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兎と狐のランチタイム

第十七話

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《白兎side》

「狐塚くん、お待たせ。」
  教室でスマホを見て待っていた狐塚に後ろから声をかける。
「ん、帰ろうか。」
  狐塚がバッグを持って立ち上がり、2人で教室を出る。
「長いこと捕まってたね?」
「あぁ、うん、なんか編入生だから色々配布物あったみたいで取りに行ってたんだよね。」
  もちろん嘘だが荷物を持って行っていたしバレないだろう。
「そうなんだ。…ところで、あの双子とは何喋ってたの?」
  狐塚がやや垂れた目をくっと細めて問う。うわ、確かに笑ってるのに雰囲気怖いな。ヤクザの息子というのも、問題児でみんながビビってるのも納得だ。
「んー、生徒会とか親衛隊について教えてもらってた…?でも結局あんまりはっきりとは聞けてないんだよね。」
「ふーん…。どこまで聞いたの?」
「えー、生徒会の仕組みと、親衛隊?っていうファンクラブみたいなのがあって、生徒会メンバーとかに近づきすぎたら制裁される、くらいしか聞いてない。」
「あー、うん、ファンクラブね。間違ってはないね。」
「え?あ、あと会長と副会長の親衛隊は怖いから気を付けろって言うのも聞いたな…」
「うん、怖いっていう認識はあってるけど、具体的にどういうことか分かってる?」
「こわい…?護衛みたいなムキムキの人とかってこと…?」
  学園内で筋骨隆々の人も何人か見たもんな。スポーツ推薦枠もあるし。そういうことか?でもなんかそれだとそんな"親衛隊"を何個も組むほどの人数がいない気もする…。
「ふは、いや、うん、そういうのもいるけど、親衛隊のほとんどは小柄な子達だよ。」
「ええ?小柄な子達なのに怖いの?」
  小柄な子達(超武闘派)…?いや想像できないな。なら―――――
「…その親衛隊って、結構大規模だったりする?」
「…うん。小さいので50人ほど、一番大きい生徒会長のとこは何百人規模だったんじゃないかな?」
「あー、なるほどね、うん、何となく分かった気がする。」
  用は親衛対象に近づきすぎたらいじめやらなんやら、陰湿なのが起こるってことだろう、たぶん。怖いっていうのは武力的なあれではなさそうだ。
「まあ、その想像で間違ってはないんだけどね。ただひどいときはほんとに酷い目に遭うから気を付けてね?」
「ひどい目?いじめとかより?」
「まあその延長上ではあるけどね。過去には生徒会副会長に近付きすぎた子が精神を病んで退学したこともあるよ。」
「退学?!何されたの?!」
「レイプ。」
「レっ…!?」
 は、犯罪じゃねーか!!!どっぷり犯罪刑法でアウトだよ!!
「え、その、親衛隊の方は…?」
「実行した男は捕まったけど、計画したりその男をはめたりした方は実際誰が関わってるっていうのも証拠は出てこなかったしお咎めなし。まあ、犯人が親衛隊だってことなんか分かりきってるんだけどね。」
「ええ?!」
  ぶっ飛んでる…!!なんだよそれ…!分からないからって…そんなのないだろ?!
「まあ、これは去年?とかのことだし一応親衛隊は行きすぎた制裁はダメだって連絡はされたみたいだけど、そんなの守るようなら始めからそんなことになってないだろうしねー。まあ、レイプやらリンチやらは制裁としてはまあまああったよ。」
「なっ…!!」
  レイプにリンチ?!!ここは無法地帯なのか?!…しかもそれが世間に明るみになっていないってことは、学園側も黙認してるってことだ…本当に腐ってる。
「まあとにかく親衛隊とかいうやつらがいる生徒会は関わらない方がいいよ。てか関わっちゃダメ。もちろんあのうるさい双子もね。分かった?」
「う、うん…。」
  いや、だから、俺のターゲットはそいつらだから関わらないっていうのは無理なわけで。え、本当に大丈夫か?俺。一年後、生きてここを出られるのか…?
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