極道の密にされる健気少年

安達

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*駿里視点





「もー!康二さん!」

「なんだよ。」

「なんだよじゃないっ、歩きずらい!!」



寛也のところに戻ろうとしてるのに康二さんが抱きつきながら歩いてくるからものすっごく歩きずらいんだ!さっきからほんとにほんとに!



「別にいいじゃねぇか。」

「良くないから…!」

「なんでだよ。」

「なんでも…!」

「なんだよそれ。理由ねぇなら抱きついてても問題ねぇじゃん。」

「意味わかんないっ、歩きずらいって言ってんじゃんか…!」

「そんぐらいいいじゃねぇか。愛ってやつだ。あーい。」



それは言われなくてもわかってる。康二さんは愛が重いから。今もそうだもん。ずーっとくっついてくる。けど俺が辛くないように重さはかけてこない。そうしながら抱きついてくるんだからほんとに器用だよね。けどだからって…!



「そんなの知らないっ、邪魔…!!」

「邪魔とか言うな。」

「邪魔なんだもん…!」

「なぁお前ら何してんの?」



俺と康二さんが廊下でギャーギャー騒いでると後ろから声が聞こえた。しかもその声はよく知ってる声。志方さんの声だ。



「うわっ、志方さん…!」

「うわとか言うな。なんだお前。抱き潰すぞ。」

「やだから…!」



志方さんがニヤニヤしながら俺の事を見てきてる。だから俺は康二さんに体を隠した。



「おい駿里隠れんなよ。つかお前らこんなとこで何騒いでんの?」

「志方には関係ねぇよ。どっか行け。」

「あ?んだとくそ康二。つか関係あんだよ。だから俺はお前らを探してたんだ。時間かかりそうだったが騒いでたおかげですぐ見つけられた。」

「何言ってんだお前。」



探してたってことは寛也が俺たちを探してたってことだ。志方さんはこう見えて勝手に行動することは無いから。寛也の指示があってから動く。まぁ俺の事に関して以外だけどねそれは。



「組長が今夜帰るって。だから準備しろーって俺は丁寧に伝えに来てやったんだよ。」



…もう帰るんだ。早いな。まだここにいたい。けだ寛也たちは仕事とかもあるもんね。寂しいなぁ。



「あーなるほどな。もっと長居するかと思ったがもう帰るんだな。」

「組長から聞いてねぇの康二。急遽仕事が入ったらしいぜ。明日。しかも外せねぇ仕事。」

「そうなのか?なんで志方が知ってて俺が知らねぇんだ。」

「お前がフラフラ歩くからだろ。あ、あとお供はお前な。だから駿里は俺とお留守番。楽しみだな。」



全然楽しみじゃない…。鬼ごっこが始まりそうだよ…。



「…志方さんは仕事に行かないの?」

「ああ。俺は駿里の世話役頼まれてるからな。楽しもうな駿里。」



志方さんはほんっと嬉しそうな顔をしながらそう言ってきた。だから俺はもう何も言えない。いつも仕事で頑張ってる志方さんがこんな顔するのって中々ないから。



「うん。程々にね。」

「おい駿里。志方を甘やかすな。そうやって甘やかしたら調子に乗るぞこいつ。」

「うるせぇな康二。俺が調子に乗れるのは駿里のことだけなんだから口出しすんな。」

「たく、お前は…。駿里、何かあったらすぐ電話しろよ、な?事務所には圷もいるから何かあったら事務所に逃げ込め。分かったな。」

「もう大丈夫だよ康二さん。」

「大丈夫じゃねぇだろ。心配だ。」



いつもいつも心配性の康二さん。だから俺はいつもその康二さんを見て心配になる。仕事集中できてるのかなって。けどそれはお節介。康二さんは切り替えか凄いから!



「康二うるせぇって。なぁ駿里。組長が許可出してくれたら外にも遊びに行こうな。」

「行きたい!」

「よし。行こう。」

「おい志方。それは組長の許可取ってから言えよ。」

「んなこと言われなくても分かってるよ。ほら駿里、組長のこと行こう。」

「行こー!」
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