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あや様リクエスト
束縛したい気持ち
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*松下視点
「じゃあな駿里。海斗。御子柴、駿里達を頼んだぞ。」
「はい。何かあればすぐ坊ちゃんに報告しますので坊ちゃん達も休んでてくださいね。」
「ああ。」
組長がそう返事したのを聞いて御子柴さんは笑顔で部屋を出た。駿里と海斗はどこにいるかって?もうとっくに出て行ってるよ。俺らが心配してるのを他所に…。まぁあいつらは楽しくて仕方がねぇんだろうな。
「行っちまいましたね組長。」
「そうだな。正直行かせたくはねぇんだがあんま窮屈な思いもさせたくねぇからな。なぁ圷。」
「…そうですね。」
組長にそう言われて圷は分かりやすく顔を曇らせた。まぁそりゃそうか。圷は自分でも分かってるはずだからな。海斗を閉じ込めすぎてるって。
「圷。お前はどうしてそこまで海斗を閉じこめる。別に誰も取らねぇだろ。」
「組長も変わんねぇじゃねぇですか。」
おいおい圷…。組長に口答えしてんじゃねぇよ。馬鹿なのか…って言いたいところだが普段口答えしない圷が口答えをしてしまうほど海斗のことになると余裕が無くなるんだろうな。
「そうだな。だが俺はお前ほどじゃねぇぞ圷。俺は駿里と康二やお前、志方と話させてる。まぁ時に康二達がやらかすけどな。」
組長がこっち見た。だから俺は直ぐに目を逸らした。だって仕方ねぇじゃん。駿里が可愛いんだから。
「だがそれでもあいつは気分転換になってるはずだ。でも海斗はどうなんだ。」
「…分かってますよ。それは俺が1番分かってます組長。けど不安なんです。俺には海斗しかいねぇけど海斗がもし他の奴と接触したら海斗はそっちに行っちまうかもしれない。そう考えると怖くて海斗を外に出せないんです。」
…あ?何言ってんだこいつ。圷はとことん馬鹿だな。ほんっと俺の同僚は仕方のねぇやつばっかりだ。つか志方のやつ、またどっか行ったな。相変わらず自由なやつ。
「圷。そりゃ考えすぎた。」
「お前に何がわかるんだよ康二。」
おいおい俺には牙剥き出しにするじゃねぇかよ圷さんは。組長にはそんなことしねぇのに。いやそれは当たり前か。
「分かるよ。分かるに決まってんだろ。」
「…は?」
「圷、あのな俺は駿里を愛してんだ。組長の前だけど言わせてもらう。だから俺も気持ちは分かる。あいつを外に出したくねぇよ。外は危険だしあいつも心変わりする可能性はゼロじゃねぇからな。駿里とは出会いが出会いだからよ。ねぇ組長。」
「ねぇじゃねぇよ馬鹿康二。まぁだが言ってることは正しい。何せ俺は常に命を狙われてる身だからな。だから余計に駿里を外に出したくない。俺のせいで実際何度も駿里に嫌な思いをさせてしまってる。それを避けるためには駿里を閉じ込めるしかない。だがそれをしたら駿里が苦痛だろ?まぁそれが分かってても閉じ込めたくなるよな。」
「…はい。」
この圷の様子を見る限りかなり自分を責めてんな。けどそれでも海斗を閉じ込めたくなるんだろうな。まぁ仕方ねぇっちゃ仕方ないことかもしれない。俺らの仕事はそういうもんだから。
「ま、海斗が嫌がってねぇならいいと思うぜ。これはお前らの問題だからな。」
「康二の言う通りだ。俺達があんま口出すことじゃねぇな。だからそう辛い顔をするな圷。でも困ったことがあればすぐに言え。すぐに助けてやるから。」
「ありがとうございます組長…。」
俺には礼はねぇのかよ…。まぁいいけど。つか空気がどんよりしちまったな。なんか明るくしねぇと。
「そういや圷!」
「…んだよ康二。声がでけぇ。」
「あの案件どうなった?」
「は?案件?どの?」
「あれだよ。シャブのやつ。」
「あーあれは…。」
「んだよ言えねぇの?」
「そういうわけじゃねぇ。ただ確かな証拠を掴んでねぇからまだ報告するには早い。」
あーそうだったのか。ま、そうか。証拠を掴むのは難しいからな。
「そうか。」
「康二。お前も圷を見習ったらどうだ。」
「え?」
圷を?見習う?組長は何を言ってんだ?
「え、じゃねぇ。お前は証拠なんて掴まずに俺に報告してくる。ちょっとの事でもな。言ってしまえば要らねぇ報告もだ。それに比べて圷はしっかり証拠を掴んでから報告してくる。だから信用出来るんだよ。」
「なっ…じゃあ組長は俺の事信頼してないんですか!?」
「そういう訳じゃねぇ。実際お前は仕事で失敗しないからな。ただ康二、お前は余計な行動が多いんだよ。」
「確かに。組長の言う通りですね。」
「圷!てめぇ!」
調子に乗りやがって。さっきまで落ち込んでたくせによ。
「うるさい康二。」
「はは、お前らは変わんねぇな。」
「組長はそう思いますか?」
俺は組長にそう言われて昨日御子柴さんに言われたことを思い出した。俺は変わったと言われたことを。
「あ?どういう意味だ康二。」
「御子柴さんに昨日言われたんですよ。俺が変わったって。」
「御子柴が?そんなことを言ったのか?」
「はい。」
組長は不思議そうな顔をしてた。組長からしたら俺は全く変わってないのか?圷もそうだ。圷もよくわかんねぇみたいな顔してた。まぁ俺からしても圷は変わってねぇと思う。組長は大分変わったけどよ。
「そうなのか。俺からしちゃお前はずっと変わんねぇよ。馬鹿なままだ。」
「…組長。どういう意味ですか。圷。お前も笑ってんじゃねぇ。」
「別に悪い意味じゃないぞ康二。お前はずっと俺に忠実で良い奴だ。そんで優秀なやつ。」
「そりゃ嬉しい限りです。」
「組長。俺は?」
欲しがってんじゃねぇよ圷。なんだこいつ。らしくねぇ事しやがって。嫉妬かよ。
「圷も勿論優秀だ。お前は1番勉学に優れてる。俺の自慢の部下だ。」
は…!?自慢…!?俺、組長にそんなこと言われてねぇ!
「組長!俺は!?」
「なんだお前。欲しがってんじゃねぇ。」
「そうだぞ康二。組長を困らせるな。きもい。」
「…てめぇ。圷は黙ってろ。てか組長!なんで俺には言ってくれないんですか!」
「お前がもうちょい功績を出したら言ってやるよ。」
「…そんなぁ。」
「じゃあな駿里。海斗。御子柴、駿里達を頼んだぞ。」
「はい。何かあればすぐ坊ちゃんに報告しますので坊ちゃん達も休んでてくださいね。」
「ああ。」
組長がそう返事したのを聞いて御子柴さんは笑顔で部屋を出た。駿里と海斗はどこにいるかって?もうとっくに出て行ってるよ。俺らが心配してるのを他所に…。まぁあいつらは楽しくて仕方がねぇんだろうな。
「行っちまいましたね組長。」
「そうだな。正直行かせたくはねぇんだがあんま窮屈な思いもさせたくねぇからな。なぁ圷。」
「…そうですね。」
組長にそう言われて圷は分かりやすく顔を曇らせた。まぁそりゃそうか。圷は自分でも分かってるはずだからな。海斗を閉じ込めすぎてるって。
「圷。お前はどうしてそこまで海斗を閉じこめる。別に誰も取らねぇだろ。」
「組長も変わんねぇじゃねぇですか。」
おいおい圷…。組長に口答えしてんじゃねぇよ。馬鹿なのか…って言いたいところだが普段口答えしない圷が口答えをしてしまうほど海斗のことになると余裕が無くなるんだろうな。
「そうだな。だが俺はお前ほどじゃねぇぞ圷。俺は駿里と康二やお前、志方と話させてる。まぁ時に康二達がやらかすけどな。」
組長がこっち見た。だから俺は直ぐに目を逸らした。だって仕方ねぇじゃん。駿里が可愛いんだから。
「だがそれでもあいつは気分転換になってるはずだ。でも海斗はどうなんだ。」
「…分かってますよ。それは俺が1番分かってます組長。けど不安なんです。俺には海斗しかいねぇけど海斗がもし他の奴と接触したら海斗はそっちに行っちまうかもしれない。そう考えると怖くて海斗を外に出せないんです。」
…あ?何言ってんだこいつ。圷はとことん馬鹿だな。ほんっと俺の同僚は仕方のねぇやつばっかりだ。つか志方のやつ、またどっか行ったな。相変わらず自由なやつ。
「圷。そりゃ考えすぎた。」
「お前に何がわかるんだよ康二。」
おいおい俺には牙剥き出しにするじゃねぇかよ圷さんは。組長にはそんなことしねぇのに。いやそれは当たり前か。
「分かるよ。分かるに決まってんだろ。」
「…は?」
「圷、あのな俺は駿里を愛してんだ。組長の前だけど言わせてもらう。だから俺も気持ちは分かる。あいつを外に出したくねぇよ。外は危険だしあいつも心変わりする可能性はゼロじゃねぇからな。駿里とは出会いが出会いだからよ。ねぇ組長。」
「ねぇじゃねぇよ馬鹿康二。まぁだが言ってることは正しい。何せ俺は常に命を狙われてる身だからな。だから余計に駿里を外に出したくない。俺のせいで実際何度も駿里に嫌な思いをさせてしまってる。それを避けるためには駿里を閉じ込めるしかない。だがそれをしたら駿里が苦痛だろ?まぁそれが分かってても閉じ込めたくなるよな。」
「…はい。」
この圷の様子を見る限りかなり自分を責めてんな。けどそれでも海斗を閉じ込めたくなるんだろうな。まぁ仕方ねぇっちゃ仕方ないことかもしれない。俺らの仕事はそういうもんだから。
「ま、海斗が嫌がってねぇならいいと思うぜ。これはお前らの問題だからな。」
「康二の言う通りだ。俺達があんま口出すことじゃねぇな。だからそう辛い顔をするな圷。でも困ったことがあればすぐに言え。すぐに助けてやるから。」
「ありがとうございます組長…。」
俺には礼はねぇのかよ…。まぁいいけど。つか空気がどんよりしちまったな。なんか明るくしねぇと。
「そういや圷!」
「…んだよ康二。声がでけぇ。」
「あの案件どうなった?」
「は?案件?どの?」
「あれだよ。シャブのやつ。」
「あーあれは…。」
「んだよ言えねぇの?」
「そういうわけじゃねぇ。ただ確かな証拠を掴んでねぇからまだ報告するには早い。」
あーそうだったのか。ま、そうか。証拠を掴むのは難しいからな。
「そうか。」
「康二。お前も圷を見習ったらどうだ。」
「え?」
圷を?見習う?組長は何を言ってんだ?
「え、じゃねぇ。お前は証拠なんて掴まずに俺に報告してくる。ちょっとの事でもな。言ってしまえば要らねぇ報告もだ。それに比べて圷はしっかり証拠を掴んでから報告してくる。だから信用出来るんだよ。」
「なっ…じゃあ組長は俺の事信頼してないんですか!?」
「そういう訳じゃねぇ。実際お前は仕事で失敗しないからな。ただ康二、お前は余計な行動が多いんだよ。」
「確かに。組長の言う通りですね。」
「圷!てめぇ!」
調子に乗りやがって。さっきまで落ち込んでたくせによ。
「うるさい康二。」
「はは、お前らは変わんねぇな。」
「組長はそう思いますか?」
俺は組長にそう言われて昨日御子柴さんに言われたことを思い出した。俺は変わったと言われたことを。
「あ?どういう意味だ康二。」
「御子柴さんに昨日言われたんですよ。俺が変わったって。」
「御子柴が?そんなことを言ったのか?」
「はい。」
組長は不思議そうな顔をしてた。組長からしたら俺は全く変わってないのか?圷もそうだ。圷もよくわかんねぇみたいな顔してた。まぁ俺からしても圷は変わってねぇと思う。組長は大分変わったけどよ。
「そうなのか。俺からしちゃお前はずっと変わんねぇよ。馬鹿なままだ。」
「…組長。どういう意味ですか。圷。お前も笑ってんじゃねぇ。」
「別に悪い意味じゃないぞ康二。お前はずっと俺に忠実で良い奴だ。そんで優秀なやつ。」
「そりゃ嬉しい限りです。」
「組長。俺は?」
欲しがってんじゃねぇよ圷。なんだこいつ。らしくねぇ事しやがって。嫉妬かよ。
「圷も勿論優秀だ。お前は1番勉学に優れてる。俺の自慢の部下だ。」
は…!?自慢…!?俺、組長にそんなこと言われてねぇ!
「組長!俺は!?」
「なんだお前。欲しがってんじゃねぇ。」
「そうだぞ康二。組長を困らせるな。きもい。」
「…てめぇ。圷は黙ってろ。てか組長!なんで俺には言ってくれないんですか!」
「お前がもうちょい功績を出したら言ってやるよ。」
「…そんなぁ。」
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