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忍者部、戦力強化
第64話:みーちゃんとあっちゃん
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「さて重清、ここからは昨日言っていた新しい忍者を作るための時間だ。」
最初の1時間の雅との修行という名の罵倒の嵐を終えたあと、あと一歩で心の折れそうな重清が、公弘の言葉に覇気のない目で頷く。
「おいおい重清、やる気あんのかよー?」
裕二が、そんな重清に呆れ気味に声を掛ける。
「いやぁ、やる気はあんるだけどさぁ。なんかもう、心がポッキリいっちゃってるんですよねぇ。」
重清が、あははと笑って裕二に返す。
「重清、ばあちゃんからボロクソ言われてたからなぁ。」
プレッソが、そんな重清を珍しくフォローする。
「まぁ、裕二もそうだけど、ばあちゃんは感覚派だからね。人に教えるのは苦手なんだよ。」
公弘が、苦笑いで裕二に目を向ける。
「人に教えるのって難しいよなぁ。まぁ、流石にばあちゃんみたいに、そのもどかしさを人にぶつけたりはしないけど。」
「え!?あれって、ただの八つ当たりなの!?」
「「うん。」」
「「はぁーー。」」
公弘と裕二の重なる声に、重清とプレッソはただ、ため息をつくことしか出来なかった。
「まぁ、それでもばあちゃんの指導を受けられるなんで、他所の忍者からしたらめちゃくちゃ羨ましいようなことらいしんだけどな。」
「いや、知らないよそんなこと!」
「まったく、家族のありがたみがわからないやつは悲しいねぇー。俺たちだって、いつまでもお前の面倒見てもいられないんだから、ちゃんと自分で頑張っていけよ?」
「裕二の言うとおりだ。ってことで、俺たちは術が出来るまでは付き合わないからな。とりあえずその方法と、術の方向性だけは一緒に考えてやるから。大体、そうだな、2週間は付き合うよ。」
「え!?最後まで付き合ってくれないの!?」
「ばあちゃんは最後まで付き合えって言ってたけどな。それだと、お前のためにならないだろ?2人で話して、そう決めたんだよ。」
「まぁ、そう言われたらそうだけどさ。」
「大丈夫!お前も、じいちゃんとばあちゃんの孫なんだから!」
「・・・わかったよ。」
公弘の笑顔に、重清は不貞腐れた顔でそれだけ返す。
「はいはい、そんな顔しないで!じゃぁ早速、新しい術の方向性から考えていこう!」
公弘の言葉と共に、重清は新しい術へと、思考を反らせていくのであった。
------
そして1時間が経つ頃、重清の思考を埋め尽くしていたのはだた1つとなっていた。
「アカ、ばあちゃんの修行大丈夫だったかな。」
今更になってアカが雅との修行を希望していたことを思い出した重清は、そのことで頭がいっぱいになってくる。
そして、公弘が本日の修行終了を告げるのと同時に、次の中忍体ルールでの模擬戦のための集合場所へと走り出す。
「おい、重清。お前が急いだところで、どうしようもないんじゃないか?」
走る重清に対し、プレッソが話しかけてくる。
「そうは言ってもさ!何もしないってわけにもいかねーだろ!」
「まぁ、骨くらい拾ってやるか。」
縁起でもないことをつぶやくプレッソを無視して重清は走り続け、次の集合場所へと到着する。
そこでは、予想外の光景が広がっているのであった。
「やだー、みーちゃん!もー、わたしそんなこと言ってないよ~。」
「そうだったかい?あっちゃんだったら、あたしゃ安心できるんだけどね~。」
ものっすごい女子会中の雅とアカであった。
「えっと・・・アカ??」
その場で呆然としていた重清は、意識を取り戻すとアカへ声をかける。
「あら、シゲじゃない。もう、みーちゃんって最高!」
そう言って満面の笑みを浮かべるアカの横で、雅も同じく笑顔で重清に口を開く。
「アカちゃんはいい子だねぇ。この子が重清の嫁になるんだったら、あたしゃ文句もないんだけどね~」
「ちょっとみーちゃん!さっきも言ったじゃん!わたしは年上が好みなのよ~」
「そうだったね~。ほんとに残念だよ~」
もう、重清は置いてけぼりである。
その後、他のメンバーも揃い、それぞれがその衝撃の映像にそれぞれ良いリアクションを取りながらも、その日の模擬戦が始まるのであった。
ただし、重清だけは衝撃から抜け出すことができず、その日の模擬戦は散々な結果になったという。
------
「いや~、しかし。今日はもう色々と起きたな。」
『喫茶 中央公園』の一隻に腰を下ろした重清が、早速とばかりに口を開く。
「そうだね。まさかシゲのお兄さんたちまで修行に参加してくれるとは思わなかったよね。」
「いや、それ言うなら、ウチの親父だってそうだぜ?」
「いや、恒久の親父さんは、結局恒吉にしか教えてないんだから、自分ちでやるのとあんまり変わらないだろ。」
「そうだよ。プレッソの言うとおりだよ。っていうか、そんなことより、茜がばあちゃんとすげー仲良くなってたのが一番の衝撃だったんだけど!!」
「「「あー、あれは確かに衝撃だったわ」」」
重清が叫ぶと、聡太、恒久、プレッソが声をそろえる。
「でもさ、部活始まってからも色々あったけど、その前のも結構大変じゃない?」
「あぁ、実力試験だろ。」
聡太の言葉に、恒久が頷いて口を開く。
「とりあえず、これまで通りではあるけど、部活が終わったらここでみんなで勉強だな。まぁ、茜はいないけどな。」
「そういえば、茜は今日はどうしたの?」
「あいつ、友達と勉強するんだとよ。おれらとばっかりいると、親友から怒られるんだとよ。」
恒久の言葉に、聡太が、
「女子って、大変なんだね~」
と、頷く。
「あー、勉強したくねーー!」
「シゲは、ノリさんの罰ゲームじゃなくておばあさんの修行なんでしょ?頑張らなくてもいいの?」
「頑張ります!!死ぬ気で頑張る所存です!!!!」
「はいはい、うるさいからね~。」
やる気に満ち満ちた声で、他に客のいない店内で叫ぶ重清に、聡太が冷たくつっこむ。
こうして、部活では修行、その後みんなで勉強会を繰り返していると、すぐに1週間が過ぎる。
やらなければいけないことがあるとき、時間が経つのは早く感じるものなのである。
そして、実力試験のひがやってくるのであった。
最初の1時間の雅との修行という名の罵倒の嵐を終えたあと、あと一歩で心の折れそうな重清が、公弘の言葉に覇気のない目で頷く。
「おいおい重清、やる気あんのかよー?」
裕二が、そんな重清に呆れ気味に声を掛ける。
「いやぁ、やる気はあんるだけどさぁ。なんかもう、心がポッキリいっちゃってるんですよねぇ。」
重清が、あははと笑って裕二に返す。
「重清、ばあちゃんからボロクソ言われてたからなぁ。」
プレッソが、そんな重清を珍しくフォローする。
「まぁ、裕二もそうだけど、ばあちゃんは感覚派だからね。人に教えるのは苦手なんだよ。」
公弘が、苦笑いで裕二に目を向ける。
「人に教えるのって難しいよなぁ。まぁ、流石にばあちゃんみたいに、そのもどかしさを人にぶつけたりはしないけど。」
「え!?あれって、ただの八つ当たりなの!?」
「「うん。」」
「「はぁーー。」」
公弘と裕二の重なる声に、重清とプレッソはただ、ため息をつくことしか出来なかった。
「まぁ、それでもばあちゃんの指導を受けられるなんで、他所の忍者からしたらめちゃくちゃ羨ましいようなことらいしんだけどな。」
「いや、知らないよそんなこと!」
「まったく、家族のありがたみがわからないやつは悲しいねぇー。俺たちだって、いつまでもお前の面倒見てもいられないんだから、ちゃんと自分で頑張っていけよ?」
「裕二の言うとおりだ。ってことで、俺たちは術が出来るまでは付き合わないからな。とりあえずその方法と、術の方向性だけは一緒に考えてやるから。大体、そうだな、2週間は付き合うよ。」
「え!?最後まで付き合ってくれないの!?」
「ばあちゃんは最後まで付き合えって言ってたけどな。それだと、お前のためにならないだろ?2人で話して、そう決めたんだよ。」
「まぁ、そう言われたらそうだけどさ。」
「大丈夫!お前も、じいちゃんとばあちゃんの孫なんだから!」
「・・・わかったよ。」
公弘の笑顔に、重清は不貞腐れた顔でそれだけ返す。
「はいはい、そんな顔しないで!じゃぁ早速、新しい術の方向性から考えていこう!」
公弘の言葉と共に、重清は新しい術へと、思考を反らせていくのであった。
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そして1時間が経つ頃、重清の思考を埋め尽くしていたのはだた1つとなっていた。
「アカ、ばあちゃんの修行大丈夫だったかな。」
今更になってアカが雅との修行を希望していたことを思い出した重清は、そのことで頭がいっぱいになってくる。
そして、公弘が本日の修行終了を告げるのと同時に、次の中忍体ルールでの模擬戦のための集合場所へと走り出す。
「おい、重清。お前が急いだところで、どうしようもないんじゃないか?」
走る重清に対し、プレッソが話しかけてくる。
「そうは言ってもさ!何もしないってわけにもいかねーだろ!」
「まぁ、骨くらい拾ってやるか。」
縁起でもないことをつぶやくプレッソを無視して重清は走り続け、次の集合場所へと到着する。
そこでは、予想外の光景が広がっているのであった。
「やだー、みーちゃん!もー、わたしそんなこと言ってないよ~。」
「そうだったかい?あっちゃんだったら、あたしゃ安心できるんだけどね~。」
ものっすごい女子会中の雅とアカであった。
「えっと・・・アカ??」
その場で呆然としていた重清は、意識を取り戻すとアカへ声をかける。
「あら、シゲじゃない。もう、みーちゃんって最高!」
そう言って満面の笑みを浮かべるアカの横で、雅も同じく笑顔で重清に口を開く。
「アカちゃんはいい子だねぇ。この子が重清の嫁になるんだったら、あたしゃ文句もないんだけどね~」
「ちょっとみーちゃん!さっきも言ったじゃん!わたしは年上が好みなのよ~」
「そうだったね~。ほんとに残念だよ~」
もう、重清は置いてけぼりである。
その後、他のメンバーも揃い、それぞれがその衝撃の映像にそれぞれ良いリアクションを取りながらも、その日の模擬戦が始まるのであった。
ただし、重清だけは衝撃から抜け出すことができず、その日の模擬戦は散々な結果になったという。
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「いや~、しかし。今日はもう色々と起きたな。」
『喫茶 中央公園』の一隻に腰を下ろした重清が、早速とばかりに口を開く。
「そうだね。まさかシゲのお兄さんたちまで修行に参加してくれるとは思わなかったよね。」
「いや、それ言うなら、ウチの親父だってそうだぜ?」
「いや、恒久の親父さんは、結局恒吉にしか教えてないんだから、自分ちでやるのとあんまり変わらないだろ。」
「そうだよ。プレッソの言うとおりだよ。っていうか、そんなことより、茜がばあちゃんとすげー仲良くなってたのが一番の衝撃だったんだけど!!」
「「「あー、あれは確かに衝撃だったわ」」」
重清が叫ぶと、聡太、恒久、プレッソが声をそろえる。
「でもさ、部活始まってからも色々あったけど、その前のも結構大変じゃない?」
「あぁ、実力試験だろ。」
聡太の言葉に、恒久が頷いて口を開く。
「とりあえず、これまで通りではあるけど、部活が終わったらここでみんなで勉強だな。まぁ、茜はいないけどな。」
「そういえば、茜は今日はどうしたの?」
「あいつ、友達と勉強するんだとよ。おれらとばっかりいると、親友から怒られるんだとよ。」
恒久の言葉に、聡太が、
「女子って、大変なんだね~」
と、頷く。
「あー、勉強したくねーー!」
「シゲは、ノリさんの罰ゲームじゃなくておばあさんの修行なんでしょ?頑張らなくてもいいの?」
「頑張ります!!死ぬ気で頑張る所存です!!!!」
「はいはい、うるさいからね~。」
やる気に満ち満ちた声で、他に客のいない店内で叫ぶ重清に、聡太が冷たくつっこむ。
こうして、部活では修行、その後みんなで勉強会を繰り返していると、すぐに1週間が過ぎる。
やらなければいけないことがあるとき、時間が経つのは早く感じるものなのである。
そして、実力試験のひがやってくるのであった。
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