36 / 53
変わりゆく日常
6
しおりを挟む
香瑠の店は小さい面積ながら多くの服が掛っていた。
壁沿いに設置されたハンガーラックには、色合いで並べているのか、グラデーションになるように服が並んでいて思わず目が向く。
サイズと色を上手く並べているらしく、狭い店の中はそれ自体が作品のような美しさを持っていた。
中心にはいくつか季節で入ったばかりの新作を置いているらしく、晴樹はそこが目的のようだった。
香瑠は店の再開準備をしながら晴樹に服の説明をしている。
悠人は一人で店の中を見回していた。
途端、ふわりと身体がふらつくような感覚に襲われる。軽くたたらを踏んだがすぐに元に戻る。
「大丈夫?」
晴樹の声がして振り返ると香瑠もこちらを見ていた。
「目眩かな」
「大丈夫? 熱中症とかぁ?」
確かにこの時期は気をつけた方がいい。だが水分についてはコーヒーや紅茶だけでなく、水も飲んでいるつもりだ。
大丈夫だと思うと付け加えると、香りが近づいて来てずいっと顔を近づけた。
鼻頭が当たりそうな程近づいてきて、驚いて身を逸らす。
「え、な、なんです?」
すんっと匂いを嗅ぐようにして、香瑠は眉根を寄せる。
「キミぃ、薬は飲んでるの?」
「え? あー、はい。ずっと、飲んでます」
「ずっと?」
「ええ。毎日飲むタイプのやつで。周期にあわせて量増やすタイプの……」
「帰った方がいいんじゃないかなぁ」
「え?」
香瑠は顔を離すと晴樹の方をみた。
「宮本さんはα?」
「いや、俺はβっすよ」
「ふぅん。でもじゃあ、今の彼、ちょっと匂ってみてよ」
「え?」
「は? なんですか、突然」
思わず悠人は香瑠を睨んだ。
「いいからいいから」
服を一つ手にしていた晴樹を掴んで悠人の前に近づける。
「匂ってみて。それ買うならちょっとサービスしてあげるから」
「え、マジで?」
「おい、晴樹!」
顔を近づける。
多分、それほど近い距離になったことは無いのではないかと思うほど。
香瑠に言われて晴樹は首筋に鼻を近づけた。そっちの方がいいというのはよく分からない。
クラクラする。やはり熱中症だろうか。だが香瑠のこの反応は嫌な予感しかない。
「なんか、イイ匂いがする」
「はーん。やっぱり?」
「なんかこぉ……傍に置いときたくなるような、イイ匂いっていうか」
その言葉に悠人は自分の匂いを嗅いでみるが、自分の匂いは自分ではよく分からない。
香瑠は眉根に皺を刻んだまま、口元に手を当てて考える。
「薬飲んでるって。めっちゃ失礼なのは承知なんだけどぉ、ヒートになったことあるのって、その最初の一回だけなの?」
「そう、ですけど……それからずっと、薬飲んでるんで……」
「はーん。じゃあやっぱもう帰った方が良いよ、キミ」
そう言って香瑠は眉間の皺を伸して笑みを浮かべた。
「それ、もう薬じゃ抑えられないやつだよ」
言われた通り悠人は自分の家に向かっていた。
晴樹は送ろうかと言ったが、その申し出は断った。
まだ今のうちなら大丈夫じゃないかな、という香瑠の言葉に、悠人は賭けることにした。
「結局さぁ、本心ではやっぱり六條さんのこと好きでしょう? だから多分、薬でも抑えられないヒートがきてるんだよ。予兆とかなかったぁ?」
予兆と言われると、冬真に薬を増やした方がいいのでは、と言われたことを思い出す。
だがアレは元々そういう周期だったハズだ。しかし、ちょうどその時期に純一と再会した。
それが不味かったのか。
それでもまだ否定する。
だがそれでも、薬は増やしていたし、いくら好きだと言ってもそんな感情ひとつで、薬の効果さえ薄められるのだろうか。
香瑠は悠人のそんな問いに、店の天井を見上げながら言った。
「結局六條さんも他のΩの匂いにも反応しないでしょぉ? キミもさぁ、他のαの匂いに反応したことって、ある? ってか匂いを感じたことってある?」
記憶を一気に手繰った。
自分がΩだと分かった時から、今日に至るまで。
地元での高校時代、大学での生活、社会人になってからの会社での日々。
嫌な記憶もいくつかあるが、それらにも確かにαという存在はいたはずだ。
だがどこにも、そんな記憶は一切ない。
匂いでαだろうと分かることは、確かにあったが。それだけだ。
なんとなく気になる強い匂いがすると言う程度。それを心地よい、好きだと思うことはなく、単純に香水のような香りのようなものと認識して終わっている。
そして今だ。純一と再会したあの時から、ずっと匂いはしている。
その香りを感じるとホッとした。昔のような懐かしさを感じ、飲み屋でも、ドライブの時も、ずっと香っている。
「多分、ない……です」
「あったとして、それで薬飲んでるなかでヒートの周期早まったりしたことあるぅ? ほら、あれ。ちょっとの怠さとかそういうやつ。薬飲んでるとヒートそんな感じで終わるでしょ?」
香瑠に言われて頷いた。そして答える。
「ないです」
「じゃあやっぱり、キミも不感症だ」
そう言って笑って香瑠は続けた。
「ずっとキミも、六條さんの匂いしか知らないんだよ」
家まで早足で歩いていく。
自分の匂いがどれだけのものか知らない。他のαの人間がどうなるのかもしらない。
そして自分がどうなるのかも。
最初のヒートは記憶にあるが、それでもあんなものの比ではないことはなんとなく分かった。
もう分かった。
自分がずっと欲しかったのはあの匂いだ。
唯一あの時、手を伸した純一だけが欲しかった。ずっと。
だから他の匂いを感じなくなった。
しかし今、自分が本当に欲しいと願う匂いが、純一傍にいる。
それに誘発され、薬で抑え切れないほどになってしまったのだ。
自分の気持ちを認識されたことで、薬は効かなくなったのだ。身体の本能が、欲するものを手に入れるために抑え切れなくなっている。
唇を噛んで、部屋への道のりを小走りに突き進む。
階段を駆け上がり、部屋の前までたどり着くと、慌てて鍵を取り出した。
指先が震えていた。
落としそうになりながら、鍵を挿して回し、ドアを開けると中に入る。
すぐに鍵を閉めた。
息が上がっている。
スマートフォンを取り出すと、すぐに冬真の連絡先を表示して電話を掛ける。
数コールで冬真が出ると、開口一番悠人は言った。
「あの、明日……休みたい、です。すみません」
『え? ああ、いいけど……どうした? 体調不良?』
「その、……はい、そうです」
歯切れの悪い答えを聞いて、冬真は待つように言った。
どこかへ歩いて行く様子だった。
冬真はもう一度呼びかけるように声を掛ける。
『もしもし。悠人、お前もしかして、薬が効かなくなった?』
「なんで……分かるんです、それ」
『あー……声で分かる。どうする? 緊急用の強いやつ、知り合いの医者に頼んで貰うことはできるけど。全然休むのは大丈夫だから』
悠人はその場にしゃがみ込みながら、お願いしますと答えた。
「でも、それどうしよう……晴樹にでも、頼んで持って来て、貰えば……いいですかね」
『アイツなら、大丈夫か……な。でも悠人、お前その原因、分かってんだろ?』
「……なんで、冬真さんもそう言うんです?」
『俺もって、他にも? っていうかまぁ、分かるよ』
「そう、ですか……」
『彼に、連絡は?』
「あ、そうだ。約束……してるから、ダメだって、連絡しないと」
『そーじゃなくて』
ため息と共に冬真は言った。
『まぁ、いいや。とりあえず俺の方からもまた後で連絡するから。お大事に』
電話を切ると、悠人は純一とのトーク画面をタップで呼び出す。体調が悪くなったから、今日の夜は無理だと送る。
画面をスリープさせると、よろよろと立ち上がった。
靴を脱ぎ部屋に上がる。それさえ億劫で、身体が熱い。
喉が渇く。否、違うナニカが渇いている。
渇望している。
口を開いた。粘っこく、唾液が糸を引き、溢れる吐息が熱を含んでいる。
あの時と同じだ。
「くそ」
欲しくて堪らないものを、言葉にする前に悠人は唇を噛んだ。
少しだけ血の味が口の中に広がった。
壁沿いに設置されたハンガーラックには、色合いで並べているのか、グラデーションになるように服が並んでいて思わず目が向く。
サイズと色を上手く並べているらしく、狭い店の中はそれ自体が作品のような美しさを持っていた。
中心にはいくつか季節で入ったばかりの新作を置いているらしく、晴樹はそこが目的のようだった。
香瑠は店の再開準備をしながら晴樹に服の説明をしている。
悠人は一人で店の中を見回していた。
途端、ふわりと身体がふらつくような感覚に襲われる。軽くたたらを踏んだがすぐに元に戻る。
「大丈夫?」
晴樹の声がして振り返ると香瑠もこちらを見ていた。
「目眩かな」
「大丈夫? 熱中症とかぁ?」
確かにこの時期は気をつけた方がいい。だが水分についてはコーヒーや紅茶だけでなく、水も飲んでいるつもりだ。
大丈夫だと思うと付け加えると、香りが近づいて来てずいっと顔を近づけた。
鼻頭が当たりそうな程近づいてきて、驚いて身を逸らす。
「え、な、なんです?」
すんっと匂いを嗅ぐようにして、香瑠は眉根を寄せる。
「キミぃ、薬は飲んでるの?」
「え? あー、はい。ずっと、飲んでます」
「ずっと?」
「ええ。毎日飲むタイプのやつで。周期にあわせて量増やすタイプの……」
「帰った方がいいんじゃないかなぁ」
「え?」
香瑠は顔を離すと晴樹の方をみた。
「宮本さんはα?」
「いや、俺はβっすよ」
「ふぅん。でもじゃあ、今の彼、ちょっと匂ってみてよ」
「え?」
「は? なんですか、突然」
思わず悠人は香瑠を睨んだ。
「いいからいいから」
服を一つ手にしていた晴樹を掴んで悠人の前に近づける。
「匂ってみて。それ買うならちょっとサービスしてあげるから」
「え、マジで?」
「おい、晴樹!」
顔を近づける。
多分、それほど近い距離になったことは無いのではないかと思うほど。
香瑠に言われて晴樹は首筋に鼻を近づけた。そっちの方がいいというのはよく分からない。
クラクラする。やはり熱中症だろうか。だが香瑠のこの反応は嫌な予感しかない。
「なんか、イイ匂いがする」
「はーん。やっぱり?」
「なんかこぉ……傍に置いときたくなるような、イイ匂いっていうか」
その言葉に悠人は自分の匂いを嗅いでみるが、自分の匂いは自分ではよく分からない。
香瑠は眉根に皺を刻んだまま、口元に手を当てて考える。
「薬飲んでるって。めっちゃ失礼なのは承知なんだけどぉ、ヒートになったことあるのって、その最初の一回だけなの?」
「そう、ですけど……それからずっと、薬飲んでるんで……」
「はーん。じゃあやっぱもう帰った方が良いよ、キミ」
そう言って香瑠は眉間の皺を伸して笑みを浮かべた。
「それ、もう薬じゃ抑えられないやつだよ」
言われた通り悠人は自分の家に向かっていた。
晴樹は送ろうかと言ったが、その申し出は断った。
まだ今のうちなら大丈夫じゃないかな、という香瑠の言葉に、悠人は賭けることにした。
「結局さぁ、本心ではやっぱり六條さんのこと好きでしょう? だから多分、薬でも抑えられないヒートがきてるんだよ。予兆とかなかったぁ?」
予兆と言われると、冬真に薬を増やした方がいいのでは、と言われたことを思い出す。
だがアレは元々そういう周期だったハズだ。しかし、ちょうどその時期に純一と再会した。
それが不味かったのか。
それでもまだ否定する。
だがそれでも、薬は増やしていたし、いくら好きだと言ってもそんな感情ひとつで、薬の効果さえ薄められるのだろうか。
香瑠は悠人のそんな問いに、店の天井を見上げながら言った。
「結局六條さんも他のΩの匂いにも反応しないでしょぉ? キミもさぁ、他のαの匂いに反応したことって、ある? ってか匂いを感じたことってある?」
記憶を一気に手繰った。
自分がΩだと分かった時から、今日に至るまで。
地元での高校時代、大学での生活、社会人になってからの会社での日々。
嫌な記憶もいくつかあるが、それらにも確かにαという存在はいたはずだ。
だがどこにも、そんな記憶は一切ない。
匂いでαだろうと分かることは、確かにあったが。それだけだ。
なんとなく気になる強い匂いがすると言う程度。それを心地よい、好きだと思うことはなく、単純に香水のような香りのようなものと認識して終わっている。
そして今だ。純一と再会したあの時から、ずっと匂いはしている。
その香りを感じるとホッとした。昔のような懐かしさを感じ、飲み屋でも、ドライブの時も、ずっと香っている。
「多分、ない……です」
「あったとして、それで薬飲んでるなかでヒートの周期早まったりしたことあるぅ? ほら、あれ。ちょっとの怠さとかそういうやつ。薬飲んでるとヒートそんな感じで終わるでしょ?」
香瑠に言われて頷いた。そして答える。
「ないです」
「じゃあやっぱり、キミも不感症だ」
そう言って笑って香瑠は続けた。
「ずっとキミも、六條さんの匂いしか知らないんだよ」
家まで早足で歩いていく。
自分の匂いがどれだけのものか知らない。他のαの人間がどうなるのかもしらない。
そして自分がどうなるのかも。
最初のヒートは記憶にあるが、それでもあんなものの比ではないことはなんとなく分かった。
もう分かった。
自分がずっと欲しかったのはあの匂いだ。
唯一あの時、手を伸した純一だけが欲しかった。ずっと。
だから他の匂いを感じなくなった。
しかし今、自分が本当に欲しいと願う匂いが、純一傍にいる。
それに誘発され、薬で抑え切れないほどになってしまったのだ。
自分の気持ちを認識されたことで、薬は効かなくなったのだ。身体の本能が、欲するものを手に入れるために抑え切れなくなっている。
唇を噛んで、部屋への道のりを小走りに突き進む。
階段を駆け上がり、部屋の前までたどり着くと、慌てて鍵を取り出した。
指先が震えていた。
落としそうになりながら、鍵を挿して回し、ドアを開けると中に入る。
すぐに鍵を閉めた。
息が上がっている。
スマートフォンを取り出すと、すぐに冬真の連絡先を表示して電話を掛ける。
数コールで冬真が出ると、開口一番悠人は言った。
「あの、明日……休みたい、です。すみません」
『え? ああ、いいけど……どうした? 体調不良?』
「その、……はい、そうです」
歯切れの悪い答えを聞いて、冬真は待つように言った。
どこかへ歩いて行く様子だった。
冬真はもう一度呼びかけるように声を掛ける。
『もしもし。悠人、お前もしかして、薬が効かなくなった?』
「なんで……分かるんです、それ」
『あー……声で分かる。どうする? 緊急用の強いやつ、知り合いの医者に頼んで貰うことはできるけど。全然休むのは大丈夫だから』
悠人はその場にしゃがみ込みながら、お願いしますと答えた。
「でも、それどうしよう……晴樹にでも、頼んで持って来て、貰えば……いいですかね」
『アイツなら、大丈夫か……な。でも悠人、お前その原因、分かってんだろ?』
「……なんで、冬真さんもそう言うんです?」
『俺もって、他にも? っていうかまぁ、分かるよ』
「そう、ですか……」
『彼に、連絡は?』
「あ、そうだ。約束……してるから、ダメだって、連絡しないと」
『そーじゃなくて』
ため息と共に冬真は言った。
『まぁ、いいや。とりあえず俺の方からもまた後で連絡するから。お大事に』
電話を切ると、悠人は純一とのトーク画面をタップで呼び出す。体調が悪くなったから、今日の夜は無理だと送る。
画面をスリープさせると、よろよろと立ち上がった。
靴を脱ぎ部屋に上がる。それさえ億劫で、身体が熱い。
喉が渇く。否、違うナニカが渇いている。
渇望している。
口を開いた。粘っこく、唾液が糸を引き、溢れる吐息が熱を含んでいる。
あの時と同じだ。
「くそ」
欲しくて堪らないものを、言葉にする前に悠人は唇を噛んだ。
少しだけ血の味が口の中に広がった。
1
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
侯爵の愛人だったと誤解された私の結婚は2か月で終わりました
しゃーりん
恋愛
子爵令嬢アリーズは、侯爵家で侍女として働いていたが、そこの主人に抱きしめられているところを夫人に見られて愛人だと誤解され、首になって実家に戻った。
夫を誘惑する女だと社交界に広められてしまい、侍女として働くことも難しくなった時、元雇い主の侯爵が申し訳なかったと嫁ぎ先を紹介してくれる。
しかし、相手は妻が不貞相手と心中し昨年醜聞になった男爵で、アリーズのことを侯爵の愛人だったと信じていたため、初夜は散々。
しかも、夫が愛人にした侍女が妊娠。
離婚を望むアリーズと平民を妻にしたくないために離婚を望まない夫。というお話です。
異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】
ちっき
ファンタジー
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
伸ばしたこの手を掴むのは〜愛されない俺は番の道具〜
にゃーつ
BL
大きなお屋敷の蔵の中。
そこが俺の全て。
聞こえてくる子供の声、楽しそうな家族の音。
そんな音を聞きながら、今日も一日中をこのベッドの上で過ごすんだろう。
11年前、進路の決まっていなかった俺はこの柊家本家の長男である柊結弦さんから縁談の話が来た。由緒正しい家からの縁談に驚いたが、俺が18年を過ごした児童養護施設ひまわり園への寄付の話もあったので高校卒業してすぐに柊さんの家へと足を踏み入れた。
だが実際は縁談なんて話は嘘で、不妊の奥さんの代わりに子どもを産むためにΩである俺が連れてこられたのだった。
逃げないように番契約をされ、3人の子供を産んだ俺は番欠乏で1人で起き上がることもできなくなっていた。そんなある日、見たこともない人が蔵を訪ねてきた。
彼は、柊さんの弟だという。俺をここから救い出したいとそう言ってくれたが俺は・・・・・・
闇を照らす愛
モカ
BL
いつも満たされていなかった。僕の中身は空っぽだ。
与えられていないから、与えることもできなくて。結局いつまで経っても満たされないまま。
どれほど渇望しても手に入らないから、手に入れることを諦めた。
抜け殻のままでも生きていけてしまう。…こんな意味のない人生は、早く終わらないかなぁ。
僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜
エル
BL
(2024.6.19 完結)
両親と離れ一人孤独だった慶太。
容姿もよく社交的で常に人気者だった玲人。
高校で出会った彼等は惹かれあう。
「君と出会えて良かった。」「…そんなわけねぇだろ。」
甘くて苦い、辛く苦しくそれでも幸せだと。
そんな恋物語。
浮気×健気。2人にとっての『ハッピーエンド』を目指してます。
*1ページ当たりの文字数少なめですが毎日更新を心がけています。
再び巡り合う時 ~転生オメガバース~
一ノ瀬麻紀
BL
僕は、些細な喧嘩で事故にあい、恋人を失ってしまった。
後を追うことも許されない中、偶然女の子を助け僕もこの世を去った。
目を覚ますとそこは、ファンタジーの物語に出てくるような部屋だった。
気付いたら僕は、前世の記憶を持ったまま、双子の兄に転生していた。
街で迷子になった僕たちは、とある少年に助けられた。
僕は、初めて会ったのに、初めてではない不思議な感覚に包まれていた。
そこから交流が始まり、前世の恋人に思いを馳せつつも、少年に心惹かれていく自分に戸惑う。
それでも、前世では味わえなかった平和な日々に、幸せを感じていた。
けれど、その幸せは長くは続かなかった。
前世でオメガだった僕は、転生後の世界でも、オメガだと判明した。
そこから、僕の人生は大きく変化していく。
オメガという性に振り回されながらも、前を向いて懸命に人生を歩んでいく。転生後も、再会を信じる僕たちの物語。
✤✤✤
ハピエンです。Rシーンなしの全年齢BLです。
第12回BL大賞 参加作品です。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる