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いざ、中忍体!
第91話:現場突入
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「イジメ!?」
忍者部の部室に重清の声が響き渡る。
「そうだ。イジメ受けてるから助けてくれって依頼が入った。」
ノリが、そう言って重清とシン、そしてソウに目を向ける。
「今日はお前ら3人にこの依頼を任せる。ここから少し離れた廃屋が現場だとさ。」
「あの、これおれたちが現場に行ったら、あの意見箱の正体とか勘繰られませんか?」
重清が不思議そうにそう尋ねる。
「そりゃそうだろ。だから、その辺までちゃんと考えて行動しろよ?じゃぁな。」
そう言ってノリは、その場を去っていった。
「・・・ソウ、大丈夫か?」
ノリが立ち去ると、重清がソウに声をかけた。
ソウは以前いじめられていた過去があるため、それに気を使ってのことであった。
「シゲ、ありがとう。大丈夫だよ。早く、助けに行ってあげないとね!」
ソウが笑ってそれに答える。
「よし、じゃぁとにかく向かおう。」
シンの言葉に重清とソウが頷き、3人は部室をあとにする。
その後、外にいたプレッソ、チーノと合流した3人は、廃屋へと向かいながら作戦を練っていた。
「それじゃ、まず廃屋に入るのは重清とプレッソ、チーノに頼む。相手が何人いるかわからないから、気を付けてくれよ。何かあったら、ソウにすぐ伝えてくれ。」
「わかりました!よし、プレッソ、チーノ、行くぞ!」
そう言って廃屋へと歩き出す重清の背にソウが、
「シゲ、ちゃんと設定覚えてる?」
「わかってるって。『飼ってる猫を探しに来た少年とその友人たち』だろ?任せろって!」
そう言って笑って重清は、再び歩き出し廃屋へと近づいていく。
「重清、中に人がいるわ。おそらくだけど、2人だけね。」
「2人、か。ソウ、聞いてた?」
(うん、聞いてたよ。2人ってことは、加害者は1人だけだね。僕とシンさんも周りを確認してすぐにそっちに向かうね!)
「りょーかい。じゃ、プレッソ、チーノ、入るぞ!」
「おう!」「えぇ。」
その返事を聞いた重清は、廃屋の扉に手をかけ、開け放つ。
「あれー、誰かいるーー」
そんな棒読みの言葉と携えて。
(聡太、大変だ!)
(プレッソ、どうしたの?)
(重清が思った以上に大根役者だった!こりゃ、ノリに匹敵するぞ!!)
(・・・はいはい。そんな報告はいいから。僕らもすぐにそっちに行くから、しっかりしてよね!)
(・・・はいよ。)
若干聡太に怒られてしまったプレッソは廃屋の中に改めて目を向ける。
そこには、2人の男の子がいた。
1人は既に気を失っているらしく、もう1人に後ろから首を絞められた状態で目をつむっていた。
「えっと、ここで何をしてるんですか?」
重清が声をかけると、首を絞めていた方の男がもう一方の首から手を放して口を開く。
「君には関係ないだろう?君こそ、こんなところで何をしているんだい?」
思ったよりも丁寧な口調だな、と重清が思うほど、落ち着いた口調で男が聞き返してくる。
その男の足元には、気絶しているもう1人が、ただ横たわっていた。
「お、おれは、この辺に逃げ込んだ猫を友達と探してて。えっと、それよりもその人、気絶してませんか?大丈夫ですか!?」
「あぁ。さっきも言っただろう。君には関係ない。ここに猫は入ってきていない。わかったら、ここから出て行ってくれないかな?」
そう言ってにらみ返してくる男に、重清は思う。
(なんていうか、この人怖いな。チーノのお陰で殺気にはある程度慣れたと思ってたけど、なんていうか、この人は怖い。)
「シゲ、大丈夫か!」
その時、そう言ってシンとソウが廃屋へと入ってきた。
「っ!?コウさん!」
男の顔を見たシンが、驚いたように声を上げるのを見て、
(え?シンさんの知り合い!?)
ソウがそう思っていると、
「ん?確かに俺の名前は浩介(こうすけ)だけど。君、誰だっけ?」
「え、あ。いえ、すみません。知人と間違ってしまいました。」
「そうかい。あのさ、そこの彼にも言ったけど、ここに猫は入ってきていないんだ。だから、出て行ってくれないかな?」
そう言って男は、シンに笑いかける。
「いや、さすがにこの光景見たら『はいそうですか』ってわけにもいかなさそうなんですけど・・・」
シンは、男の足元に横たわるもう1人に目を向けてそう返すと、
「もう、面倒くさいなぁ。大人しく帰っててくれれば楽だったのに。」
そう言って男は、その辺に転がっていた棒を拾う。
(みんな、警戒しろ!今は一般人だが、この人は元忍者だ!)
重清達の頭に、ソウのレーダーを通してシンの言葉が響く。
忍者部の部室に重清の声が響き渡る。
「そうだ。イジメ受けてるから助けてくれって依頼が入った。」
ノリが、そう言って重清とシン、そしてソウに目を向ける。
「今日はお前ら3人にこの依頼を任せる。ここから少し離れた廃屋が現場だとさ。」
「あの、これおれたちが現場に行ったら、あの意見箱の正体とか勘繰られませんか?」
重清が不思議そうにそう尋ねる。
「そりゃそうだろ。だから、その辺までちゃんと考えて行動しろよ?じゃぁな。」
そう言ってノリは、その場を去っていった。
「・・・ソウ、大丈夫か?」
ノリが立ち去ると、重清がソウに声をかけた。
ソウは以前いじめられていた過去があるため、それに気を使ってのことであった。
「シゲ、ありがとう。大丈夫だよ。早く、助けに行ってあげないとね!」
ソウが笑ってそれに答える。
「よし、じゃぁとにかく向かおう。」
シンの言葉に重清とソウが頷き、3人は部室をあとにする。
その後、外にいたプレッソ、チーノと合流した3人は、廃屋へと向かいながら作戦を練っていた。
「それじゃ、まず廃屋に入るのは重清とプレッソ、チーノに頼む。相手が何人いるかわからないから、気を付けてくれよ。何かあったら、ソウにすぐ伝えてくれ。」
「わかりました!よし、プレッソ、チーノ、行くぞ!」
そう言って廃屋へと歩き出す重清の背にソウが、
「シゲ、ちゃんと設定覚えてる?」
「わかってるって。『飼ってる猫を探しに来た少年とその友人たち』だろ?任せろって!」
そう言って笑って重清は、再び歩き出し廃屋へと近づいていく。
「重清、中に人がいるわ。おそらくだけど、2人だけね。」
「2人、か。ソウ、聞いてた?」
(うん、聞いてたよ。2人ってことは、加害者は1人だけだね。僕とシンさんも周りを確認してすぐにそっちに向かうね!)
「りょーかい。じゃ、プレッソ、チーノ、入るぞ!」
「おう!」「えぇ。」
その返事を聞いた重清は、廃屋の扉に手をかけ、開け放つ。
「あれー、誰かいるーー」
そんな棒読みの言葉と携えて。
(聡太、大変だ!)
(プレッソ、どうしたの?)
(重清が思った以上に大根役者だった!こりゃ、ノリに匹敵するぞ!!)
(・・・はいはい。そんな報告はいいから。僕らもすぐにそっちに行くから、しっかりしてよね!)
(・・・はいよ。)
若干聡太に怒られてしまったプレッソは廃屋の中に改めて目を向ける。
そこには、2人の男の子がいた。
1人は既に気を失っているらしく、もう1人に後ろから首を絞められた状態で目をつむっていた。
「えっと、ここで何をしてるんですか?」
重清が声をかけると、首を絞めていた方の男がもう一方の首から手を放して口を開く。
「君には関係ないだろう?君こそ、こんなところで何をしているんだい?」
思ったよりも丁寧な口調だな、と重清が思うほど、落ち着いた口調で男が聞き返してくる。
その男の足元には、気絶しているもう1人が、ただ横たわっていた。
「お、おれは、この辺に逃げ込んだ猫を友達と探してて。えっと、それよりもその人、気絶してませんか?大丈夫ですか!?」
「あぁ。さっきも言っただろう。君には関係ない。ここに猫は入ってきていない。わかったら、ここから出て行ってくれないかな?」
そう言ってにらみ返してくる男に、重清は思う。
(なんていうか、この人怖いな。チーノのお陰で殺気にはある程度慣れたと思ってたけど、なんていうか、この人は怖い。)
「シゲ、大丈夫か!」
その時、そう言ってシンとソウが廃屋へと入ってきた。
「っ!?コウさん!」
男の顔を見たシンが、驚いたように声を上げるのを見て、
(え?シンさんの知り合い!?)
ソウがそう思っていると、
「ん?確かに俺の名前は浩介(こうすけ)だけど。君、誰だっけ?」
「え、あ。いえ、すみません。知人と間違ってしまいました。」
「そうかい。あのさ、そこの彼にも言ったけど、ここに猫は入ってきていないんだ。だから、出て行ってくれないかな?」
そう言って男は、シンに笑いかける。
「いや、さすがにこの光景見たら『はいそうですか』ってわけにもいかなさそうなんですけど・・・」
シンは、男の足元に横たわるもう1人に目を向けてそう返すと、
「もう、面倒くさいなぁ。大人しく帰っててくれれば楽だったのに。」
そう言って男は、その辺に転がっていた棒を拾う。
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重清達の頭に、ソウのレーダーを通してシンの言葉が響く。
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