極道の密にされる健気少年

安達

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志方と島袋に連れ去られる話

騙された *

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「あ?なんだよ。文句あんのか?」



服を脱げと寛也に言われて思わずフリーズしてしまった駿里に松下がそう言った。文句?そんなのあるに決まってる。なんで服を脱がなければならないんだ。そう思った駿里は堪らず声を荒らげた。



「なんだよじゃないっ、なんで服抜かなきゃいけないんだ…っ!」

「んなの当たりめぇだろ。服を脱いだ方が筋トレしやすいだろ?俺もいつも腹筋とかする時脱いでるじゃねぇか。」

「そう…だっけ?」



寛也にそう言われて駿里は思い出してみた。そしたら確かに寛也は筋トレをする時服を脱いでいた。だがそれは寛也が汗をかいてその汗が服に着くのが嫌だからそうしてるだけだ。だから駿里が服を脱ぐ必要は無い。別に駿里は服に汗が付着することに対して嫌悪感は無いから。そう思った駿里は再び寛也を見た。



「で、でもそれは寛也が汗着くのが嫌なだけでしょ…?俺は別に服に汗着いてもいいもん…!」

「ほんとにいいのか?お前普段汗とかかかねぇから汗疹になるんじゃねぇの?」



寛也はそう言ったがそれは嘘だ。駿里はこれまで寛也と何度も体を合わせ汗をかいてきたが汗疹になったことは無い。服を脱いでいたからと言ってもシーツは背中に着いているし毛布だって体についていた。だがそれでも汗疹にはなっていない。だから寛也のそれはただの脅し。だがそんな分かりやすい嘘にも気付かないウブな駿里は…。



「…う、うそ。」



と本気で怯えた。いや怯えたと言うよりかはそうなるのは嫌だと言うような顔をした。汗疹になると痒くて仕方がないから。それが寛也の嘘とも知らずに…。そして寛也はそんな嘘を信じ込んだ駿里をいいことに更なる仕掛けをした。



「嘘じゃねぇよ。お前普段汗とかかかねぇだろ。」

「け、けど寛也とやる時は汗かいてる…っ!」



駿里は咄嗟に思い出したのだ。夜は汗をかきまくっているということを。それは沢山寛也にイカされているから。だけどこれまで汗疹になったことはない。ということは別に服を着ていても汗疹にならないのでは…?と駿里は思った。しかし寛也は駿里にそう言われても諦めず駿里を丸め込もうとしてきた。その様子を松下はニヤニヤながら見ていた。



「それは服脱いでるからな。」



確かに寛也の言う通りだ。やる時はいつも駿里は服を全部脱がされる。それは寛也が駿里の体を全て見たいから。だからそうされるのだ。だからこれまで駿里が服を着たままやった事は片手で数えられる程度。そのため駿里はまた考え込んでしまった。



「そんなに服着てるのと着てないのじゃ違うの…?」



駿里がそういったのを聞いて寛也も松下も悪い笑みを浮かべた。それはこのままいけば駿里を丸め込めるから。



「そうだぞ駿里。服着てると肌に服が密着するだろ?それがいけねぇんだよ。」



と、松下が適当なことを言った。それが本当かどうかは知らないしそもそもそんなこと松下はどうでも良かった。組長が作ってくれたこと絶好の機会を逃さまいと松下は必死だったのだ。そして寛也もそんな松下に続くように…。



「汗疹が出来たら痒くて仕方ねぇだろうな。それお前に我慢出来んのか?」



実際に汗疹が出来たら多分寛也は薬をすぐ買ってきてくれるだろうしなんなら医者を呼ぶだろう。だから駿里が苦しむことは絶対にないのだ。しかし今は駿里を脅して丸め込むことをしたい寛也。だかこうして駿里を脅し続けているのだ。そして駿里はそんな2人の脅しに負けてしまう…。



「や、やだ…っ。」

「そうだろ?だったら早く服を脱げ。お前の体力作り手伝ってやるから。」



松下は全力で優しい笑顔を浮かべて駿里にそう言った。全て駿里に今から抱くことを悟られないように…。



「分かった…脱ぐ。」

「お、やっと腹を括ったか。偉いぞ駿里。」



正直寛也は待ちくたびれだが服を脱ぐことを決めてくれた駿里をとりあえず褒めた。そうしないとまた駿里が服を脱がないとか言い出してしまいそうだったから。そしてその後2人は駿里が服を脱ぐのを待った。ここで脱がせてしまえば駿里に不審がられてしまう。あくまで駿里には筋トレと伝えているから。



「脱いだよ…。」

「おい駿里。パンツも脱げって。」



駿里は確かに服を脱いだ。しかしパンツは脱がなかった。さすがに恥ずかしかったのだろう。だがそんな駿を寛也は許さなかった。



「パンツは別にいいじゃんか…っ、ただの筋トレでしょ…っ!?」



その通りだ。駿里の言う通り。筋トレなんだからパンツまで脱ぐ必要は無い。だがこれは表上の筋トレだ。駿里はまだ騙されていることに気づいていない。寛也と松下にこれから泣かされることに気づいていない。だからそう言っているのだ。そんな駿里をもちろん寛也も松下も逃がさない。



「おいおい駿里。そうやって適当にやってるとちゃんと筋肉つかねぇぞ。」

「康二の言う通りだ。やるなら完璧にやらねぇと意味ねぇぞ。」



まるで駿里のことを思ってそう言っているかのようにして2人は話しているがそれは全て駿里を騙すためだ。筋トレという名のセックス。それに持ち込む為の口実を2人は作り上げている。それに駿里はまだ気づかない。そのため松下も寛也も楽しそうに笑っている。ウブな駿里が可愛くて仕方がないのだろう。



「…で、でも恥ずかしいからっ、」

「何言ってんだ。ただの筋トレだろ?恥ずかしがってたらなんも始まんねぇよ。」



松下にそう言われて駿里は考えた。確かにそうだ。今からやるわけじゃない。手を出される訳でもない。だったら腹を括るしか…ない。



「…わかった。脱ぐ。」

「良い子だ。その分俺たちがちゃんとお前を鍛え上げてやるからな。」



寛也のその言葉を信じて駿里はパンツを脱いだ。そんな駿里のことを松下と寛也はまるで捉えた獲物を見るような目付きで見ていた。



「そ、そんなに見ないでよ…っ!」

「悪い悪い。お前があまりにも可愛くてな。ほら駿里、こっちに来るんだ。」



寛也が笑いながらそう言った。それもとても優しい顔で。それは駿里に不審がられないため。今はとりあえず駿里が逃げないように捕まえて言いくるめる。そしていつでも手を出せるように寛也は駿里を腕の中に閉じ込めようとしているのだ。



「…へ、変なことしない?」



さすがにここまで来たら駿里も不信感を覚えたようだ。だが今更それをしたところで遅い。もう駿里は寛也と松下の手のひらの上で転がされてしまっているのだかろ。



「ああ。しねぇよ。ただの筋トレだ。お前も筋肉つけてぇんだろ?そんで体力つけて外に出るんだろ?」



駿里に外というワードを言えば弱くなる。それだけ駿里は外に出たいから。だが寛也は駿里を外に出したくない。あの約束をしたもののやはり寛也は駿里を外には出したくないのだろう。だからこうして松下と駿里を抱き潰そうとしている。それに駿里はまだ気づかない。どこまでも純粋で健気だから。



「外行きたい…」

「なら来いよ。俺がとっておきの筋トレ教えてやるから。」



と、寛也が言えば駿里は動き出すしかない。寛也のムキムキな体を誰よりも見ているから。そんな寛也の筋トレが知れる。それが駿里は嬉しくてたまらなかったのだ。そのため駿里はウキウキで寛也の腕の中に飛び込んだ。



「お、やる気が出てきたか駿里。」

「うん…!」



寛也に頭を撫でられながらそう言われて駿里は嬉しそうに笑った。その時松下が動き出したことに気づかずに…。



「早速始めましょうか、組長。」

「そうだな。」



と、言いながら寛也は自身の膝の上に乗っている駿里を軽く拘束した。そして…。



「駿里、俺がちゃんと教えてやるからいいって言うまで動くなよ?」

「わかった!」



その言葉がどんな意味を示すのか…。それを深く考えずに駿里は寛也の言ったことに頷いてしまった。



「その言葉忘れんなよ。二言はねぇからな。」

「うん!」



ああ…これで駿里はもう逃げられない。寛也のその言葉に頷いてしまったのだから。そしてその瞬間寛也と松下の目付きが変わった。



「いい子だぞ駿里。」

「……え?あ、まって、」



寛也に褒められて嬉しがったのもつかの間駿里は松下に体を撫でられ始めた。そして寛也には後ろから手を回され乳首を触られ始められる。



「ちょっ、と、まって、さわるのなし…っ!」

「あ?なんだよ。二言はねぇぞ駿里。」



松下はそう言いながら駿里のおしり辺りを触り始めた。それが意味することは1つ。これから駿里は抱き潰されるということだ。それにやっと気づいた駿里。筋トレなんてそもそもそんなのを2人がやるはずない。少し考えればわかる事だ。だが駿里は気づかなかった。そして今気づいた。しかし今更気づいたところでもうどうにもならないのだ。



「き、筋トレじゃないのっ、ぁ、や、やめっ…!」

「ああ。筋トレだぞ。セックスという名のな。」
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