異世界転移した性奴隷、魔王様と旅に出る

番外編.触手です

17.ちょっとだけしたい

　魔王様の手首にからみつく触手を解こうとすると、俺の指が、かすかに魔王様の肌に触れた。それだけで、ドキドキする。

　俺はこの人を傷つけた。こんなことがしたかったんじゃない。魔王様を助けたかった。力になりたかったのに。

「……ご……ごめん……なさい……お…………俺のせいで……」
「口でしろ」
「へ！？」

　びっくりして、つい、顔をあげてしまう。

　焦りか、それとも違う理由なのか、体温が上がって、多分自分は赤くなってるんだって思った。こんな顔見られたら、また魔王様の玩具にされてしまうのに。

　そんな俺のことを、魔王様はどこか楽しそうに見下ろして、意地悪そうに笑った。

　そして、ベッドの上に横になる。

「触手を取るなら、俺に跨って口でしろ」
「はあっ！？　や、やだっ………………！」

　また魔王様が変なこと言い出した。

　口で、なんて、跨って唇でそこに触れないと無理じゃないか！

　俺は大体いつも魔王様に押し倒されて組み敷かれて、いいように嬲られる側だったのに……！！

　だけど、俺がこういう反応をすると、余計に魔王様を楽しませてしまう。

　真っ赤になる俺に、魔王様は微笑んで言った。

「許して欲しいんじゃないのか？」
「うっ…………」

　確かに、魔王様が触手に絡みつかれた件は、俺が悪かったんだ。だけど……そんなの恥ずかしい。

　戸惑う俺に、魔王様がまた、俺を言いなりにしてしまう顔で笑う。

「嫌なのか？」
「…………」
「どうなんだ？」

　そんな顔で言われて、嫌だなんて、言えるはずない。

　それに、ベッドに横たわる魔王様を見ていたら……

　……ちょっとだけしたくなってしまった……

　真っ白い大きなベッドの上に横たわって、俺に手を差し出す魔王様は、俺よりずっと逞しい身体をしているのに、今は少しゆったりした服を着ていて、腕や足が、服の下からのぞいている。その肌の上に、魔王様の真っ白な長い髪が垂れていて、なんだかいつもよりずっと、色っぽく見えた。

　俺から魔王様に跨ること、あんまりない。

　それに、触手は俺のせいなんだし……

　やれって言われたし……

「じ、じゃあ……し、失礼します……」

　まだちょっと恥ずかしくて、いくつも頭の中で淫らな行為に言い訳つけて、俺は決意した。