おれは忍者の子孫

メバ

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雑賀重清の目標

第423話:駆け付けた反男と

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「ソリ、遅かったですね」
反男の姿を見たドウが、涙の跡を残した顔で、小さく微笑んだ。

ちなみに、ドウ達もまた、雅に連れられて現在『喫茶 中央公園』へと来ている。

グリは花園と共に、店の奥でつきっきりでゴウの看病をしており、それ以外の面々は、近藤やヒトも含めて全員が、居場所のないような顔で座っていたのである。

「すみません。それで、親父さんの容態は?」
「傷なら、あたしが治療したよ。あとは、アノ男の体力次第だね」
雅が、見せの奥を指しながら反男へと答えていると、

「お前、今までなにしてたんだよぉ!?」
ユキが突然立ち上がり、反男へと詰め寄り、胸ぐらを掴んだ。

「親父が大変な時に、何やってたのかって聞いてるんだよぉ!」
「何って・・・俺言いましたよね?あなた方には協力できないって。悪いことをしようとするから、こんな目に合うんじゃないんですか!?」
反男はそう返しながら、ユキの手を振り払った。

「そりゃ俺だって、親切に力の使い方を教えてくれた親父さんやあなた方には感謝してますよ!?
だからこうやって、連絡を受けてすぐに来たんですからね!
だけど、だからって悪事に手を貸すわけにはいかないんですよ!」
「ユキ、やめなさい」
その時、店の奥から出てきた花園が、ユキへとそう声をかけた。

「そうよ。ゴウ様は、ワタシ達に何も強制したことはない。
今回の事だって、元はと言えばワタシ達が言い出したことじゃない。ソリを責めるのは、お門違いよ」
同じく出てきたグリもまた、そう言ってユキを窘めた。

「カオさん、グリさん・・・・」
そんな2人に、反男が呟いて頭を下げていると、2人の後ろからこの見せの主人であり聡太の師、オウが姿を現した。

「親父殿の容態は?」
ドウからかけられたその言葉に、オウは頷いた。

「もう、大丈夫だ。直に目を覚ますだろう」
オウのその言葉に、ゴウの弟子達4人が安堵に包まれる。

そんなドウ達に、雅は声をかけた。

「あんた達。この子はあたし達に協力すると言っているが、あんた達はどうするつもりだい?」
そう言いながら、雅は反男を指した。

「・・・・・・」
雅の言葉に沈黙するドウ、ユキ、グリ、花園、そして近藤とヒトであったが、それを代表するようにドウが口を開いた。

コウ近藤とヒトは元々、我々が目的のために使っていたにすぎません。
もう我々は彼らに用はありませんから、好きにしてもらって構いません」
「ちっ。俺たちは捨て駒なんだとよ」
ドウの言葉に、近藤は舌打ちしながらヒトへと声をかけていた。

一応ヒトの方がかなりの歳上なのだが、実力的に上である近藤の態度に、ヒトは特に気にせずに、

「ま、そんなことは最初から分かってただろ」
と、諦めたように返していた。

そんな近藤達に目を向けて小さく微笑んだドウは、再び雅へと視線を戻した。

「我々は、やはりまだ、忍者に対する恨みを捨てきれません。今回の件、どちらが勝とうとも我々にとってはどうでも良いことです」
「き、貴様!孫の命をなんだと―――」

「黙りな、六兵衛」
ドウの言葉に怒りをあらわにする六兵衛をひと睨みした雅は、ニヤリと笑みを浮かべた。

「まぁいずれにせよ、あのゴウって男がこちらの手の中にあるんだ。余計な真似はしないだろうが・・・邪魔だけはするんじゃないよ」
そう言った雅は、再び六兵衛へと視線を戻した。

「こいつらのことは、協会に任せるよ。こいつらの力のことを聞いたうえで、捨て忍制度を見直すことだね」
「くっ。わ、分かりました」
睨みをきかせた雅に、六兵衛はただそう小さく答えた。

今回の美影の誘拐については、元はと言えば彼らにも責任が無いというわけではないのだが、それでも美影を攫った張本人がゴウを重体に追い込んだ事実もあり、六兵衛自身も渋々ながら、納得はしているのである。

「雑賀雅殿、ありがとうございます」
ドウがそう言って頭を下げると、グリ、ユキ、そして花園も小さく頭を下げていた。

「その代わりと言ってはなんだが、1つ聞いてもいいかい?」
「えぇ、我々に分かることであれば何なりと」
再び嫌らしい笑みを浮かべる雅に、涙を浮かべたドウが微笑み返した。

「今回のあんた達の襲撃、ウチの当主襲名が分かっていたとしか考えられない。一体、どこで情報を入手したんだい?」
「それについては、申し訳ないのですが我々も知らされてはいないのです。親父殿が独自に入手した情報だとしか・・・」

そう言い淀むドウを見つめた雅は肩をすくめ、

「そうかい。だったら、情報を漏らした本人に聞くしかないね。
一体何で、あんたが情報を漏らしたんだい?」
そう言った雅の瞳は、『喫茶 中央公園』の主人を捉えていた。

「え、お、おじいちゃん?」
雅に見つめられた人物に驚いた聡太は、悲しそうな目で師を見つめ呟いた。

雅に見つめられた甲賀オウは、小さく、震えていた。
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