おれは忍者の子孫

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一息ついて

第256話:結果発表ーーーーっ!

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こうして日々は過ぎていき、遂に忍ヶ丘第2中学校体育祭当日。

熾烈を極めた応援合戦は、史上まれに見るほどの白熱したものとなった。

そして厳正なる審査の結果、かなりの僅差で、応援合戦は1組である赤組に軍配が上がった。

その陰には、他の1年生とは比べものにならないほどの、恒久を中心とした男子の謎の団結があったとかなかったとか。

とにかく、体育祭は応援合戦を制した赤組が、優勝旗を掲げることとなった。

本来であれば体育祭の詳細を語りたいところではあるが、体育祭だけで1つの映画ができてしまう程に長い話となってしまうことから、ここは涙を飲んでその全てを割愛させていただくこととする。

決して、面倒とかそんな理由ではないのだ。

そんなことよりも今は、体育祭後に忍者部の部室へと集まった忍者部の面々の様子のほうが心配なのである。


というわけで放課後の忍者部の部室を覗いてみることとする。

部室では、忍者部の面々が押し黙ったまま、席へとついていた。

ある者は悲観の色を浮かべ、またある者は決意のこもった目でじっと一点を見つめながら。

そんな重苦しい雰囲気の中、忍者部顧問のノリが口を開いた。

「さぁて、一部を除いて各々から出てきた報告を検証していこうか」
ニヤニヤと笑うノリに、一同はイラッとした目でノリを睨んでいた。

唯一、2中の生徒でないという理由で課題を免除されていた麻耶だけは、そんな何とも言えない重苦しい雰囲気に、ため息をついていた。

「うわうわうわ。すげー雰囲気悪いな。まっ、そんなことは放っておいて、早速、結果発表~~」
ノリは明るい顔で、手を叩きながら叫んだ。

その姿を見た忍者部一同の怒りのボルテージは、もはや最高潮へと達していた。

「えーっと、まずはショウとアカ、それからソウ!お前らからは何の報告も入っていないが、課題放棄ってことでいいんだな?」
若干不機嫌そうな表情を浮かべてショウへと目を向けたノリに、ショウは笑いかけた。

「放棄でお願いしますー」
「いいのか?」

「もちろん。僕には、人の恋を邪魔なんでできないんでー」
ショウは笑顔でノリへと答えた。

「アカも同じか?」
「えぇ。誰の恋だろうと、わたしは絶対に邪魔させない!!」
アカは、ノリを睨みつけながら言い切った。

「あっ、ぼくもそれで」
聡太が、ショウとアカに続くように小さく手を挙げた。

が、ソウだけは若干顔が引きつっていた。
なぜならソウは、ただ長曾我部から情報を得ることができなかっただけなのだから。

特に好きな人もいないソウは、長曾我部を満足させるだけの情報を与えることができなかったのだ。

しかし、ショウとアカがカッコ良さげなことを言ったのを聞いてしまったソウは、正直にそんなことなど言えなかったのであった。

「そうか。罰は後に回すとしよう。それよりも、これからがお楽しみ♪
じゃぁまずは、不思議な報告をしたケンからいこう!」

ショウとアカ、そしてソウから目を逸らしたノリは、ノリノリで1枚の紙を取り出した。

「では、発表します!ケンからの報告で付き合いそうなカップルは―――」
そこまで言うと、どこからともなくドラムロールが聞こえてきた。

どうやらノリは、このためにわざわざ音源を準備していたようだ。

その無駄な準備の良さが、忍者部一同の怒りを逆なでしていた。

そんな中、ドラムロールの終わりと共に、ノリが叫んだ。

「鈴木麻耶と、湯上剣!!」

「え?」
ノリのイラつく発表に、麻耶が声を漏らした。

その時、ケンがスッと立ち上がり、そのまま麻耶の前へと歩み寄った。

「麻耶さん。俺、あなたが好きです。付き合ってください!」
そう言って頭を下げて手を前へと付き出すケンを、麻耶は呆然と見つめていた。

「キャッ!ケンさんやるぅ~!」
先程までのノリへの怒りなどどこ吹く風なアカが、嬉々としてそんな2人を見つめていた。

それ以外の一同も、麻耶同様驚いている中、ノブはニヤリと笑って友を心の中では応援し、シンはというと、

(ケンのやつ、めちゃくちゃカッコいいことすんじゃねーか!!裏切り者とか言ってごめんなさい!!)
心の中で、悔いていた。

部室が静寂に包まれる中、麻耶がその重い口を開いた。

「ごめん」

「・・・・・ま、そうだよな」
麻耶の言葉に、ケンは小さく笑って、そう言った。

「ってことで、ケンは付き合わない2人を報告したから、罰を―――」
「ちょっと待ってよ」
ノリの言葉を、麻耶が遮った。

「誰が、付き合わないなんて言ったのよ?」
「へ?」
ケンが、声を漏らしていた。

「勘違いはしないでね。今は、ケンと付き合う気はないわ。だって、ケンの事よく知らないし。だからまずは、ちゃんと友達から。もしかしたら、私の事知っていくうちに、嫌いになるかもしれないわよ?」
「それはない。絶対に、麻耶さんを惚れさせてみせる」

「言ってくれるわね。でも、さっきの告白は、ポイント高かったわよ」
そう言ってケンへとウインクした麻耶は、ノリの方を向いた。

「先に希望のある2人を報告したんだから、ケンは罰の対象ではないでしょう?」
「麻耶、お前それが目的か?」

「いいえ。そんなことの為に、ケンの想いを踏みにじったりなんて、私はしない。これは、私の本心よ!」
そう言って麻耶がノリを睨みつけると、

「ちっ。じゃぁ、ケンへの罰は無しだ。しかしお前ら、わかってんのか?ここでは、部内恋愛禁止だぞ?」

「だったら、私はこの忍者部を辞めるわ!」
麻耶は、ノリへとそう返したのであった。
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