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15.騙せると思うなよ!
しおりを挟む俺は、ヴァンケズに振り向いた。
「他にないのか!? 金になるもの!」
「……じゃあ、二人で探す?」
「そうだな。なあ! これはいくらになる!?」
聞きながら、河原に生えていた一際大きい草を引っこ抜く。その根っこには、いっぱい棘みたいなのが生えていた。
なんだ? これ……
ヴァンケズは、それをみて真っ青になっていた。
「それは……毒草……」
「……は?」
「危ない!」
彼が俺の手から毒草を叩き落とす。
地面に落ちていく草の根は、大きな棘を俺たち目掛けて飛ばしてきた。
棘は俺たちに向かってくる途中で一本の槍くらいに大きくなって、俺の目の前の地面に深々と突き刺さる。体に刺さっていたら、絶対に背中まで貫かれていた。
「……っ……な、なんなんだよ!! あれ!!!」
「この辺りに生える毒草だっ……あの棘に毒があるんだ!」
「はあ!!?? なんで草が棘飛ばしてくるんだよ!! めんどくせっ……」
「こっちだ!!」
ヴァンケズに手を引かれて、そばにあった岩の陰に隠れる俺たち。
あぶねー……刺し殺されるところだった……
なんとか二人で隠れられたけど、安心はできない。
俺たちが身を隠す岩に、いくつも棘がぶつかる音がする。少しでも頭を出したら、棘に貫かれそうだ。しかも、棘がなくなることはないのか、ずっと飛んでくる。どうかしてるだろ!!
このままじゃ、身を隠したこの岩だって、いつぶっ壊れるか分からない。
くっそ……こんなところで終わってたまるか!!
俺は、岩の陰から毒草を睨みつけた。
すると、ヴァンケズが俺の服を引っ張って言う。
「リューオ? どうしたの?」
「あの草倒してくる」
「危ないよ! 俺に行かせて!」
「ああ。いいぜ」
「リューオ……ありがとう! じゃあ……」
「だが、それはお前が回復したらだ」
「なんでだよ!! さっきの回復の薬草で、魔力は十分回復してる!! さっきも火をつけたし、焼き網作っただろ!! 俺が行く!」
「嘘つけ。本当に十分回復してたら、お前は魔法を使ってあれを倒してるんじゃないのか?」
「それはっ……」
「ほらみろー。ばーか! そんなんで俺が騙せると思うなよ!!!」
「ふ、ふざけてる場合じゃないだろ!」
「るせえ。黙ってお前は援護しろ。あんなもん、俺だけで十分だ!!」
「待って!! リューオ!」
そいつが伸ばした手をするりと避けて、俺は岩の陰から飛び出した。
そもそもあの草を引っこ抜いたのは俺だしな!
飛んでくる棘を避けて、焚き火から火のついた枝を拾い上げる。それを、毒草に向かって振り上げた。
すると、ご自慢の棘をもろともしない俺に恐れをなしたのか、毒草は地面の中にもぐって逃げていった。
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