おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
上 下
76 / 519
忍者部、戦力強化

第73話:重清対エロめのお姉さん その2

しおりを挟む
重清が具現獣銃化の術を発動させると、離れた距離にいるプレッソが消え、重清の手元に1丁の銃が現れる。

「これが、おれの新しい武具!名付けて『猫銃(にゃんじゅう)・マキネッタ』だ!!」
重清が、銃を掲げてそう叫ぶ。

「「「・・・・・・」」」

現場は沈黙する。
辺りには、先程雅と女の間に流れた冷たい空気とはまた違ったタイプの冷たさが漂っていた。

「あれ?」

「あれ?じゃねぇよ!ほらな!やっぱお前のネーミングセンスにみんな引いてんだって!」
「えー、そうかー?カッコ良すぎて、口もきけなくなってるんじゃない?だって、マキネッタだよ?エスプレッソと言ったら、マキネッタじゃんか!」

「それ聞いたよ!そもそも、オイラが銃になってんだから、順序逆じゃねーか!」
「いや、それはそのー、なんとなくだよっ!」

「知らねーよ!千歩譲ってそこはいいとして。なんだよ!?『にゃんじゅう』って!『びょうじゅう』の方がそれっぽいじゃんか!!」
「え!?『猫』って、『びょう』って読むの!?」

「あー!めんどくせー!なんでお前が、実力試験で全科目80点取ってんのか、不思議でしょうがねえーよ!」
「いや、それはだなー」

「うふふふ、あはははは!」
重清と銃になったプレッソが言い合っていると、女が我慢できなかったように笑い出す。

「ごめんなさいね。その脱線癖、あいつを思い出すわ。でもね。女を待たせるものじゃないわよ??それに、目上の者が手を貸してあげているのに待たせるのは、礼を失する行為だと知りなさい。」
女は、それまでの妖艶さを消し、雅のような厳しさを漂わせてそう告げる。

「「す、すみませんでした!」」
重清が頭を下げ、プレッソもそれに合わせて謝る。

「いい子達ね。じゃぁ早速、その銃の力、見せてもらうわね。」
再び妖艶な笑みを浮かべた女がそう言うと、女の周りに5つの水の玉が現れる。

「いくわよ?」
女がそう言うと、水の玉が重清へと向かって襲いかかる。

重清はその場を移動しながら、向かってくる水の玉がに対して銃を構え、引き金を引く。

銃から撃ち出された弾は、5つ全て命中し、水の玉を霧散させる。
「よっし!弾丸の術も、ばっちりだ!」

弾丸の術。これが、兄の助力があったとはいえ、重清自身が作り上げた新しい術であった。
未だ銃なしでの使用には苦慮してはいたものの、銃を介しての術の使用は、ある程度形になっているようである。

重清は再び弾丸の術を発動してマキネッタに弾を込め、女へと向く。

「なかなかね。じゃぁ、これならどうかしら?」
女がそう言うと、先程倍以上の数の水の玉が現れる。
「これでも抑えてはいるけど、大丈夫かしら?」

そう笑って、女は重清に向かって水の玉を放つ。

「多っ!あーっ!行くぞ、マキネッタ!」
そう叫んで重清は、再び水の玉から逃れながら水の玉を撃つ。

なんとかほとんどの水の玉を撃ち落とす重清であったが、2つ撃ち損じ、それを避けるため飛び上がる。

「むやみに飛ぶのは、愚策よ?」
空中へと逃れた重清の目の前に、突然女が現れ、そう言いながら重清に蹴りを放つ。
水の玉から逃れていたことで油断していた重清は、女の蹴りをまともに胸に受け、吹き飛ばされる。

「うわぁっ!」
蹴りを放った際に白衣覗き見えた女の白い足を目に焼き付ける間もなく、吹き飛ばされた重清の背に衝撃が走る。

「ぐぁっ!」
先程重清が避けた水の玉が、方向転換して重清の背へと直撃していた。

そのまま倒れ込むように地面へと落下する。
「重清!大丈夫か!?」
銃となったプレッソが声をかけると、
「あぁ、落ちた時の方が痛かったよ。めちゃくちゃ手加減してくれたみたいだ。」
そう答えた重清は、空中に留まったままの女に目を向ける。

下から見上げた光景は、素晴らしいものであった。

(めっちゃ、足見えた!じゃない!)
重清が先程の絶景を忘れるように頭を降っていると、女は重清から少し離れた場所に降り立つ。

「さぁて、次はこんなのどうかしら?」
女がそう言うと、一体の金属のマネキンのような物が現れる。

「行きなさい。」
女の言葉と同時に、マネキンがすうっと、重清達に近づいてくる。

「重清!ありゃ、普通の弾じゃ無理だぞ!」
「あぁ、わかってる!金弾だ!」
重清はプレッソの声に答え、金の力を込めて弾丸の術を発動する。

「ほう。」
それを見ていた雅が、そう呟いていると、
「ど、どうかしたんですか?」
ノブがそんな雅に声をかける。
「まぁ、見てな。」
雅の言葉に、ノブは再び重清達に目を向ける。

迫りくるマネキンに、重清が5度、引き金を引く。
放たれた銃弾は、マネキンに着弾すると、頭部と両手足をそれぞれ破壊する。
腕を破壊した弾が貫通し、そのままマネキンの後方にいた女へと迫る。
女がそれを手の甲で弾くと、
「キンッ」
と、先程鉄玉を弾いた時と同じく金属同士のぶつかる音が鳴り響く。

「っ!?」
銃弾を弾いた女が痛みを感じ、手に目をやると、少しではあるが傷が入り、血が流れていた。

「あら。女の体に傷をつけるだなんて、どう責任を取るつもりなのかしら?」
そう言って流れる血を舐めとる女に、重清は息を呑んで思う。
(エ、エロい。)
と。

(確かに、さっきの攻撃と比べても今の弾丸の威力は強かったわ。それでも、まさか傷つけられるなんてね。本当に、そろそろ時間が無くなってきたわね。)
女がそんな事を考えている中、離れて見ていたノブが、雅に対して口を開く。

「なるほど。あの銃から放たれる玉には、金の属性を使ってるんですね?」
「半分正解だね。確かに今の攻撃に使った弾には、金の属性が使われていた。だがね、さっき水弾を撃ったときには、金の力は感じなかったよ。」

「へ?じゃぁあの弾は?」
「おそらく、あの子の作った弾丸の術は元々、属性を使っていない術なんだろうね。そこに、新たに金の属性を付与する事で、金の力を纏った弾にしたんだろうさ。」
「そ、そんなことが。シゲ、すげぇな。」

(おそらくは、裕二あたりの入れ知恵だろうね。ここまでの術をあの子に作らせるなんて、公弘の教え方もたいしたもんだ。2人が本気で教えれば、ここまでになるとはね。
まったく、本当にわがままな子たちだよ。)
雅は寂しそうにため息をつく。


雅とノブがそんな会話をしているのをよそに、女が口を開く。

「どうやら、本当にそろそろ時間がないみたい。遊んであげられるのもあと少しね。」
そう言って微笑む女の表情には、寂しさと覚悟が入り混じっていた。

「そういえばあなた、さっき雅の殺気で体を強張らせていたわね?だったら、こんなのはどう?」
そう言った女から、重清が感じたことの無いほどの殺気が溢れ出す。

「あ、あ・・・・」
それを感じ取った重清はただ、その場で足を竦ませる事しか出来なかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

伯爵令嬢が効率主義の権化になったら。 〜第二王子に狙われてるので、セシリアは口で逃げてみせます〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「楽しみだなぁ」  第二王子・アリティーは、全てが自分の思い通りになると信じてやまない男だった。     ◇ ◇ ◇    華々しい社交界デビューを飾り、それ以降も何かと目立っている伯爵令嬢・セシリア。  デビューの日にドレスをジュースで汚された件も落ち着いて、やっと美味しく紅茶が飲めると思いきや、今度は社交界デビューであったもう一つの珍事・セシリアが王族から『第二王子・アリティーと仲良くする権利』を与えられた件が、遂に水面下で動き出す。    今度の相手は、めげない曲者権力者。  そんな彼に、義務以外の無興味事は全てゴミ箱にポイしたい伯爵令嬢・セシリアが、社交力と頭脳で立ち向かう。  そう、全ては己の心の平穏と、優雅なティータイムのために。     ◇ ◆ ◇ 最低限の『貴族の義務』は果たしたい。 でもそれ以外は「自分がやりたい事をする」生活を送りたい。 これはそんな願望を抱く令嬢が、何故か自分の周りで次々に巻き起こる『面倒』を次々へと蹴散らせていく物語・『効率主義な令嬢』シリーズの第6部作品です。 ※本作品までのあらすじを第1話に掲載していますので、本編からでもお読みいただけます。  もし「きちんと本作を最初から読みたい」と思ってくださった方が居れば、第2部から読み進める事をオススメします。  (第1部は主人公の過去話のため、必読ではありません)  以下のリンクを、それぞれ画面下部(この画面では目次の下、各話画面では「お気に入りへの登録」ボタンの下部)に貼ってあります。  ●物語第1部・第2部へのリンク  ●本シリーズをより楽しんで頂ける『各話執筆裏話』へのリンク  

片翼を君にあげる③

☆リサーナ☆
ファンタジー
毎週金曜日更新です(^^) 主人公ツバサは18歳の誕生日1週間前に不思議な夢を見る。 それは10年前に別れた幼馴染み、レノアと「将来夢の配達人になって必ず会いに行く」と約束した時の夢。 だが、約束と異なり彼は現在ただの学生。 15歳の時父の死を境に、夢の配達人への夢を遮られてしまった為だ。 しかし、レノアの20歳の誕生日パーティーで二人は再会。 それをキッカケに本当の気持ちに目覚め、再びあの日の約束と自分の夢を叶える為に動き出す。 この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 2022.9.2(金) 連載開始予定

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

処理中です...