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パンの国のお姫様
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パンの国のお姫様は、とってもお洒落な食パンの女の子。
いちごジャムのドレスに、マーマレードのワンピース、時にはチーズのコートを着て、その白い体を着飾っていました。
そんなお姫様のいるパンの国は、いつもご飯の国と争っていました。
パンの国の人々は言います。
「朝食といったら、パンにコーヒーと決まっているじゃないか!」
それに対して、ご飯の国の人々は言い返します。
「何を言っている!朝ご飯というじゃないか!朝はご飯に決まっている!!」
この『朝食戦争』は、これまで長い間繰り広げられてきた、先の見えない争いでした。
どちらの国の人々も、その争いには疲れ果てていました。
しかし、だからといって相手の主張を認めるわけにもいかず、この争いは続いていたのでした。
そんななか、この2つの国に仲直りのチャンスがやって来ました。
パンの国のお姫様と、ご飯の国の王子様の結婚の話があがったのです。
「私、好きでもない人となんて結婚できないわ」
パンの国のお姫様は、そう言って結婚を嫌がりました。
「まぁ、1度ご飯の国の王子様と会ってみなさい。
ご飯の国の王子様は、素敵な人だと聞いているよ」
パンの国の王様にそう言われて、お姫様は仕方なくご飯の国の王子様と会うことになりました。
とはいえパンの国のお姫様は、お洒落が大好き。
いくら会いたくもないご飯の国の王子様に会うからと言って、お洒落に手を抜くことはありません。
ご飯の国の王子様に会うその日も、パンの国のお姫様はバッチリお洒落に身を包みました。
とっておきのハチミツのドレスに、バターのティアラを身に着けて、パンの国のお姫様はパンの国の国の王子様に会いに行きました。
でも、そんなお洒落なパンの国のお姫様の前に現れたのは、お洒落とは程遠いご飯の国の王子様でした。
真っ白なその体には、ただ黒い海苔のマントを羽織っただけのみすぼらしいおにぎり姿にパンの国のお姫様は、
「こんなお洒落じゃない人となんて、結婚できないわ!」
そう怒って、ご飯の国の王子様の前を去りました。
そんなお姫様の様子を見たご飯の国の王様も、
「あんな娘に、我が息子と結婚などさせられるものか!」
と、王子様の手を引っ張って帰ってしまいました。
ご飯の国の王子様は、父親に引っ張られながらもパンの国の王様にペコリと頭を下げ、そのままその場をあとにして行きました。
「やはり、あの国の王子は優しい子ではないか。まったく我が娘も、見た目など気にしなければ良いものを」
1人残されたパンの国の王様は、寂しそうに呟いていました。
こうして、パンの国のお姫様とご飯の国の王子様の結婚話は無くなってしまい、2つの国の争いはさらに激しくなっていきました。
そんなある日。
2つの国を襲う、新たな国が現れました。
グラノーラ帝国です。
朝食戦争に忽然と姿を現したグラノーラ帝国は、その猛威をふるい、2つの国はまたたく間に劣勢へと立たされました。
そして突然現れたグラノーラ帝国に成すすべもなく打ち負かされていった2つの国は、ついに手を取り合うことにしました。
「グラノーラに負けるなー!」
「朝食は、ご飯とパンのものだー!」
そう言い合うパンの国とご飯の国の先頭には、あの、ご飯の国の王子様が立っていました。
そんなご飯の国の王子様の姿は、パンの国のお姫様と会った時のようなみすぼらしい格好ではありませんでした。
ふりかけのキラキラした鎧に、梅干しの盾、そして昆布の剣を持ったご飯の国の王子様は、トレードマークの海苔のマントをはためかせながら、勇敢にグラノーラ帝国に立ち向かいました。
そんなご飯の国の王子様の姿に、パンの国のお姫様は見惚れてしまいました。
でも、王子様の見た目がお洒落だからではありません。
2つの国の、そしてその国民達のためにグラノーラ帝国に立ち向かう、その勇敢な姿に、パンの国のお姫様は見惚れていたのです。
(私は、なんてバカだったのかしら。見た目なんて、どうとでも飾れるのに。
あの王子様のように、みんなのために立ち上がる勇気のほうが、何倍も素敵だわ!)
パンの国のお姫様は、ご飯の国の王子様の姿に、そんなことを考えていました。
そんなご飯の国の王子様の活躍もあって、パンの国とご飯の国は、ついにグラノーラ帝国を打ち破ることができました。
2つの国は、喜びました。
しかし同時に、悲しくなりました。
せっかく協力して戦ったのに、またあの不毛な争いを続けるのか、と。
そんなときに、またしてもパンの国のお姫様とご飯の王子様の結婚話があがりました。
しかしどちらの国も、前回と同じことになるのだろうと、内心気が気ではありませんでした。
そして、パンの国のお姫様とご飯の国の王子様の、2度目の対面が実現しました。
しかも今度は、パンの国とご飯の国の、全国民の前で、です。
たくさんの人々が見守るなか、パンの国のお姫様はゆっくりと歩いてきました。
その姿に、パンの国の人々は驚いてしまいました。
いつもお洒落なお姫様が、飾り気のない、真っ白な砂糖のドレスだけを着て現れたのです。
餡子のネックレスも、チーズの指輪も、ハムのポンチョもありません。
ただ、真っ白いだけの砂糖のドレスだけを着たパンの国のお姫様は、同じく真っ白い体に海苔のマントだけを羽織ったご飯の国の王子様ものとへと歩み寄りました。
「私は、ご飯の国とパンの国、2つの国のために勇敢に戦ったあなたが、大好きになりました。
私は、ずっとお洒落を気にして生きてきました。でも、そんなものよりも大切なものがあるんだと、あなたの雄姿を見て気が付きました。
どうか、私と結婚してください!」
パンの国のお姫様がそう言いながら跪くと、
「はい、よろこんで」
ご飯の国の王子様も跪き、そっとパンの国のお姫様の手を取りました。
2つの国から、大きな歓声が響き渡りました。
こうして、長い間続いた『朝食戦争』は、終わりを告げました。
そして、パンの国のお姫様とご飯の国の王子さまは、結婚しました。
数年後、2人の間にはとても可愛い赤ちゃんが生まれました。
その赤ちゃんこそが・・・・・
「そう!その赤ちゃんこそが、我が社運をかけて作り上げた最高傑作、その名も『ごパン』!!ご飯とパンの良いところを集めた最高傑作です!
このCMと併せて、これから売り出していくこの商品!御社でも是非取り扱っていただきたく!!」
おにぎり頭の丸々太ったおじさんが、これまた食パンのように真っ白な髪のおじさんに、熱く語っています。
さてさて、そんな商品が、本当に売れるのでしょうかね。
いちごジャムのドレスに、マーマレードのワンピース、時にはチーズのコートを着て、その白い体を着飾っていました。
そんなお姫様のいるパンの国は、いつもご飯の国と争っていました。
パンの国の人々は言います。
「朝食といったら、パンにコーヒーと決まっているじゃないか!」
それに対して、ご飯の国の人々は言い返します。
「何を言っている!朝ご飯というじゃないか!朝はご飯に決まっている!!」
この『朝食戦争』は、これまで長い間繰り広げられてきた、先の見えない争いでした。
どちらの国の人々も、その争いには疲れ果てていました。
しかし、だからといって相手の主張を認めるわけにもいかず、この争いは続いていたのでした。
そんななか、この2つの国に仲直りのチャンスがやって来ました。
パンの国のお姫様と、ご飯の国の王子様の結婚の話があがったのです。
「私、好きでもない人となんて結婚できないわ」
パンの国のお姫様は、そう言って結婚を嫌がりました。
「まぁ、1度ご飯の国の王子様と会ってみなさい。
ご飯の国の王子様は、素敵な人だと聞いているよ」
パンの国の王様にそう言われて、お姫様は仕方なくご飯の国の王子様と会うことになりました。
とはいえパンの国のお姫様は、お洒落が大好き。
いくら会いたくもないご飯の国の王子様に会うからと言って、お洒落に手を抜くことはありません。
ご飯の国の王子様に会うその日も、パンの国のお姫様はバッチリお洒落に身を包みました。
とっておきのハチミツのドレスに、バターのティアラを身に着けて、パンの国のお姫様はパンの国の国の王子様に会いに行きました。
でも、そんなお洒落なパンの国のお姫様の前に現れたのは、お洒落とは程遠いご飯の国の王子様でした。
真っ白なその体には、ただ黒い海苔のマントを羽織っただけのみすぼらしいおにぎり姿にパンの国のお姫様は、
「こんなお洒落じゃない人となんて、結婚できないわ!」
そう怒って、ご飯の国の王子様の前を去りました。
そんなお姫様の様子を見たご飯の国の王様も、
「あんな娘に、我が息子と結婚などさせられるものか!」
と、王子様の手を引っ張って帰ってしまいました。
ご飯の国の王子様は、父親に引っ張られながらもパンの国の王様にペコリと頭を下げ、そのままその場をあとにして行きました。
「やはり、あの国の王子は優しい子ではないか。まったく我が娘も、見た目など気にしなければ良いものを」
1人残されたパンの国の王様は、寂しそうに呟いていました。
こうして、パンの国のお姫様とご飯の国の王子様の結婚話は無くなってしまい、2つの国の争いはさらに激しくなっていきました。
そんなある日。
2つの国を襲う、新たな国が現れました。
グラノーラ帝国です。
朝食戦争に忽然と姿を現したグラノーラ帝国は、その猛威をふるい、2つの国はまたたく間に劣勢へと立たされました。
そして突然現れたグラノーラ帝国に成すすべもなく打ち負かされていった2つの国は、ついに手を取り合うことにしました。
「グラノーラに負けるなー!」
「朝食は、ご飯とパンのものだー!」
そう言い合うパンの国とご飯の国の先頭には、あの、ご飯の国の王子様が立っていました。
そんなご飯の国の王子様の姿は、パンの国のお姫様と会った時のようなみすぼらしい格好ではありませんでした。
ふりかけのキラキラした鎧に、梅干しの盾、そして昆布の剣を持ったご飯の国の王子様は、トレードマークの海苔のマントをはためかせながら、勇敢にグラノーラ帝国に立ち向かいました。
そんなご飯の国の王子様の姿に、パンの国のお姫様は見惚れてしまいました。
でも、王子様の見た目がお洒落だからではありません。
2つの国の、そしてその国民達のためにグラノーラ帝国に立ち向かう、その勇敢な姿に、パンの国のお姫様は見惚れていたのです。
(私は、なんてバカだったのかしら。見た目なんて、どうとでも飾れるのに。
あの王子様のように、みんなのために立ち上がる勇気のほうが、何倍も素敵だわ!)
パンの国のお姫様は、ご飯の国の王子様の姿に、そんなことを考えていました。
そんなご飯の国の王子様の活躍もあって、パンの国とご飯の国は、ついにグラノーラ帝国を打ち破ることができました。
2つの国は、喜びました。
しかし同時に、悲しくなりました。
せっかく協力して戦ったのに、またあの不毛な争いを続けるのか、と。
そんなときに、またしてもパンの国のお姫様とご飯の王子様の結婚話があがりました。
しかしどちらの国も、前回と同じことになるのだろうと、内心気が気ではありませんでした。
そして、パンの国のお姫様とご飯の国の王子様の、2度目の対面が実現しました。
しかも今度は、パンの国とご飯の国の、全国民の前で、です。
たくさんの人々が見守るなか、パンの国のお姫様はゆっくりと歩いてきました。
その姿に、パンの国の人々は驚いてしまいました。
いつもお洒落なお姫様が、飾り気のない、真っ白な砂糖のドレスだけを着て現れたのです。
餡子のネックレスも、チーズの指輪も、ハムのポンチョもありません。
ただ、真っ白いだけの砂糖のドレスだけを着たパンの国のお姫様は、同じく真っ白い体に海苔のマントだけを羽織ったご飯の国の王子様ものとへと歩み寄りました。
「私は、ご飯の国とパンの国、2つの国のために勇敢に戦ったあなたが、大好きになりました。
私は、ずっとお洒落を気にして生きてきました。でも、そんなものよりも大切なものがあるんだと、あなたの雄姿を見て気が付きました。
どうか、私と結婚してください!」
パンの国のお姫様がそう言いながら跪くと、
「はい、よろこんで」
ご飯の国の王子様も跪き、そっとパンの国のお姫様の手を取りました。
2つの国から、大きな歓声が響き渡りました。
こうして、長い間続いた『朝食戦争』は、終わりを告げました。
そして、パンの国のお姫様とご飯の国の王子さまは、結婚しました。
数年後、2人の間にはとても可愛い赤ちゃんが生まれました。
その赤ちゃんこそが・・・・・
「そう!その赤ちゃんこそが、我が社運をかけて作り上げた最高傑作、その名も『ごパン』!!ご飯とパンの良いところを集めた最高傑作です!
このCMと併せて、これから売り出していくこの商品!御社でも是非取り扱っていただきたく!!」
おにぎり頭の丸々太ったおじさんが、これまた食パンのように真っ白な髪のおじさんに、熱く語っています。
さてさて、そんな商品が、本当に売れるのでしょうかね。
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