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28.いつまでもそんな態度なら

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 拒否したのに、魔王様は怒るどころか、ますます凶悪なまでに唇を吊り上げ、俺を嘲笑う。
 乳首の真上に構えられた瓶から、ドロドロのいやらしい液体が雫になって、尖った俺の胸の先に落ちてきた。

「あっっっ!!」

 冷たい雫が、俺の乳首にあたる。その途端、まるで焼けた汁でも落ちたかのように、乳首の先で熱が弾けた。それは、一気に俺の体を高揚させ、焼けた快感が全身を巡り、体が激しく脈打つ。

「あ、あっ……いや!! いやぁっ……あっ……あぁ……んっっ!!!」

 背中が反り返る。体を動かすたびに、肌は敏感に刺激を感じてしまう。
 俺を抱きとめる腕も、俺の両手を縛る枷の冷たい感触も、身体に触れるドレスの布の柔らかく微かな刺激ですら、俺の体を高めていく。

 このままじゃ変になる。こんなの、俺じゃない。もう、体がむずむずしてる。魔王様に無理矢理教え込まれてきた快楽を、身体が求めている。こんなの、俺じゃない。

 必死に体をよじり、媚薬を落とそうと暴れているのに、媚薬の粒は、俺の乳首から落ちてくれない。まるで意志を持ってそこに食いついているみたいだ。

「な、なんで……なんでえぇっ……」

 泣いている俺の顎を、魔王様の手が捕まえる。辱められて、快楽に喘ぎながら、よだれを垂らす顔を見られてしまう。

 それを眺めながら、魔王様は舌舐めずりをしていた。

「お前が苦痛を選んだんだ……凌辱され、快楽に溺れ、私に跪くことを」
「そ、そんなの……知らない…………もっ……もうやめて……俺が壊れるっ……!」
「どれだけ逃げようとしても無駄だ。それは、私の魔力ですでに魔物化している」
「はっ!?」

 びっくりして見下ろすと、俺の胸の突起を包んだ雫は、生きているみたいに裂けて、まるでそこが口のように開き俺の乳首に噛み付いた。

「ああぁぁっ……!!」

 途端に甘く熱い快感が身体に広がる。噛まれたところから滲み出した快楽は、鎖のように俺の体に纏わり付き、縛りあげ、肉に食い込んでくる。
 もう逃げられない。どれだけ体をよじろうと、逃げられるはずなんかないんだ。
 体の中まで絡めとった快感が俺を追い詰めていく。気づけば俺の体は汗に濡れていた。息まで荒い。すでに濡れていた下着から、どろどろと耐えきれずに漏らした汁が落ちていく。
 これは本当に俺の体なのか? 快楽に溺れて、喘ぎながら濡れていくこれは、本当に俺なのか?

「や、やめろっ…………お、俺をっ……い、いやらしくするな!!」

 喘ぎ声の中で叫んでも、魔王様は俺を嘲笑するだけ。
 泣いている俺の頬を包むように触れて笑う。

「なんて淫乱な花嫁だ……貴様には、善がるだけのいやらしい姿がお似合いだ」
「だ、誰がっ……ひぅっ……! あっ……ぁあっ……あ、ん……!!」

 ふざけたことを言う魔王様に、言い返してやりたいのに、快楽に縛られて唇すら痺れてしまったみたい。喘ぎ声しか出てこない。

 俺の乳首に食いついた媚薬が、乳首への刺激はやめないまま、二つに分裂して、小さな雫は俺の体を這い回り始めた。
 ヌルヌルと冷たいものが肌を這うたびに、耐え難い快感が広がる。

「うっ……ぅうっ……! あ、あぁ……な、なに!? いやぁっっ……!!」

 冷たいそれが、破れたドレスの下に入り込む。そのまま腹に降りて、また二つに分かれて、片方は俺の背中に回る。

「い、いやぁぁ……や、やあ…………いや!」

 逃げようと、体を動かせば動かすほど、それは俺の体を伝っては俺の肌をくすぐり、残酷なまでの快楽を植えつけていく。身をよじればよじるほど、俺の肌とドレスの生地が擦れて、それだけで感じてしまう。

 もう、壊れてしまいそうなほど俺が感じていること、魔王様だって分かっているくせに、その意地悪な指で、媚薬が作ったあとをわざとそっと撫でられた。

「あっ……あっ……んんっ!!」
「……どれだけ淫らなんだ。貴様は。指で触れただけで喘ぐのか?」
「あっ……あぁぅっ……!! ち、ちがっ……!」

 こんなの嫌だ。こんな風に、無理矢理体を高揚させられて、触られて、喘がされて。そのはずなのに、俺、こいつの指に肌が触れるように、わざと背中をそらしている。その指先が気持ち良くてたまらない。いつのまにか、俺はよだれを垂らして、そいつの指にすり寄っていた。
 だけど魔王様は、俺がこっそり魔王様の指に体を擦り付けているのを知ってて、俺の肌から触れそうで触れないところまで、指を離してしまう。

「い、いやっ……! まおぅ……さまっ…………!!」

 あの指が欲しい。触れて欲しい。それなのに、後少しのところで、お預けされてしまう。
 もどかしい。焦らされて、俺の体の中の快楽が、焼けるような欲に変わっていく。たぎる熱でどうにかなってしまいそう。

 あと少し。あと少しで、魔王様の指に俺の肌が触れるのに、届かない。俺が魔王様の指目掛けて、体を動かすたびに、俺を吊るした鎖がガチャガチャなって、それに混じって、俺のよがる声が、汚れた暗い牢の中に響く。

「んっ……ん!! ま、まおぅさまぁっ……!」
「そんなに腰を振ってまで、私の指が欲しいか?」
「う…………あ……だ、誰がっ……!! そんなもんっ……!」

 欲しくない、魔王様になんか、触れられたくない、そう叫びたいのに、言えない。

 本当は触れて欲しい。早くあの手で、俺をイかせてほしい。それなのに、全く素直になれない。

 すると魔王様は、俺を抱きしめていた腕を離し、俺からも離れてしまう。

 再び一人、鎖で吊るされる俺。

 少し離れた位置で、魔王様は鞭をこれみよがしに撫で回しながら言った。

「貴様がいつまでもそんな態度なら仕方がない。私はここで、貴様を仕置きする準備をしよう」
「へっ……!? そ、そんなっ……!! ま、魔王様っ……!」

 なんて奴だ。なにが準備だ。そんなもん、必要ないだろ! 俺を解放するどころか、苦しめたまま放置して見物してるだけじゃないか。
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