81 / 519
忍者部、戦力強化
第77話:修行の成果を見せてやれ
しおりを挟む
「なるほど。そんなことが起きてたのか。」
忍者部の他の面々と合流するために歩いている道すがら、これまでの経緯をやっと聞くことができたノブは、感心したように頷いていた。
「ノブさん、なんか、置いてけぼりにしてしまってすみませんでした。」
重清が申し訳なさそうにそう告げると、
「ハッハッハ!気にすんな!」
「でも、ノブさん、最後には泣いて・・・」
「重清!いいか、あれは泣いていたんじゃない。あれはな、目の筋トレをした成果なんだ。わかるな??」
ノブが必死な顔で重清に詰め寄る。
その目にはまたしても筋トレの成果が現れていた。
「は、はい。」
ノブの必死で無理のある誤魔化しに、重清はただそう言って頷く。
重清は、先輩の顔を立てることができる良き後輩なのだ。
「そういえば、チーノ、だったか?これからの模擬戦ではどうするんだ?新しい術は使わないことになっていたが・・・」
ノブが、誤魔化すように重清に尋ねる。
「最後の日までは、隠しておくことになりました!最初の2時間の修行でだけ一緒に修行して、最後の模擬戦は、ばあちゃんと離れて見てるそうなんです。」
「わざわざ離れている意味あるのか?」
「んー、なんかチーノって、元々感知する力が凄いらしいんですよ。だから、余計な口出ししないように、離れさせておくらしいんです。」
「ん?でも、チーノって今まで持ってた力、全部失ったんじゃないのか?」
「術は全部忘れちゃったらしいんですけどね。感知は、感覚的なものだから残ったんだろうって、ばあちゃんが言ってました。」
「なるほどなぁ。だから、一緒に来てないんだな。ちなみに、あのエロい姿に化けるとこもできなくなってんのか?」
「そうなんですよ!あれも、変化の術って術らしくて、他の術同様使えなくなっちゃったらしいんです。」
「そうか。それは残念・・・いや、決してやましい気持ちがあるわけではなくてだな!」
「いや、ノブさん。誰に言い訳してるんですか。今、男しかいませんよ?」
「・・・・うん、あれはまた見たかったな。」
「ですよねぇ。あの姿、健全な男子中学生には、危険ですよね。」
「確かに。ツネなんて、あの姿見せただけで勝てるんじゃないか?」
そう言ってひとしきり、男子トークをしたあと、ノブが呟く。
「どっちにしても、かなり戦力上がったんじゃないか?プレッソも、うかうかしてられねぇな。」
そう言って、ニヤリと笑ってプレッソを見るノブ。
「う、うるせぇなぁ!そんなことは、オイラが1番わかってるんだよ!泣き虫の癖に、知ったような事言ってんじゃねぇよ!!」
「な、泣いてなんかないやいっ!」
プレッソの言葉に、どこにも需要の無いであろう可愛さで言い返すノブ。
そんなこんなで、他の忍者部の面々と合流した重清達は、その後、模擬戦を終わらせて、その日は解散することとなったのである。
「よし!今日も『中央公園』で勉強すっか!」
ノリや先輩たちと別れたあと、元気よく言い出す重清に、聡太が首を傾げる。
「あれ?シゲはこの後、田中さんと会うことになってるんじゃなかったの?」
「・・・・・っ!?そうだった!!!みんなごめん!今日は帰る!プレッソ、行くぞ!!」
そう言って慌てて走り出す重清と、呆れたようにため息をついて重清を追うプレッソの後ろ姿を見ながら、聡太は呟く。
「あれだけ今日1日騒いでたのに、よくもまぁ忘れられるもんだよ・・・」
「ソウ、あいつ、どうしたんだ?」
恒久の言葉を受けて、聡太が恒久と茜に事情を説明する。
「はぁ!?なんだよあいつ!何勝手にリア充の階段上ろうとしてんだよ!!」
「そうよ!この中で恋人ができるのは、わたしが最初だと思ってたのに!!」
「いや、ぼくに言われても、知らないよ!」
「・・・・お前ら。追うぞ。」
恒久が、突然聡太と茜に向かって、そう口を開く。
「・・・面白いわね。この結末、見届けてやろうじゃない。」
「え、2人とも本気??え?ぼくも行くの??」
「「当たり前だ(よ)!!」」
恒久と茜の視線が、聡太に振り注ぐ。
「友達の恋行方だぞ!?邪魔・・・じゃなくて、どうなるのか、確認するのが友達としての義務じゃないか!!」
「いや、今邪魔って言いそうになったよね!?もう、応援する気ないよね!?」
「そんなバカの言ってる事は気にしないの!わたしはただ、恋バナに飢えてるだけなの!キュンキュンしたいの!!そのためだったら、シゲなんかのしょうもないこんな機会すら、逃すわけにはいかないのよ!!」
「いやもう、ただの野次馬だよね!?しかも今、しょうもないって言ったよね!?」
「「うるさい!行くぞ(わよ)!!」」
「・・・・・・わかりましたよ。」
聡太は、諦めたように頷く。
「それでこそ聡太、重清の親友だな。おれ達は、この時のために修行をしてきたといっても過言ではない!これまでの修行の成果、見せてやろうぜ!」
そう言って親指を立ててどや顔する恒久に、
「・・・過言だよ!」
もう疲れた、とでも言わんばかりに、それだけをつっこむ聡太。
こうして3人は、こっそりと重清を追うことになったのであった。
忍者部の他の面々と合流するために歩いている道すがら、これまでの経緯をやっと聞くことができたノブは、感心したように頷いていた。
「ノブさん、なんか、置いてけぼりにしてしまってすみませんでした。」
重清が申し訳なさそうにそう告げると、
「ハッハッハ!気にすんな!」
「でも、ノブさん、最後には泣いて・・・」
「重清!いいか、あれは泣いていたんじゃない。あれはな、目の筋トレをした成果なんだ。わかるな??」
ノブが必死な顔で重清に詰め寄る。
その目にはまたしても筋トレの成果が現れていた。
「は、はい。」
ノブの必死で無理のある誤魔化しに、重清はただそう言って頷く。
重清は、先輩の顔を立てることができる良き後輩なのだ。
「そういえば、チーノ、だったか?これからの模擬戦ではどうするんだ?新しい術は使わないことになっていたが・・・」
ノブが、誤魔化すように重清に尋ねる。
「最後の日までは、隠しておくことになりました!最初の2時間の修行でだけ一緒に修行して、最後の模擬戦は、ばあちゃんと離れて見てるそうなんです。」
「わざわざ離れている意味あるのか?」
「んー、なんかチーノって、元々感知する力が凄いらしいんですよ。だから、余計な口出ししないように、離れさせておくらしいんです。」
「ん?でも、チーノって今まで持ってた力、全部失ったんじゃないのか?」
「術は全部忘れちゃったらしいんですけどね。感知は、感覚的なものだから残ったんだろうって、ばあちゃんが言ってました。」
「なるほどなぁ。だから、一緒に来てないんだな。ちなみに、あのエロい姿に化けるとこもできなくなってんのか?」
「そうなんですよ!あれも、変化の術って術らしくて、他の術同様使えなくなっちゃったらしいんです。」
「そうか。それは残念・・・いや、決してやましい気持ちがあるわけではなくてだな!」
「いや、ノブさん。誰に言い訳してるんですか。今、男しかいませんよ?」
「・・・・うん、あれはまた見たかったな。」
「ですよねぇ。あの姿、健全な男子中学生には、危険ですよね。」
「確かに。ツネなんて、あの姿見せただけで勝てるんじゃないか?」
そう言ってひとしきり、男子トークをしたあと、ノブが呟く。
「どっちにしても、かなり戦力上がったんじゃないか?プレッソも、うかうかしてられねぇな。」
そう言って、ニヤリと笑ってプレッソを見るノブ。
「う、うるせぇなぁ!そんなことは、オイラが1番わかってるんだよ!泣き虫の癖に、知ったような事言ってんじゃねぇよ!!」
「な、泣いてなんかないやいっ!」
プレッソの言葉に、どこにも需要の無いであろう可愛さで言い返すノブ。
そんなこんなで、他の忍者部の面々と合流した重清達は、その後、模擬戦を終わらせて、その日は解散することとなったのである。
「よし!今日も『中央公園』で勉強すっか!」
ノリや先輩たちと別れたあと、元気よく言い出す重清に、聡太が首を傾げる。
「あれ?シゲはこの後、田中さんと会うことになってるんじゃなかったの?」
「・・・・・っ!?そうだった!!!みんなごめん!今日は帰る!プレッソ、行くぞ!!」
そう言って慌てて走り出す重清と、呆れたようにため息をついて重清を追うプレッソの後ろ姿を見ながら、聡太は呟く。
「あれだけ今日1日騒いでたのに、よくもまぁ忘れられるもんだよ・・・」
「ソウ、あいつ、どうしたんだ?」
恒久の言葉を受けて、聡太が恒久と茜に事情を説明する。
「はぁ!?なんだよあいつ!何勝手にリア充の階段上ろうとしてんだよ!!」
「そうよ!この中で恋人ができるのは、わたしが最初だと思ってたのに!!」
「いや、ぼくに言われても、知らないよ!」
「・・・・お前ら。追うぞ。」
恒久が、突然聡太と茜に向かって、そう口を開く。
「・・・面白いわね。この結末、見届けてやろうじゃない。」
「え、2人とも本気??え?ぼくも行くの??」
「「当たり前だ(よ)!!」」
恒久と茜の視線が、聡太に振り注ぐ。
「友達の恋行方だぞ!?邪魔・・・じゃなくて、どうなるのか、確認するのが友達としての義務じゃないか!!」
「いや、今邪魔って言いそうになったよね!?もう、応援する気ないよね!?」
「そんなバカの言ってる事は気にしないの!わたしはただ、恋バナに飢えてるだけなの!キュンキュンしたいの!!そのためだったら、シゲなんかのしょうもないこんな機会すら、逃すわけにはいかないのよ!!」
「いやもう、ただの野次馬だよね!?しかも今、しょうもないって言ったよね!?」
「「うるさい!行くぞ(わよ)!!」」
「・・・・・・わかりましたよ。」
聡太は、諦めたように頷く。
「それでこそ聡太、重清の親友だな。おれ達は、この時のために修行をしてきたといっても過言ではない!これまでの修行の成果、見せてやろうぜ!」
そう言って親指を立ててどや顔する恒久に、
「・・・過言だよ!」
もう疲れた、とでも言わんばかりに、それだけをつっこむ聡太。
こうして3人は、こっそりと重清を追うことになったのであった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
【完結】「一人で何でもできる女って嫌い」と婚約破棄されましたが、部下に慕われていました。仲間と一緒に今日も妖から都を守ります。
蜜柑
ファンタジー
*第17回ファンタジー小説大賞参加中です。応援いただけると嬉しいです。
人を喰らう異形の存在――妖がはびこる和国。妖から人々を守るのが、代々妖と戦うための特殊能力【家紋】を持つ者で構成される「対妖防衛隊」
「俺、何でもひとりでできる女って嫌いなんだよね」
首都東都を守る東都本部・精鋭部隊である第参部隊長を務める「藤宮 綾子」は、ある日婚約者で同じく防衛隊員の「神宮司 修介」から、婚約破棄を告げられる。
「俺さ、今、すごくかわいい子と付き合っているんだ。お前と違って、俺がいないとだめな子なんだよ」
彼は別の女性と婚約するために、綾子との婚約は破棄する、というのだ。
「……お一人での参加でも結構ですけど」
婚約披露宴に招待された綾子は、ひとりで参加するか悩んでいた。
そこに声をかけたのは、部下の「鈴原 彰吾」だった。
「俺じゃダメですか?……お試しでいいですから!」
一方、東都では若い女性が妖により白髪の鬼にされる事件が相次いでいた。
その陰に見え隠れするのは、かつて綾子を鬼にしようとし、父母を失った原因の妖――九十九(つくも)。
九十九と綾子の因縁はまた廻る。
完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!
音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。
頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。
都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。
「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」
断末魔に涙した彼女は……
色々あって掃除婦になりました。
みるみる
エッセイ・ノンフィクション
春、子供の中学入学、通信教育費、車の保険で一気に50万円もの出費がありました。かろうじて3桁あった貯金は一気に半分に減り、さらには夫が年明けに新車でファミリーワゴンを新車で買うと宣言。
「頭金50万円で、月々のローンが二万円の車なら買っても大丈夫だと思う。」
そう言った私に夫はすかさず突っ込みを入れました。
「いやいや、それじゃ中古車すら買えねーから!っていうか、他所の家は家を建てたり新車も買いまくってるのに、なんでうちはできねーの?他所の奥さんは皆んな看護師や大企業でフルタイムで働いてるのになー。」
「‥‥。」
ぐうの音も出ずに黙る私。
自分の実家の家族の為に仕事を辞めて一年‥。自分の給料を貯めておいた通帳は、前の車が壊れて乗れなくなった為新車を買ったり、娘の歯の矯正の為に使ってしまい、いまや数百円の残金しかない状態。
「また働きたい‥。」
そう思ってはいるけど、私の自由になれる時間は週に二、三日。しかも午前中だけ。
時々夫の休みの日を利用して短期のバイトをしながらも、パート探しを続けていると、週3日で午前中だけの掃除婦のパートを発見。すぐさま応募し働き始めました。
そんな私に対して夫は一言。
「とうとうお前も落ちぶれるところまで落ちぶれたな。っていうか、なんで普通に事務員とかにならないで、そんなニッチな所を攻めるかな。頭おかしいんじゃない?」
子供達も‥
「お母さん、仕事から帰ってきたらすぐにシャワー浴びてね。」
夫の実家は‥
「‥また何でそんな所に‥。もっと良いところがあるでしょうに。っていうか、息子の給与だけで生活できないなんておかしい。絶対にやりくりのどこかで無駄があるはずよ。」
‥っていうか、そもそも掃除婦ってそんなに世間から差別されるものなの?
私は皆んなが嫌がるトイレ掃除をする事は立派な仕事だと誇りを持って言えますが!
だから家族には馬鹿にされても、自分の親に親孝行をしたいし、限られた条件の中でやっと見つけたこの仕事を辞めるつもりはありません。
それに見栄っ張りで贅沢?だけど、新築の家を建てる事を諦めて私の実家に間借りして暮らす選択をしてくれた夫の為に、大きい新車を買う頭金を少しでも多く貯めておきたい。
そんな私‥一主婦が節約をしながらお金を貯めたり、夫婦喧嘩や親子喧嘩をしたりする日々を気ままにブログ風の日記にしてみました。
D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが
米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。
その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。
更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。
果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!?
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?
西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね?
7話完結のショートストーリー。
1日1話。1週間で完結する予定です。
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
塩対応のアイドルにジョブチェンジします!
有沢真尋
恋愛
駆け出し新人アイドルである双子の妹彩菜(あやな)が、どうしても外せない舞台を前に高熱を出してダウン。
妹激推しの双子の兄玲央名(れおな)は、やむを得ず妹の代わりとしてステージに立つ。
それはとある高校の学校祭。
見事にアイドル一位の座に輝いてしまったために、学校祭の終わりまで一日アイドルとして校内に留まることになる。
世話役は美人生徒会長。
正体を知られるわけにはいかないと、玲央名はひたすら塩対応を続けるが……?
表紙はかんたん表紙メーカーさま
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる