220 / 519
雑賀家お家騒動
第187話:雑賀家面倒くさい
しおりを挟む
放課後、先に社会科研究部の部室に集まった一同は、先輩たちを待つ間、転校生の話をしていた。
「やっぱり、あの雑賀充希ってイケメン、雑賀家の人なんだ」
茜のこの言葉に、重清と聡太は思った。
((あ、やっぱ弟イケメンなんだ))
と。どうやら、重清達のクラスメイト達の予想は正しかったようである。
「くそっ!!」
その時、恒久が悔しそうな声をあげた。
「ツネ、どうしたのさ?」
重清が声をかけると、恒久は部屋の外から聞こえてくる司書教諭島田さんの咳払いに気を使いながら小声で、
「なんで、シゲ達のクラスには可愛い転校生が来てんだよ!ウチのクラスにも来てほしいよ、可愛い転校生・・・」
と、いじけていた。
「いやいや、ツネ。おれの話聞いてた?あの本家の人、めちゃくちゃ怖いからね!?」
「それはお前が雑賀家の末席だからだろ!?俺には優しいかもしれないじゃん!」
「まぁ確かに雑賀さん、他の人には普通に接してたもんね。茜のクラスに来た、弟君はどうだったの?」
聡太が、そう言って茜に目を向けた。
「充希君?すごく爽やかそうだったわよ。可愛いから、女子だけじゃなく男子にも人気出てたみたい」
「なんだ茜。やけに他人事だな」
茜の言葉に、恒久がいじけから回復してそう言うと、
「もしかしたら雑賀本家の関係者かなとは思ってたからね。シゲの話を思い出して、今はまだ様子見なのよ」
「へぇ。お前、ただイケメンに弱いだけじゃないんだな」
「失礼ね。わたしはね、ちゃんと中身まで見て判断するのよ。見た目は、そうね。1次試験みたいなもんよ。
ちなみにツネは、2次試験で不合格ね」
「なんだよそれ!俺は見た目だけの男なのか!?」
「まぁ、ツネはムッツリだからね」
「だね」
重清と聡太が、恒久に哀れんだ視線を送った。
「うるせーよ!俺はムッツリじゃなくて、ただのスケベなんだよ!!」
「そういうことを当たり前のように女の子の前で言うところが、私の2次試験を突破できない理由なのよ」
茜が、恒久にとどめを刺した。
「うっ・・・クソっ!言い返せねぇ!っていうか別に、茜の試験になんか通らなくていいし!」
と、恒久が子どものような負け惜しみをほざいていると、
「あれ?そういえばツネと同じクラスの友達に聞いたけど、ツネの所にも、転校生来たんじゃないの?」、
と、聡太が首を傾げた。
「ん?あぁ、来たっちゃ来たよ。男だけどな・・・名前は・・・忘れた」
「いや男に興味持たなさすぎでしょ」
面白くなさそうに言う恒久に、重清がつっこむ。
「いいんだよ、俺のクラスの転校生のことは。あぁ~、美影ちゃん、にんじゃ――なくて、社会科研究部に入らないのかな~~」
恒久がそう言っていると、
「ふざけたことを言わないでくれるかしら?」
そんな声とともに、社会科研究部の扉が開け放たれた。
「げっ!!」
重清は、開け放たれた扉から入ってきた人物を見て、思わず声を漏らしていた。
重清の目の前には、今日転校してきたばかりの雑賀美影、そしてもう1人、綺麗な顔の少年が立っていた。
「あ、充希君」
茜の言葉に、その少年が雑賀美影の弟、充希であると理解した重清が、2人に目を向けて美影に声をかけた。
「あ、あの、美影さん―――」
重清がそう、目の前の美少女に声をかけようとすると、美影はギロリと重清を睨みつた。
「何を気安く呼んでんのよ末席!様、でしょ?美影様!」
「み、美影様、えっと、どのようなご用件でいらっしゃりになられたのでございましょうか?」
「ここには、お祖父様に言われて来たんです。甲賀ノリって人に会え、って」
美影に代わって、美影の隣の充希が、慣れない敬語の重清に答えた。
「あ、あぁ、そうなんだ、ですね・・・・あぁもう!!敬語とか面倒臭いよ!!なんでおれが、相手が本家だからって理由だけで同い年に敬語つかわなきゃいけないんだよっ!!」
重清が、慣れない敬語に早速音を上げた。
「本家の私に対して、そんな態度で良いと思ってるの?そんなことだと―――」
重清の言葉に、美影がニヤリと笑う。
「な、なんなん・・・ですか」
「雑賀家の中でずっと立場が弱いままよ?」
「あ、じゃぁそれでいいや。立場とか、どうでもいいし」
「はぁ!?ちょっとあんた!何言ってくれてんのよ!?」
「知らないよ!なんていうか、雑賀家、面倒くさいよ!!」
「ちょ、言うに事欠いて面倒くさいとは何よ!?」
「面倒臭いから面倒臭いんだよっ!何なんだよ!本家ってのがそんなに偉いのかよっ!!」
「なっ!偉いに決まってるじゃないのっ!あんた達分家は、ただ私達本家に従っていればいいのよっ!!」
重清と美影が言い争っていると、突然社会科研究部の扉が開け放たれ、
「あなた達!いい加減静かにしなさいっ!!!!!!」
騒ぐ雑賀家に、島田さんの雑賀家よりも大きな怒鳴り声が突き刺さるのであった。
「やっぱり、あの雑賀充希ってイケメン、雑賀家の人なんだ」
茜のこの言葉に、重清と聡太は思った。
((あ、やっぱ弟イケメンなんだ))
と。どうやら、重清達のクラスメイト達の予想は正しかったようである。
「くそっ!!」
その時、恒久が悔しそうな声をあげた。
「ツネ、どうしたのさ?」
重清が声をかけると、恒久は部屋の外から聞こえてくる司書教諭島田さんの咳払いに気を使いながら小声で、
「なんで、シゲ達のクラスには可愛い転校生が来てんだよ!ウチのクラスにも来てほしいよ、可愛い転校生・・・」
と、いじけていた。
「いやいや、ツネ。おれの話聞いてた?あの本家の人、めちゃくちゃ怖いからね!?」
「それはお前が雑賀家の末席だからだろ!?俺には優しいかもしれないじゃん!」
「まぁ確かに雑賀さん、他の人には普通に接してたもんね。茜のクラスに来た、弟君はどうだったの?」
聡太が、そう言って茜に目を向けた。
「充希君?すごく爽やかそうだったわよ。可愛いから、女子だけじゃなく男子にも人気出てたみたい」
「なんだ茜。やけに他人事だな」
茜の言葉に、恒久がいじけから回復してそう言うと、
「もしかしたら雑賀本家の関係者かなとは思ってたからね。シゲの話を思い出して、今はまだ様子見なのよ」
「へぇ。お前、ただイケメンに弱いだけじゃないんだな」
「失礼ね。わたしはね、ちゃんと中身まで見て判断するのよ。見た目は、そうね。1次試験みたいなもんよ。
ちなみにツネは、2次試験で不合格ね」
「なんだよそれ!俺は見た目だけの男なのか!?」
「まぁ、ツネはムッツリだからね」
「だね」
重清と聡太が、恒久に哀れんだ視線を送った。
「うるせーよ!俺はムッツリじゃなくて、ただのスケベなんだよ!!」
「そういうことを当たり前のように女の子の前で言うところが、私の2次試験を突破できない理由なのよ」
茜が、恒久にとどめを刺した。
「うっ・・・クソっ!言い返せねぇ!っていうか別に、茜の試験になんか通らなくていいし!」
と、恒久が子どものような負け惜しみをほざいていると、
「あれ?そういえばツネと同じクラスの友達に聞いたけど、ツネの所にも、転校生来たんじゃないの?」、
と、聡太が首を傾げた。
「ん?あぁ、来たっちゃ来たよ。男だけどな・・・名前は・・・忘れた」
「いや男に興味持たなさすぎでしょ」
面白くなさそうに言う恒久に、重清がつっこむ。
「いいんだよ、俺のクラスの転校生のことは。あぁ~、美影ちゃん、にんじゃ――なくて、社会科研究部に入らないのかな~~」
恒久がそう言っていると、
「ふざけたことを言わないでくれるかしら?」
そんな声とともに、社会科研究部の扉が開け放たれた。
「げっ!!」
重清は、開け放たれた扉から入ってきた人物を見て、思わず声を漏らしていた。
重清の目の前には、今日転校してきたばかりの雑賀美影、そしてもう1人、綺麗な顔の少年が立っていた。
「あ、充希君」
茜の言葉に、その少年が雑賀美影の弟、充希であると理解した重清が、2人に目を向けて美影に声をかけた。
「あ、あの、美影さん―――」
重清がそう、目の前の美少女に声をかけようとすると、美影はギロリと重清を睨みつた。
「何を気安く呼んでんのよ末席!様、でしょ?美影様!」
「み、美影様、えっと、どのようなご用件でいらっしゃりになられたのでございましょうか?」
「ここには、お祖父様に言われて来たんです。甲賀ノリって人に会え、って」
美影に代わって、美影の隣の充希が、慣れない敬語の重清に答えた。
「あ、あぁ、そうなんだ、ですね・・・・あぁもう!!敬語とか面倒臭いよ!!なんでおれが、相手が本家だからって理由だけで同い年に敬語つかわなきゃいけないんだよっ!!」
重清が、慣れない敬語に早速音を上げた。
「本家の私に対して、そんな態度で良いと思ってるの?そんなことだと―――」
重清の言葉に、美影がニヤリと笑う。
「な、なんなん・・・ですか」
「雑賀家の中でずっと立場が弱いままよ?」
「あ、じゃぁそれでいいや。立場とか、どうでもいいし」
「はぁ!?ちょっとあんた!何言ってくれてんのよ!?」
「知らないよ!なんていうか、雑賀家、面倒くさいよ!!」
「ちょ、言うに事欠いて面倒くさいとは何よ!?」
「面倒臭いから面倒臭いんだよっ!何なんだよ!本家ってのがそんなに偉いのかよっ!!」
「なっ!偉いに決まってるじゃないのっ!あんた達分家は、ただ私達本家に従っていればいいのよっ!!」
重清と美影が言い争っていると、突然社会科研究部の扉が開け放たれ、
「あなた達!いい加減静かにしなさいっ!!!!!!」
騒ぐ雑賀家に、島田さんの雑賀家よりも大きな怒鳴り声が突き刺さるのであった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
ドラゴンなのに飛べません!〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜
藤*鳳
ファンタジー
人間としての寿命を終えて、生まれ変わった先が...。
なんと異世界で、しかもドラゴンの子供だった。
しかしドラゴンの中でも小柄で、翼も小さいため空を飛ぶことができない。
しかも断片的にだが、前世の記憶もあったのだ。
人としての人生を終えて、次はドラゴンの子供として生まれた主人公。
色んなハンデを持ちつつも、今度はどんな人生を送る事ができるのでしょうか?
【完結】雇われ勇者の薬草農園 ~チートスキルで薬草栽培始めます~
近衛 愛
ファンタジー
リュウは設計会社に勤務する一般男性だ。
彼女がようやく出来て、一週間後に勤務中に突如幻想世界に転移。
ラノベは好きだが、テンプレ勇者は嫌いだ!!
人類を滅ぼそうとする魔王を倒すため、女神と王により勇者として、召喚された。
しかし、雇用契約書も給料ももらえず勇者である僕は、日々の生活費を稼ぐべく、薬草採取、猪の討伐、肉の解体、薬草栽培など普段なら絶対しない仕事をすることに。
これも王と女神がまともな対応しなのが悪いのだ。
勇者のスキル「魔女の一撃」を片手に異世界を雇い雇われ、世界を巡る。
異世界転移ファンタジー。チートはあるけど、最弱ですけどなにか。
チートスキルは呪いのスキル、人を呪わば穴二つ。勇者と世界の行く末は。
『僕は世界を守りたい訳じゃない!目の前の人、親しい知人であるチル、君を守りたいんだ!』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる