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雑賀家お家騒動
第212話:告白タ~イム
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「えっと・・・・なんかすみませんでしたっ!!」
重清が、美影に頭を下げた。
「き、気にしないでいいわ!」
美影が、顔を赤くして重清に答えた。
「それよりも雑賀重清、これまでの態度、謝ってあげるわ。まさかアンタが、あの雑賀雅様の孫だったなんて、知らなかったのよ」
美影はそう言って、重清とは別の方向を見ながら重清に謝罪?した。
「あー、いや、まぁ、それはいいんですけど・・・ん?っていうかそういえば、あの勝負、ほぼほぼおれの勝ちでしたよね?
ってことはもう、敬語使わなくてもいい、ですか?」
「べ、別に私は負けたとは思っていないけど!で、でも、好きにすればいいわ!アンタは雑賀雅様の孫なんだから」
美影が顔を真っ赤にして答えていると、
「あのー、ところでみなさん、ここで一体なにを?」
一同を代表した聡太が、美影たちにそう尋ねた。
「ふん!」
美影の隣に座った充希が、不機嫌そうに答えになっていない声を出す。
「えーっと、そのー・・・・」
隠は、答えにくそうに呟いて正面に座る美影に目を向ける。
「さ、雑賀重清に会いに・・・」
美影の蚊の鳴くような声が、忍者部一同の耳に届いた。
「「「はぁーーーーーー!?」」」
茜を除いた男子3人が、声をそろえた。
ソウ「え、それってもしかして、そういうこと!?」
ツネ「いやいやいやいや!ふざけんなよシゲ!!!」
シゲ「いやおれなんにもしてなくない!?」
慌てる男子3人を傍目に、茜だけがニヤニヤと美影を見つめていた。
どうやら茜だけは、忍者部からの帰り間際の美影の視線だけで、美影の想いに気づいたようである。
「はぁ~。姉上がこんなヤツに惚れるなんて、信じられませんよ!」
そう言って充希が立ち上がった。
「こんなヤツより、僕の方が姉上に相応しいはずなんだ!!
と、今までの僕なら言っていただろう!!」
そう言うと充希は、ツカツカと歩き出し、そのまま茜の目の前へとやってきた。
「しかし僕は遂に!姉上の次に素晴らしい女性に出会えた!!甲賀アカ、どうか僕と、付き合ってほしい!」
そう言って頭を下げ、手を突き出す充希に、茜が呆気にとられていると、
「わ、私、こんな気持ち初めてで!でも、どうやらアンタのこと、す、好きになってしまったようだわ!だ、だから、つ、付き合ってあげてもいいわよ!」
そう言って立ち上がった美影は、重清の前へと歩み寄り、弟に習って重清へと手を差し出した。
そんな光景を、聡太と恒久は微妙に苦々しくも微笑ましい表情で見つめ、隠は、美影と充希の恋が実ることを、一心に祈りながら、胸に抱えるゴロウをギュッと抱きしめながら見守っていた。
ちなみにチーノは、わざわざテーブルの下から抜け出し、この面白そうな光景をニヤニヤしながら眺め、プレッソは、そんなことに興味は無いとでも言うように、ただ苦しそうなゴロウを哀れんだ目で見ながらミルクを一心不乱に舐めていた。
そんな中、茜が立ち上がって口を開く。
「ごめんなさい!」
「へい??」
茜の言葉に、充希が変な声を出して顔を上げた。
「な、なんでさ!?僕が、姉上の次に素晴らしいと認めてあげたんだよ!?それなのにどうして―――」
「いやそういうところ!」
茜が、充希の言葉を遮ってつっこんだ。
「なんていうかもう、あなたのことは顔以外受け付けません!だから、ごめんなさい!!」
そう言った茜は、そのまま椅子へと腰を下ろした。
「そ、そんな、この僕が・・・・」
そう言って床へとへたり込んだ充希を尻目に、美影から差し出された手を見つめていた重清は、
「あの、質問、いい?」
そう言って美影に目を向ける。
「な、何よ?」
「さっきからばあちゃんの名前出てきてるけど、どういうこと?」
「い、今そこなの?まぁいいわ。私は、雑賀雅様を尊敬しているのよ!だからその孫のアンタの事も、認めてあげているのよ!」
「あー、なるほどー。ちなみにだけどさ、もしおれがばあちゃんの孫じゃなかったら、おれのことどう思った??」
「それは、『私を汚したクソ末席』って」
「いや汚してはないし!っていうか、やっぱ無理!!一瞬、『あ、おれこんな可愛い子から告白されちった!ひゃっほー』ってなったけど!
今の聞いたらやっぱ無理!!顔可愛くても、性格最悪だよこの人!!」
「「「はぁーーーーー!?」」」
重清の言葉に、充希と、そして何故か恒久が声を上げた。
充希「テメーこの野郎!!姉上をフるなんて、頭沸いてんのか!?あぁ、やっぱり姉上には、僕しかいないんだ!!」
恒久「おいシゲ!!なんでフってんだよ!!ふざけんなよ!俺なんて告白されたこともねーんだぞ!!爆ぜろ!!」
美影「今、可愛いって言われた・・・」
なんかもう、現場は混乱を極めていた。そしてどうやら、美影は重清の話をあまり聞いていなかったようである。
ちなみに『喫茶 中央公園』のカウンターでは、あけみ姉さんが余りの騒がしさにイライラしつつ、しかし雑賀本家に注意できないというジレンマから、洗っているカップをいくつも割っていた。
もうあけみ姉さんの足元には、割れたカップが山積みになっていたのであった。
重清が、美影に頭を下げた。
「き、気にしないでいいわ!」
美影が、顔を赤くして重清に答えた。
「それよりも雑賀重清、これまでの態度、謝ってあげるわ。まさかアンタが、あの雑賀雅様の孫だったなんて、知らなかったのよ」
美影はそう言って、重清とは別の方向を見ながら重清に謝罪?した。
「あー、いや、まぁ、それはいいんですけど・・・ん?っていうかそういえば、あの勝負、ほぼほぼおれの勝ちでしたよね?
ってことはもう、敬語使わなくてもいい、ですか?」
「べ、別に私は負けたとは思っていないけど!で、でも、好きにすればいいわ!アンタは雑賀雅様の孫なんだから」
美影が顔を真っ赤にして答えていると、
「あのー、ところでみなさん、ここで一体なにを?」
一同を代表した聡太が、美影たちにそう尋ねた。
「ふん!」
美影の隣に座った充希が、不機嫌そうに答えになっていない声を出す。
「えーっと、そのー・・・・」
隠は、答えにくそうに呟いて正面に座る美影に目を向ける。
「さ、雑賀重清に会いに・・・」
美影の蚊の鳴くような声が、忍者部一同の耳に届いた。
「「「はぁーーーーーー!?」」」
茜を除いた男子3人が、声をそろえた。
ソウ「え、それってもしかして、そういうこと!?」
ツネ「いやいやいやいや!ふざけんなよシゲ!!!」
シゲ「いやおれなんにもしてなくない!?」
慌てる男子3人を傍目に、茜だけがニヤニヤと美影を見つめていた。
どうやら茜だけは、忍者部からの帰り間際の美影の視線だけで、美影の想いに気づいたようである。
「はぁ~。姉上がこんなヤツに惚れるなんて、信じられませんよ!」
そう言って充希が立ち上がった。
「こんなヤツより、僕の方が姉上に相応しいはずなんだ!!
と、今までの僕なら言っていただろう!!」
そう言うと充希は、ツカツカと歩き出し、そのまま茜の目の前へとやってきた。
「しかし僕は遂に!姉上の次に素晴らしい女性に出会えた!!甲賀アカ、どうか僕と、付き合ってほしい!」
そう言って頭を下げ、手を突き出す充希に、茜が呆気にとられていると、
「わ、私、こんな気持ち初めてで!でも、どうやらアンタのこと、す、好きになってしまったようだわ!だ、だから、つ、付き合ってあげてもいいわよ!」
そう言って立ち上がった美影は、重清の前へと歩み寄り、弟に習って重清へと手を差し出した。
そんな光景を、聡太と恒久は微妙に苦々しくも微笑ましい表情で見つめ、隠は、美影と充希の恋が実ることを、一心に祈りながら、胸に抱えるゴロウをギュッと抱きしめながら見守っていた。
ちなみにチーノは、わざわざテーブルの下から抜け出し、この面白そうな光景をニヤニヤしながら眺め、プレッソは、そんなことに興味は無いとでも言うように、ただ苦しそうなゴロウを哀れんだ目で見ながらミルクを一心不乱に舐めていた。
そんな中、茜が立ち上がって口を開く。
「ごめんなさい!」
「へい??」
茜の言葉に、充希が変な声を出して顔を上げた。
「な、なんでさ!?僕が、姉上の次に素晴らしいと認めてあげたんだよ!?それなのにどうして―――」
「いやそういうところ!」
茜が、充希の言葉を遮ってつっこんだ。
「なんていうかもう、あなたのことは顔以外受け付けません!だから、ごめんなさい!!」
そう言った茜は、そのまま椅子へと腰を下ろした。
「そ、そんな、この僕が・・・・」
そう言って床へとへたり込んだ充希を尻目に、美影から差し出された手を見つめていた重清は、
「あの、質問、いい?」
そう言って美影に目を向ける。
「な、何よ?」
「さっきからばあちゃんの名前出てきてるけど、どういうこと?」
「い、今そこなの?まぁいいわ。私は、雑賀雅様を尊敬しているのよ!だからその孫のアンタの事も、認めてあげているのよ!」
「あー、なるほどー。ちなみにだけどさ、もしおれがばあちゃんの孫じゃなかったら、おれのことどう思った??」
「それは、『私を汚したクソ末席』って」
「いや汚してはないし!っていうか、やっぱ無理!!一瞬、『あ、おれこんな可愛い子から告白されちった!ひゃっほー』ってなったけど!
今の聞いたらやっぱ無理!!顔可愛くても、性格最悪だよこの人!!」
「「「はぁーーーーー!?」」」
重清の言葉に、充希と、そして何故か恒久が声を上げた。
充希「テメーこの野郎!!姉上をフるなんて、頭沸いてんのか!?あぁ、やっぱり姉上には、僕しかいないんだ!!」
恒久「おいシゲ!!なんでフってんだよ!!ふざけんなよ!俺なんて告白されたこともねーんだぞ!!爆ぜろ!!」
美影「今、可愛いって言われた・・・」
なんかもう、現場は混乱を極めていた。そしてどうやら、美影は重清の話をあまり聞いていなかったようである。
ちなみに『喫茶 中央公園』のカウンターでは、あけみ姉さんが余りの騒がしさにイライラしつつ、しかし雑賀本家に注意できないというジレンマから、洗っているカップをいくつも割っていた。
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