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圷と海斗の話
裏側
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*寛也視点
「組長。組長ってば。」
「なんだお前はさっきから。」
さっきから康二が俺のところに来ては用事をすることも無く帰って行く。こいつはたまにこういうことをするが今日がそれか…。別にいいんだがよ。多分今日こんなに構って欲しそうにしてんのは圷の事があったからだろうからな。
「なんでそんな言い方するんですか組長。」
「康二。お前が執拗いからだ。組長を困らせるな。」
「あ、森廣さん。」
さすがに止めようと思ったのか森廣が俺らのところまで来ていた。まぁそんぐらいには今日の康二は執拗いよな。俺にとっては日常なことになりつつあるから慣れちまってるけど森廣はそうじゃねぇもんな。最近森廣は外での仕事が多かったから。
「康二。持ち場に戻れ。」
「森廣さんまでそういうこと言うんですか。俺寂しいじゃないですか。」
全然寂しそうじゃねぇけどな。森廣も来てなんなら康二は嬉しそうだ。まぁ俺と森廣は康二が初めて会った人でもあるしよ。康二が一番素でいれることが出来る。ただ…俺らが康二を半ば無理やりヤクザにした事は後悔してねぇとは言いきれないが。
「うるせぇ。組長を困らせるな。」
「じゃあ森廣さんが俺の話し相手になってくれます?」
そう言った康二をみて森廣は黙り込んだ。康二の異変に気付いたんだろうよ。
「どうしたお前。悩みがあるなら聞くぞ。」
「悩みなんてないですよ。森廣さんこそどうしたんですか。」
「普段と違う。悩む前に話せ。」
「あーそれはあの圷の部屋で今頃おっぱじめてるんだろうなーって。」
確かにそうだな。康二の言う通りだ。今頃海斗は圷に捕まってあんな事やそんな事をされてるはず。つかそれが原因でこんなにかまってになってんのかこいつ。あいつらが羨ましいのか?ついに康二は海斗にまで気があるのかよ。
「はぁ?そんなことか。」
森廣。俺も同じ気持ちだぜ。ため息が出そうだ。だがそれが康二だからな。
「え?森廣さん知ってたんですか?」
「知ってたも何も気づくだろ。馬鹿かお前。普通に考えてそうだろ。あいつが海斗をここに連れてくるってことはそういう事だ。ねぇ組長。」
「そうだな。」
「はい!?じゃあお2人は知っててこんな呑気に仕事してるんですか!?」
「康二。組長の前で声を荒らげるな。」
「森廣、いい。」
これは今に始まったことじゃねぇしな。まぁ駿里と出会う前だったらボッコボコにしてただろうが俺も今は変わった。落ち着いてるしな。だから気にしない。康二もこうやって本音で話せる方がいいだろ。
「はい組長。」
「下がっていいぞ森廣。康二はここにいろ。あのな康二、お前は一々気にしすぎなんだよ。それより仕事しろ。」
「組長…それを言うならあの壁の向こうでセックスしてる圷に言ってください。」
まぁそれはそうだな。常識的には的外れだよな今回の圷は。けど俺も何回か駿里に同じことをしてる。それに圷は仕事ちゃんとしてるからいいんだ。
「圷はいいんだよ。仕事してるから。」
「組長!それはまるで俺が仕事してないみたいじゃないですか!!」
「実際のところそうだろうが。」
「…そうかもしれませんけど、でも圷だって。」
あーこいつ…。最近情緒が不安定だな。一体どうしたよ。駿里とちゃんと会ってねぇからか?それなら今日仕事が終わったあとで会わせてやるか。
けどその前に…。
「たく、めんどくせぇなお前は。そんな集中出来ねぇなら俺の隣こい。早くパソコン持ってくるんだ。」
「え?組長の隣行っていいんですか?」
「いいって言ってんだろ。早く来い。仕事もせずに駄々こねられるよりマシだ。たく、何のために自室に入らずにここにいると思ってんだ。世話がやけるなほんと。」
「組長の言う通りです。駿里は襲うし仕事はしねぇし、のくせちゃんと仕事は終わらせるし。意味分かんねぇですよね。」
貶したいのか褒めたいのかよく分かんねぇぞ森廣。ただ森廣は康二のことに関してはお節介なほど面倒を見る。俺が駿里に対してするぐらいのレベルにな。それを思うと森廣はやっぱ康二のことを想ってんだろうな。大切に。
「そうだな。まぁあいつを育てたのは俺らだけどな森廣。」
「間違えましたかね育て方。」
「はは、いやでもそうでもないかもな。」
あんな風に嬉しそうにしてる康二を見てるとここまで育てて良かったと思う。俺も俺なりに後悔はあるからな。本当にこの世界にあいつを引きづりこんで良かったのかって。あの時警察に通報してれば康二は今頃一般人として生きてただろう。だが俺の元に来たがためにヤクザになった。だからこそ康二の笑顔を見ると罪悪感が減るんだ。
「言えてます。それに組長の笑顔も増えましたから。康二と出会ってから。」
「そうなのか?けど…そりゃよかった。」
俺も実際森廣の言う通りだと思う。今のこの幸せが始まったのは康二と出会ってからだ。身寄りのないこいつを引き取って育て上げてから俺らも発展した。ここまで大きくなるなんて思わなかったけどな。俺はそんなことを思いながら嬉しそうにパソコンを取りに行く康二を見ていた。
「組長!!来ました!一緒に仕事しましょう!」
「黙ってやれ。うるせぇ。」
「組長。組長ってば。」
「なんだお前はさっきから。」
さっきから康二が俺のところに来ては用事をすることも無く帰って行く。こいつはたまにこういうことをするが今日がそれか…。別にいいんだがよ。多分今日こんなに構って欲しそうにしてんのは圷の事があったからだろうからな。
「なんでそんな言い方するんですか組長。」
「康二。お前が執拗いからだ。組長を困らせるな。」
「あ、森廣さん。」
さすがに止めようと思ったのか森廣が俺らのところまで来ていた。まぁそんぐらいには今日の康二は執拗いよな。俺にとっては日常なことになりつつあるから慣れちまってるけど森廣はそうじゃねぇもんな。最近森廣は外での仕事が多かったから。
「康二。持ち場に戻れ。」
「森廣さんまでそういうこと言うんですか。俺寂しいじゃないですか。」
全然寂しそうじゃねぇけどな。森廣も来てなんなら康二は嬉しそうだ。まぁ俺と森廣は康二が初めて会った人でもあるしよ。康二が一番素でいれることが出来る。ただ…俺らが康二を半ば無理やりヤクザにした事は後悔してねぇとは言いきれないが。
「うるせぇ。組長を困らせるな。」
「じゃあ森廣さんが俺の話し相手になってくれます?」
そう言った康二をみて森廣は黙り込んだ。康二の異変に気付いたんだろうよ。
「どうしたお前。悩みがあるなら聞くぞ。」
「悩みなんてないですよ。森廣さんこそどうしたんですか。」
「普段と違う。悩む前に話せ。」
「あーそれはあの圷の部屋で今頃おっぱじめてるんだろうなーって。」
確かにそうだな。康二の言う通りだ。今頃海斗は圷に捕まってあんな事やそんな事をされてるはず。つかそれが原因でこんなにかまってになってんのかこいつ。あいつらが羨ましいのか?ついに康二は海斗にまで気があるのかよ。
「はぁ?そんなことか。」
森廣。俺も同じ気持ちだぜ。ため息が出そうだ。だがそれが康二だからな。
「え?森廣さん知ってたんですか?」
「知ってたも何も気づくだろ。馬鹿かお前。普通に考えてそうだろ。あいつが海斗をここに連れてくるってことはそういう事だ。ねぇ組長。」
「そうだな。」
「はい!?じゃあお2人は知っててこんな呑気に仕事してるんですか!?」
「康二。組長の前で声を荒らげるな。」
「森廣、いい。」
これは今に始まったことじゃねぇしな。まぁ駿里と出会う前だったらボッコボコにしてただろうが俺も今は変わった。落ち着いてるしな。だから気にしない。康二もこうやって本音で話せる方がいいだろ。
「はい組長。」
「下がっていいぞ森廣。康二はここにいろ。あのな康二、お前は一々気にしすぎなんだよ。それより仕事しろ。」
「組長…それを言うならあの壁の向こうでセックスしてる圷に言ってください。」
まぁそれはそうだな。常識的には的外れだよな今回の圷は。けど俺も何回か駿里に同じことをしてる。それに圷は仕事ちゃんとしてるからいいんだ。
「圷はいいんだよ。仕事してるから。」
「組長!それはまるで俺が仕事してないみたいじゃないですか!!」
「実際のところそうだろうが。」
「…そうかもしれませんけど、でも圷だって。」
あーこいつ…。最近情緒が不安定だな。一体どうしたよ。駿里とちゃんと会ってねぇからか?それなら今日仕事が終わったあとで会わせてやるか。
けどその前に…。
「たく、めんどくせぇなお前は。そんな集中出来ねぇなら俺の隣こい。早くパソコン持ってくるんだ。」
「え?組長の隣行っていいんですか?」
「いいって言ってんだろ。早く来い。仕事もせずに駄々こねられるよりマシだ。たく、何のために自室に入らずにここにいると思ってんだ。世話がやけるなほんと。」
「組長の言う通りです。駿里は襲うし仕事はしねぇし、のくせちゃんと仕事は終わらせるし。意味分かんねぇですよね。」
貶したいのか褒めたいのかよく分かんねぇぞ森廣。ただ森廣は康二のことに関してはお節介なほど面倒を見る。俺が駿里に対してするぐらいのレベルにな。それを思うと森廣はやっぱ康二のことを想ってんだろうな。大切に。
「そうだな。まぁあいつを育てたのは俺らだけどな森廣。」
「間違えましたかね育て方。」
「はは、いやでもそうでもないかもな。」
あんな風に嬉しそうにしてる康二を見てるとここまで育てて良かったと思う。俺も俺なりに後悔はあるからな。本当にこの世界にあいつを引きづりこんで良かったのかって。あの時警察に通報してれば康二は今頃一般人として生きてただろう。だが俺の元に来たがためにヤクザになった。だからこそ康二の笑顔を見ると罪悪感が減るんだ。
「言えてます。それに組長の笑顔も増えましたから。康二と出会ってから。」
「そうなのか?けど…そりゃよかった。」
俺も実際森廣の言う通りだと思う。今のこの幸せが始まったのは康二と出会ってからだ。身寄りのないこいつを引き取って育て上げてから俺らも発展した。ここまで大きくなるなんて思わなかったけどな。俺はそんなことを思いながら嬉しそうにパソコンを取りに行く康二を見ていた。
「組長!!来ました!一緒に仕事しましょう!」
「黙ってやれ。うるせぇ。」
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