おれは忍者の子孫

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彼らの日常と蠢く影

第163話：チーノ対エロ女　その２

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「はぁ～っ！！」
エロ女が、叫びながら、拳を振り上げてチーノに向かって行く。

チーノはその拳を難なく避け、自身の纏う雷をエロ女へと飛ばす。

「ぐがぁっ！」
エロ女が声を上げていると、チーノがフワリと着地する。

「あなた、さっきから術を使っていないようだけど。使ってもいいのよ？それとも、使えないのかしら？？」
「ぐっ。」

「あら、どうやら『使えない』が正解みたいね。あなたも、先程の男も、少し前に会った男と忍力がよく似ているのよね。もしかして、お仲間かしら？？」
「ふんっ。あいつなら、さっきここから逃げた可愛い男の子を追って行ったわよ。」
エロ女は、雷のダメージに肩で息をしながらそう答えた。

「そう。聡太を、ね。まぁ、それならそちらは聡太に任せましょう。」
「随分と薄情なのね。ご主人様以外は助ける気はないってわけね。」

「勘違いしないで頂戴。聡太ならば、自力で何とか出来ると信じているのよ。それよりも、あなた達は何者なのかしら？
その忍力は一体・・・」
「そんなの、答えるわけないでしょう？」

「あら、それは残念ね。まぁ、その辺りは後でじっくり聞かせてもらおうかしら、ねっ！」
チーノはそう言って、エロ女に爪を振り下ろした。

「くっそがぁっ！！こっちだって、力の使い方は血反吐出しながら修行してんだよっ！」
エロ女は、体の力を全力で込めた手のひらでそれを受け止め、そのままチーノを近くの大木に向かって投げつけた。

しかしチーノは、空で体勢を整え、そのまま宙返りして投げつけられた先の大木に足をかけ、そのままそれを足場に再びエロ女へと飛び掛かる。

「ぐぁっ！」
雷を帯びたチーノの体当たりを胸に受けたエロ女は、声を漏らしてその場に膝をついた。

「あら、女性の胸に飛び込んだのは、初めてかもしれないわね。」
「呑気なことをっ！いくらもう一体の具現獣に力を割いているとはいえ、ここまでコケにされるなんて！でも、このままじゃ終われない！」

そう言うとエロ女は、体の力を全開にする。

「あら、まだ全力ではなかったのね。」
「別に今回は、あなた達を倒すことが目的ではなかったからね！でも、あんたの言う『女を磨く方法』を聞き出すためにも、今出せる全力は出させてもらうわよっ！」

「その言いぶりだと、今もまだ全力ってわけではなさそうね。まぁいいわ。あなたの想い、受け止めてあげるわ。」
「ちっ。ほんとに生意気な猫だよっ！」

エロ女はそう言うと、チーノ目掛けて走り出した。

「だったら、私も全力でいせてもらうわね。」
エロ女にそう答えたチーノは、

（変化の術っ！）
術を発動する。

するとチーノは、猫の姿から幼女の姿へと変化し、そのままその姿でエロ女の蹴りをいなした。

「この期に及んでそんな姿になるなんて！どれだけワタシをバカにしたら気が済むのよ！」
「あら、逆なのよ？私は長いこと、人の姿で戦ってきたのよ？だからこそ、こちらの姿の方が、力の使い方が得意なのよ。」
智乃の姿となったチーノが、そう言いながら次々に繰り出されるエロ女の攻撃を受け止めていく。

（くっ。悔しいけど、こいつの言っている事はウソじゃないみたいね。全く攻撃を当てられる気がしない！
そして何よりこの子、そこはかとなくエロいっ！！）

智乃に回し蹴りをしながら、エロ女は自身の蹴りを受け止める幼女を見る。

その姿は、普通の６歳くらいの少女にしか見えない。

そう、６歳くらいなのである。

チーノは智乃へと変化する際、自身の色気を無くすことに力を割くことで、４歳くらいの姿に変化していた。
しかし、相手の全力に応えたいと思ったチーノは、一切の色気を消さないまま、現時点変化できる最大の力で変化したのであった。

「こんなちっちゃな子どもにエロさを感じるなんてっ！」
エロ女は言いながら、智乃の顔面に向けて拳を繰り出した。

智乃は、ただそれを軽く受け止め、そのまま目の前のエロ女の腹へと自身の拳を突き出した。

「がっ。」
エロ女は、そう言葉を漏らし、そのまま地へと倒れ込んだ。

「こ、こんなところで、こんなやつに・・・
力もエロさも、負けちゃうなんて。
こ、こんなんじゃ、あの人に、ふ、振り向いてもらうなんて、夢のまた夢、ね・・・」

エロ女は、口から血を流し、そう、呟いていた。

「あら。」
その言葉に、智乃は立ち止まってエロ女に言葉をかける。

「あなた。とっくに『女の磨き方』、わかっているじゃないの。」
「な、何を言っているのよ。し、知らないわよそんなの。」

「ふふふ。今のあなたからは、愛する想いが伝わってくるわよ？」
「なっ！？何を根拠にっ！？」

「女の勘よ？」
「ぐっ。の、ノーコメントよっ！」

「あら残念。あなたの恋バナ、聞かせてもらいたかったのに。
でもね、愛する者のために強くなろうとするその姿勢、好きよ？
それこそが、私の思う『女の磨き方』なの。
その想いを抱き続ければ、あなたはさらに、力と、それから色気を掴んでいけるはずよ。」　

「そ、そんなんだったらワタシはもう、10年以上もこの想いを抱いてきたわっ！
それなのに、なんであなたに勝てないのよ！？」

「ふふふ。たった10年でしょう？私は、70年以上よ？
あなたとはね、キャリアが違うのよ、キャリアが。
力の使い方も、愛も、ね。」

「な、70年・・・
まさかあなたは、雑賀平八を・・・」
「あら、女の秘密を探ろうなんて、いくら女同士でも野暮というものよ？
どうしても聞きたかったらいつか、私達の女子会においでなさい。」

「ふっ。ちょ、ちょっと興味ある、わね・・・・」

その言葉を最後に、エロ女は意識を失った。

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