しい会話をしていた兵士の内の一人が階段を駆け上がり始めると、

マサツグは慌てる!…幻影コートを着て影の中に隠れて居るので恐らくは

バレる心配は無いのだが…痕跡を残したか?と思い返すと、これからの

捜索に支障が出ると考えてはその階段を駆けて来る兵士に警戒をする!…

そして面倒な事になった!と一人影に隠れて兵士達の様子に目を向け

戸惑いの表情を見せて居ると、階段を上り切った兵士はマサツグの目の前で

足を止め…何やら辺りを見渡し始めては二階中央の穴の周りをグルグルと

回る様に巡回し始める!


__キョロキョロ!…キョロキョロ!…


「……一応…異常無し!…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…


{…ふぅ……バレてはいないみたいだが……さて…

こっから如何するかねぇ?…多分警戒状態に入って居ると考えて?…

ここを抜けたとしても下の巡回も増えているだろうし?…

…その前に階段に居た見張りも復活して居るし?…またあの月光差し込む

階段を降りないといけない!…いかに素早くさっさと下に降りるか?…

まずはそこからだな?…}


兵士はマサツグの存在に気付く事無く巡回に入り始め、マサツグもその

様子を見てホッと安堵するのだが直ぐに次の行動について悩み出すと、

顎に手を当てては椅子の無い考える人の像みたく動かなくなる!…

例によって階段は月明かりで照らし出されてはコートの能力を無に帰し、

兵士も今居る場所から見ただけでも入れ替わるよう見張りが復活し

立って居る!…そうして下手に行動するより今は落ち着きをと…今自分の

置かれてる状況を再確認するよう考えると周りの変化も予測し出し、

自身が如何に見つからないよう行動するか?と考えているとふとある事を

思い出す…それは幻影コートの仕様についてであった。


{……ッ!…そう言えば確かこのコート…消音効果があったよな?…

実際植木の陰に隠れる時も物音一つ立たなかったし…

これって消音するのは足音だけじゃ無いって事だよな?……

だとするなら……}


__チラッ……チラッ…


{……やって見るだけの価値は有るか!…

…あとネムリテングダケの粉末は?……二個か…

残弾心許無いが…行くか!…}


マサツグがふと幻影コートの消音効果について思い出すと、徐に思い付いた

様子で階段の方を振り向いては影の掛かって居る部分が無いかを探し出す。

幸い階段を照らす様になっているガラス張りの壁は全体がそうなって居る訳

では無いので、階段の両端部分が影に隠れ…それも人一人を隠すには十分な

大きさと幅がある事を確認すると、マサツグは途端に自信に満ちた表情を

見せ!…手持ちのネムリテングダケの残弾を確認すると行動に出始める!…

まずは二階に上って来た穴の周りをグルグルと回ている巡回兵士!…兵士に

向かいネムリテングダケの粉末一握りを掴むと、自分には被らない様に

投げ付ける!…


__スッ…ガッ!……バサァ!…


「ッ!?…な!?…何だ!?…急に?……」


__ガッ!…ドサァ……ッ!…ガッ!…


マサツグは影に隠れながら…タイミング良くその巡回兵士に向かい粉末を

投げ付けると、突然の事に兵士は驚き!…戸惑った様子で何が有った!…

と口にするが直ぐに粉末の効果が表れた様子で足元が覚束無くなると、

その場に膝から崩れ倒れる!…その際兵士が手に持っていた槍が手放され

音を立てて落ちそうになるのだが、マサツグが慌てて回収すると周りに

バレる事無く事無きを得て…ここからが本番と言った様子で槍を床に置き

左側の階段の方に移動すると、ギリギリ影の掛かって居る階段…手摺りの

前に立ってその足元を確認するよう覗き込む!…


__…チラッ?……コッ…コッ…コッ…コッ…


{…巡回はそこそこ居る?……とにかく時間が惜しい!…

もうグダグダ考えている暇はねぇな!……い、行くぜ?…

…I,amバードゥ!!……}


__バッ!!…バタバタバタバタ……シュタッ!…


マサツグの足元には誰も立ってはいないのだが、メインホールには巡回する

兵士が最初の時と比べて数名が増員されている!…やはり侵入者が居ると

言った具合に皆が警戒をしており、それを見てマサツグは慌てた表情を見せる

のだが!…悩んでいる暇は無いとばかりに直ぐに覚悟を決めると、手摺りに

足を掛けては一階に飛び降りる!…別に空を飛ぶ訳でも無いのだが自分を

勇気付かせ!…コートをバタバタとはためかせ着地をすると、恐る恐る辺りを

見渡す!…


__……チラッ?…


「……二階に行ったアイツからの報告は!?…」


「いや!…まだ無い!…」


「……嫌な予感がする!…誰か見て来てくれ!!…」


マサツグが飛び降りた際コートは音を立てる様にバサバサと揺れ動いて

居たのだが、やはり消音効果が適応されたのか周りの兵士達はマサツグに

気付く事無く何かを話して居る!…話の内容から察するに先程二階に

上がって来た兵士の事か?…何の音沙汰も無い事に疑問を持っては二階に

警戒をしている様で!…マサツグが気付かれていない事にホッと安堵して

いると、マサツグはそんな兵士達の様子を余所に左側通路へと向かい

始める。しかしここでも問題は発生する!…


__スタタタ!!……ッ!…


「クソ~…面倒事を起こしやがって!!…誰だよ!…

脱走したって!!……看守の責任じゃねぇか!!…

それに何で毎回騒動が起きるとをさせられ

なくちゃなんないんだよ…」


「ンナもん知るかよ!……

ゲス!…ッ!…ゲルテウス様の命令じゃ仕方ないだろ?……

それにまだここの立っているだけで良いなら良いじゃないか…

あんな風に走り回されて何も無かったら草臥れるだけだぞ?…」


「……はあぁ~…それも…そうだな…」


コートの性能に感謝しつつ左の通路に移動するとそこには居なかった筈の

門番が!…門番自身も倉庫の番をさせられて居る事に不満を持っては

零しており、更にその不満から恐らくはマサツグが脱走したのがバレたで

あろう言葉が飛び出して来る!…そんな言葉にマサツグは今になって!?…

と戸惑うのが、それよりも気になったのは兵士の「」と

いう言葉で在り!…明らかに何か隠して居るとマサツグが改めて確信を

持っていると、その門番の相方は愚痴を零す兵士を宥めていた。そうして

自分達は楽な方だと言っては倉庫の前で棒立ちし、そんな様子にマサツグが

逆に不満を持つと心の中で吠える!…


{…いや!…それはこっちのセリフだっつぅの!!……

邪魔なんだよお前らが!!…とは言ったものの如何する?…

ここは暗いから相手の目の前で立ってようがしゃがんでようが

バレないのはバレないが…この先に用が有る!…眠らせたら

色々面倒な事になるし…何か変に事件が起きれば!!…}


至極邪魔でしかない門番二人を目の前にマサツグは屈伸運動を披露するが、

全く気付かず…ただ如何やって目の前の門番を突破しようかと悩み出すと、

ただただ時間だけが過ぎて行く!…脱走がバレた時点である意味時間は

気にしなくても良くなったのだが、面倒な事には変わりなく!…外で事件が

起きないかとマサツグが身勝手な願い事を考えていると、マサツグの願いは

通じたのか!…突如屋敷内にけたたましい勢いで警笛が響き渡る!…


__ピピイイィィィィィイイ!!!!!…


「ッ!?…お、おい!!…今の笛って!?…」


「…何か有ったみたいだな!!………ッ!…

そうだ!…おい、行って見ないか?」


「ッ!?…ハァ!?…」


何が有ったのかは分からないものの!…突如辺りに警戒を呼び掛ける様な

笛の音が響き渡ると、マサツグは当然!…目の前の門番二人も驚いた

反応を見せ始める!…色々思い当たる点が出て来る中…マサツグが辺りに

警戒をしていると、目の前の門番二人はその笛の音に興味を持った様子で、

門番Bが慌てる中…門番Aが見に行こうと言い出すと、その言葉に門番Bは

戸惑い!…マサツグはマサツグで渡りに船と言った様子で早く退くよう

その二人を凝視していると、門番二人はマサツグの目の前で揉め始める!


「な!?…何を言ってんだよ!!

ここが俺らの持ち場で!……」


「そっちこそ何言ってんだよ!?…もし泥棒が来たとして!…

こんな何も無い倉庫に行きたがる奴が居る訳ねぇだろ!!…

埃臭いだけの倉庫なんかより目の前のコレクションルームの方が

余程値打ちモンが転がってんだろ?…」


「そ…それはそうだけどよ……」


門番Aは余程退屈なのか門番Bを唆し!…笛の聞こえた方へ一緒に行こうと

誘い出すのだが、門番Bは真面目なのか持ち場から離れようとはしない!…

そんな様子を目の前で見ているマサツグは必死に身振り手振りで門番Aを

応援し出し!…門番Aもそれに押されるよう反論!…更に言い包め唆そう

とすると、徐々に門番Bが折れそうになり始める!…そんな様子を見て

マサツグはあと少しと言った様子で身振り手振りを激しくするのだが、

やはり門番Bが真面目なのか…門番Aに申し訳なさそうな表情を見せると、

残ると言い出す。


「……うぅ~ん…でも何か嫌な予感がするんだよなぁ?……

…やっぱいいよ…ここは俺が見てるからお前だけでも言って来いよ。」


「ッ!…何だよ!…ノリ悪いなぁ!……しゃ~ない!…

じゃあ俺だけでも見てくっから!!…後は任せたぜぇ~!…」


「あぁ!…」


__コッコッコッコッコッ!!…


門番Bが残ると言った事で門番Aは一緒に行くのを諦め…不服そうにしつつ

門番Bを残すと、そのまま笛の音の正体を確かめる為に足早に駆けて行き!…

残った門番Bはその場で持ち場に着き直し見張りを続けていると、その様子に

マサツグは若干落胆する…それでも一人は減ったかと考えると、徐に中途

半端使用のネムリテングダケの粉末を手に取り出し!…当然狙いは門番Bと

ばかりに念の為静かに近寄り!…残ったお前が悪い!…と言った様子で悪い

笑みを浮かべると、勢い良く残った門番Bにその粉末を嗅がせる!…


__そろ~り…そろ~り……ッ!!…ガッ!!…バフゥ!!…


「ッ!?…な!?…なん……」


__ガクッ…


「おっと!…お疲れさん♪……さぁて?…

このままだと帰って来た職務怠慢さんにバレちゃうので?…

このまま倉庫に来て貰おうか?…」


マサツグは門番Bの肩にゆっくり手を伸ばすと無理やり引き寄せては

自分の方に振り向かせ!…手に持ったネムリテングダケの粉末を勢い

良く顔に押し付けるよう嗅がせると、そのまま門番Bを制圧する!…

やられた方は終始何が起きた!?と言った様子で戸惑ったが

訳の分からないまま眠りに付いた事であろう!…その表情からも何やら

危ない物を嗅がされた様な奇妙な表情をしては、そのまま崩れる様に

眠りこけ出し…マサツグが物音を立てないようその門番Bを受け止め、

先程まで入れなかったそのの中へと一緒に肩を貸すよう

入って行くと、その辺に片付けられて有るクローゼットの中にその

門番Bを寝かせる…


__ギッ…ギッ…ドカァッ!!…zzzz……ギイィィバタン!…


「…ふぅ……案外乱暴にしても起きないもんだな?…

やっぱこの粉は優秀…じゃなくて!……早速探して見ますか?…

…一々壁を一つ一つ調べるのも手間なんで…感知サーチ!…」


__ピィーン!!…ヴウン!!…


「…ッ!…えぇ~っと?…反応は?…あの棚から?…」


倉庫の中はやはり掃除用具や使われていない家具等で溢れており、

埃っぽい…それでもあの見取り図を見た限りは何か有る!…門番の

口振りから何か有ると踏んでは、一々調べるのが面倒と徐に感知サーチ

発動し!…サッサと反応が有った場所を見つけその場所へと歩みを

進めると、マサツグの身長ほど有る裏板の無い古ぼけた木の棚の様な

家具を見つける…そして更に自身の目でその棚に怪しい所は無いかと

調べていると、その棚に隠れるよう不自然にポッコリと一つだけ

浮いている石壁を見つける。


「……何だこれ?…何でこれだけこんな突き出てるんだ?…

……ってか、これっぽいよな?…えい!…」


__ズゴゴゴ…ガコンッ!!…ゴゴゴゴゴゴ!!……ガタァン!!…


マサツグが腕を伸ばしその浮いて居る石壁を奥へと押し込むと、何やら

仕掛けが作動した様な重々しい音が聞こえ!…次にその古ぼけた棚から

埃が若干降り掛かると、その棚と後ろの壁がくっ付いた様に一つの扉と

して開き始める!…重々しい音を立ててはゆっくりと!…その棚が完全に

開き切るとその奥には地下へ続く階段が続いており、次に壁に掛かって

居るランプに火が灯り始めると、その仕掛け扉にマサツグは驚く!…


「ッ!?……なるほどな……だから門番か!…

…にしても不気味だな…見つけたのは見つけたが……

まぁ大抵…何かを隠すなら地下室で秘密の部屋だよな…

お約束的に…」


__コッ…コッ…コッ…コッ…


何故ここに門番を配置していたのか?…その理由も分かった所で、

マサツグがその目の前に現れた地下への階段を恐る恐る下り始めると、

その下り階段の先からは空洞音の様な風の流れる音が聞こえて来る!…

幾ら灯りが点いているとは言え先が見えない程に見通しは悪く、更に

この空洞音とより一層地下の不気味さを物語っているのだが、そんな

風の音にマサツグは怯む事無く警戒しながら階段を降りて行くと、

徐々にまた違う部屋の明かりが見え始める。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「…ッ!…先が明るい?…部屋か?…

確かに地下と言っても然程深いって訳では無さそうだが…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……チラッ?…


徐々に見えて来た部屋の明かりに誘われるよう…マサツグがその部屋の

前までやって来ると、チラッとだけ顔を覗かせては部屋の中の様子を

確認する!…鉢合わせだけは勘弁!…と言った具合に警戒を強めては

中を覗くのだが、その部屋に敵兵は無く…あったのはワインボトルを

保管する棚にワイン樽と、如何やら辿り着いたのは地下のワインセラー

だと言う事を理解する。


「…ワインセラー?……まぁ確かに地下にワインセラーが有っても

可笑しくは無いと言うか寧ろ納得と言うか……

でも、わざわざあんな大層な隠し扉で隠すか?……

なぁ~んか怪しいなぁ……」


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「……うぅ~ん…やっぱ有るのはワインボトルばっか…

相当なコレクターなのか?…それも門番を付ける程に?……

やっぱりなぁんか怪しいなぁ?…」


辿り着いた部屋がワインセラーだと言う事にマサツグは戸惑うのだが、

とにかく中に入ってはワインボトルを保管する棚の間を縫う様に辺りを

探索すると、その余りにも何も無い事から更に戸惑いを覚える!…

幾ら探索した所で見つかるのはワインボトルだけでこれと言った物は無く、

わざわざあんな隠し扉に隠された有った事!…門番を付けて有った事から

ゲスデウスはワインコレクター?…と一度は考えるのだが、何かが可笑しいと

マサツグが直感的に感じると、徐に感知サーチを発動する。


「……一応…感知サーチ!……って、うわあぁ!!…

…え?…何だこれ?…」


__ピィーン!!…ヴウン!!…バババババッ!!…


「え?…えぇ?……俺…ニュータ〇プになった?…」


マサツグが感知サーチを発動するとそのマサツグの見ている光景は突如として

劇的に変わる!…今まで感知サーチで反応が有った場合は全てミニマップに

表示されていたのだが、今度は自身の目でもその反応が見れる様に

なっており!…辺りを見渡すと天井の方では赤い人の形をした影…

恐らくは巡回兵士の様子が目に映り、眠って居る者は灰色に…

仕掛け・ギミックに関しては黄色と、友好モブの場合はやはり青く!…

表示されているのが見て取れた!…分かり易いゲーム感覚で言うと

某白装束のアサシンなゲームの主人公能力と言った所か…ただ分かり易く

「赤=敵」「黄=注意」「青=安全」みたいな感じで、そしてこの時

マサツグは気付いて居ないのだが実はあの隠し扉を見つけた時に感知サーチ

Lvが上がってこの様に見える様になったのであり!…マサツグはただ

気付かず自分が某有名機動戦士の何処ぞのヘタレパイロット宜しく

覚醒したのか!?と勘違いしていると、ふとある物を見つける!…


「……ッ!?…え?…青い影?……何で?……ッ!…

誰かが倒れてる!?……と、とにかく!!…」


マサツグが見つけた物と言うのは…青いアイコンの人影であった!…

自分の今居る場所より更に下!…恐らくはまだ地下が続いているのか

その青いアイコンの人影はその場に倒れており、敵の本拠地につき

敵しか居ないと感じていたマサツグはその反応に疑問を持つ!…明らかに

普通じゃない様子にマサツグは戸惑うのだが、とにかくその倒れて居る

者の元へと行こうとし!…もう一つ…あの上の隠し扉とは別に黄色い

アイコン反応を見つけると、その反応が有った仕掛けの前まで移動する!…


__コッコッコッコッコッ!!…


「……このワイン棚からだな?…

如何にもって感じに他のと比べて古そうだ…

……で?…何でここだけ白ワインのボトル?…

確かに上の段や下の段は疎らに置かれて有るけど…

と言うかここだけこんな統一して更に違うとか…

そっちの方が可笑しいと思うんだが?…」


__ガッ!…グググ!…ミシミシミシミシ!…


マサツグが黄色いアイコン反応が有った場所を確認するとそこには

倉庫の隠し扉同様…年季の入ったワイン棚が設置されて在り、そして

そのワイン棚には当たり前だがワインボトルが保管されて有った。

しかし変な事にそのワイン棚は三段構造になっており、ここまでは

問題無いのだが…二段目だけは赤ワインで統一されている中、真ん中に

保管されて有るワインだけが白と…不自然かつ中途半端に保管されて

有り、残りの一段目と三段目は疎らに赤と白が混在していた…別に

年代毎に当たり年が並んでいるとかでも無さそうなその並びに…

マサツグが疑問を持つと、その真ん中の白ワインだけを引き抜こうと

するのだが、全く抜けず!…寧ろそのワイン棚から不穏な音が聞こえ

始める程に持ち上り始めると、マサツグは慌てて降ろす!…


「ッ!?…おぉ!!…危ない危ない!…

危うく壊しちまうところだった!!……ふむ…

…ッ!…なるほど?…引いても上げても駄目なら!…」


__スッ…コン!…ガチャッ!!…キィィィ…


「押して見な?…って事か……てかまた階段?…

一体何処まで掘ってあんだぁ?…この屋敷?…

終いに沈むぞぉ?…」


何とか早期に気付けたので壊れる事は無かったのだが、やはりその

白ワインに不自然さを感じ…倉庫の隠し扉でのギミックを思い出し、

マサツグが閃いた様子でその白のワインボトルを棚の奥へ押し込むと、

まるで鍵が開いた様に音を立てては棚から埃が舞い散って、これまた

扉の様にワイン棚が開く。そして目の前にはまた同じ様に地下に続く

階段が目の前に現れ!…その光景を目にしては思わず地盤沈下の心配を

していると、また階段を降りようと歩みを進める!…


__……コッ…コッ…コッ…コッ…


「…余程アイツは地下が好きなのかぁ?……ったく!…無駄に長ぇ!…

まぁ、ネズミだったしな……但し、あれが本人なのかは分からんが…」


倉庫の隠し扉と同じ仕掛けなのか、壁に掛かっているランプが扉の

仕掛けに連動して火を灯し出し…本日二度目となる地下へと続く

階段をマサツグがまた下り始めると、その地下への執着振りに

思わず呟く。確かに興味を惹かれる仕掛けではあると思いつつ、

壁に掛かって有るランプを見ながら地下へと歩いて居ると、ふと

地下から血生ぐさい臭いが漂い出す!…


__フオオォォォ!……


「ッ!?…くっさ!!…えぇ!?…この臭いって!?…

…おいおい!…そろそろアウトの気配がして来たぞ!?…」


地下からの臭いにマサツグが思わず鼻を押さえ!…これは!?…と

言った様子で警戒しつつ先へと進むと、先程までは何事も無かった

階段が徐々に赤黒いシミで汚れ出し!…しっかり足元を確認しながら

歩かないと足を滑らせそうなヌルヌル感まで出始める…そんな階段に

臭いと…明らかに普通じゃない事が起きて居る様子にマサツグは

いよいよ真実に辿り着いたか?と思いつつ…足元や先の様子等、

警戒しながら先へ先へと進んで居ると、ワインセラーを見つけた時同様…

部屋の明かりが漏れているのを確認する!…その際部屋から漏れ出る

明かりで部屋の前の様子が見て取れるのだが、そこは一面が赤黒く!…

明らかにヤバい事をしていたのを物語っては否応無しに想像を掻き立て、

いざマサツグがその部屋の前!…あと一歩踏み出せば中の様子が見える

所までやって来ると、マサツグは警戒しながら部屋の中を覗き込む!…


「…物凄く嫌な予感はするが……

感知サーチを使った時は倒れている人の反応しか感じなかったけど…」


__チラッ?……ッ!?…


マサツグが嫌な予感を感じつつその部屋の中を覗き込むとそこは

スプラッターハウス!…別に死体が有るとかそう言う意味では

無いのだが、部屋一面が血で彩られては見るも無残な酷い有様の

血みどろフィーバー!…そしてそこに置かれて有った物はあの

玄関通路に飾ってあり!…絵画にも描かれてあった拷問器具の数々で、

磔台・拘束具・檻…近くの机にはムチや針と言った拷問用具が

置いてあり、その一つ一つは当然の様に被害者の血で汚れては

部屋全体が異臭を放っていた!…


「…何だよこれ?……

さすがにこれはR-18指定モンの光景だぞ……」


__コッ…コッ…ユラ~ッ…


まるで某静丘のホラーゲームに存在する裏世界に居る様な気分に

させてくれる!…そんな味わいたくも無い惨劇にマサツグは驚き

戸惑いながらも部屋に入り、ただ誰もが一目で拷問部屋と分かる

光景に一体何人の人が犠牲になったのだ?と考えていると、部屋の

中にマサツグの影が伸び…何処からとも無く恐怖の混じった声で

悲鳴が聞こえて来る!…


「ッ!?…ひぃッ!…」


「ッ!!…え?…」


その悲鳴にマサツグが反応すると条件反射で身構えてしまうのだが、

その声の聞こえた方を見て見るとそこに居たのは女の子で…

見た感じ17~18歳位だろうか?…鎖に繋がれ逃げられないよう檻に

入れられて、辛うじて局部を隠せる位のボロ切れを身に纏って居る

だけで…その女の子も体をボロボロに傷付けられており、傷も癒えて

いないのか赤黒く腫れ上がって更に所々から出血が見られた!…

そしてマサツグの事を拷問官と勘違いした様子でただ怯えた目をして

見詰めては必死に来るな!と!…声を出すのもやっとなのかただ

必死に訴えるようマサツグに叫ぼうとする!…


「い…イヤ!……イヤ!!…

こ…来ないで!!」


「ッ!?…ボロボロ!!…ちょ!…ちょっと君!?…」


「イヤアアァァァ!!!…近づかないでええぇぇぇぇ!!!…

…もう!…もう痛いのはいやぁ!!…お願い!…たすけて!…

誰か!!…神様あぁぁ!!……」


「……駄ぁ~目だこりゃ…完全に怯え切ってる…

まぁ無理もないよな?…さぇ~て?…如何したもんか?…」


檻の中の女の子は完全にマサツグの事を拷問官と勘違いし切っており、

完全に怯え切って逃げ場の無い檻の中で更に後ろに逃げようと

後退りをする!…しかし幾ら後ろに下がろうとしても壁が有るので、

幾ら必死に足を…手を動かそうがそれ以上後ろに下がれず、更に

痛めつけられた事で思う様に腕も足も動かないのか、何度もズルっと

手や足を滑らせてはバランスを崩す!…それを見てマサツグは慌てて

駆け寄り、とにかく何とか宥めようと近づくのだが…その女の子は

マサツグが近付く事で当然更に悲鳴を上げて怯え出し!…錯乱状態

一歩手前に入るとそんな様子にマサツグは困惑する!…だがこのままは

あんまりだ!…マサツグ自身そう思うので、どうにかして助けようと!…

その場で腕を組んでは悩み出し、解決策を模索するのであった。


そうしてマサツグがゲスデウスの屋敷地下にて奮闘をして居るその頃…

ミスティーの護衛をしているシロはと言うと?…


__ポケェ~~~~~……


「…シ、シロちゃん?…大丈夫?…もう遅いから寝ましょ?…」


「……ご主人様ぁ~…」


「…あっ!…あうぅ!!……」


ただミスティーの護衛をすると言う約束を胸に!…シロは

ミスティーと共に生活をしており、一応何不自由なく生活を

送って居た!…ミスティーの方でもマサツグの釈放に尽力し、

一日でも早くこの誤解を解こうとしているのだが、中々に

難航しており!…シロはシロでミスティーの部屋の壁に

もたれ掛かっては充電が切れた様に…ただマサツグの事を

口にしては無気力になっており、ミスティーはそんなシロの

様子に戸惑いつつ、心配をしていた…


__コンコンッ!…ピクッ!!…


「ッ!!…ミスティーお姉ちゃん!!…」


「だ、大丈夫よ!…ただのメイドさん!…」


「誰ですか!!…ちゃんとお名前を行って下さい!!…」


因みにシロはこんな調子なのだがちゃんとボディーガードをしていた…

来訪者が有ればミスティーより先に返事をしドア対応!…VIPの待遇を

完璧にこなして居た!…過剰なまでに……

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート! ***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!

吸血鬼公爵に嫁いだ私は血を吸われることもなく、もふもふ堪能しながら溺愛されまくってます

リオール
恋愛
吸血鬼公爵に嫁ぐこととなったフィーリアラはとても嬉しかった。 金を食い潰すだけの両親に妹。売り飛ばすような形で自分を嫁に出そうとする家族にウンザリ! おまけに婚約者と妹の裏切りも発覚。こんな連中はこっちから捨ててやる!と家を出たのはいいけれど。 逃げるつもりが逃げれなくて恐る恐る吸血鬼の元へと嫁ぐのだった。 結果、血なんて吸われることもなく、吸血鬼公爵にひたすら愛されて愛されて溺愛されてイチャイチャしちゃって。 いつの間にか実家にざまぁしてました。 そんなイチャラブざまぁコメディ?なお話しです。R15は保険です。 ===== 2020/12月某日 第二部を執筆中でしたが、続きが書けそうにないので、一旦非公開にして第一部で完結と致しました。 楽しみにしていただいてた方、申し訳ありません。 また何かの形で公開出来たらいいのですが…完全に未定です。 お読みいただきありがとうございました。

理不尽陛下と、跳ね返り令嬢

たつみ
恋愛
貴族令嬢ティファナは冴えない外見と「変わり者」扱いで周囲から孤立していた。 そんな彼女に、たった1人、優しくしてくれている幼馴染みとも言える公爵子息。 その彼に、突然、罵倒され、顔を引っ叩かれるはめに! 落胆しながら、その場を去る彼女は、さらなる悲劇に見舞われる。 練習用魔術の失敗に巻き込まれ、見知らぬ土地に飛ばされてしまったのだ! そして、明らかに他国民だとわかる風貌と言葉遣いの男性から言われる。 「貴様のごとき不器量な女子、そうはおらぬ。憐れに思うて、俺が拾うてやる」 ◇◇◇◇◇ 設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 それを踏まえて、お読み頂ければと思います、なにとぞ。 R-Kingdom_3 他サイトでも掲載しています。

傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~

日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】 https://ncode.syosetu.com/n1741iq/ https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199 【小説家になろうで先行公開中】 https://ncode.syosetu.com/n0091ip/ 働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。 地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?

問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

ずれたもん(旧 心絵マシテ)
ファンタジー
この世界はランキングが全てだ! ランキング主義こそが絶対遵守の法であり、完全なる正義!! 上位者には力と富、栄光が与えられ、下位のモノは存在する価値すら認められない。 そんな歪な世界に俺、マイトはランキングが上げられない冒険者として転生召喚された。 未開の船上ダンジョン、そこでともに戦う五人の冒険者は最糞な連中だった。 人を見るなり「帰れ!」とのたまうリーダー格の賢者。 「どうでもいいけど……」が口癖のどうでも良くない女盗賊。 頭でなく、下半身で思考する戦士男。 ことあるごとに「すみません」と謝罪を繰り返すポンコツ、聖女。 謎の老婆こと心のリーダー、ワカモトさん。 そこに俺をふくめた六人で魔王を討伐するはずだった……。 どこをどう間違えたのか? いつしか、俺達パーティーはランキングポイントを稼ぐための冒険者狩りになり果てていた。 俺たちの悪事は露見され、次第にポイントが稼げなくなる中、ついにパーティー内で仲間割れが勃発した。 スキルブックが戦闘に役立たないという理由で即刻、追放される、俺。 粗暴なリーダーの振る舞いに、温厚なワカモトさんがついにブチ切れ、今度はリーダーの賢者までもパーティーを追い出される羽目に!? そこには仲間同士の美しい絆は一切、存在しない。 ただ、俺を中心に冒険者たちと魔王による血で血を洗う大乱闘が始まる。 すべては己が夢の為、呪いをその身に受けながら俺は、真の冒険者としての第一歩を踏み出す。

物語のようにはいかない

わらびもち
恋愛
 転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。  そう、言われる方ではなく『言う』方。  しかも言ってしまってから一年は経過している。  そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。  え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?  いや、そもそも修復可能なの?   発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?  せめて失言『前』に転生していればよかったのに!  自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。  夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。

キーナの魔法

小笠原慎二
ファンタジー
落とし穴騒動。 キーナはふと思った。今ならアレが作れるかもしれない。試しに作ってみた。そしたらすんばらしく良くできてしまった。これは是非出来映えを試してみたい!キーナは思った。見回すと、テルがいた。 「テルー! 早く早く! こっち来てー!」 野原で休憩していたテルディアスが目を覚ますと、キーナが仕切りに呼んでいる。 何事かと思い、 「なんだ? どうした…」 急いでキーナの元へ駆けつけようとしたテルディアスの、足元が崩れて消えた。 そのままテルディアスは、キーナが作った深い落とし穴の底に落ちて行った…。 その穴の縁で、キーナがVサインをしていた。 しばらくして、穴の底から這い出てきたテルディアスに、さんざっぱらお説教を食らったのは、言うまでもない。

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

処理中です...