【完結】異世界でも変わらずクズだった俺だが気にしない！ クズは生きてちゃダメ？ 追放？ だから出て行ったのになんで執着されてんの俺！

81.そんなんじゃねーよ

　舌打ちしながらも、気まずそうに顔をそむけたスキュクイドは、俺を押し退け立ち上がる。そして、俺らに背を向けて、ボソッと言った。

「……謝るのは、俺の方だ……ごめん……」
「……？　何がだ？」
「あ、あいつらのこと、黙ってたから……」
「あいつらって、そこにいる奴らか？」

　俺は、少し離れたところで縛られて気絶している二人を指差した。ヴァンケズは王国から追放された奴らって言ってたけど……

「お前、あいつらの仲間なのか？」
「……そんなんじゃねーよ……素材を欲しがってたのはあいつらで、俺は協力してただけだ……それと引き換えに、俺の魔法の道具を修復してもらうはずだったんだ」
「魔法の道具？」
「結界を張るためのものだ。王国の元魔法使いだったら直せるんじゃないかと思って、頼んだんだよ…………だけど、素材持って行ったら今度は魔獣のこと聞かれて、知らないって言ったら殴られそうになって……」
「それであんなことになってたのか……」
「巻き込んで、ごめん……」
「んなこと気にしてねーよ！　それより、揉めてたみてーだけど、その魔法の道具っての、直ったのか？」
「へ？　そ、それはまだ……」
「だったら直しに行くぞ！！　どこにあるんだ！？」
「た、多分、地下……つーか、いいのかよ！？」
「なにがだよ？　大事なものなんだろ？」
「…………お前……」
「なんだよ？」

　スキュクイドが急に俯いて、どうしたのかと思ってそいつの顔を覗き込もうとしたら、すぐに顔をそむけられた。
　ついでに背中まで向けられてしまう。

「…………な、何も考えてないだろ……」
「はあ！？　なんだよそれっっ！！」

　いきなり背を向けたかと思えば馬鹿にしやがる！　なんなんだこいつ！！

「お前があんな顔して一緒に飲みに行ってくれねーから追いかけてきたんだろ！」
「余計なお世話なんだよっっ！！　俺のせいでお前らまでこんな目にあってんだろーがっっ！！」
「何がこんな目だ！！　完全勝利だろーがっっ！！　全く問題ねーよっっ！」