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圷と海斗の話
不安
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*海斗視点
「海斗。行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
「何かあったら直ぐに俺に連絡しろ。いいな?」
「分かったよ澪司さん。行ってらっしゃい。」
「本当にすぐ連絡するんだぞ。」
澪司さんはさっきからこんな調子で俺に引っ付いてくる。その様子を寛也さんが少し困り顔で見てた。だけど澪司さんを引っ張って無理やり連れていかないどこらか様子を見てる。きっと寛也さんは澪司さんが決心するのを待ってるんだ。俺はこんなに愛されてたんだなぁ。あの時は喧嘩ばかりで嫌なことも多かったけどお互いが向き合ったらこんなに変わるんだ。
「うん。分かった。澪司さん、寛也さんが待ってるよ。」
「…ああ。そうだな。じゃあ仕事に行ってくる。」
と、言いつつも澪司さんは足を動かさない。どうしたらいいだろうか。俺が何を言えば澪司さんは仕事に行く気になってくれるだろう。そんなに不安なのかな…?俺は大丈夫なのに。安心して仕事に行ってくれるためにはどうしたら…。
「うん。頑張ってね澪司さん。」
「すぐ帰ってくるからな海斗。そしたら家に帰ろうな。」
「おい圷。いい加減うぜぇって。組長待たせんな。しつこすぎて海斗に嫌われんぞ。」
一向に仕事行こうとしない澪司さんに耐えきれなかったのか康二さんがソファから立ち上がって俺たちのところまで来た。あ…これで安心だ。康二さんが来てくれたら穏便に物事が終わる。
「うるせぇな康二。余計なお世話だ。じゃあな海斗。また後で。」
「うん…!」
さっきまで足すら動かそうとしなかった澪司さんなのに康二さんが来た瞬間に歩いて行った。ちょっと顔は不安そうだったけどね。そんな澪司さんに喝を入れるべく寛也さんが澪司さんの背中をシバいてた。何だかその光景が微笑ましくて俺は笑っちゃった。
「海斗も大変だな。こっちおいで。俺の横座ってな。」
「はい…!」
康二さんに言われるがまま俺はソファに座った。2人は仕事が一息したのかパソコンを閉じて話す体制に入ってた。
「なぁ海斗。圷のやつさ、家ではどんな感じなの?森廣さんも知りたいですよね。」
康二さんが俺の肩を抱きながらそう言ってきた。家では…俺にベタベタって感じだ。事務所では違うのかな?
「ああ。興味はある。俺らの前ではあんま笑わねぇし冷静に全部するからな。けど今日はその欠片もなかった。あいつはお前のことになるとどうしても情緒が安定しないんだな。まるで組長だ。」
そう森廣さんが言ったのを聞いて俺は驚いた。だって寛也さんもそうだとどうしても思えなかったから。寛也さんはみんな事を見ていていつも冷静だ。俺の時も助けてくれた。康二さんがあの時俺のところに来たのもあれは寛也さんが指示したことだって後々知った。
「確かに。そうですね森廣さん。言えてます。」
「寛也さんも澪司さんみたいな感じなんですか?」
俺は康二さんの方を向いてそう言った。まだ森廣さんと喋るのはちょっと緊張しちゃう…。ただ気になったから聞かずにはいられなくて話しやすい康二さんにそういったんだ。
「ああ。そうだよ。」
「意外です…。寛也さんはいつも冷静だから。それに駿里とも仲がいいから。」
「うーん。そんでもねぇよ。な?康二。」
「そうですね。海斗、組長と駿里は結構揉めたんだぞ。もうとんでもねぇぐらいにな。まぁ言ってしまえばちょっと前のお前らだな。つか駿里と組長は出会いが出会いだったしよ。」
「…そう…なんですか?」
俺は知らない。そんなの初めて聞いた。それは駿里が言わないから。駿里は大抵俺のことを心配してくれる。俺より駿里は年下なのにほんっとに優しいんだ。でもその優しさは過去の経験からだったのかもね…。俺…もっと成長しなきゃ。
「海斗は駿里はそういうこと話さないのか?」
と、康二さんに聞かれて俺は頷いた。恥ずかしながら全く話さない。本来だったら俺が聞いてあげるべきことなのに。
「はい。駿里には俺の話を聞いてくれることが多くて。」
「そっかそっか。あいつも成長したんだな。嬉しいことだ。」
「ですね森廣さん。」
2人は頷きながら嬉しそうに微笑んでた。俺が知らない駿里を2人は知ってる。俺が来る前から駿里と関わりがあったから。俺が駿里と出会ったのは…あ、そうだ。色々あって忘れてたけどあの時俺たちが出逢えたのは駿里が家出してたからだ。それで俺はここに来た。こんな重要なことを忘れるなんて…。でもあれから駿里と寛也さんは俺の中では仲がいいイメージだった。だけどまぁそれだけじゃないよね。長くいればいるほど。
「海斗。この際だから色々教えてやる。秘密事はなしにしよう。だからお前も何かあれば俺になんでも言え。言いにくかったら森廣さんに言えばいいし前みたいに組長に助けを求めたらいい。まぁ圷がまた同じミスをするとは考えれねぇけどな。」
「康二さん…ありがとうございます。」
「ああ。お前はもう家族みたいなもんだから。ね、森廣さん。」
「そうだな。長い話になるかもしれねぇけど圷が帰ってくるまで3人で語り合うか。」
「いいですね森廣さん!じゃあ俺飲みもん取ってきます!」
「よろしく頼む。」
ヤクザとは思えないぐらい森廣さんも康二さんも優しい人だ。だけどきっとこの優しさも過去の経験からなんだろうね。初めからこんな感じじゃなかったと思う。俺の憶測…だけど。その話もいつか聞けたらいいな。
「乾杯しよーぜ!!森廣さんも!ほら海斗も飲みたいのつげつげ!」
「海斗。行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
「何かあったら直ぐに俺に連絡しろ。いいな?」
「分かったよ澪司さん。行ってらっしゃい。」
「本当にすぐ連絡するんだぞ。」
澪司さんはさっきからこんな調子で俺に引っ付いてくる。その様子を寛也さんが少し困り顔で見てた。だけど澪司さんを引っ張って無理やり連れていかないどこらか様子を見てる。きっと寛也さんは澪司さんが決心するのを待ってるんだ。俺はこんなに愛されてたんだなぁ。あの時は喧嘩ばかりで嫌なことも多かったけどお互いが向き合ったらこんなに変わるんだ。
「うん。分かった。澪司さん、寛也さんが待ってるよ。」
「…ああ。そうだな。じゃあ仕事に行ってくる。」
と、言いつつも澪司さんは足を動かさない。どうしたらいいだろうか。俺が何を言えば澪司さんは仕事に行く気になってくれるだろう。そんなに不安なのかな…?俺は大丈夫なのに。安心して仕事に行ってくれるためにはどうしたら…。
「うん。頑張ってね澪司さん。」
「すぐ帰ってくるからな海斗。そしたら家に帰ろうな。」
「おい圷。いい加減うぜぇって。組長待たせんな。しつこすぎて海斗に嫌われんぞ。」
一向に仕事行こうとしない澪司さんに耐えきれなかったのか康二さんがソファから立ち上がって俺たちのところまで来た。あ…これで安心だ。康二さんが来てくれたら穏便に物事が終わる。
「うるせぇな康二。余計なお世話だ。じゃあな海斗。また後で。」
「うん…!」
さっきまで足すら動かそうとしなかった澪司さんなのに康二さんが来た瞬間に歩いて行った。ちょっと顔は不安そうだったけどね。そんな澪司さんに喝を入れるべく寛也さんが澪司さんの背中をシバいてた。何だかその光景が微笑ましくて俺は笑っちゃった。
「海斗も大変だな。こっちおいで。俺の横座ってな。」
「はい…!」
康二さんに言われるがまま俺はソファに座った。2人は仕事が一息したのかパソコンを閉じて話す体制に入ってた。
「なぁ海斗。圷のやつさ、家ではどんな感じなの?森廣さんも知りたいですよね。」
康二さんが俺の肩を抱きながらそう言ってきた。家では…俺にベタベタって感じだ。事務所では違うのかな?
「ああ。興味はある。俺らの前ではあんま笑わねぇし冷静に全部するからな。けど今日はその欠片もなかった。あいつはお前のことになるとどうしても情緒が安定しないんだな。まるで組長だ。」
そう森廣さんが言ったのを聞いて俺は驚いた。だって寛也さんもそうだとどうしても思えなかったから。寛也さんはみんな事を見ていていつも冷静だ。俺の時も助けてくれた。康二さんがあの時俺のところに来たのもあれは寛也さんが指示したことだって後々知った。
「確かに。そうですね森廣さん。言えてます。」
「寛也さんも澪司さんみたいな感じなんですか?」
俺は康二さんの方を向いてそう言った。まだ森廣さんと喋るのはちょっと緊張しちゃう…。ただ気になったから聞かずにはいられなくて話しやすい康二さんにそういったんだ。
「ああ。そうだよ。」
「意外です…。寛也さんはいつも冷静だから。それに駿里とも仲がいいから。」
「うーん。そんでもねぇよ。な?康二。」
「そうですね。海斗、組長と駿里は結構揉めたんだぞ。もうとんでもねぇぐらいにな。まぁ言ってしまえばちょっと前のお前らだな。つか駿里と組長は出会いが出会いだったしよ。」
「…そう…なんですか?」
俺は知らない。そんなの初めて聞いた。それは駿里が言わないから。駿里は大抵俺のことを心配してくれる。俺より駿里は年下なのにほんっとに優しいんだ。でもその優しさは過去の経験からだったのかもね…。俺…もっと成長しなきゃ。
「海斗は駿里はそういうこと話さないのか?」
と、康二さんに聞かれて俺は頷いた。恥ずかしながら全く話さない。本来だったら俺が聞いてあげるべきことなのに。
「はい。駿里には俺の話を聞いてくれることが多くて。」
「そっかそっか。あいつも成長したんだな。嬉しいことだ。」
「ですね森廣さん。」
2人は頷きながら嬉しそうに微笑んでた。俺が知らない駿里を2人は知ってる。俺が来る前から駿里と関わりがあったから。俺が駿里と出会ったのは…あ、そうだ。色々あって忘れてたけどあの時俺たちが出逢えたのは駿里が家出してたからだ。それで俺はここに来た。こんな重要なことを忘れるなんて…。でもあれから駿里と寛也さんは俺の中では仲がいいイメージだった。だけどまぁそれだけじゃないよね。長くいればいるほど。
「海斗。この際だから色々教えてやる。秘密事はなしにしよう。だからお前も何かあれば俺になんでも言え。言いにくかったら森廣さんに言えばいいし前みたいに組長に助けを求めたらいい。まぁ圷がまた同じミスをするとは考えれねぇけどな。」
「康二さん…ありがとうございます。」
「ああ。お前はもう家族みたいなもんだから。ね、森廣さん。」
「そうだな。長い話になるかもしれねぇけど圷が帰ってくるまで3人で語り合うか。」
「いいですね森廣さん!じゃあ俺飲みもん取ってきます!」
「よろしく頼む。」
ヤクザとは思えないぐらい森廣さんも康二さんも優しい人だ。だけどきっとこの優しさも過去の経験からなんだろうね。初めからこんな感じじゃなかったと思う。俺の憶測…だけど。その話もいつか聞けたらいいな。
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