おれは忍者の子孫

メバ

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いざ、中忍体!

第121話:来訪者

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ショウ達が1中の麻耶達との決戦が始まった頃、重清はというと。

イチに吹き飛ばされて、見事にゴミの山に突っ込んで気絶をしていた。

・・・・・・
とりあえずしばしの間、彼はこのまま寝かせてあげることにしよう。
いつものように、重清のことは一旦置いておく。

その前に麻耶との戦闘後、すっかり忘れ去られているシン・ケン・ノブはというと。

シン「ヒャッハァーー!!」

現在、1中の風魔ヒロを担いだ風魔カツを、執拗に追い回していた。
どこの世紀末であろうか。

・・・・・・
とりあえず、彼らの事も一旦置いておこう。
もしかすると、置いていかれたままこの中忍体が終わりを告げるかもしれないという危険な可能性に目をつぶりながら。

ここは一度、再び少しだけ時を戻して、この中忍体において一番活躍出来ない彼らを覗いてみよう。


「なに、昨日ロキに会っただと?」
2中の中忍体控室で、1中忍者部顧問の風魔ロキと、3中忍者部顧問の根来トウが去ったあと、ノリのそんな声が聞こえてくる。

「あぁ。昨日、おれとソウは、シゲの密会現場に行ったんだ。そこで、鳩の餌をあいつらにぶち撒けようとした時に、あのロキって人が現れて、それを止められたんだよ。」
恒久が、ノリの言葉に頷きながらそう答えた。

「えっ、お前ら、人に鳩の餌ぶち撒けるとか、そんなひどいことしようとしてたのか?」
「いや、あんたが言ったんじゃねかっ!!」
安定のつっこみが入る。

やはり、2中のつっこみ番長の座は、恒久をおいて他にいないのである。

「まぁ、そんなことはいい。」
「よくねーよっ!」
恒久の再度のつっこみを無視して、ノリが続ける。

「それで、アイツ何かしてたのか?」
「ちっ。いや、何も。ただおれらを止めて、そのまま颯爽と帰って行ったよ。」
ノリの理不尽さに若干苛ついて、恒久は舌打ちしながらもそう答える。

「・・・偶然、だと思うか?」
ノリが、恒久に目を向けると、

「わからねぇよ。あの時、あのロキって人はただ、おれらを止めただけだったからな。偶然て可能性だって、捨てきれねぇ。」
そう言って首を振る恒久。

そんな中、アカだけは深刻そうな顔で俯いていた。

ノリと恒久は、それに気づきつつもそのことには触れず、ただ控室のモニターに目を向けるのであった。

「うわっ、シゲめちゃくちゃ飛ばされたな。」
しばらく沈黙が続いたあと、そんな恒久の独り言だけが控室に響く。
そしてその少しあとに、事務的な3中の敗退アナウンスが控室にも響き渡ったとき、恒久はあることに気付く。

「あれ、ノリさん。シゲのモニター何も写ってないけど、これってシゲがリタイアしたってこと?」
「いや、リタイアした場合、対象のモニター自体がこの部屋から消えて無くなるはずだ。おそらく、少しばかり気絶しているんだろう。」
恒久の言葉に、ノリが答えていると、これまで沈黙を守っていたアカが、意を決したように顔を上げて、その重い口を開いた。

「ノリさん、ツネ、私ね―――」
とその時、暗くなっていた重清を映すモニターの画面が、再び光り出した。

「おっ、シゲのヤツ、やっと目を覚ましやがったな。」
恒久がそう言いながら、モニターに目を向ける。

少しずつ鮮明に映り始める画面を見て、恒久が突然大声を上げる。

「はぁ!?どういうことだよ!?こりゃ、どんな状況だ!?」
恒久こ声に、アカもつられてモニターへと目を向ける。

「っ!?」
アカはモニターに映る光景に声をつまらせ、再び俯いてしまう。
先程までと違うのは、アカの拳が、ただただ強く、握られていることであった。
その拳にどんな感情が込められているのかは、まだ彼女にしか分からないことなのであった。


「いてててて。」
重清が、全身の痛みにそんな声を上げながら立ち上がる。
(重清っ!大丈夫か!?)
(プレッソか。あぁ。なんとか大丈夫みたい。)
(重清、ごめんなさい。私が油断したばっかりに。)
(チーノ。いや、ありゃ完全におれのミスでしょ。忍力って、無くなるとこんなことになるんだな。)

重清は自身の中にいる2匹にそう答えて、腕に力を入れてみる。

(とりあえず、体はなんともない、かな?スーツのおかげだな。でも、忍力はまだやばいな。プレッソとチーノが戻ってくれたお陰で、多少は戻ったみたいだけど。

2人ともごめん、ちょっとしばらくは具現化できなさそう。あとは、おれだけでなんとかするわ。)

(わかった。)
(えぇ。無理はしないでね。)

(ありがと。チーノ、この状態でも、感知ってできる?)
(えぇ。それは任せ―――重清。どうやら、お客様みたいよ?)

「へ?」
突然のチーノの言葉に、重清が間の抜けた声を出していると。

「重清君。やっと目が冷めたみたいね。体、大丈夫??」
重清の背後から、最近ではよく聞くようになった声が聞こえてくる。
最近どころか、昨日も聞いた、重清にとって他に比べようもない程に心地よい声。

重清は、ゆっくりと振り返り、声の主に目を向ける。

「こ、琴音ちゃん!?」

そこにいたのは、重清の想い人、田中琴音であった。
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