おれは忍者の子孫

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一息ついて

第311話:重清、ソウ、恒久 対 犬たち?

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「「「うぉーーーーーーーっ!!!!」」」
重清と聡太、そして恒久が、忍者協会を囲む森の中を、叫びながら走っていた。

「おいシゲ!プレッソ達を呼んで、あいつらをどうにかしてくれよっ!!」
恒久はそう言いながら、背後へと目を向けた。

そこには、犬、犬、犬。
何十匹もの犬達が、重清達を追い回していた。

「ダメだぁー!何故かプレッソ達と話が出来ない!!」

重清は恒久に叫び返しながら、走り続けていた。

「ちぃっ!」
重清の言葉を聞いた恒久は、舌打ちしながら手裏剣を具現化させた。

「ツネ!ちょっと待って!」
そのまま手裏剣を犬の群れへ投げつけようとする恒久を、ソウが走りながら止めた。

「なんだよソウ!このままじゃどうしようもないだろ!?」
「で、でも、あの人、具現獣と心を通わせろって・・・」

「じゃぁなにか!?あいつらの気持ちになって、俺もお前らを襲えばいいのかよ!?」
「はぁ!?そんな事言ってないじゃん!なんでそうなるのさ!?」

恒久とソウが言い争いを始めていると、

「もしかしてさぁ」
重清が、犬から逃げながらも呑気な声を出した。

「もしかしてあいつら、本当におれ達と遊びたいだけだったりして」
「なんでそうなんだよっ!!どこをどう見たら、そうなるんだよっ!?」
重清の呑気な声に苛つきながら、恒久はそう叫んで後ろを振り向いた。

「・・・・・・・・・・・・めちゃめちゃ尻尾振ってるな」
恒久は呟いた。

そう。重清達を追っている犬達は皆、めちゃめちゃ尻尾を振りながら楽しそうに重清を追っていたのであった。

「それにあいつら、殺気、っていうか、敵意が全然無いんだよね」
「シゲ、それ本当!?」
ソウは重清に目を向けた。

3人の中で最も殺気に敏感な重清の言葉に、ソウはじっと考え込んだ。
もちろん、犬達から逃げながら。

「ツネ、もしかしたら、シゲの言うことが正しいかも」
「・・・・あぁ、そんな気がしてきた。クソ、俺としたことが、間違ったつっこみをやっちまった!」
伊賀本家とのゴタゴタ以来、つっこみにプライドを持ち始めていた恒久は、悔しそうに呟いていた。

「ツネ、全く危なくない手裏剣、具現化できる?」
「ん?まぁ、出来るけど、何する―――なるほどな」
そう返しながらソウの考えに気付いた恒久は、1枚の刃のない手裏剣を具現化した。

「ほら、これで遊んでろっ!」
そう言うと恒久は、後方に向かってその手裏剣を投げつけた。

犬達に向って飛ぶ手裏剣は、その群れの頭上を通り過ぎていった。

すると群れのうちの数頭が手裏剣に興味を示し、

「キャンキャン!!」
そう吠えながら楽しそうに手裏剣を追い始めた。

まるでフリスビーを追うかの如く。

「ビンゴ、だな」
恒久がそう言ってソウに目を向けると、ソウも恒久へと頷き返した。

「じゃぁ、あいつらと遊ぶってことで決定?」
重清は、得意げに2人へと言った。

「だな。どうする、ソウ?」
「ん~、まとまってても大変だから、別れようか」

「「りょーかい!」」

ソウの言葉に返事をした重清と恒久はその場に立ち止まり、向かってくる犬の群れへと向き直った。

「お前ら!こっちだ!!」
そう言って恒久は、刃のない手裏剣をいくつも具現化すると、

「取ってこいっ!武具分身の術っ!!」
そう言って手裏剣を放り投げた。

武具分身の術により無数に増えた手裏剣を見た犬達の一部が、手裏剣に向って走り出した。

「ほら、ほっちだよ~」
方やソウは、飛翔の術で犬の群れの頭上スレスレを飛び回り、空中にいるソウに飛び掛かる犬達を華麗に避けながら群れの一部を引き連れていった。

「おぉ~。ソウは飛翔の術かぁ」
重清はそう言いながら自身へと向かって来る犬達に目を向けた。

「あれ。おれこのパターンで使える術とかなくない?」
重清がそう呟くのと同時に、犬の群れが重清へと飛び掛かった。

「ぎゃぁーーーーっ!!」

重清の断末魔の叫びが、辺りに響いた。

「って死んでたまるかぁーーーっ!!」

重清は犬の群れから立ち上がりながら叫んだ。
体中、犬に抱きつかれたまま。

(おぉ。チーノ師匠のお陰で、体の力のつかい方もだいぶ上手くなってんじゃんおれ。全然痛くないや)

師匠って呼ばないで!

いつもならそんな声が聞こえてくるところだが、何故か今の重清はチーノ達と会話もできず、具現化すら出来なくなっていた。

「まぁ、それはあとでどうにかするとして。お前ら!たっぷり遊んでやるぞっ!!」
体の力を全開にして、重清は犬達に体でぶつかっていった。


そして、1時間後。


肩で息をしながらその場に倒れ込む、重清達の姿がそこにはあった。
もちろん、犬達にもみくちゃにされながら。

「「「犬の体力、半端ない・・・・・」」」

重清達はそう呟いて、そのまま意識を失ったのであった。
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