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-第一章-スプリングフィールド王国編-

-第一章九十節 パレードと行列と偽物-

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ケバブ屋でシロに食事の仕方等を教え…自身達のお腹を満たした所でマサツグ達は

再び服屋を目指して歩き出す。王都は待ちに待った春王祭で大賑わいの様相を

見せており、町行く人達もこの日の為と言った意気込みで着飾っては誰かに

アピールする様に町を歩いている。一体誰にアピールしているのか?…そんな

疑問を覚えつつマサツグは昨日の出来事が嘘の様と言った様子で町を見詰め、

シロを肩車しながら歩いて居ると遂にパレードが始まったのか、王城の方から

パレードの山車が見えて来る。


__わあああぁぁぁぁぁ!!!…パッパラッパ~♪パッパラッパ~♪


「ッ!…パレードが始まったのか?」


背後から突如として歓声が聞こえ出しマサツグが振り返ると、パレードの山車が

マサツグ達の居る表通りを通り始める。その際まるでサンバカーニバルの様な

ステップ付きの花で装飾された山車が通ると、その山車の上では踊り子達が

華麗なステップを刻んで踊って見せ、そんな綺麗な山車が通り始めるとシロも

それを見て感動した様子で目を輝かせて、マサツグに山車の事について

尋ね始める。


「ん?…ッ!…わぁ!…きれいです!……

ご主人様、あのお花が一杯飾られている動く台は何ですか?」


「ん?…あぁ…あれか?…

あれは山車と言ってお祭りの時に走る馬車みたいなものだよ。」


「ほぇ~~……分かりました!!」


「……ッ!…」


生まれて間もないシロにとっては衝撃的光景だったのか好奇心に満ちた表情で

マサツグに質問をし、マサツグもそんなシロの反応を見て若干戸惑うも直ぐに

何でもない様子で山車について説明すると、シロは山車をジッと見詰めて

マサツグに元気良く返事をする。そんな他愛もない親子の様な会話をマサツグは

シロとするのだが、この時マサツグはシロと会話をしたからこそある事に

気が付く…それは生まれたばかりであるのに有る程度の知識が既に学習されて

いると言う事で、簡単な言葉や人や動物…はたまた物を理解していると言う点

であった。その証拠にマサツグが初めて人型のシロと対面した時に

マサツグの事を「ご主人様」と呼んだ事にある。本来生まれた状態で初めて見た

物を親と認識する筈なのだが、初めてマサツグを見て喋った時に出て来た言葉は

「お父さん」や「パパ」と言った親の呼び方でなく何故かご主人様!…

この言動からマサツグを親で無い・自分はマサツグのペットとして認識していると

考えられ、更に初対面の人間に対しご主人様と呼んだ事から、シロは最初から

小学校低学年位の知識が有るとマサツグは考える…これらの事を踏まえて

教える事が少ないと喜ぶ半面他人行儀な所が如何も…何とも言えない気持ちになり、

マサツグが一人困惑して居るとシロはマサツグの事など御構い無しにカーニバルを

楽しんでいる様子で今起きて居る事を逐一報告する!


「ッ!…あっ!…ご主人様!!

山車の上で踊っている人がシロを見て手を振ってくれています!!

えへへ♪……お~い♪」


「ッ!…あぁ、そうだな!」


{…俺がしっかりしないと!…この子は俺が立派に育てる!!!…}


「えへへ♪…えへへへへ♪…」


シロは山車に乗っている踊り子達に手を振って貰った事を喜ぶと踊り子達に

向かって上機嫌で手を振り、そんな純真なシロの姿にマサツグは一人密かに

親代わりになる!と小さく決意すると、頭の上のシロの様子を見詰める。

シロは今だ反応してくれた事が嬉しかったのか踊り子達に向かって必死に

手を振っており、踊り子達もシロの様子に答えるよう激しく踊り出す!

明らかに一部だけ違う熱気に包まれている様子に王都民が若干戸惑うも

乗っかる様に熱狂し…そのシロに反応してくれた山車が徐々に前へと進み

シロの前から姿を消して行く!…


__ゴゴゴゴゴ!!……


「……偉い熱狂的な!…余程シロの事を気に入ってくれたのかね?…」


「ッ!…シロをですか!?…えへへ♪…」


「ははは!……ん?…アレは……列?…それもかなり長蛇……

でも直ぐに前へ移動して行ってるな?…かなり客捌きの良い…

……一体何だ?…」


先程の山車の様子を見てマサツグがシロの事を気に入ったのでは?と話すと、

その言葉にシロは喜んだ様子を見せては照れた表情でマサツグの頭に

じゃれ付く!…そんなシロの反応にマサツグは笑ってシロの頭を撫でようと

するのだが、ここで対面の道にてあるモノを見つけると手を止めては

不思議そうな表情で見詰める!…恐らくはまだ前座の山車が抜けて後続に

他の山車も控えているのだろうが、それよりもその対面の道の向こう…

広場の様に開けた場所で妙な長蛇の列を見つける。開けた場所を軽い

渦巻き状に列を…しかも並ぶ者全員がまだかまだか!?と言った期待に

満ちた表情をしては隊列を乱す事無く整列し、そして直ぐに商品の受け渡しが

出来るのかその列は常に一歩一歩と前に進んで、商品を受け取った者は

ホクホク顔でその場を後にする…そんな様子に興味を持ったマサツグは

道を横断する際の左右の確認をしては何も無い事を確認し、その長蛇の列へと

歩き出す。


__チラッ…チラッ…


「…何も来ていない…よし!…」


__タッタッタッタッタ……


「…あのぉ~…ちょっと良いですか?…」


「…ッ!…え?…如何か…」


マサツグがシロを肩車したまま急いだ様子で道を横断すると、恐らくはその妙な

長蛇の列の最後尾の人に声を掛け出す。最後尾の人は自分が呼ばれた事に

気が付いては若干困惑気味に振り返るとマサツグ達の存在を確認し、その尋ねて

来た理由について不思議そうにしては逆に尋ねようとするのだが、先にマサツグが

理由を話すとその話を聞いて最後尾の人が納得した表情…かつ若干の困惑気味を

見せた様子で反応すると、マサツグの問い掛けに答え始める。


「…この列は一体?…」


「ッ!…あぁ…そう言う事か…アンタは知らないのかい?

毎祭行われる王直属のコックの料理を振舞う屋台を?…」


「…王直属のコックの料理?……ッ?…」


「この列はその屋台の順番待ちの列で春王祭で毎回誰もが

楽しみにしている催しの一つさ!

確か今回は珍しい鮭を使ったホイル焼きとか…

…ってかアンタも並びなよ!!…損はしないって!」


{……珍しい鮭…ホイル焼き……ウッ!…頭が!?…

…とは行かないけど何だろう?…身に覚えが有る様な?……}


最後尾の人がマサツグの問い掛けに対してこの長蛇の列は王直属コックの屋台の

列と話すと、その返答にマサツグが戸惑い何か引っ掛かりを覚える…何故なら

それに関連するクエストをこなした…何なら最初のクエスト達成者として

マサツグの記憶に残って居る筈なのだが、バルデウスショックのせいか忘れて

しまった様で…空らの事が曖昧になった様子で最後尾の人に誘われるままその

長蛇の列に並ばされると、ただひたすらに頭の中でその引っ掛かりと

格闘しながら困惑始める!…別にただ正体を聞けたらそれだけで良かったのだが

何故か並ぶ羽目になり…その間シロはまるで潜水艦の潜望鏡の様に列の様子を

見ては、マサツグに逐一進行度の報告をする。


__ワイワイガヤガヤ!…


「うぅ~ん…ご主人様、とっても長いです!!

…んん~?…でも止まる様子もありません!!」


「あ…あぁ…そうか…」


「はっはっは!!…便利なメガネちゃんだね?…

この場合だと羨ましいよ!…」


賑わいを見せる長蛇の列!…マサツグが列に並ぶと後ろに更に列が出来始め、

その人気具合にマサツグが驚かされつつもシロの報告に対して他の人の迷惑に

なっていないか心配しながら戸惑い返事をして居ると、先程の最後尾だった

人がシロの様子を見ては微笑ましいと言った表情で言葉を掛ける。如何やら

他の人もシロが子供であると言う点…シロも期待して居ると言った点を見て

知ってか、まるで昔の近所のおばちゃんの様に微笑ましいと言った様子で

シロを見守り、シロはシロで今だマサツグに近況報告をしてはその様子に

マサツグが困惑する。


「…もうちょっと!…もうちょっとですよ!!…ご主人様!!」


__ピョインッ!…ピョインッ!…


「お、おう…そうだな…」


{早く解放してください!!…死んでしまいます!!!…}


他の者ならこう思うだろう…そんなに辛いのならさっさと列から抜ければ

良いものを!…だがマサツグはそうはしなかった!…何故ならシロがホイル

焼きに興味を持った様子で興奮し始め…更にここまで並んだのなら耐えて

やろうと言う謎の使命感に駆られたからである!…何故そこでそんな使命感

めいた物を持ったのか?…マサツグ自身分かって居ないものの列は順調に流れ…

待つ事が辛いと言うよりはシロの様子にマサツグが居た堪れない状態で並んでは

「これがパパさんか!…」と世の父親の苦労の一端を感じ、件のホイル焼きを手に

笑顔で用意された机へ持って行く人がチラホラ見え出し、そして匂いも感じられる

位の所まで来るとシロも興奮して来た様子で跳ね出す!…その様子に周りの人達も

同情した様子で苦笑いをして居ると、突如として事件が起きる!…


「……ちょっと!!…いきなり横から割り込んで来るなよ!!」


「ッ!?…喧嘩か?…」


「あぁ~ん?…何、俺達に文句あるの?」


「俺達が昨日退と知っての狼藉か?…おぉ?」


{…ッ!…昨日退?…バルデウスの他に何か居たのか?…}


「な!…関係ないだろ!?…ちゃんと列を守れよ!!!」


先頭の方から若い男性の大声でが突如として聞こえて来る!…声の様子を

聞いた限りでは横入りされた若い男性の声はその横入りして来た者に

対して怒りの声を挙げ、横入りして来た方は全く反省の意思は無いのか

逆に向かって行く様子で若い男性に圧を掛ける!…その際奇妙な台詞を

吐いて居る事を聞いたマサツグが戸惑うも、そんなマサツグの事など

御構い無しにその男性は負けじとその横入りして来た者に対して

戸惑いながらも反抗する!…ただの小さな喧嘩の様に聞こえるのだが

その光景が見えると言った様子でシロがマサツグに報告し始めると、

ある気になる事を口にする。


「……ッ?…ご主人様~?…声の聞こえる方でご主人様…

おっきい人が居るのです?…」


「ッ!…え?…シロと初めて……って、半裸?…」


シロがその喧嘩をして居る場所を見詰めては初めてシロと出会った格好…

つまり半裸の大男が居ると言い出し、その話を聞いたマサツグが戸惑った

様子で反応すると、と言ったシロの言葉自体に疑問を

持ち出す!…そしてその言葉を聞いて確認する様に、シロを落とさないよう

右に傾いてはマサツグがその大男の姿を確認すると、そこには更に喧嘩の

熱がヒートアップした様子で半裸の…シロの言う通り上半身何も着ていない

大男が背中に段平の様な大剣を背負っては、相方らしき男と一緒にその若い

男性に対して更に圧を掛けている様子が見て取れた。その際その大男から

驚きの言葉が飛び出すとマサツグは思わずその場でスッ転びそうになる!…


「おい!!…いい加減にしとけよ!?…この俺様を誰だと思ってやがる!?…

聞いて驚け!!…この俺様こそが!!」


__ズルゥッ!!……ッ!…ヒシッ!!…


「ッ!?……へ?」


「そして、俺が!!…

あんまり俺達を怒らせるなよ!!…お前ら如きが俺達に勝てると思うなよ!!!」


何を言い出すかその段平を背負う上半身裸の大男が自身の事をマサツグと

名乗り出し、その名乗りを聞いたマサツグ(本物)が新〇劇ばりの滑り様を

見せると、シロが咄嗟の出来事に落ちないよう慌ててマサツグ(本物)の頭に

しがみ付く!…そんなシロの様子にマサツグ(本物)が慌てて態勢を整えると

シロに対して身振り手振りで謝って見せ、視線をその奇妙な二人に…

戸惑いの声を漏らして居ると、その大男の隣に居る…若干駆け出し臭のする

もう一人の男が自身の事をモツと名乗り出す!…頑張ったであろう一応の

ラメラーレザー装備一式はその男のサイズに合わないのかパツパツで、

上半身裸男とタメを張る位に無駄にデカい!…パッと見だと完全に山賊にしか

見えず、マサツグ(本物)がその山賊まがいの自分達の偽物に戸惑って居ると、

その自称英雄達は本人が思いっきりドン引く位の口上を突如口にし始める!…


__スラァ!…


「俺がカルト教団の元凶をこの大剣で切り伏せ…」


__ヒュン!…ヒュヒュン!!…チャキッ!!…


「そしてこの俺が魔王の腕を!…

この刺突剣で斬り落としたんだ!!

これ以上邪魔をすると痛い目に合うぞ?…」


__ッ~~~!!!!…


自称マサツグが徐に段平を抜いて見せては反抗して来た若い男性に対して

剣を構え、それに乗っかるよう自称モツも剣を抜いて見せると無駄の

多い動きで剣を構えて見せる!…その際二人共まるで自慢するよう自分達の

活躍を口にしては互いに考えたと言った様子で戦隊モノ宜しく二人で構えを

取り出し、その光景にマサツグ(本物)がもう止めてくれ!…見て居られない!…と

言った様子で嘆いて居ると、決め台詞の様に最後の台詞を口にする!


「そうだ!!…俺達は天下無敵のコンビ!!!…」


「「英雄ブラザーズ!!!」」×2


{勘弁してくれぇ~!!!…何で俺関係無いのにこんな目に遭ってんだ!?…

春うららな気候でお祭りだってのに!!…俺の心はブリザードだぜ!?…

…てかどっちなんだよ!?…コンビなのか!?…兄弟なのか!?…}


「…ッ?…ご主人様?」


自称マサツグとモツが決めポーズで決め台詞を決めてはドヤ顔を見せ、

その様子に周りの者全員があの英雄!?…と言った様子で戸惑って

居ると、その光景にマサツグが両手で顔を隠しては二次被害を受ける。

素人相手に武器を抜く!…コンビなのか兄弟なのかハッキリしない!…

色々ツッコミどころが多い自称英雄ブラザーズに自分関係無いのに

めっちゃ火傷してる!!…と言った様子でマサツグが羞恥に悶え、

まるで寒がるようブルブルと両腕を抱えて寒気を抑えるマサツグの様子に、

シロが上から覗き込むよう不思議そうな表情を見せていると、武器を

取り出した相手に若い男性は分が悪いと感じたのか引き下がり始める…


「う!?……クソ!!……」


「ッ!…ケッ!!…さっさと列を開けろよこのクソ野朗!!……」


{…へへ!!…英雄様様だぜ!!…

ちょっと似た格好をすればこんな感じで直ぐ相手を脅す事が出来る!!…}


{全く!…ボロい儲けだな!?…}


若い男性の他に後続で並ぶ人…その他大勢が迷惑と言った様子でその二人を

見詰めるも、最終的にはその若い男性の方が折れてしまい…渋々列を譲り出すと、

自称マサツグとモツはその列を明け渡した男性に対して暴言を吐きながら

列に入って来る。その際二人はしてやったり!と悪い笑みを浮かべては心の中で

何を思っているのか?…とにかく何か良からぬ顔をしては互いに顔を見合わせ…

この時に漸く二人の顔を確認したマサツグが思った事はこうであった!…


{ッ!…めっちゃオッサンやん!!…何だあの髭面!?…

まるっきりミスターサ〇ンじゃねぇか!?…

え!?…俺傍から見るとあん何なの!?……泣けるぜ…}


「…ッ!…ご主人様?…寒いのですか?」


「え?…あ…あぁ…ある意味では…」


自称マサツグとモツ…ガタイは180cmあるマサツグ(本物)より高い目か、

軽く見ただけでも190cm~2mはある。そして腕や足…体も引き締まっていて

筋肉質で一応鍛えて居ると言った様子が見て取れる…その容子を簡単に

説明するなら某・竜玉集めの漫画に出て来るナ〇パと言った所か…明らかに

出て来る作品を間違えた感が滲み出ていた。そんな自称英雄ブラザーズの事を

確認してはマサツグ(本物)がショックを受けた様子を見せ、自身のキャラメイクが

失敗したかどうかを疑い出す一方でシロはマサツグ(本物)が両腕を抱え震えている

様子を見ては、心配した表情で声を掛けて居た。本当に寒そうに見えたのか…

ただ心配した様子で声を掛けて来たシロに、マサツグ(本物)は何も考えず

戸惑いながらも素直に返事をすると、シロはマサツグ(本物)にしがみ付き

温めようとする。


__ッ!…ギュッ!!…


「え?…ちょ!?…シロさん!?…ぬっくい!!…ぬっくいから!!…

心配してくれてありがとな!?…ついでに言うと前見えない!!…」


シロは返事の言葉を鵜呑みにした様子でマサツグ(本物)の頭に覆い被さると

そのままマサツグ(本物)の頭を温め出し、突如覆い被さって来たシロに

マサツグ(本物)が戸惑って居ると子供体温と言うか何と言うか…そのホコ温い

体温に驚かされる!…そして何よりシロが覆い被さった事で視界が奪われ

マサツグがアタフタし出すのだが、そんな事など知らないと言った様子で更に

その横入りして来た自称英雄ブラザーズの方では事件が起き始める!…


「…ッ!!…そこのあんた達!!…」


「ッ!…あぁ~ん?……ッ!…何だこのガキぃ?」


__ざわ…ざわ…


これは親子連れだろうか?…突如として一人の女の子がその自称英雄ブラザーズの

前に出て来ると上から目線で呼び付け出し、その声に若干苛立つ様に反応しながら

自称英雄ブラザーズが振り返ると、そこにはムスッくれた表情で両腕を腰に当て

威張った様子を見せる女の子の姿が有った。あからさまに反抗の意思を見せる

その女の子に周りの者達は戸惑い…自称英雄ブラザーズも何だこのちびっこは?と

言った様子でその女の子を見下して居ると、その女の子は自称英雄ブラザーズに

対して会心の一言を放つ!


「いい大人が列も守れないの!?…さっさと後ろに並びなさいよ!!

このデクの坊!!!」


__どよっ!?…


「ッ!?…こ、こら!……いいのよ!……」


周りの大人達も唖然とする位に気持ちの良い文句を言い放つと、一気に周りの

空気が不穏な物に変わり始め、言われた自称英雄ブラザーズも突然の事に

驚いてはただその場で固まり、女の子は女の子で相手を指差し不満バリバリの

表情を見せては今だ退こうとしない自称英雄ブラザーズを睨み付ける!…

そんな様子に女の子の母親らしき人物が慌てて出て来てはその女の子に制止を

呼び掛けるのだが、女の子は退く気は無いのか更に自称英雄ブラザーズを

指差しては母親の方を振り向き、ボロクソに罵る!…


「ッ!?…だってこいつ等横入りして来たのよ!!……

英雄だか何だか知らないけど!!…いい大人がこんな子供染みた事するなんて!!…

それも武器をチラ付かせて脅すなんて!!…恥ずかしく無いの!?…」


「ッ!?…こ、このガキ!!…」


__スラァ!…チャキッ!!…


「さっきから言わせておけばぁ~!!!」


女の子の正論が自称英雄ブラザーズを切り刻んでは圧倒的惨め感を演出し、

更に効果音まで聞こえて来そうな鋭さに列に並ぶ周辺の人間全員が驚いて

居ると、煽り耐性が無いのか自称英雄ブラザーズが激昂し始める!…

一度恐喝に使った武器をもう一度抜いて見せては女の子に対して構えて見せ、

怒りに我を忘れた様子で振り被ると、いよいよ不味いと言った状況に

変わり出す!…母親も慌てて女の子の方に飛び出しては自分が身代わりに

なるよう身を挺して庇い!…辺りからはそれに合わせて悲鳴が聞こえ

始めるとさすがのマサツグもやり過ぎ!…と言った様子で動き出す!…


「……シロ?…ありがと…

おかげでかなり温かくなったよ!…寧ろ熱い位だ!…」


「ッ!…ご主人様?…」


「……スイマセン…ちょっとの間この子をお願いできますか?」


「え?…べ、別に良いけど…アンタは何処へ?…」


マサツグはまず頭にくっ付くシロを引き剥がしてはお礼の言葉を言い…

先程まで色々話していた人にシロの面倒を任せ始める!…その際シロは

マサツグの様子に気付いていたのか若干困惑した表情でマサツグの事を

呼んで見せ、押し付け…もとい任せられたその男性も戸惑った様子で

シロを受け取ってはマサツグへ行先について尋ね始める!…男性も

マサツグの表情をチラッと見た様子で若干怯え、シロを抱っこしたまま

マサツグの後ろ姿を見詰めると、マサツグはその問い掛けに返事をしては

真っ直ぐ自称英雄ブラザーズの方に向かって歩き出して行く!…


「いや何…ちょっとばかし…あの自称英雄さん達に挨拶を……」


「ちょ!!…ちょっとアンタ!!…衛兵が来るまで!!…」


__コッ…コッ…コッ…コッ……ギュッ!!…


マサツグからの返事に男性が戸惑い!…慌てた様子で衛兵達の到着を待つよう

声を掛けるが、マサツグは全く足を止めようとはしない!…マサツグ自身…

自身の名前が悪用されている点も含めてこう言った面倒事はラインハルトか

リーナに捲る気満々で居たのだが、時間が無いと言った様子で自称英雄

ブラザーズの方に向かって行き、怒った様子で二人の姿を捉えると拳を固く

握り始める!…そうして近付いて来るマサツグに気付いていない自称英雄

ブラザーズはと言うと、今だ親子に対して剣を振り上げては逆上!…

顔を真っ赤にさせて子供に対し威嚇しては文句を言い、何とも情けない…

惨めな姿を今だに晒していた!…


「もういっぺん言ってみろこのクソガキ!!!

…俺達はこの国を救った英雄様だぞ!?…分かってんのか!!…あぁ!?…」


「ッ!?…う…後ろに…ちゃんと…並べって……言ったのよ!!!…

この……デクの坊!!!」


「ッ!?…このガキ!!…もう許さねぇ!!!…

あの世でたっぷり後悔しやが!…」


__ブォン!!!…


完全に怒りに我を忘れたかが子供相手に武器を振り上げ怒る自称マサツグ…

その様子にさすがの自称モツも不味いと言った表情を見せるのだが止める

気配を見せず、自称マサツグの逆上した言葉に対して女の子が涙目ながらに

更に文句を言い返すと、その言葉で完全にキレたのか自称マサツグが段平を

母親諸共女の子目掛けて振り下ろそうとする!…その光景にその場に居る

全員が悲鳴を上げ始めてその後の悲惨な光景を想像するのだが、それは

突如として違う展開へと転がって驚きの声へと変わり出す!…


「待った!!!」


__ッ!?…スッ…ピシイィ!!…どよ!?…


「……御機嫌よう英雄さん?……おやぁ?…

魔王と戦ったと言う割には何とも…

お粗末な一振りで御座いますねぇ?…

これでよくその魔王とやらに勝てたもんだ?……

それとも魔王が余程大した事が無かったのか?…

……さて?…一振りを止められた所で…どんな気持ちですかぁ~?…」


「ッ!?…な、何だコイツ!!…突然現れたと思えば!!……

…ッ!?…抜けねぇ!!…」


突然のマサツグが開けた場所に響く勢いで叫び出し、その声に驚いた様子で

自称マサツグが攻撃を一瞬躊躇すると、すかさずマサツグがその段平を

白刃取りで取って見せる!…その光景を目を逸らす事無く見ていた民衆は

困惑の声を漏らすと突然のマサツグの出現に驚き、マサツグはマサツグで

自称マサツグの攻撃を大した事は無いと言った様子で馬鹿にし始めると、

全員の前で煽り出す!…その際まるでアメコミの様な表情変化で自称マサツグを

馬鹿にしまくり、自称マサツグにモツと突然の出来事に反応出来ず困惑して

居ると、段平が抜けないと…マサツグの白刃取りから抜け出す事が出来ないと

慌て始める!…たった一瞬でマサツグが姿を現し、自称英雄の攻撃を受け止める!…

そんな出来事にただただ民衆が驚き困惑し…何が起きたのかと戸惑って居ると、

マサツグは庇った親子に対して声を掛け出す。


__ピンッ!!…ッ!?…


「どわああぁぁぁ!?…」


「……ほら!…ここは今からちょっとばかし騒がしくなるから避難しな?…

…それとそこの君?…」


マサツグが何の前触れも無く段平を弾くと、白刃取りから抜け出そうと

していた勢いも相まってか自称マサツグは後ろに転倒し、その突然の

出来事に庇った親子二人は訳が分からないと言った様子でマサツグの事を

見詰める!…一体何が!?…この人は誰!?…そんな視線で女の子と

母親がマサツグの後ろ姿を見詰めては驚き・困惑・戸惑い…先程までの

命の危機が無くなった事に混乱し、何が何だかと言った辺りを見渡し

周りの反応の様子を確かめて居ると、そんな母親にマサツグは逃げろと

だけ簡単に伝える!…ただ自称英雄ブラザーズのみを牽制するよう

マサツグが睨み、その様子に母親がマサツグの言葉に従って逃げようと

するのだが、最後にマサツグは徐に女の子の事を呼ぶとその呼び声に

女の子が反応する。


「ッ!…」


「…良く言えたな!!…カッコ良かったぞ?…」


「ッ!!………ッ~~~!!…う゛ん゛!!…」


「いててて!…ふざけやがって!!!…

ンノ野郎!!…舐めんじゃねぇ!!!」


マサツグが女の子の勇敢な行動に対して後ろ向きにグッとサムズアップして

褒めると、そのマサツグの行動に女の子が遂に我慢の限界と言った様子で

泣き出し!…マサツグがそれを後ろ目で確認すると自身の中で沸々と怒りが

込み上げて来る!…まだシロと変わらない位の女の子を!!…ましてや自分より

圧倒的に年下の子に対して!!!…武器を構えたこいつらは許せない!!!…

そんな怒りを覚えながらも自称英雄ブラザーズに睨みを利かして居ると、

更に逆上した自称マサツグが立ち上っては再度マサツグに対して段平を

振り上げる!…


「もう知らねぇ!!!…くたばっちまえぇぇぇ!!!…」


__ブォン!!…ッ!!…ティィン!!!…


「…はあぁ~……剣を抜く程でも無いな?…

…俺の偽物を名乗るにしても…もう少しあっただろうに…」


「グッ!!…この!!…」


激昂した様子で自称マサツグが段平を振り下ろすも、マサツグは慌てる事無く

それを見切った様子で再度白刃取りに止めて見せる!…その際剣の振り方等も

じっくり観察した様子で相手の力量を量っては呆れ出し…これが自分の偽物か…

と溜息を吐いて見せて居ると、またもや段平を受け止められた事に戸惑っては

自称マサツグが藻掻き出す!…しかし幾ら藻掻いた所でマサツグの白刃取りから

逃げる事が出来ず…遂に我が物顔で振り回していた段平はマサツグの手によって

取られてしまう!…


「ッ!…よっと!…」


__スポンッ!!…


「ッ!?…しま!!…」


「握りが甘ぇんだよなぁ?…」


__フォンッ!!…ガイィン!!………ドサァッ!!…


マサツグが相手の隙を見て段平を引くと自称マサツグの手から段平が

すっぽ抜け…その様子を目にした自称マサツグが慌てて居ると、

マサツグはすっぽ抜けた状態そのままで段平の柄を自称マサツグの頭

目掛けて振り下ろす!…すると見事にその段平の柄は自称マサツグの

頭にクリティカルヒットして気絶、前のめりに倒れて目を回し

ピクピクと痙攣する!…その様子を見てマサツグがやり過ぎた?…と

思わず心配をしている一方で、相方の方の自称モツは自称マサツグが

やられた事に激しく激昂し出すのであった。

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 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお
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俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。 しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。 だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。 その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。 ―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。 いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を 俺に教えてきた。 ―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。 「――――は!?」 俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。 あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。 だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で 有名だった。 恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、 あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。 恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか? 時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。 ―――だが、現実は厳しかった。 幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて 出来ずにいた。 ......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。 ―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。 今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。 ......が、その瞬間、 突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり 引き戻されてしまう。 俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が 立っていた。 その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで こう告げてくる。 ―――ここは天国に近い場所、天界です。 そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。 ―――ようこそ、天界に勇者様。 ...と。 どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る 魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。 んなもん、無理無理と最初は断った。 だが、俺はふと考える。 「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」 そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。 こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。 ―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。 幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に 見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと 帰還するのだった。 ※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス
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よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
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 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する

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俺には二人の幼馴染がいた。 俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて まるでない、凡愚で普通の人種だった。 そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。 だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が 勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。 自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の 関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に 衝撃な展開が舞い込んできた。 そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
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『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

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