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 全く。俺は一体何をしているんだ……

 今回のことは、事故として処理された。学生たちもすべて救出され、俺やゲキファ、コレリールも、学園に戻ってから治療を受けた。

 事態を混乱させたと言われた俺は、当分の間、寮の部屋で謹慎になるところだったが、学生たちを救出したことが評価され、翌日一日の謹慎だけで済むことになった。

 そして、謹慎中にもかかわらず、なぜか俺だけ学長室まで呼ばれて話を聞かれることになった。学園長は相変わらず、俺にだけあたりがきつい気がする。

 早朝から部屋に来たヴェアに連れられ、学長室まで来た俺は、すでに何度か繰り返したことをもう一度、デスクの向こう側で聞いてるのか聞いていないのか分からない顔をした学園長に話した。

「だから、俺は使い魔見たさにあの森に突っ込んだだけだと言っただろう。コレリールたちと、午後からフォイソオン教授に会いに行く約束をしていたから、迎えに行っただけだ」

 すべて本当のことを言っているのに、学園長は苦い顔をする。

「……それが事実であったとしても、言い訳にはならない。君は唯一、あのロフズテルの愛弟子とも言える存在なんだ。そんな君が、あの森に入って使い魔を探していたなんて言われたら、穏やかではいられない奴らがいるんだよ」
「臆病者どもめ……俺の何がそんなに恐ろしいんだ? 破壊の魔法で学園を破壊するとでもいうのか? それとも、岩の庭園の魔力を狙っているとでもいうのか? 馬鹿らしい。俺はただ、あの海辺の研究所を再興したいだけだ」
「それだって、なんのためにそんなことをするんだっていう人がいる」
「俺がロフズテルを呼び寄せ、二人で魔力を狙うというのか? 馬鹿らしい!! ロフズテルはそんなものに興味はないし、それは俺も同じだ」
「それは俺にも分かるよ。ロフズテルは、そういったものに興味を示さない変人だったから。だけど、疑いがかかっている以上、君に話を聞かないわけにはいかないんだ」
「めんどくさい連中だ……俺より、セアガレンに話を聞いたらどうだ? あいつはあの時、警備隊を呼ばなかったんだぞ」
「……遅れただけだって、本人は言っていたよ」
「どれだけ遅れたらああなるんだ!! ゲキファが魔力を使って自分の居場所を伝えても来なかったんだぞ!! 誰かが故意に遅れさせたに決まっている!!」
「そう言われても、俺の方でそれを調査するってなると、また色々としがらみに取り憑かれちゃうんだよ。困った困った」
「嘘くさいんだよ……早い話、自分で探すのは嫌だってことか?」
「そんなこと言ってない。だけど、学園長が誰かを調べたってなれば、その種族から目をつけられる。ただでさえ、今回の使い魔騒動で、精霊族もピリピリしてるのに。君も、しばらくは大人しくしててよ? 精霊たちが、妖精がついに岩の庭園の魔力に近づいたって、しつこく報告を求めてきてる。その上、岩山の方を視察させろなんて言いだしたんだ。刺激せずに今回の事故を報告するので、俺だって手一杯なんだから、もう問題起こさないでね」
「……俺は何もしていないだろう」

 こいつ、困っているように見えないぞ。やっぱりどこかインチキ臭い奴だ。
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