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あや様リクエスト
仕事
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*松下視点
「誰かと思えば兄貴かよ。」
「お疲れ様です槐さん。」
後ろから声が聞こえたと思えばそれは槐さんの声だった。いつから聞いていたのだろうか。まぁけど槐さんに聞かれたとしても問題は無い。この人も元極道だから。碓氷さんは極道じゃなくハナから堅気だから聞かれたらちょっとまずいんだけどな。
「いやお前ら2人揃って話を逸らすなよ。それに駿里の前じゃねぇか。なんて話をしてんだよ。駿里の前でそういう話はやめとけって。」
「兄貴、よく見ろよ。駿里は寝てる。」
そう。組長の言う通り。駿里はぐっすりなんですよ槐さん。ほんっとに優しいんだから槐さんは。
「…それならいいが、それよりもさっきの話はなんだよ寛也。」
「あれは仕事だ。ただの仕事の話だ。」
「仕事って言っても警察を処分すんのは後々面倒な事になるぞ。」
確かに槐さんの言う通りかもですね。ですけどやり方ってのがあるんです。処分っていってもいきなり殺すわけじゃない。まずは懲戒処分にして職を失わせてから命を奪うんですよ。
「大丈夫だ兄貴。俺はそんなヘマをしない。失敗しそうなものはそもそもやらねぇからな。厳密に考えるんだよ。それが康二の得意分野だ。こいつはそういうのに長けている。だから心配する必要はねぇよ。」
「って言ってもよ…。相手は警察だろ?お前に何かあったら駿里はどうすんだよ。お前がいなきゃこいつは生きてくことだって辛くなるんだぞ。駿里はお前らのことを慕って愛してんだから。」
へぇ…。駿里は槐さんにはそんな話をするのか。俺らには直接言わねぇくせに。まぁ言いやすいんだろうな。あんまり槐さんには会わない分本音で話せるんだろうよ。俺らに直接話して欲しいところだけどな。俺はそんなことを思いながら組長の腕の中で眠ってる駿里の頬を撫でた。
「兄貴。だから俺達は実行するんだ。駿里を守るためにな。」
「どういう意味だ寛也。」
「俺達が処分しようとしてる奴は警察って言っても多分内探なんだよ。どっかの組のチンピラだ。銀バッチや組のトップの連中はそんなことしねぇからな。だから下っ端を警察内部に侵入させてんだろ。そしたら証拠品なんかを簡単に処分出来るからな。」
「…それは確かなのか?」
さすが槐さん。確信に迫ってくる。こんぐらいでいいやって言うのがこの人にはない。だから俺は槐さんを信頼出来る。その槐さんに憧れて俺もちゃんとするようになったからな。
「確かだ。森廣が調べたからな。だから安心しろって兄貴。それに今回は駿里を守るためでもある。そんな大事な案件で俺が失敗すると思うか?中途半端になると思うか?思わねぇだろ。何せこいつの為なんだから。」
そうだ。俺達は駿里を守るためなら少々身を削るようなことでもする。愛してるからな。こいつを俺らで一生守ると決めた。そのためには躊躇しないんですよ槐さん。
「…そうか。俺の心配しすぎだったようだな。けど詳しく聞かせろその話。俺も協力する。」
え?まじかよ。槐さんが協力してくれるほど頼もしいことは無い。この人は本当にすごいんだ。馬酔木さんが一番信頼してる人でもあるからな。だから俺は槐さんがそう言ってくれて嬉しかった。
「いいのか?兄貴。」
「ああ。駿里の為だ。それにちょっと心配だからな、お前らの事も。駿里の事になるとどうしてもやりすぎる所がある。だから俺がお前らを見張っててやる。」
「んだよそれ。俺らはそんなヘマしねぇよな康二。」
「おっしゃる通りですよ組長。」
って言ったけど俺は槐さんの言う通りだと思った。特に俺。よくそれで組長に怒られてる。だから俺は思わず槐さんから目を逸らした。
「嘘ついてんじゃねぇよ。目が泳いでるぞ康二。」
「…え、槐さん!泳いでません!」
「分かりやすいやつだな。まぁいい。無理だけはすんなよ。それは約束しろ康二。」
「分かりました。槐さん。」
俺がそう言うと槐さんはちょっとだけ笑った。笑ったって言うか微笑んだ。あーなんだが昔のことを思い出すな。槐さんが現役の頃はみんなが槐さんを慕ってた。俺はちょっとしか現役の槐さんを見れてないからあんまり分かんねぇけどそれでもすごい人っていうのは分かるんだ。
「寛也、お前もだぞ。」
「分かってるよ。どいつもこいつも口うるせぇな。」
「兄に向かってなんて口の利き方だ全く…。」
そう言いながらも槐さんは怒ってない。どこか嬉しそうにしていた。こうして組長と話せるのもレアだからな。組長が仕事が忙しくてあんまここに帰って来れねぇから。つか…槐さんはなんでここにいるんだ?
「槐さん。そういや槐さんはどうしてここに?」
「俺はよくここに来んだよ。黄昏てんだ。ここに来ると気分が良くなるからな。」
そうだったのか。今はそうでもねぇけど昔の槐さんは多忙だったからな。寝る時間もなかった。だからこうしてここに来てたのかもしれない。
「つか駿里もよくここに来てるぞ。お前ら知らねぇのか?」
…はい?なんですかその情報は。俺は知らねえぞ。組長は知ってるのか?と俺は組長の顔を見た。けどやっぱ組長も知らねぇみたいだ。こりゃお仕置き案件か?
「どういうことだ兄貴。」
「知らなかったのかよ。康二もか?」
「はい。俺も知りません。なので教えて頂けませんか槐さん。」
「別にいいが駿里を怒るなよ。」
「それは話を聞いてからだな。早く話せ兄貴。」
「全く俺の弟はせっかちだな…。まぁいいか。お前らがここに泊まりに来る時は決まって駿里がここに来る。夜にな。夜っていうか深夜か。理由はもちろん俺に会いにだ。ありゃこっそり抜けてきてたんだな。そんでここに来た駿里と俺は色んな話をしていた。色んなって言っても全部お前らの話だけどな。」
俺らの…?そういや駿里のやつ、御子柴さんにも俺らの話を聞いてたな。槐さんにもそうだったのか…?
「おい兄貴。俺らの話ってなんだ。」
「お前らの過去の話とかだな。それと寛也の好きな物とか。康二の苦手なものとか。」
おいおい駿里。なんで組長の話はいい話なのに俺のは苦手なものなんだよ。くそ、それでも可愛いやつだな。
「あとはそうだな、惚気話だな。」
「惚気?」
「そうだ。寛也、お前のな。駿里が惚気話を出来る機会は少ねぇからな。だから俺が聞いてやってんだ。駿里はその時色々話してくれんだ。寛也のいい所、好きな所、喧嘩した話とか全部な。あと誰よりも愛してくれてるって話とかもな。」
「そうだったのか。」
あーあ。組長も照れちゃって。それを態度には出してねぇけど俺には分かりますよ組長。全く…。駿里は1人で出歩いてるんですからお仕置きしなきゃなのにこれはしないパターンだな。いやけどある意味お仕置きかもな。組長多分今相当嬉しいだろうから。だからその組長に駿里は何度も何度も抱かれるだろ。頑張れー駿里。
「ああ。だから寛也、お前は絶対に駿里を守り抜け。この子は本当にいい子だ。なかなか居ねぇよ。しかも顔もいいしな。なぁ康二。」
「そうですね。顔は世界一だと思います。」
「顔はってなんだよ。つか康二、お前もだぞ。お前も駿里を守ってやれ。そのために自分の命も大切にしろ。分かったな。あと怪我もあんまりしてやるな。駿里が心配するから。」
これも…駿里が槐さんに話してたんだろうな。そうかそうか。なら怪我も出来ねぇな。こいつを泣かせる訳にはいかねぇからな。んで組長も同じことを考えていたらしい。一緒に駿里のことを守り抜きましょうね組長。
「はい。もちろんです槐さん。」
「誰かと思えば兄貴かよ。」
「お疲れ様です槐さん。」
後ろから声が聞こえたと思えばそれは槐さんの声だった。いつから聞いていたのだろうか。まぁけど槐さんに聞かれたとしても問題は無い。この人も元極道だから。碓氷さんは極道じゃなくハナから堅気だから聞かれたらちょっとまずいんだけどな。
「いやお前ら2人揃って話を逸らすなよ。それに駿里の前じゃねぇか。なんて話をしてんだよ。駿里の前でそういう話はやめとけって。」
「兄貴、よく見ろよ。駿里は寝てる。」
そう。組長の言う通り。駿里はぐっすりなんですよ槐さん。ほんっとに優しいんだから槐さんは。
「…それならいいが、それよりもさっきの話はなんだよ寛也。」
「あれは仕事だ。ただの仕事の話だ。」
「仕事って言っても警察を処分すんのは後々面倒な事になるぞ。」
確かに槐さんの言う通りかもですね。ですけどやり方ってのがあるんです。処分っていってもいきなり殺すわけじゃない。まずは懲戒処分にして職を失わせてから命を奪うんですよ。
「大丈夫だ兄貴。俺はそんなヘマをしない。失敗しそうなものはそもそもやらねぇからな。厳密に考えるんだよ。それが康二の得意分野だ。こいつはそういうのに長けている。だから心配する必要はねぇよ。」
「って言ってもよ…。相手は警察だろ?お前に何かあったら駿里はどうすんだよ。お前がいなきゃこいつは生きてくことだって辛くなるんだぞ。駿里はお前らのことを慕って愛してんだから。」
へぇ…。駿里は槐さんにはそんな話をするのか。俺らには直接言わねぇくせに。まぁ言いやすいんだろうな。あんまり槐さんには会わない分本音で話せるんだろうよ。俺らに直接話して欲しいところだけどな。俺はそんなことを思いながら組長の腕の中で眠ってる駿里の頬を撫でた。
「兄貴。だから俺達は実行するんだ。駿里を守るためにな。」
「どういう意味だ寛也。」
「俺達が処分しようとしてる奴は警察って言っても多分内探なんだよ。どっかの組のチンピラだ。銀バッチや組のトップの連中はそんなことしねぇからな。だから下っ端を警察内部に侵入させてんだろ。そしたら証拠品なんかを簡単に処分出来るからな。」
「…それは確かなのか?」
さすが槐さん。確信に迫ってくる。こんぐらいでいいやって言うのがこの人にはない。だから俺は槐さんを信頼出来る。その槐さんに憧れて俺もちゃんとするようになったからな。
「確かだ。森廣が調べたからな。だから安心しろって兄貴。それに今回は駿里を守るためでもある。そんな大事な案件で俺が失敗すると思うか?中途半端になると思うか?思わねぇだろ。何せこいつの為なんだから。」
そうだ。俺達は駿里を守るためなら少々身を削るようなことでもする。愛してるからな。こいつを俺らで一生守ると決めた。そのためには躊躇しないんですよ槐さん。
「…そうか。俺の心配しすぎだったようだな。けど詳しく聞かせろその話。俺も協力する。」
え?まじかよ。槐さんが協力してくれるほど頼もしいことは無い。この人は本当にすごいんだ。馬酔木さんが一番信頼してる人でもあるからな。だから俺は槐さんがそう言ってくれて嬉しかった。
「いいのか?兄貴。」
「ああ。駿里の為だ。それにちょっと心配だからな、お前らの事も。駿里の事になるとどうしてもやりすぎる所がある。だから俺がお前らを見張っててやる。」
「んだよそれ。俺らはそんなヘマしねぇよな康二。」
「おっしゃる通りですよ組長。」
って言ったけど俺は槐さんの言う通りだと思った。特に俺。よくそれで組長に怒られてる。だから俺は思わず槐さんから目を逸らした。
「嘘ついてんじゃねぇよ。目が泳いでるぞ康二。」
「…え、槐さん!泳いでません!」
「分かりやすいやつだな。まぁいい。無理だけはすんなよ。それは約束しろ康二。」
「分かりました。槐さん。」
俺がそう言うと槐さんはちょっとだけ笑った。笑ったって言うか微笑んだ。あーなんだが昔のことを思い出すな。槐さんが現役の頃はみんなが槐さんを慕ってた。俺はちょっとしか現役の槐さんを見れてないからあんまり分かんねぇけどそれでもすごい人っていうのは分かるんだ。
「寛也、お前もだぞ。」
「分かってるよ。どいつもこいつも口うるせぇな。」
「兄に向かってなんて口の利き方だ全く…。」
そう言いながらも槐さんは怒ってない。どこか嬉しそうにしていた。こうして組長と話せるのもレアだからな。組長が仕事が忙しくてあんまここに帰って来れねぇから。つか…槐さんはなんでここにいるんだ?
「槐さん。そういや槐さんはどうしてここに?」
「俺はよくここに来んだよ。黄昏てんだ。ここに来ると気分が良くなるからな。」
そうだったのか。今はそうでもねぇけど昔の槐さんは多忙だったからな。寝る時間もなかった。だからこうしてここに来てたのかもしれない。
「つか駿里もよくここに来てるぞ。お前ら知らねぇのか?」
…はい?なんですかその情報は。俺は知らねえぞ。組長は知ってるのか?と俺は組長の顔を見た。けどやっぱ組長も知らねぇみたいだ。こりゃお仕置き案件か?
「どういうことだ兄貴。」
「知らなかったのかよ。康二もか?」
「はい。俺も知りません。なので教えて頂けませんか槐さん。」
「別にいいが駿里を怒るなよ。」
「それは話を聞いてからだな。早く話せ兄貴。」
「全く俺の弟はせっかちだな…。まぁいいか。お前らがここに泊まりに来る時は決まって駿里がここに来る。夜にな。夜っていうか深夜か。理由はもちろん俺に会いにだ。ありゃこっそり抜けてきてたんだな。そんでここに来た駿里と俺は色んな話をしていた。色んなって言っても全部お前らの話だけどな。」
俺らの…?そういや駿里のやつ、御子柴さんにも俺らの話を聞いてたな。槐さんにもそうだったのか…?
「おい兄貴。俺らの話ってなんだ。」
「お前らの過去の話とかだな。それと寛也の好きな物とか。康二の苦手なものとか。」
おいおい駿里。なんで組長の話はいい話なのに俺のは苦手なものなんだよ。くそ、それでも可愛いやつだな。
「あとはそうだな、惚気話だな。」
「惚気?」
「そうだ。寛也、お前のな。駿里が惚気話を出来る機会は少ねぇからな。だから俺が聞いてやってんだ。駿里はその時色々話してくれんだ。寛也のいい所、好きな所、喧嘩した話とか全部な。あと誰よりも愛してくれてるって話とかもな。」
「そうだったのか。」
あーあ。組長も照れちゃって。それを態度には出してねぇけど俺には分かりますよ組長。全く…。駿里は1人で出歩いてるんですからお仕置きしなきゃなのにこれはしないパターンだな。いやけどある意味お仕置きかもな。組長多分今相当嬉しいだろうから。だからその組長に駿里は何度も何度も抱かれるだろ。頑張れー駿里。
「ああ。だから寛也、お前は絶対に駿里を守り抜け。この子は本当にいい子だ。なかなか居ねぇよ。しかも顔もいいしな。なぁ康二。」
「そうですね。顔は世界一だと思います。」
「顔はってなんだよ。つか康二、お前もだぞ。お前も駿里を守ってやれ。そのために自分の命も大切にしろ。分かったな。あと怪我もあんまりしてやるな。駿里が心配するから。」
これも…駿里が槐さんに話してたんだろうな。そうかそうか。なら怪我も出来ねぇな。こいつを泣かせる訳にはいかねぇからな。んで組長も同じことを考えていたらしい。一緒に駿里のことを守り抜きましょうね組長。
「はい。もちろんです槐さん。」
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