極道の密にされる健気少年

安達

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誘拐

祭り(続き)

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*圷視点



「おい駿里。逃げんなって。どの道すーぐ捕まんだぞ。」

「こ、こっちに来るなっ、寛也…っ!」



確かに組長は楽しむことを許可した。だがこれはいくらなんでもやりすぎじゃねぇの?さっきから志方も康二も駿里を追いかけ回してるし、なんなら組長はそれを楽しんでるようにも見えるな。まぁ今の状況を簡単に言えばとにかく駿里が可哀想ってことだ。



「なんだよ駿里。」

「なんだよじゃないっ、ばか寛也っ、助けて捕まる…っ!」

「自分の力で逃げ切ってこそ男だぞ駿里。」



あーあ。駿里のやつ絶望した顔しやがって。多分組長も組長で駿里に嫌な思いをさせたいんじゃない。この状況を利用して駿里のトラウマとやらを克服させようとしてんだろうな。あくまで俺の想像だけどよ。



「や、やだっ、ちかやっ、離さないでお願いだから…っ!」



駿里もそうは言っているが本気では嫌がってない。ただ康二も志方もいつ理性が無くなるかわかんねぇからちょっと怖いんだろうな。相手は力の差がありすぎるあいつらだから。



「駿里。組長にそんなひっつき虫してねぇてほらこっち来いって。」

「嫌って言ってるじゃんっ、あっちいって康二さんっ!」

「行かねぇよ。お前連れていくまでは俺もここから動かねぇからな。」



そういう康二に連れていかれまいと駿里は組長に必死にくっついていた。そんな駿里を組長は呑気に頭を撫でながら見ているだけ。だから駿里は康二から逃げるには組長にひたすらくっつくしかねぇんだな。



「俺だって寛也から離れないから…っ!」

「へーへーそうかよ。組長、駿里連れて行っていいですか?」



いつまでたっても組長から離れようとしない駿里を見てついに康二は組長に許可を取り始めた。可哀想に…。まぁ俺も見てるだけで助けようとしないんだから同類か…。



「ああ。好きにしろ。」

「ありがとうございます組長。」

「ちょ、ちょっと寛也…っ!」



いつもだったら康二に駿里が触れられるだけで不機嫌になる組長。だが今日はそうじゃなかった。だから駿里は驚きと悲しみに満ち溢れてるって顔してんな。



「な、なんでよ寛也っ、離さないで…っ!」

「俺とそんなに一緒にいたいのか?」



組長は答えが決まっているであろう質問を駿里にした。だからまぁ当然駿里は声を荒らげるよな。ただの組長の冗談半分の言葉なのによ。



「いたいっ、一緒にいたいからしがみついてるの…っ!」

「そうかそうか。可愛いやつだな。」

「なんで、なんで寛也今日は俺から離れようとするの…っ!」

「そういう気分だ。」



なーにいってんだか。組長も嘘をつくのが下手だ。本当は嫌だろうに…。



「だってよ駿里。それなら俺と楽しもうぜ。」

「やだっ、康二さん嫌っ!」

「なら俺はどうだ?」

「志方さんもいや…っ!」

「嫌々ばっかりじゃねぇか。まぁ嫌って言っても連れて行くけど。」



組長は志方にも康二にも駿里に触れてほしくないだろう。だがこうやって誰かに触れられることで駿里も徐々に体に触れられることに慣れていく。そうすることで元の日常が戻るかもしれない。それに多分1番は駿里が組長の実家に帰りたいと言ったこと。槐さんたちは優しいから駿里の嫌がることはしないだろうけど駿里は別だ。トラウマなんか起こしたら可哀想だからな。



「離してっ、いやってば…っ!」

「暴れんな駿里。無駄だって。」

「そうだぞ康二の言う通りだ。暴れてもなんも変わんねぇよ。」



そんで康二も志方も組長の思いに気づいている。だからこうして半無理やり駿里を捕まえてる。志方に関してはいつも半無理やりだが康二は違う。駿里…お前はこんなにも愛されてんだぞ。まぁその愛は重くて時に怖いだろうがやりすぎてたら俺が助けてやるから安心しろ。



「いや、おれ、寛也のとこいく…っ!」

「はぁ?許すわけねぇだろ。つかさっきからそう言ってっけどお前そんな嫌がってねぇじゃん。」



おーおー。駿里、どうするよ。康二にバレてんじゃねぇか。まぁけどそれはそうだよな。康二はお前と過ごしている時間が長い。だから康二に抱きしめられたらどれだけ嫌でも安心しちまうんだよな。



「い、嫌がってるもん…っ!」



いかにも図星ですという慌てようで駿里がそう言ったから思わず俺は笑ってしまった。



「はは、おいおい駿里。お前は嘘が下手くそだな。ほんとにそっくりだ。」



組長に。



「圷さんっ、笑ってないで助けてよっ…!」



康二と志方に体を触られまくれ、キスをされ、好き放題されている駿里が俺の方に手を伸ばしてきた。けど悪いが今は助けられねぇ。お前の体と心ががどこまで耐えられるのか…トラウマを起こさないのかそれを見てるからな。



「んー?けど康二の言う通りお前そこまで嫌そうじゃねぇじゃん。」



あんなことがあった後だからこんなことされても落ち着くんだろうな駿里は。だから俺はそれをそのまま言った。そしたら駿里は首を勢いよく横に振った。



「ちがうっ、嫌だもんっ、いや…っ!」



嘘つけ。どんだけお前と過ごしてきたと思ってんだ。お前が本気で嫌がってる時とそうじゃない時の区別はつくっての。それにお前そんなに嘘つきまくってっと組長にまでいじめられんぞ。



「へぇ。嫌ねぇ。どう思います組長。」



駿里が組長のことに行きたがってるから俺は組長にそう言った。そしたら組長は駿里のところに行くだろうからな。俺はほんとに優しい男だな。



「俺にも嫌そうには見えねぇがな。こいつらにそんな顔見せやがってよ。お仕置きしてやろうか?」



思ってもねぇことを組長も言い始めた。けど実際組長も康二達に好き放題されている駿里を見るのは我慢の限界だっただろうから俺も中々にいいタイミングで組長に話しかけたと思う。



「ち、違うじゃんっ、寛也が俺の事離すから…っ!」



そうだよな駿里。お前はなんにも悪くない。けど思い出してみろ。これがお前の日常だぞ。



「離す?そんな事をした覚えはない。」

「したじゃんっ、さっきっ、ぁ、ちょ、康二さんやめて…っ!」



駿里が話している最中も康二も志方も遠慮なしに駿里に触れ続けた。ついに康二は駿里の耳を噛み始めたんだから駿里も見たことの無いぐらいの慌てようを見せた。



「俺はお前を離した覚えはない。そもそも捕まえてすらなかったんだから。お前が俺にしがみついてただけだろ?その手をお前が離したんだ。」



なんとも理不尽なことを…。けどそれが組長だもんな。駿里…せいぜい頑張れよ。この3人の相手を…。



「そ、そんなの…っ、」



理不尽だよな。俺もそう思うぜ駿里。



「駿里。覚悟はいいな?」



今から駿里はどうなるんだろうか…。組長にこのまま抱かれんのか…?けどトラウマをまた起こすんじゃねぇのか?あ…いやそうでもなさそうだな。だって駿里のやつ、こんな状況なのに期待する目で組長を見てんだから。



「組長、俺は海斗が待ってるんで帰りますね。」

「ああ。色々礼を言うぞ圷。気をつけてな。」

「はい。」



俺はそう言ってこの部屋を出ようとした…がちょっとこれからどうなるのか気になったから少し家に留まることにした。




「駿里。お前何期待してんだよ。」

「…してないもん。康二さん変なこと言わないでっ、」



全く…。本当に嘘が下手なんだな駿里。期待してないといいながらお前は暴れねぇじゃねぇか。まぁそうか。体は覚えちまってるもんな。何をされてどんなことをされるのかってことを。



「してないねぇ。へぇ…。ならなんでここ先走りしてんだろうな。お前お仕置きされんの分かってんのか?」

「っ………。」

「志方、そういう事なら可愛がってやろうじゃねぇか。こいつの期待に応えてやんねぇとな。」

「そうですね組長。」
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