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暗雲
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渉が東京に来て、早くも二週間が経った。
この頃になると、渉もずいぶんと東京に慣れ、乗り換え駅で行先表示を見ながらまごつくこともなくなった。相変わらず東京の長い列車は珍しいけれど、列車に乗りながらそわついたり、何も見えない地下鉄の車窓を物珍しく眺めることもしなくなった。
店の仕事にも、ゆっくりとだが慣れはじめている。
棚に置かれたハーブの位置と種類はほぼ憶えてしまって、最初の頃に比べれば随分とスムーズに仕事をこなせるようになった。ただ、水の飲み分けはまだまだ難しくて、どの水がどういうハーブに合うのかといった相性はまだまだ把握が難しい。
「――で、今は水の違いを勉強してる、と」
「うん」
その日、鷹村は珍しく家で朝食を取りながら、久しぶりに渉とのゆったりとした時間を過ごしていた。テーブルには、鷹村が作ったサンドイッチやサラダが並び、いつぞやの晩餐ほどではないが豪華なテーブルだ。
日々をクライアントとの打ち合わせや会社での業務に追われる鷹村が、家で食事を取ることはまれと言ってよく、最初の夜にここで開かれたささやかな晩餐は、だから、今にして思えば鷹村なりに時間を工面してくれたものだったのだろう。
「とりあえず、海外の水と国内の水の違いぐらいはわかるようになったけど……ただ、国内のものとなると、なかなか区別が難しいっていうか」
「まぁ、焦らずじっくりやればいい。大丈夫だ。渉は案外しぶといところがあるから」
「僕が?」
しぶとい、という評価は初めて貰った気がする。
「ああ。高校の頃、最初はちっとも入らなかったスリーをかなりの確率で入れられるようになったろ。誰にも知られないようこっそり練習して」
「えっ、どうして……」
どうして、そのことを知っているのだろう。
たしかに鷹村のいうとおり、高校の頃、渉はどうしてもレギュラーが欲しくて人知れずスリーポイントシュートを練習しまくった。運動神経が悪く、またフィジカルも弱い渉は、ゴール下で相手と競るよりは遠くからスリーを狙った方がよりチームに貢献できると考えたからだ。もっとも実際は、それほど命中精度も上がらずレギュラーとしては使ってもらえなかったけれど。
「涼が言うほどには……それに、大した結果も出せなかったし」
「でも、努力したという結果は残した」
「そんなもの結果とは呼ばない!」
なぜかむっとなって言い返すと、鷹村は驚いたような哀しげな顔をした。
「ごめん……なんか、当たっちゃって」
そうだ。これは完全な八つ当たりだ。だが、何をやらせても優秀な同輩に、努力しただけでも凄いじゃないかと言われて、プライドの傷つかない人間がいるだろうか。
「こ、今度さ、ハーブセラピストの試験を受けるんだ……」
半ば強引に話題を変える。気まずい空気を一掃したかったこともあるが、自分を変えるチャンスを与えてくれた親友に、少しでも前に進んでいるところを示したかった。
「ほんとか?」
「うん。今、店長にレクチャー受けながら猛勉強してるとこ」
「へぇ、あの速水になぁ。大丈夫か? いい加減なことを教わってないか?」
「えへへ多分ね。もし受かったら、資格手当よろしくっ!」
渉の言葉にほっとしたように微笑むと、鷹村は手元のコーヒーを啜った。
そんな鷹村の左手をさりげなく盗み見る。相変わらずその薬指では、十字架をモチーフにしたリングが控えめな光沢を放っている。
指輪についての詳しい話は、鷹村にも、それに店の人間にもいまだに訊けていない。友人なら真っ先に突っ込むべきところだろうが、それを拒む何かが渉の中にあって、結局、二週間が経つ今も触れられずにいる。
鷹村の相手を務めるぐらいだから、よほど自信に満ちた女性なのだろう。さもなければ、この完璧超人のそばにはとてもいられない。――少なくとも、僕には無理だった。
「そうだ。今日、お前の店にうちの奴が行くことになっているんだが」
「うちの奴?」
だしぬけな鷹村の言葉に思わず問い返す。と、
「ああ。俺の事務所で使ってるスタッフなんだが、どうしてもお前の店を見たいと言ってな」
「へぇ、視察ってやつ?」
「あいつはそう言っているが……とりあえず速水には俺から伝えておく」
じゃ、と言って鷹村は席を立つと、風のように玄関を出て行った。
その日、アンジェに顔を出すと、速水がいつになく蒼い顔で渉を出迎えた。
「お、おう、サキ……おはよう……」
「ど……どうしたんですか店長、っていうかその顔……?」
「なに? 俺の顔ヤバい? 髭とか剃り残しちゃってる? それとも鼻毛が飛び出てるとか?」
「いえ、そういうヤバさではないんですが、なんか、その、顔色が……」
「そんなに顔に出てる? うぉぉやべぇ……スマイル、スマイルっと」
そう呪文のように唱えながら無理やり笑みを繕う速水は、やっぱりどこか不自然で、渉は余計に不安になる。あの楽観思考が手足をつけて歩いているような速水をここまで蒼くさせる心配事とは何だろう。速水に、店に、一体何が起こったのか……
「あの、僕でよければ相談に乗りますよ。借金のお願いにはさすがに応じられませんけど……」
「借金? ああ違う違う! そういうんじゃないんだ全然っ!」
ぶんぶんと大げさに手を振ると、速水は心底厭そうに吐き捨てた。
「今日な、あいつが店に来るんだよ」
「あいつ?」
「そう。女帝だ」
「女帝?」
その言葉に、渉は一瞬おやとなる。たしか以前にも、女帝の前ではどうのと誰かが言っていなかったか。
「ああ。社長の事務所に勤めるスタッフなんだが……まぁ俺らからすりゃ本社のエリートってことになるのかな。んで、まぁこの女がとんでもなくおっかねーんだわ。どうおっかねーかは、まぁ、会ってみりゃわかるんだが……」
そういえば今朝、店に事務所のスタッフが行くと鷹村が言っていた。速水が気を揉んでいるのは、どうやらその件らしい。
だが、鷹村の方からは恐ろしいなどという話は聞かなかった。その女帝と呼ばれる社員は、相手が上か下かで態度を変えているのかもしれない。……だとすれば、渉が最も苦手なタイプだ。
「とりあえずサキは、不用心にあいつの前に出ないことだな。あいつ、鈍臭くて不器用な男にはマジで評価厳しいから」
要するにそれは、渉は鈍臭くて不器用だと言いたいのだろうか。――まぁ、たしかに当たってはいるのだけど。
「とくに、接客態度に関してはほんっとウルさいんだよあいつ。実家が高級ホテルチェーンか何かで、大学のときにわざわざ最新のホテル学を学ぶためにヨーロッパに留学したとか……それはまぁ結構なんだがよ、ただなぁ」
「ただ、何です?」
「融通がな、ちっともきかねぇの。まぁよく言えば、よっぽど自分に自信があるんだろうけどさ、でも、自分が認めたもの以外は絶対に許さねぇみたいな性格は、マジで疲れるわ」
その後、次々と出勤してきたほかのスタッフたちも、速水の話を聞くと同じように顔を蒼くした。ハーフの鬼塚などは泣きそうな顔で、
「うち、今日帰ろうかなぁ」
などとぼやいた。
「いいかお前ら。今日の鬼門は何といってもサキだ。知ってのとおり、こいつの接客はまだまだド素人だ。あの女も多分そのあたりをちくちく突いてくるだろう。――そこで今日は、特別なフォーメーションでいく。具体的には、サキはカウンター専門でフロアは俺たちだけで回す。んでもって客は極力フロア席に案内する。いいな?」
「「はいっ!」」
いつになく熱の入った速水のブリーフィングに、いつになく統一感のあるスタッフの掛け声が応じる。要は、なるべく渉に接客をさせないようにしようという話なのだが、そんな仲間の気遣いを、渉はしかし素直には喜べなかった。
要するにそれは、仲間としての能力に不安を覚えられていることの証明なわけで。
とはいえ渉の接客にはまだまだ問題が多いのも事実で、客と会話ができないばかりか、注文さえまともに取れないのには渉も参った。自分では意識して声を張っているつもりでも、客の耳にはなかなか届かないらしく何度も聞き返されてしまう。そのたびに委縮して、かえって声が小さくなってしまうのが自分でも情けなかった。
この店では、ときにスタッフは客との会話の中でニーズを汲み取り、それをもとにオリジナルのブレンドを提案するということも行なう。要はコミュニケーション力の勝負なわけだが、その点で、渉は元営業マンとは思えないほどにダメだった。
いやむしろ、当時の経験が邪魔をして、渉を人前に立たせることを拒むのだ。
視線が怖い。向けられる言葉が、注意が、関心が怖い。
人間が……人間そのものが怖い。
「ごめんな」
軽く肩を叩かれ、ふり返ると速水がすまなさそうに笑っていた。
「一応、サキの頑張りは認めてるんだ。だからこそ、こんなところで潰されてほしくないんだよ」
言いながら、その顔がふと憎々しげに歪む。
「あいつには、人ってのは成長するもんだって概念が欠けてんだ。人間ってのはどれも最初から完璧なんだって――完璧でないのは本人が怠けてるせいだって、そう思い込んでいやがるんだよ。あの女帝って女は」
その女帝が店に現われたのは、意外にも客足の落ち着いた夕方ごろだった。てっきり繁忙時の様子を見に来るものと思っていた渉は、ありがたく感じつつも少し意外に思った。
女帝は、人形のような美人だった。
ほっそりとした色白の顔に形の良い唇、つんと尖った鼻。日本人形のそれを思わせる切れ長の眉目は、見つめているとつい引き込まれそうになる。バレエか何かの経験者だろう、すらりと伸びた首の上にちょこんと乗る顔は人形のように小さく、しなやかに伸びた手脚はさながらマネキンのそれだ。
実際、彼女はどこまでも作り物めいて見えた。顎のラインでばっさりと切り揃えた黒髪や、あるいはモノトーンのスーツが余計にその印象を強めていたのかもしれない。
人間もここまで美しくなると、逆に作り物めいて見えてしまう、彼女はその好例だった。
「これはどーも御園さん」
入口から堂々登場の女帝に、さっそく速水がとりなすように声をかける。
どうやら女帝の名前は御園と言うらしい。
「ご覧のとおり、今日もお客の入りはばっちりですよ。あっ、何でしたら奥の事務所で今日の売上をご覧になります?」
「売上なら共有データで随時チェックしているから結構よ」
「はぁ、そりゃどうも……で、今日はいったいどのようなご用件で」
「とりあえずは現状視察と……あと、先月新しく入った山崎とかいう新人の様子を見にね」
その言葉に、速水がちらりとカウンターに目配せをよこす。何も言うな、との無言の指示に、渉は黙ったまま小さく顎を引いた。
「それは……新人教育の現状を視察にいらした、と理解してもよろしいので?」
「それもあるけど……興味があるのよ。何でも、あの鷹村さんがわざわざ彼の地元から呼び寄せたという話じゃない。どれだけ優秀な方なのか興味があって」
「ああ、そういうことですか……ふぅむ、なるほど、なるほど」
「で、その山崎とかいう人はどこ?」
「そんなことより、まぁ一杯どうです? 何でしたら、先週新メニューに加わったばかりの速水店長特製リラックスカモミールティーをお淹れいたしますが」
と、それまで鋭く店内を見渡していた御園が、不意に速水をふり返る。
「私が質問をはぐらかされるのが嫌いなのを、あなた知ってるでしょ。――答えなさい。彼はどこなの?」
鞭で叩きつけるような声色に、カウンターの奥でやりとりを聞きながら早くも渉は委縮していた。やっぱりこの女性は苦手だ。――かといって、この流れではいつまでも知らんふりを決め込むわけにもいかないだろう。
フロアでは、やはりほかのスタッフが二人の会話のなりゆきをそれとなく見守っている。視線を感じてふり返ると、フロアでテーブルの片づけに当たっている鬼塚が、大丈夫? という目で渉を見つめていた。
同じ西日本出身ということもあって、鬼塚とはずいぶん仲良くなった。先日は、仕事終わりに牛丼屋に連れ出され、関東の牛丼はしょっぱいと散々愚痴を聞かされた。
ファッションにうるさく、渉の私服にいつもダメ出しを加えてくる。今度の日曜は原宿へ案内してもらう予定にもなっていて、正直ファッションには興味のない渉も、とりあえず観光気分で楽しみにはしている。その鬼塚が、今は不安げに渉と速水を見比べている。
「答えなさいッッ!」
横っ面を張り倒すような声に、はっと渉はふり返る。店内の空気がにわかに張りつめて、せっかくの穏やかな雰囲気が台無しになるのを渉は感じた。――渉は声を上げた。
「あ、あの」
えっ、という顔で速水がふり返る。
その目が「よせ」と訴えてきたが、渉は構わなかった。
「あなたが?」
つかつかとヒールを鳴らしながら女帝が歩み寄る。家畜を品定めでもするような眼差しに、人間らしい温かな感情は一切感じられない。東京には、こんな怖い人もいるのか……
やがて御園は、カッ、とひときわ高い音を立てて足を止めた。
「答えなさい。あなたが山崎? 鷹村さんがわざわざ地元から招いた?」
「ま、まぁ、招いたというか……暇だったら手伝ってくれ、みたいな感じで……」
「暇だったら? 嘘でしょうあなた。OFFICE‐Tといえば、今や都内の大学生がこぞって説明会に押し掛ける人気企業よ。並大抵の意識じゃあなた、鷹村さんの傍で働くなんてできっこないの。それをあなた何よ、たまたま手が空いていたから手伝いますみたいな言い方! ありえない! どういう神経してるの!?」
どういう神経かと問われれば、出会いがしらにいきなり罵倒してくる彼女の神経こそどうかしていると渉は思うのだけど、どのみちこういうタイプには火に油だと思えば、ここは黙ってやり過ごすしかないと渉は観念した。
動悸が激しくなり、汗が噴き出る。上京以来久しく忘れていた感覚に、渉は、自分が人並みに比べて弱い人間であることを厭でも思い出さずにはいられなかった。
ふん、と御園は形の良い唇を憎々しく歪めた。
「思った通りだわ。――結局はあなた、鷹村さんのお友達というだけでウチにもぐりこんだだけの人間だったわけね」
「……」
その点は何も否定できないし、弁明するつもりもない。
彼女の言い分はもっともだった。所詮自分は、鷹村に知り合いというだけで雇ってもらえたラッキーボーイだ。これといって意識が高いわけでもなければ、頭がいいわけでもない。そのうえ極度のアガリ症ときている。彼女の言うとおり、冷静に考えれば自分のような人間など……
「聞いてるの!?」
またしても鋭い声が飛んで、渉は思わず首を竦めた。
不意に強い眩暈が襲って、慌ててカウンターで身体を支える。それでも眩暈は治らず、立っているだけでやっとの状態になる。
まずい、このままでは……
「な、なぁ御園さん。さっきから聞いてりゃそういう言い方はないんじゃねぇの? サキは……山崎は、ほんと頑張ってくれてるぜ? ハーブの勉強も熱心だし、それに、」
「だから何?」
フォローに入る速水を、御園は冷たく一瞥する。
「その程度の知識は、むしろ入社前に頭に入れておくべきことでしょう」
「は? そりゃいくらなんでも、」
「あなたもあなたよ。バイトから社員に登用してもらって得意になるのは結構だけど、新人一人ろくに教育できないようでは、管理職としての資質を疑わざるをえないわね」
「いや、あんたに言わせりゃそうなんだろうけど、でも……」
「まぁいいわ。理由はどうあれ、うちに入った以上はきちんと結果を出してもらいますから」
言い捨てると、御園はバレリーナのように鋭くきびすを返した。
渉が、彼女の指に光る小さな輝きに気づいたのはその時だ。十字架をモチーフにしたらしい、その指輪のデザインにはたしかに見覚えがあった。
「大丈夫か?」
はっと我に返る。見ると、カウンター越しに速水が心配そうに渉を見下ろしていた。
「気にすんな。ここに入った連中は、だれでも一度はあの洗礼を受けるんだ。……にしても、さっきのはいくら何でも言い過ぎだと俺は思うけどな。別にコネ入社でもいいじゃねぇか。社長がいいって言ってんだから」
「い、いえ、僕も悪いんです。何も考えず、ただ涼の厚意に甘えて……」
速水の気遣いに答えながら、しかし、渉の気はそぞろだった。
まさか、あの人――
「あ、あの、店長」
「ん? なに?」
「あ、いえ……何でも、ありません」
なぜか後ろめたくなって渉は口をつぐむ。
もし、渉の想像どおり彼女が鷹村の恋人だったとして、だから何だというのだろう。
鷹村が誰とつき合おうとそれは鷹村の自由であり、単なる旧友でしかない自分に口を挟む権利はない。まして今の自分は、住まいも、それに仕事も鷹村におんぶにだっこの身分なのだ。
それに彼女なら、ある意味、鷹村とはじつにお似合いじゃないか。優秀で、何より、完璧という形容がぴったりな美しさを持つ彼女なら……
ふと顔を上げた渉は、店内に何ともいえない重苦しい空気が漂っているのに気づいた。
店内に数人いる客も、何だか居心地の悪そうな顔で手元のカップを啜っている。
この時間の客は、多くが仕事帰りにひとときの安らぎを求めて店に立ち寄る常連客で、マイカップを店に取り置きし、その日の体調と気分に合ったハーブティーを愉しむのを日々の習慣にしている。ひょっとすると、さっきの騒動でその平穏が破られてしまったのかもしれない。
まずい。彼女たちの心を、店から離すわけには――
「あ、あの、店長」
「ん? どうした?」
「お客さま方に……その、ハーブティーをお作りしてもいいですか? お代はその、僕の給料から天引きしてもらって構いませんので」
「えっ、何で……」
「僕のせいで、お客さまがたの貴重な安らぎの時間をお邪魔してしまいました。こんな空気のままお帰りいただくのは、僕としても忍びないです」
呆れたのだろう、速水はぽかんと渉を見つめていた。が、やがて、
「なるほど、そういうことか。――いや、代金のことは心配しなくていい。その代わり、最高のブレンドをよろしく頼むぜ」
にやりと白い歯を見せる速水に、渉は力強くうなずいた。
この頃になると、渉もずいぶんと東京に慣れ、乗り換え駅で行先表示を見ながらまごつくこともなくなった。相変わらず東京の長い列車は珍しいけれど、列車に乗りながらそわついたり、何も見えない地下鉄の車窓を物珍しく眺めることもしなくなった。
店の仕事にも、ゆっくりとだが慣れはじめている。
棚に置かれたハーブの位置と種類はほぼ憶えてしまって、最初の頃に比べれば随分とスムーズに仕事をこなせるようになった。ただ、水の飲み分けはまだまだ難しくて、どの水がどういうハーブに合うのかといった相性はまだまだ把握が難しい。
「――で、今は水の違いを勉強してる、と」
「うん」
その日、鷹村は珍しく家で朝食を取りながら、久しぶりに渉とのゆったりとした時間を過ごしていた。テーブルには、鷹村が作ったサンドイッチやサラダが並び、いつぞやの晩餐ほどではないが豪華なテーブルだ。
日々をクライアントとの打ち合わせや会社での業務に追われる鷹村が、家で食事を取ることはまれと言ってよく、最初の夜にここで開かれたささやかな晩餐は、だから、今にして思えば鷹村なりに時間を工面してくれたものだったのだろう。
「とりあえず、海外の水と国内の水の違いぐらいはわかるようになったけど……ただ、国内のものとなると、なかなか区別が難しいっていうか」
「まぁ、焦らずじっくりやればいい。大丈夫だ。渉は案外しぶといところがあるから」
「僕が?」
しぶとい、という評価は初めて貰った気がする。
「ああ。高校の頃、最初はちっとも入らなかったスリーをかなりの確率で入れられるようになったろ。誰にも知られないようこっそり練習して」
「えっ、どうして……」
どうして、そのことを知っているのだろう。
たしかに鷹村のいうとおり、高校の頃、渉はどうしてもレギュラーが欲しくて人知れずスリーポイントシュートを練習しまくった。運動神経が悪く、またフィジカルも弱い渉は、ゴール下で相手と競るよりは遠くからスリーを狙った方がよりチームに貢献できると考えたからだ。もっとも実際は、それほど命中精度も上がらずレギュラーとしては使ってもらえなかったけれど。
「涼が言うほどには……それに、大した結果も出せなかったし」
「でも、努力したという結果は残した」
「そんなもの結果とは呼ばない!」
なぜかむっとなって言い返すと、鷹村は驚いたような哀しげな顔をした。
「ごめん……なんか、当たっちゃって」
そうだ。これは完全な八つ当たりだ。だが、何をやらせても優秀な同輩に、努力しただけでも凄いじゃないかと言われて、プライドの傷つかない人間がいるだろうか。
「こ、今度さ、ハーブセラピストの試験を受けるんだ……」
半ば強引に話題を変える。気まずい空気を一掃したかったこともあるが、自分を変えるチャンスを与えてくれた親友に、少しでも前に進んでいるところを示したかった。
「ほんとか?」
「うん。今、店長にレクチャー受けながら猛勉強してるとこ」
「へぇ、あの速水になぁ。大丈夫か? いい加減なことを教わってないか?」
「えへへ多分ね。もし受かったら、資格手当よろしくっ!」
渉の言葉にほっとしたように微笑むと、鷹村は手元のコーヒーを啜った。
そんな鷹村の左手をさりげなく盗み見る。相変わらずその薬指では、十字架をモチーフにしたリングが控えめな光沢を放っている。
指輪についての詳しい話は、鷹村にも、それに店の人間にもいまだに訊けていない。友人なら真っ先に突っ込むべきところだろうが、それを拒む何かが渉の中にあって、結局、二週間が経つ今も触れられずにいる。
鷹村の相手を務めるぐらいだから、よほど自信に満ちた女性なのだろう。さもなければ、この完璧超人のそばにはとてもいられない。――少なくとも、僕には無理だった。
「そうだ。今日、お前の店にうちの奴が行くことになっているんだが」
「うちの奴?」
だしぬけな鷹村の言葉に思わず問い返す。と、
「ああ。俺の事務所で使ってるスタッフなんだが、どうしてもお前の店を見たいと言ってな」
「へぇ、視察ってやつ?」
「あいつはそう言っているが……とりあえず速水には俺から伝えておく」
じゃ、と言って鷹村は席を立つと、風のように玄関を出て行った。
その日、アンジェに顔を出すと、速水がいつになく蒼い顔で渉を出迎えた。
「お、おう、サキ……おはよう……」
「ど……どうしたんですか店長、っていうかその顔……?」
「なに? 俺の顔ヤバい? 髭とか剃り残しちゃってる? それとも鼻毛が飛び出てるとか?」
「いえ、そういうヤバさではないんですが、なんか、その、顔色が……」
「そんなに顔に出てる? うぉぉやべぇ……スマイル、スマイルっと」
そう呪文のように唱えながら無理やり笑みを繕う速水は、やっぱりどこか不自然で、渉は余計に不安になる。あの楽観思考が手足をつけて歩いているような速水をここまで蒼くさせる心配事とは何だろう。速水に、店に、一体何が起こったのか……
「あの、僕でよければ相談に乗りますよ。借金のお願いにはさすがに応じられませんけど……」
「借金? ああ違う違う! そういうんじゃないんだ全然っ!」
ぶんぶんと大げさに手を振ると、速水は心底厭そうに吐き捨てた。
「今日な、あいつが店に来るんだよ」
「あいつ?」
「そう。女帝だ」
「女帝?」
その言葉に、渉は一瞬おやとなる。たしか以前にも、女帝の前ではどうのと誰かが言っていなかったか。
「ああ。社長の事務所に勤めるスタッフなんだが……まぁ俺らからすりゃ本社のエリートってことになるのかな。んで、まぁこの女がとんでもなくおっかねーんだわ。どうおっかねーかは、まぁ、会ってみりゃわかるんだが……」
そういえば今朝、店に事務所のスタッフが行くと鷹村が言っていた。速水が気を揉んでいるのは、どうやらその件らしい。
だが、鷹村の方からは恐ろしいなどという話は聞かなかった。その女帝と呼ばれる社員は、相手が上か下かで態度を変えているのかもしれない。……だとすれば、渉が最も苦手なタイプだ。
「とりあえずサキは、不用心にあいつの前に出ないことだな。あいつ、鈍臭くて不器用な男にはマジで評価厳しいから」
要するにそれは、渉は鈍臭くて不器用だと言いたいのだろうか。――まぁ、たしかに当たってはいるのだけど。
「とくに、接客態度に関してはほんっとウルさいんだよあいつ。実家が高級ホテルチェーンか何かで、大学のときにわざわざ最新のホテル学を学ぶためにヨーロッパに留学したとか……それはまぁ結構なんだがよ、ただなぁ」
「ただ、何です?」
「融通がな、ちっともきかねぇの。まぁよく言えば、よっぽど自分に自信があるんだろうけどさ、でも、自分が認めたもの以外は絶対に許さねぇみたいな性格は、マジで疲れるわ」
その後、次々と出勤してきたほかのスタッフたちも、速水の話を聞くと同じように顔を蒼くした。ハーフの鬼塚などは泣きそうな顔で、
「うち、今日帰ろうかなぁ」
などとぼやいた。
「いいかお前ら。今日の鬼門は何といってもサキだ。知ってのとおり、こいつの接客はまだまだド素人だ。あの女も多分そのあたりをちくちく突いてくるだろう。――そこで今日は、特別なフォーメーションでいく。具体的には、サキはカウンター専門でフロアは俺たちだけで回す。んでもって客は極力フロア席に案内する。いいな?」
「「はいっ!」」
いつになく熱の入った速水のブリーフィングに、いつになく統一感のあるスタッフの掛け声が応じる。要は、なるべく渉に接客をさせないようにしようという話なのだが、そんな仲間の気遣いを、渉はしかし素直には喜べなかった。
要するにそれは、仲間としての能力に不安を覚えられていることの証明なわけで。
とはいえ渉の接客にはまだまだ問題が多いのも事実で、客と会話ができないばかりか、注文さえまともに取れないのには渉も参った。自分では意識して声を張っているつもりでも、客の耳にはなかなか届かないらしく何度も聞き返されてしまう。そのたびに委縮して、かえって声が小さくなってしまうのが自分でも情けなかった。
この店では、ときにスタッフは客との会話の中でニーズを汲み取り、それをもとにオリジナルのブレンドを提案するということも行なう。要はコミュニケーション力の勝負なわけだが、その点で、渉は元営業マンとは思えないほどにダメだった。
いやむしろ、当時の経験が邪魔をして、渉を人前に立たせることを拒むのだ。
視線が怖い。向けられる言葉が、注意が、関心が怖い。
人間が……人間そのものが怖い。
「ごめんな」
軽く肩を叩かれ、ふり返ると速水がすまなさそうに笑っていた。
「一応、サキの頑張りは認めてるんだ。だからこそ、こんなところで潰されてほしくないんだよ」
言いながら、その顔がふと憎々しげに歪む。
「あいつには、人ってのは成長するもんだって概念が欠けてんだ。人間ってのはどれも最初から完璧なんだって――完璧でないのは本人が怠けてるせいだって、そう思い込んでいやがるんだよ。あの女帝って女は」
その女帝が店に現われたのは、意外にも客足の落ち着いた夕方ごろだった。てっきり繁忙時の様子を見に来るものと思っていた渉は、ありがたく感じつつも少し意外に思った。
女帝は、人形のような美人だった。
ほっそりとした色白の顔に形の良い唇、つんと尖った鼻。日本人形のそれを思わせる切れ長の眉目は、見つめているとつい引き込まれそうになる。バレエか何かの経験者だろう、すらりと伸びた首の上にちょこんと乗る顔は人形のように小さく、しなやかに伸びた手脚はさながらマネキンのそれだ。
実際、彼女はどこまでも作り物めいて見えた。顎のラインでばっさりと切り揃えた黒髪や、あるいはモノトーンのスーツが余計にその印象を強めていたのかもしれない。
人間もここまで美しくなると、逆に作り物めいて見えてしまう、彼女はその好例だった。
「これはどーも御園さん」
入口から堂々登場の女帝に、さっそく速水がとりなすように声をかける。
どうやら女帝の名前は御園と言うらしい。
「ご覧のとおり、今日もお客の入りはばっちりですよ。あっ、何でしたら奥の事務所で今日の売上をご覧になります?」
「売上なら共有データで随時チェックしているから結構よ」
「はぁ、そりゃどうも……で、今日はいったいどのようなご用件で」
「とりあえずは現状視察と……あと、先月新しく入った山崎とかいう新人の様子を見にね」
その言葉に、速水がちらりとカウンターに目配せをよこす。何も言うな、との無言の指示に、渉は黙ったまま小さく顎を引いた。
「それは……新人教育の現状を視察にいらした、と理解してもよろしいので?」
「それもあるけど……興味があるのよ。何でも、あの鷹村さんがわざわざ彼の地元から呼び寄せたという話じゃない。どれだけ優秀な方なのか興味があって」
「ああ、そういうことですか……ふぅむ、なるほど、なるほど」
「で、その山崎とかいう人はどこ?」
「そんなことより、まぁ一杯どうです? 何でしたら、先週新メニューに加わったばかりの速水店長特製リラックスカモミールティーをお淹れいたしますが」
と、それまで鋭く店内を見渡していた御園が、不意に速水をふり返る。
「私が質問をはぐらかされるのが嫌いなのを、あなた知ってるでしょ。――答えなさい。彼はどこなの?」
鞭で叩きつけるような声色に、カウンターの奥でやりとりを聞きながら早くも渉は委縮していた。やっぱりこの女性は苦手だ。――かといって、この流れではいつまでも知らんふりを決め込むわけにもいかないだろう。
フロアでは、やはりほかのスタッフが二人の会話のなりゆきをそれとなく見守っている。視線を感じてふり返ると、フロアでテーブルの片づけに当たっている鬼塚が、大丈夫? という目で渉を見つめていた。
同じ西日本出身ということもあって、鬼塚とはずいぶん仲良くなった。先日は、仕事終わりに牛丼屋に連れ出され、関東の牛丼はしょっぱいと散々愚痴を聞かされた。
ファッションにうるさく、渉の私服にいつもダメ出しを加えてくる。今度の日曜は原宿へ案内してもらう予定にもなっていて、正直ファッションには興味のない渉も、とりあえず観光気分で楽しみにはしている。その鬼塚が、今は不安げに渉と速水を見比べている。
「答えなさいッッ!」
横っ面を張り倒すような声に、はっと渉はふり返る。店内の空気がにわかに張りつめて、せっかくの穏やかな雰囲気が台無しになるのを渉は感じた。――渉は声を上げた。
「あ、あの」
えっ、という顔で速水がふり返る。
その目が「よせ」と訴えてきたが、渉は構わなかった。
「あなたが?」
つかつかとヒールを鳴らしながら女帝が歩み寄る。家畜を品定めでもするような眼差しに、人間らしい温かな感情は一切感じられない。東京には、こんな怖い人もいるのか……
やがて御園は、カッ、とひときわ高い音を立てて足を止めた。
「答えなさい。あなたが山崎? 鷹村さんがわざわざ地元から招いた?」
「ま、まぁ、招いたというか……暇だったら手伝ってくれ、みたいな感じで……」
「暇だったら? 嘘でしょうあなた。OFFICE‐Tといえば、今や都内の大学生がこぞって説明会に押し掛ける人気企業よ。並大抵の意識じゃあなた、鷹村さんの傍で働くなんてできっこないの。それをあなた何よ、たまたま手が空いていたから手伝いますみたいな言い方! ありえない! どういう神経してるの!?」
どういう神経かと問われれば、出会いがしらにいきなり罵倒してくる彼女の神経こそどうかしていると渉は思うのだけど、どのみちこういうタイプには火に油だと思えば、ここは黙ってやり過ごすしかないと渉は観念した。
動悸が激しくなり、汗が噴き出る。上京以来久しく忘れていた感覚に、渉は、自分が人並みに比べて弱い人間であることを厭でも思い出さずにはいられなかった。
ふん、と御園は形の良い唇を憎々しく歪めた。
「思った通りだわ。――結局はあなた、鷹村さんのお友達というだけでウチにもぐりこんだだけの人間だったわけね」
「……」
その点は何も否定できないし、弁明するつもりもない。
彼女の言い分はもっともだった。所詮自分は、鷹村に知り合いというだけで雇ってもらえたラッキーボーイだ。これといって意識が高いわけでもなければ、頭がいいわけでもない。そのうえ極度のアガリ症ときている。彼女の言うとおり、冷静に考えれば自分のような人間など……
「聞いてるの!?」
またしても鋭い声が飛んで、渉は思わず首を竦めた。
不意に強い眩暈が襲って、慌ててカウンターで身体を支える。それでも眩暈は治らず、立っているだけでやっとの状態になる。
まずい、このままでは……
「な、なぁ御園さん。さっきから聞いてりゃそういう言い方はないんじゃねぇの? サキは……山崎は、ほんと頑張ってくれてるぜ? ハーブの勉強も熱心だし、それに、」
「だから何?」
フォローに入る速水を、御園は冷たく一瞥する。
「その程度の知識は、むしろ入社前に頭に入れておくべきことでしょう」
「は? そりゃいくらなんでも、」
「あなたもあなたよ。バイトから社員に登用してもらって得意になるのは結構だけど、新人一人ろくに教育できないようでは、管理職としての資質を疑わざるをえないわね」
「いや、あんたに言わせりゃそうなんだろうけど、でも……」
「まぁいいわ。理由はどうあれ、うちに入った以上はきちんと結果を出してもらいますから」
言い捨てると、御園はバレリーナのように鋭くきびすを返した。
渉が、彼女の指に光る小さな輝きに気づいたのはその時だ。十字架をモチーフにしたらしい、その指輪のデザインにはたしかに見覚えがあった。
「大丈夫か?」
はっと我に返る。見ると、カウンター越しに速水が心配そうに渉を見下ろしていた。
「気にすんな。ここに入った連中は、だれでも一度はあの洗礼を受けるんだ。……にしても、さっきのはいくら何でも言い過ぎだと俺は思うけどな。別にコネ入社でもいいじゃねぇか。社長がいいって言ってんだから」
「い、いえ、僕も悪いんです。何も考えず、ただ涼の厚意に甘えて……」
速水の気遣いに答えながら、しかし、渉の気はそぞろだった。
まさか、あの人――
「あ、あの、店長」
「ん? なに?」
「あ、いえ……何でも、ありません」
なぜか後ろめたくなって渉は口をつぐむ。
もし、渉の想像どおり彼女が鷹村の恋人だったとして、だから何だというのだろう。
鷹村が誰とつき合おうとそれは鷹村の自由であり、単なる旧友でしかない自分に口を挟む権利はない。まして今の自分は、住まいも、それに仕事も鷹村におんぶにだっこの身分なのだ。
それに彼女なら、ある意味、鷹村とはじつにお似合いじゃないか。優秀で、何より、完璧という形容がぴったりな美しさを持つ彼女なら……
ふと顔を上げた渉は、店内に何ともいえない重苦しい空気が漂っているのに気づいた。
店内に数人いる客も、何だか居心地の悪そうな顔で手元のカップを啜っている。
この時間の客は、多くが仕事帰りにひとときの安らぎを求めて店に立ち寄る常連客で、マイカップを店に取り置きし、その日の体調と気分に合ったハーブティーを愉しむのを日々の習慣にしている。ひょっとすると、さっきの騒動でその平穏が破られてしまったのかもしれない。
まずい。彼女たちの心を、店から離すわけには――
「あ、あの、店長」
「ん? どうした?」
「お客さま方に……その、ハーブティーをお作りしてもいいですか? お代はその、僕の給料から天引きしてもらって構いませんので」
「えっ、何で……」
「僕のせいで、お客さまがたの貴重な安らぎの時間をお邪魔してしまいました。こんな空気のままお帰りいただくのは、僕としても忍びないです」
呆れたのだろう、速水はぽかんと渉を見つめていた。が、やがて、
「なるほど、そういうことか。――いや、代金のことは心配しなくていい。その代わり、最高のブレンドをよろしく頼むぜ」
にやりと白い歯を見せる速水に、渉は力強くうなずいた。
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