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誘拐
傍にいる
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「ほら駿里、鼻チーんしろ。」
「や、」
寛也は駿里の涙が落ち着いたのを見計らってティッシュを素早く取りに行き駿里の鼻にティッシュを当てた。
「なんでだよ。ほらこっちを向け。」
「…うぅ、やぁっ、」
駿里のことを抱きしめるように捕まえて寛也は半無理やり駿里に鼻水をかませた。そして今度は綺麗なティッシュを新たにとって駿里の目を綺麗にしようとした。
「涙も拭け。ほら。」
「あぅ、も、うっ、」
「お、綺麗になったな。」
駿里は嫌がりながらも寛也に全体重を預けている。そんな駿里を可愛いと思いながら寛也は駿里にキスを落とした。すると駿里が顔を上げて寛也のことを見てきた。
「ちかや…。」
「ん?どうした?」
「仕事は…?」
「ん?仕事?んなもんねぇよ?」
「…え?」
「あ?」
「仕事ないの…?」
「そう言ってんだろ。」
「…暇なの?」
いいやそうじゃない。寛也は暇なわけでも仕事がない訳でもない。ただ駿里が心配だからこうして駿里と一緒にいるのだ。
「ああ。すげぇ暇だ。だからお前のそばに居る。」
「…いつまで暇?」
「あと1ヶ月は暇だな。」
「…そっか。」
「だからずっと一緒にいられるな。嫌がんなよ?」
「嫌じゃない…。」
「そうか。それならよかった。まぁ嫌って言っても傍から離れねぇけどな。」
と、寛也は言ったけれど今はその寛也の思い愛がやはり駿里を安心させてくれる。もう怖いものは無い。置いてけぼりにもされない。ずっとそばに居てくれる。そう思わせてくれるから。
「…約束ね。」
「ああ。約束だ。」
そう言って寛也が駿里を抱きしめていると腕の中にいる駿里が震え出した。そのためどうしたものかと寛也が駿里を覗き込んでみるとまた駿里が泣き始めていた。
「駿里。今度はどうした?せっかく拭いた涙が溢れてきたじゃねぇか。」
「…っ、あ、っ、ちいくっ、」
「あっち?あーリビングか?」
「う、っ、ん、」
「よし。行こう。」
駿里の言うことならなんでも聞いてやるというように寛也はそう言って駿里を抱き上げた。そして寛也はリビングへと向かっていく。
しかし…。
「ちかっ、」
「ん?」
「…どこいく、の?」
駿里が突然脅え出した。なにかに脅え出した。だが寛也には駿里の脅えた原因が分からない。だからそれを突き止めようとした。
「リビングだ。お前が行きたいって行ったんだろ?どうした?嫌になっちまったか?」
「…こわっ、ぃ、」
「駿里、何が怖いか言えるか?」
「ど、あ、」
「ドア?これか…。」
「…うん。」
「ならこれ取っちまうか。」
駿里が怖がるのならばそれは邪魔だ。要らないもの。そのため寛也はすぐにでもこれを撤去するために業者を呼ぼうとしたが今の駿里を他人に合わせるのはいいものかのかと少し悩んだ。
「…それは、大丈夫。」
流石にドアの撤去となるのは申し訳ないと思ったのだろう。駿里が身体をガタガタ震わせながらそう言ってきた。だから寛也は心が傷んだ。怖いのに…怖くてどうしようもないのに自分のことを考えず寛也のことを考えているのだから。
「駿里。申し訳ないとか思わなくていい。俺はお前がいればいいんだから。それにここは俺とお前の家だ。だからここをお前が過ごしにくいと思う家にはしたくない。」
「…………っ。」
「な?無理しなくていい。ここが引っ越してもいいんだぞ。」
「…それは、やっ、」
ここは寛也と出会ってからずっと一緒に過ごしてきた思い出の場所だ。だからいくら怖くても引越しをするのは駿里は嫌だったのだ。そのため寛也はもちろんその駿里の意見を尊重する。
「分かった。お前が嫌ならそれはやめとこうな。」
「…ごめ、なさっ、」
「謝るな。お前は何も悪くない。怖いなら俺にずっとしがみついていればいい。そしたら俺が守ってやれるから。」
「…うん。」
「いい子だな駿里。よし、とりあえず何か腹に入れよう。空腹だろ?ここに帰ってきてから何も食べてないんだから。食欲がなくてもなんか腹に入れとこう、な?」
「…うん。」
駿里はそうやって言ったもののお腹なんて空いていなかった。恐怖のあまり食欲が低下してしまったのだろう。
「無理に食べなくていいからな。一口でもいい。それだけ食べれば十分だ。」
寛也は駿里がお腹をすかせていないことを察していた。だから優しくそう言った。今の駿里に我慢とか無理とかそういうのを一切出来ればさせたくないから。
「…寛也、ありがとう。」
「ああ。それはそうと何が食べたい?何なら食べれそうか?果物とかいっとくか?」
「…うん。」
「ほんとに?無理すんなよ。無理そうならお粥とかにしとくか?」
寛也はさすがだ。果物と言われて正直あまり食べれる自信が駿里にはなかった。だがそれを駿里は隠した。しかし寛也はそんな駿里を見抜いたのだ。だからそう言い替えた。
「…おか、ゆする。」
「そうか。そうしよう。よし、キッチン行くぞ。」
と、言って寛也は駿里を抱き抱えたまま移動したのだ。いくら力持ちとはいえ駿里はもう成人に近い歳だ。だから重いはず。なのに寛也はなんの文句も言わずに駿里を持ったまま移動した。そんな寛也に駿里は申し訳ないと思いながらも甘えることにした。そうしないと精神が壊れてしまいそうだから。
「ん?駿里?また泣いてんのか?泣き虫め。」
「…ごめ…………んっ、ごめん寛也っ、」
「こら。謝んなって言ったろ?申し訳ないとか思ったらここで抱き潰すぞ。いいのか?それにこれは俺がしたくてしてんだ。だからお前は何も感じなくていい。ただ俺にされるがままになれ。」
「や、」
寛也は駿里の涙が落ち着いたのを見計らってティッシュを素早く取りに行き駿里の鼻にティッシュを当てた。
「なんでだよ。ほらこっちを向け。」
「…うぅ、やぁっ、」
駿里のことを抱きしめるように捕まえて寛也は半無理やり駿里に鼻水をかませた。そして今度は綺麗なティッシュを新たにとって駿里の目を綺麗にしようとした。
「涙も拭け。ほら。」
「あぅ、も、うっ、」
「お、綺麗になったな。」
駿里は嫌がりながらも寛也に全体重を預けている。そんな駿里を可愛いと思いながら寛也は駿里にキスを落とした。すると駿里が顔を上げて寛也のことを見てきた。
「ちかや…。」
「ん?どうした?」
「仕事は…?」
「ん?仕事?んなもんねぇよ?」
「…え?」
「あ?」
「仕事ないの…?」
「そう言ってんだろ。」
「…暇なの?」
いいやそうじゃない。寛也は暇なわけでも仕事がない訳でもない。ただ駿里が心配だからこうして駿里と一緒にいるのだ。
「ああ。すげぇ暇だ。だからお前のそばに居る。」
「…いつまで暇?」
「あと1ヶ月は暇だな。」
「…そっか。」
「だからずっと一緒にいられるな。嫌がんなよ?」
「嫌じゃない…。」
「そうか。それならよかった。まぁ嫌って言っても傍から離れねぇけどな。」
と、寛也は言ったけれど今はその寛也の思い愛がやはり駿里を安心させてくれる。もう怖いものは無い。置いてけぼりにもされない。ずっとそばに居てくれる。そう思わせてくれるから。
「…約束ね。」
「ああ。約束だ。」
そう言って寛也が駿里を抱きしめていると腕の中にいる駿里が震え出した。そのためどうしたものかと寛也が駿里を覗き込んでみるとまた駿里が泣き始めていた。
「駿里。今度はどうした?せっかく拭いた涙が溢れてきたじゃねぇか。」
「…っ、あ、っ、ちいくっ、」
「あっち?あーリビングか?」
「う、っ、ん、」
「よし。行こう。」
駿里の言うことならなんでも聞いてやるというように寛也はそう言って駿里を抱き上げた。そして寛也はリビングへと向かっていく。
しかし…。
「ちかっ、」
「ん?」
「…どこいく、の?」
駿里が突然脅え出した。なにかに脅え出した。だが寛也には駿里の脅えた原因が分からない。だからそれを突き止めようとした。
「リビングだ。お前が行きたいって行ったんだろ?どうした?嫌になっちまったか?」
「…こわっ、ぃ、」
「駿里、何が怖いか言えるか?」
「ど、あ、」
「ドア?これか…。」
「…うん。」
「ならこれ取っちまうか。」
駿里が怖がるのならばそれは邪魔だ。要らないもの。そのため寛也はすぐにでもこれを撤去するために業者を呼ぼうとしたが今の駿里を他人に合わせるのはいいものかのかと少し悩んだ。
「…それは、大丈夫。」
流石にドアの撤去となるのは申し訳ないと思ったのだろう。駿里が身体をガタガタ震わせながらそう言ってきた。だから寛也は心が傷んだ。怖いのに…怖くてどうしようもないのに自分のことを考えず寛也のことを考えているのだから。
「駿里。申し訳ないとか思わなくていい。俺はお前がいればいいんだから。それにここは俺とお前の家だ。だからここをお前が過ごしにくいと思う家にはしたくない。」
「…………っ。」
「な?無理しなくていい。ここが引っ越してもいいんだぞ。」
「…それは、やっ、」
ここは寛也と出会ってからずっと一緒に過ごしてきた思い出の場所だ。だからいくら怖くても引越しをするのは駿里は嫌だったのだ。そのため寛也はもちろんその駿里の意見を尊重する。
「分かった。お前が嫌ならそれはやめとこうな。」
「…ごめ、なさっ、」
「謝るな。お前は何も悪くない。怖いなら俺にずっとしがみついていればいい。そしたら俺が守ってやれるから。」
「…うん。」
「いい子だな駿里。よし、とりあえず何か腹に入れよう。空腹だろ?ここに帰ってきてから何も食べてないんだから。食欲がなくてもなんか腹に入れとこう、な?」
「…うん。」
駿里はそうやって言ったもののお腹なんて空いていなかった。恐怖のあまり食欲が低下してしまったのだろう。
「無理に食べなくていいからな。一口でもいい。それだけ食べれば十分だ。」
寛也は駿里がお腹をすかせていないことを察していた。だから優しくそう言った。今の駿里に我慢とか無理とかそういうのを一切出来ればさせたくないから。
「…寛也、ありがとう。」
「ああ。それはそうと何が食べたい?何なら食べれそうか?果物とかいっとくか?」
「…うん。」
「ほんとに?無理すんなよ。無理そうならお粥とかにしとくか?」
寛也はさすがだ。果物と言われて正直あまり食べれる自信が駿里にはなかった。だがそれを駿里は隠した。しかし寛也はそんな駿里を見抜いたのだ。だからそう言い替えた。
「…おか、ゆする。」
「そうか。そうしよう。よし、キッチン行くぞ。」
と、言って寛也は駿里を抱き抱えたまま移動したのだ。いくら力持ちとはいえ駿里はもう成人に近い歳だ。だから重いはず。なのに寛也はなんの文句も言わずに駿里を持ったまま移動した。そんな寛也に駿里は申し訳ないと思いながらも甘えることにした。そうしないと精神が壊れてしまいそうだから。
「ん?駿里?また泣いてんのか?泣き虫め。」
「…ごめ…………んっ、ごめん寛也っ、」
「こら。謝んなって言ったろ?申し訳ないとか思ったらここで抱き潰すぞ。いいのか?それにこれは俺がしたくてしてんだ。だからお前は何も感じなくていい。ただ俺にされるがままになれ。」
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