おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
上 下
7 / 519
忍者部

第6話:質問は手を挙げて

しおりを挟む
シゲの具現獣の名前がプレッソに決まって一段落したところで、古賀が4人に話し出す。

「さて、今日のところはこれで解散としたいんだけど、最後に何か、質問はあるかな?」
そう古賀が尋ねると、ツネが手をあげる。

「3つほどいいですか?1つ目ですが、おれの武具は手裏剣でした。これ、当たれば確実に怪我すると思うんですけど、これって順守事項に引っ掛かりますよね?」

「あー、その辺話してなかったね。もちろんその辺は、状況によるよ。基本的に、忍者部として活動してるときは、私が許可するから安心して。」
それを聞いたツネが頷くと、アカが古賀に尋ねる。

「さっきの話だと、忍者部の活動の中では誰かを傷つける可能性があるってことですか?ってことは逆に、自分が傷つくこともあるんですか?それって、その、危なくないですか?」

「そうだねー、危ないかどうかで言ったら、やっぱり危ないとは思うよ。そこは、私がちゃんと目を見張らせてるから、安心して、としかいえないかなぁ。一応、ここで負った傷は、ここから出たら無くなるからそこは安心して。おまけに、ここでの時間は掛け軸の向こうと違って止まってるから、ここから出たら、入ったときの時間から変わってないんだ。」
それを聞いた4人は、驚く。

「先生、そんな忍術使えるんですか!?すげーー!」
と、シゲが古賀を尊敬の眼差しで見る。

「あ、これは私の忍術じゃないよ?忍者部のある学校全部に、配置されてるからね。ほんと、この忍術作った人は天才としか言いようがないよ。」
「忍者部って、ほかの学校にもあるんですか?」
と、ソウが聞く。

「あるよー。市内だと、うち以外に一中、三中、四中にあるね。」

((((市内の中学全部じゃねーか!))))
4人心のなかでの総つっこみには気づかず、古賀が話しを続ける。

「まぁ、この辺の話は明日また話すよ。それよりはシゲ、なんで忍者部の部室の時間が止められているのかわかる?」

そう問われたシゲは、少し考えてこう答える。
「えっと、部活終わったあと遊ぶため?」

「はぁー、まったく。いいかい、きみたちはもともと、『社会科研究部』に入るという名目でここにきたでしょ?ここから出たあとは、社会科研究部として、活動してもらいます。といっても、それはそこまでガッツリやる必要はないんだけどね。年に一度ある文化祭に出すために、それなりのことをまとめた報告書を作るくらいだから、みんなでぼちぼち作ってね。それよりも大事なことがある。アカ、何だと思う?」
問われたアカは、自信を持って答える。

「デート、ですn」
「違う。」古賀が被せぎみに言う。
「ほんとにきみたちは・・・アカとシゲはよーくお似合いだよ。」
そう言われてシゲが顔を赤くしてアカを見るも、

「ごめんなさい!」
と、告白してもいないのにソッコーでアカにフラれてしまうシゲ。

「ふっ、ざまぁ(ボソッ)」

シゲは真顔で、ソウに話しかける。

「なぁソウ、おれここ2ヶ月で2回フラれたぞ。月1ペースだぞ。しかも今のは、ほぼほぼ巻き込まれ事故だぞ。どうするんだ?さらに、古賀先生小さな声で『ざまぁ』とか言ってたぞ。」

「いや、知らないよ!シゲの中で処理してよ!古賀先生の言葉には僕も衝撃受けてるとこなんだよ!」

「はいはい、無駄話はこれくらいにして、続けるよー」
古賀が(自分の発言を誤魔化しつつ)呆れながら言う。

「きみたちにとって大事なこと、それは勉強だよ。」
「忍者の、ですか?」
古賀の言葉に、戸惑いながらアカが聞く。

「いやいや、学校の勉強ね。課題だったり予習・復習だったりとか。忍者部の存在のせいで、きみたちが学校の勉強時間がとれなくなることの無いようにっていう、制作者の配慮なんだよ、この部室の時間停止も。」
(またでたな、『制作者の配慮』)
ツネがそう思っていると、古賀が続ける。

「きみたちには、忍者部として活動してもらいつつ、社会科研究部としても活動し、さらには勉強もしっかりと頑張ってもらいます。」
「えぇーー!勉強なんて、忍者に必要ないじゃーーん!」
と、シゲが心の底から嫌そうに言う。

「シゲ、本当にそう思う?例えばシゲが、忍者として生活するとする。結婚して子どもも生まれる。そして40才になったある日、ちょっとした不注意で周りに忍者ということがばれてしまう。
するとどうなる?きみは忍者としての記憶がなくなる。もちろん、忍者としての仕事もなくなる。つまりきみは、訳もわからず突然無職になるわけだ。そうなったとき、家族はどうする?」
「うぐっ・・・」
そう言われてシゲは、なにも言い返せなくなる。

「わかっただろ?忍者というのは所詮裏の顔でしかない。だからこそ、しっかりと表の顔を築き上げる必要があるんだ。そのために、必ず勉強が必要になるとは限らない。でも、してて損はないと思わないかい?」

古賀のその言葉に、4人は納得して頷く。
「判ってくれてよかったよ。」
と、古賀は笑顔で4人を見る。

「っていうか、だったらこの部屋で勉強すれば、時間気にしなくてすむんじゃないですか?」
ソウが聞くと、
「残念ながらそれは出来ない。なぜならこの部屋、1日3時間いたら自動的に追い出されるから。」
古賀がそう返す。

「と、話が長くなってしまったけど、ツネ、質問の2つ目は?」

「2つ目ですが、おれ、さっきも言ったように父から言われてここに来ました。ってことは多分、父も忍者の可能性が高いんですが、この場合ここでのこと、話しても大丈夫なんですか?」
「んー、あくまでも可能性の話だよね?さすがに、それだけでツネから話すのはやめておいてくれないかな?」

「相手が忍者かどうかって、わかるもんなんですか?」
古賀の言葉に、ツネが続けて質問する。

「んー、今のきみたちには難しいだろうね。一人前の忍者なら、相手が忍者かどうかはわかるはずだよ。一応忍者の礼儀として、忍名を名乗ったりするから、相手が忍名を名乗った場合は、忍者だと思っていいよ。」

「そうですか。わかりました。じゃぁ最後の質問なんですが、この忍者部は、一体何を目的に活動するんですか?」
「ツネ、いい質問だね。でも、この質問に対する説明は、明日改めてにするよ。今日はきみたちの先輩も来てないしね。」

「えっ、先輩もいるんですか!?」
古賀の言葉に、アカが顔を輝かせて聞き返す。

「アカのこれまでの発言で、何を期待してるかはなーんとなくわかるけど、ここ、部内恋愛禁止だからね。私の前でリア充になったら、きつーい罰を与えます。」

「えぇーー!ちょっとそれ、ひどくないですか!?」
アカの悲痛な叫びがこだまする。

「いやほら、これも公私混同しないようにする練習みたいなもんだから、さ。」

((((絶対嘘だ))))
古賀のこれまでの発言から、古賀こそが公私混同したルールを作っていると、4人の意見は一致していた。

そのときふと、シゲが足元を見ると、プレッソがいつも間にか、眠っていた。
「あー、先生?プレッソは、どうすればいいんですか?」
そう聞かれた古賀は、
「『戻れ』って念じてごらん?ほかのみんなも、武具に戻れって念じて?」

そう言われた4人がそれぞれ念じると、プレッソと武具は光になり、そのまま持ち主(飼い主?)の胸の中へと吸い込まれる。
「基本的に武具や具現獣は、念じれば簡単に出し入れ出来るからね。プレッソはまだいいとして、他の3人は簡単に武具の出し入れしないようにね?」

「プレッソはいいんですか?」
ツネが不満そうにそう言うと、

「ポンポン出し入れするのはまずいけど、一度出てしまえばプレッソは普通の猫にしか見えないからね。武具だと、他の人が見たりしたらいろいろ面倒だろ?それに、生きているからこそ、たまには外に出してあげないと、ね?」

そう古賀が言うと同時に、古賀の具現獣ハチが出てきて、古賀を優しくつついてまたすぐに姿を消す。
「具現獣とは、しっかりと信頼関係築いていかなきゃいけないし、よかったらベットとして飼えるか、家で聞いてみたらどう?」

その古賀の提案に、重清は残念そうに答える。
「ウチ、いつも動物飼うの反対されるんですよねー」
「ま、聞くだけ聞いてみなよ?ダメなら1人でいるときだけこっそり出してあげればいいんだし。」
「とりあえず、聞くだけ聞いてみるか!」
シゲがなかばやけになってそう言うと、古賀が4人を見て言う。

「他に質問がないなら今日はこれで解散!明日も放課後、またここに来てね。掛け軸に忍力出しながら触れたら入れるから。明日は今日話さなかった忍者部の目的と、先輩達との顔合わせになるかな?ってことで、かいさーん。」

古賀がそう言うと、4人と古賀は現実の部屋へと戻っていた。
実際には、見た目の全く変わらない部屋ではあるものの、忍者となった4人には、そこがこれまでいた部屋と違うということがすぐにわかった。

「じゃ、今日はこれにて、ドロン。」
と言って、古賀は普通に図書室につながる扉から出ていく。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転生してギルドの社畜になったけど、S級冒険者の女辺境伯にスカウトされたので退職して領地開拓します。今更戻って来いって言われてももう婿です

途上の土
ファンタジー
『ブラック企業の社畜」ならぬ『ブラックギルドのギル畜』 ハルトはふとしたきっかけで前世の記憶を取り戻す。  ギルドにこき使われ、碌に評価もされず、虐げられる毎日に必死に耐えていたが、憧れのS 級冒険者マリアに逆プロポーズされ、ハルトは寿退社(?)することに。  前世の記憶と鑑定チートを頼りにハルトは領地開拓に動き出す。  ハルトはただの官僚としてスカウトされただけと思っていたのに、いきなり両親に紹介されて——  一方、ハルトが抜けて彼の仕事をカバーできる者がおらず冒険者ギルドは大慌て。ハルトを脅して戻って来させようとするが——  ハルトの笑顔が人々を動かし、それが発展に繋がっていく。  色々問題はあるけれど、きっと大丈夫! だって、うちの妻、人類最強ですから! ※中世ヨーロッパの村落、都市、制度等を参考にしておりますが、当然そのまんまではないので、史実とは差異があります。ご了承ください ※カクヨムにも掲載しています。現在【異世界ファンタジー週間18位】

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平
ファンタジー
 パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。  神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。  パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。  ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。    

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

jumbl 'ズ

井ノ上
キャラ文芸
青年、大吉は、平凡な日々を望む。 しかし妖や霊を視る力を持つ世話焼きの幼馴染、宮森春香が、そんな彼を放っておかない。 春香に振り回されることが、大吉の日常となっていた。 その日常が、緩やかにうねりはじめる。 美しい吸血鬼、大財閥の令嬢、漢気溢れる喧嘩師、闇医者とキョンシー、悲しき天狗の魂。 ひと癖もふた癖もある連中との出会い。 そして、降りかかる許し難い理不尽。 果たして、大吉が平穏を掴む日は来るのか。

処理中です...