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毒蛇との邂逅
第二十三話
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「うーん、1階の共同スペースやっぱ充実してていいよなあ。使いやすそうだし…やっぱ金持ちすごい…。」
正直実家より快適に暮らせるのでは?というような設備にちゃんと温泉を引いている大浴場まであって、つい、スパイ後もここにいられるように打診しようかな…とか考え始めてしまった。なんならここで働きたいレベルだ。住み込みで食堂とかで雇ってもらえないかな。
さすがにそれは冗談にしても、1階は日常生活を送るには十分すぎるようだと分かった。しかも洗濯などは用務員がやっているようで、大浴場より奥の洗濯室やらリネン室やらは今の時間だと入れないわけではなさそうだが生徒の立ち入りがほぼ皆無で、用務員が数人いる程度だ。早朝や深夜など人気の無さそうな時間なら隠れて使うこともできそうだな。いや、早朝は逆に部活動とかの関係で生徒が来るか…?それもおいおい調査だな。
一方でその手前にある大浴場はなかなか使用する生徒もいるようで、まだお昼の時間だがちらほら出入りがある。清掃は深夜の2:00~4:00と昼の10:00~12:00のようだ。ふむ、深夜にここを通るときは清掃員に見られないように気を付けないとな。
さて、食堂はさっき見たからいいとして…スーパーみたいな店……は狐塚と行くって約束したから後でいいか。となると、上だ。階段で行ってみるかあ…。
ということで俺は階段で2階に上がった。エレベーターもあるんだけど、いざというときのために階段の段数とか勾配とか見ておきたかったから。地図で見て階段がフロアの端と端にしか無かったから何となく想像してたけど、実際来てみるとやっぱりみんなエレベーターを使うからか人気も全然ないし、この豪華な寮の造りにそぐわないこぢんまりした場所だった。非常用階段的な感じなんだろうな。階段は短い感覚で踊り場があり、最上階まで繋がっていた。
一応1階ずつ端の階段から反対の端の階段まで探索しては上るを繰り返し、特に異変もなく5階まで上りきった。5階の風紀のフロアは何となく他のフロアより少し静かな気はしたが、人通りも部屋数もそんなに下の階と変わりないように見えた。…すれ違う人たちがちょっとごつかったかな?くらいか。
「ふぅ…。」
さて、残すは6階。6階は生徒会のフロアだが、立ち入り禁止というわけではないらしい―――しかし、6階にはほとんど生徒会役員か、役員が招いた客しか来ない。立ち入ったことがバレたら即親衛隊に報告されてリンチの未来が待っているからだ。狐塚から聞いたばかりの話に軽く身震いし、パーカーのフードを深く被りなおした。念のためにメガネは外しておいたし、髪もくくった。顔がはっきり見えるだろうけど、俺の場合は見つかったときに、こうした方が返って身元がわかりにくいだろう。いや、そもそもフードをとるような事態にはならないでほしいのだが…。
…まあ、見たところ5部屋しかないし、そこからたまたま人が出てきて鉢合わせる確率は低いだろう。それに、生徒会ならまだ校舎で仕事してるかもしれないよな?つらつらと言い訳を考えてみたが、嫌な予感がぬぐいきれない。なんだこの【フラグがたちました】みたいな感覚は…。お風呂がわきました、みたいな感覚で言うんじゃねえ…。いや、それにしてもここのフロアは早いとこ見ておいた方がいいのは確かだ。住民全員ターゲットらしいし。…………まあ、ちょっと疲れてきてるし、ささっと見て帰ろう、うん。大丈夫、大丈夫……
正直実家より快適に暮らせるのでは?というような設備にちゃんと温泉を引いている大浴場まであって、つい、スパイ後もここにいられるように打診しようかな…とか考え始めてしまった。なんならここで働きたいレベルだ。住み込みで食堂とかで雇ってもらえないかな。
さすがにそれは冗談にしても、1階は日常生活を送るには十分すぎるようだと分かった。しかも洗濯などは用務員がやっているようで、大浴場より奥の洗濯室やらリネン室やらは今の時間だと入れないわけではなさそうだが生徒の立ち入りがほぼ皆無で、用務員が数人いる程度だ。早朝や深夜など人気の無さそうな時間なら隠れて使うこともできそうだな。いや、早朝は逆に部活動とかの関係で生徒が来るか…?それもおいおい調査だな。
一方でその手前にある大浴場はなかなか使用する生徒もいるようで、まだお昼の時間だがちらほら出入りがある。清掃は深夜の2:00~4:00と昼の10:00~12:00のようだ。ふむ、深夜にここを通るときは清掃員に見られないように気を付けないとな。
さて、食堂はさっき見たからいいとして…スーパーみたいな店……は狐塚と行くって約束したから後でいいか。となると、上だ。階段で行ってみるかあ…。
ということで俺は階段で2階に上がった。エレベーターもあるんだけど、いざというときのために階段の段数とか勾配とか見ておきたかったから。地図で見て階段がフロアの端と端にしか無かったから何となく想像してたけど、実際来てみるとやっぱりみんなエレベーターを使うからか人気も全然ないし、この豪華な寮の造りにそぐわないこぢんまりした場所だった。非常用階段的な感じなんだろうな。階段は短い感覚で踊り場があり、最上階まで繋がっていた。
一応1階ずつ端の階段から反対の端の階段まで探索しては上るを繰り返し、特に異変もなく5階まで上りきった。5階の風紀のフロアは何となく他のフロアより少し静かな気はしたが、人通りも部屋数もそんなに下の階と変わりないように見えた。…すれ違う人たちがちょっとごつかったかな?くらいか。
「ふぅ…。」
さて、残すは6階。6階は生徒会のフロアだが、立ち入り禁止というわけではないらしい―――しかし、6階にはほとんど生徒会役員か、役員が招いた客しか来ない。立ち入ったことがバレたら即親衛隊に報告されてリンチの未来が待っているからだ。狐塚から聞いたばかりの話に軽く身震いし、パーカーのフードを深く被りなおした。念のためにメガネは外しておいたし、髪もくくった。顔がはっきり見えるだろうけど、俺の場合は見つかったときに、こうした方が返って身元がわかりにくいだろう。いや、そもそもフードをとるような事態にはならないでほしいのだが…。
…まあ、見たところ5部屋しかないし、そこからたまたま人が出てきて鉢合わせる確率は低いだろう。それに、生徒会ならまだ校舎で仕事してるかもしれないよな?つらつらと言い訳を考えてみたが、嫌な予感がぬぐいきれない。なんだこの【フラグがたちました】みたいな感覚は…。お風呂がわきました、みたいな感覚で言うんじゃねえ…。いや、それにしてもここのフロアは早いとこ見ておいた方がいいのは確かだ。住民全員ターゲットらしいし。…………まあ、ちょっと疲れてきてるし、ささっと見て帰ろう、うん。大丈夫、大丈夫……
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