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59.任せろ!
しおりを挟む俺は、ヴァンケズを見上げて言った。
「俺が魔獣を見てる! 大丈夫だって! お前の背中にいるんだし、いざとなったら、俺だって、自分の身くらい自分で守る!」
「……頼むよ。一度フィエズートたちのところまで戻る。彼らを連れて、ここから脱出…………っ!」
話の途中で、ヴァンケズは突然頭を低くして俺の足元に頭を突っ込むと、半ば無理やり俺を背に乗せ走り出した。
「ヴァンケズっ……!?」
「捕まって! 魔獣から目を離さないでっっ……!!」
驚いたけど、すぐに俺は手綱を握った。ヴァンケズの指示が間違っているはずがない。
顔を上げれば、俺たちの正面の泥が溜まったところから、魔物が次々飛び出してくるのが見えた。それが俺たちに向かって魔法を放つ。まだあんなに魔物がいるのかよっ……!!
彼の体にくくりつけられた魔獣に覆いかぶさって、飛んでくる魔物から魔獣を守る。
魔物が放った魔法の弾が、俺の頬を掠めていった。
ヴァンケズは、魔物に背を向け走り出す。
「魔物が増えているっ……! フィエズートたちも限界だ! あいつら連れて撤退するぞ!!」
「戦わないのか!??」
「魔獣とフィエズートたちを逃す方が先! リューオ!! 俺は邪魔する魔物たちを破壊する! リューオは魔獣とフィエズートたちを頼む!!」
「分かった! 任せとけ!!」
答えて俺は手綱を握り、気を失った魔獣に「掴まってろよ」と声をかけた。
ヴァンケズは飛び込んでくる魔物たちを切り裂き、あるいは魔法で倒しながら走る。
魔物と戦っていたフィエズートたちも、ずいぶん疲れているみたいだ。飛んでくる魔物を斬り落とし、フィエズートが俺たちに振り向いた。
俺は、そいつに向かって叫んだ。
「フィエズート!! 撤退だ!! 背中乗れっ!!」
「僕は大丈夫!! スキュクイドのことも任せて! リューオは魔獣をっ!!」
フィエズートはそう言って、背中から羽を生やして広げる。光を集めたような羽は、目を見張るほど綺麗だ。それを羽ばたかせ、フィエズートは魔物と戦っていたスキュクイドのところまで飛ぶと、彼を抱き上げた。
「うわっ……! え!? お前っ……! どれだけ馬鹿力なんだよ!」
スキュクイドがそう言って驚くのも無理はない。フィエズートの方がよほど華奢で、身長だって低いのに、まるで重さなんて感じていないかのようだ。
「捕まっていてください……依頼人はちゃんとお守りします!」
「うわっ……!」
フィエズートは空に羽ばたいて、恐ろしいスピードで飛んでいった。
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