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志方と島袋に連れ去られる話
睡眠
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「眠くなっちまったか?」
「…うん。」
ゆったりと二人の時間を過ごしたいがあまりに寛也も駿里もお風呂から上がろうとしなかった。そのためだろう。駿里が眠そうにうとうとし始めた。まぁそれは仕方ないだ。先程まで駿里は松下にあんなことやこんなことをされていたのだから。
「よし。それならとりあえず風呂から上がるか。全部俺がやってやるからお前は休んでろ。」
このまま風呂で寝かせてしまえば脱水症状を起こすだけでなく湯だってしまう。そのため寛也はとりあえず駿里を抱きかかえて風呂の外に出ようと言った。そんな寛也の言葉に駿里はゆっくりと首を縦に動かした。
「…うん。ありがとう。」
「可愛いやつめ。」
寛也はそういい駿里の頬にキスを落とすとまるで割れ物を扱うかのようにして優しく駿里を抱きかかえた。
「…ちかや。」
「ん?どうした。」
「ねちゃ、う…。」
今にも眠ってしまいそうな顔で駿里が寛也の方を向いてそう言った。その駿里の顔が相当可愛かったのだろう。寛也は上がった口角が下がらなくなってしまっていた。
「いいぞ。寝とけ。」
「…ねる、前にちゅーして、」
駿里から過去にそんな事を言ったことがあっただろうか。いや少なくとも寛也が言わせた以外はないだろう。そのため寛也は嬉しさのあまり駿里を抱きしめてしまう。
「くる、しい…っ、」
「悪い駿里。お前が可愛すぎてつい力加減を間違えちまった。」
「…はやく、ちゅーして、」
目を閉じたら眠ってしまいそうなほど眠気に襲われていた駿里は眠る前にどうしても寛也にキスをして欲しかったのだろう。駿里はまるで寛也を急かすようにそう言った。そんな駿里に優しく微笑むと寛也は駿里の頬に手を添えて…。
「これで満足か?」
唇が触れるだけのキスだ。だが駿里はとても満足そうだった。そしてそのまま駿里は深い眠りに落ちた。そんな駿里に寛也はもう一度キスを落とした。
「ゆっくり休んどけ。愛してるぞ駿里。」
寛也はそう言うと駿里の髪を乾かした後寝室へと向かって行った。そして深い眠りについている駿里を優しくベットの上に寝かせた。その後寛也は横にならずにベットの上に座った。それはある人物に電話をかけたかったから。その人物というのは松下だ。
「…お疲れ様です組長。」
「たく、お前はまだ不貞腐れてんのか。」
電話をかけたのはいいものの松下はまだ不機嫌そうだった。事務所に行くことで少しは冷静になっているだろうと思ったが寛也の思惑通りにはならなかったようだ。
「…そんなんじゃありません。ただ組長の連絡が遅かったのでちょっと不満なだけです。」
「ほぅ…生意気な事を。」
「組長に似たんですよ。それよりも要件はなんですか?」
「ああ、そうだったな。その事なんだがお前今から俺の家に来れるか?」
「…え?今からですか?」
「そうだ。都合が悪いか?」
「い、いいえ。行きます。」
「なんだよお前。」
寛也が家に来いと言った途端に驚いた松下だがそれにしてはこの家にとても行きたそうな口ぶりだった。そのため松下に対して電話越しではあるものの寛也は難しい顔をしてしまった。松下が何を考えているのか掴めなかったから。
「え?俺変なこと言いました?」
「いや…なんでもない。それよりも来れるなら早く来い。」
電話では顔が見えないので会話をするのが難しい。そう思ったので寛也は松下にそう言った。
「承知しました。すぐに行きます。」
「ああ。待ってるからな。」
「はい。失礼します。」
という松下の声を聞いた寛也は電話を切った。そしてゆっくりと深呼吸をする。これからどんな話をしようか…寛也は少し緊張しているのだ。何せ松下との話し合いの内容は駿里なのだから。2人とも寛也にとって大切でやまない存在。だから寛也はきっとこんなにも頭を悩ませているのだろう。そんなふうに寛也が緊張していると…。
「ちかや…。おはよう…。」
と言う声がベットの方から聞こえてきた。どうやら駿里が起きてしまったようだ。寛也は駿里が寝ているうちに全てを済ませたかった。しかし駿里が起きてしまったので急いで駿里を寝かせようと寛也も駿里の横に寝そべった。
「悪い駿里。起こしてしまったな。まだゆっくり寝とけ。」
「…もう眠くない。」
「そうか。けど身体は疲れてるだろ。目を閉じとけ。」
「…でも眠くないから起きる。」
寛也は正直焦った。駿里が寝てくれない。目が冴えてしまっている。そのためこれから松下との話し合いが出来なくなる。さて…どうするか…。そんなふうに寛也が駿里には悟られないように考え込んでいると駿里が…。
「だから寛也は康二さんと話してきていいよ。俺はここでゆっくりしとくから。」
駿里は寛也に微笑んでそう言った。どうやら駿里は全てを聞いていたようだ。まぁあれだけ目の前で電話をされてしまえば誰であろうと起きるだろう。
「…聞いてたのかよお前。」
「うん。聞いてた。」
「狸寝入りとは感心せんな。」
寛也はそう言って駿里の唇にキスを落とした。それを駿里は当然受け入れる。
「寛也が気づかなかったのが悪いんだ。」
「はは、言うじゃねぇか。可愛いやつめ。」
「そういえば康二さんはいつくるの…?」
「そろそろ来るはずだ。」
「…喧嘩しちゃダメだよ。」
駿里はそれだけが心配だった。2人は極道。だから喧嘩になればとんでもないことになると駿里は思っているのだろう。だからそう心配そうな顔をしてそう言った。そんな駿里をみて寛也は思わず笑ってしまう。それは嬉しかったから。
「心配してくれてんのか。ありがとうな。けど大丈夫だ。俺達は大人だから。」
「…俺が子供みたいな言い方するなっ、」
「実際そうだろ?まぁけどやる事はやるから大人の仲間入りかもな。いや実際そんな事どうでもいいだろ。お前は誰がなんと言おうともいつまでも可愛い可愛い俺の嫁なんだからよ。子供だろうが大人だろうがな。」
「…そ、そういうこと普通に言わないでよっ、」
寛也に嫁と言われて恥ずかしさを隠せなくなった駿里。そのため駿里は顔を布団で隠して寛也から視線を逸らした。そんな駿里をみて寛也は悪い笑みを浮かべた。そして駿里の布団を剥ぎ取った。
「照れてんのか?可愛いやつだな。」
「照れてないからっ、もう早く行ってっ、康二さんが来ちゃうよ…っ!」
「はは、可愛いやつめ。けどそうだな。いい子で待ってるんだぞ。」
「……寛也が早く帰ってきてくれるならいい子にしてる。」
「ああ。そうしよう。」
「…うん。」
ゆったりと二人の時間を過ごしたいがあまりに寛也も駿里もお風呂から上がろうとしなかった。そのためだろう。駿里が眠そうにうとうとし始めた。まぁそれは仕方ないだ。先程まで駿里は松下にあんなことやこんなことをされていたのだから。
「よし。それならとりあえず風呂から上がるか。全部俺がやってやるからお前は休んでろ。」
このまま風呂で寝かせてしまえば脱水症状を起こすだけでなく湯だってしまう。そのため寛也はとりあえず駿里を抱きかかえて風呂の外に出ようと言った。そんな寛也の言葉に駿里はゆっくりと首を縦に動かした。
「…うん。ありがとう。」
「可愛いやつめ。」
寛也はそういい駿里の頬にキスを落とすとまるで割れ物を扱うかのようにして優しく駿里を抱きかかえた。
「…ちかや。」
「ん?どうした。」
「ねちゃ、う…。」
今にも眠ってしまいそうな顔で駿里が寛也の方を向いてそう言った。その駿里の顔が相当可愛かったのだろう。寛也は上がった口角が下がらなくなってしまっていた。
「いいぞ。寝とけ。」
「…ねる、前にちゅーして、」
駿里から過去にそんな事を言ったことがあっただろうか。いや少なくとも寛也が言わせた以外はないだろう。そのため寛也は嬉しさのあまり駿里を抱きしめてしまう。
「くる、しい…っ、」
「悪い駿里。お前が可愛すぎてつい力加減を間違えちまった。」
「…はやく、ちゅーして、」
目を閉じたら眠ってしまいそうなほど眠気に襲われていた駿里は眠る前にどうしても寛也にキスをして欲しかったのだろう。駿里はまるで寛也を急かすようにそう言った。そんな駿里に優しく微笑むと寛也は駿里の頬に手を添えて…。
「これで満足か?」
唇が触れるだけのキスだ。だが駿里はとても満足そうだった。そしてそのまま駿里は深い眠りに落ちた。そんな駿里に寛也はもう一度キスを落とした。
「ゆっくり休んどけ。愛してるぞ駿里。」
寛也はそう言うと駿里の髪を乾かした後寝室へと向かって行った。そして深い眠りについている駿里を優しくベットの上に寝かせた。その後寛也は横にならずにベットの上に座った。それはある人物に電話をかけたかったから。その人物というのは松下だ。
「…お疲れ様です組長。」
「たく、お前はまだ不貞腐れてんのか。」
電話をかけたのはいいものの松下はまだ不機嫌そうだった。事務所に行くことで少しは冷静になっているだろうと思ったが寛也の思惑通りにはならなかったようだ。
「…そんなんじゃありません。ただ組長の連絡が遅かったのでちょっと不満なだけです。」
「ほぅ…生意気な事を。」
「組長に似たんですよ。それよりも要件はなんですか?」
「ああ、そうだったな。その事なんだがお前今から俺の家に来れるか?」
「…え?今からですか?」
「そうだ。都合が悪いか?」
「い、いいえ。行きます。」
「なんだよお前。」
寛也が家に来いと言った途端に驚いた松下だがそれにしてはこの家にとても行きたそうな口ぶりだった。そのため松下に対して電話越しではあるものの寛也は難しい顔をしてしまった。松下が何を考えているのか掴めなかったから。
「え?俺変なこと言いました?」
「いや…なんでもない。それよりも来れるなら早く来い。」
電話では顔が見えないので会話をするのが難しい。そう思ったので寛也は松下にそう言った。
「承知しました。すぐに行きます。」
「ああ。待ってるからな。」
「はい。失礼します。」
という松下の声を聞いた寛也は電話を切った。そしてゆっくりと深呼吸をする。これからどんな話をしようか…寛也は少し緊張しているのだ。何せ松下との話し合いの内容は駿里なのだから。2人とも寛也にとって大切でやまない存在。だから寛也はきっとこんなにも頭を悩ませているのだろう。そんなふうに寛也が緊張していると…。
「ちかや…。おはよう…。」
と言う声がベットの方から聞こえてきた。どうやら駿里が起きてしまったようだ。寛也は駿里が寝ているうちに全てを済ませたかった。しかし駿里が起きてしまったので急いで駿里を寝かせようと寛也も駿里の横に寝そべった。
「悪い駿里。起こしてしまったな。まだゆっくり寝とけ。」
「…もう眠くない。」
「そうか。けど身体は疲れてるだろ。目を閉じとけ。」
「…でも眠くないから起きる。」
寛也は正直焦った。駿里が寝てくれない。目が冴えてしまっている。そのためこれから松下との話し合いが出来なくなる。さて…どうするか…。そんなふうに寛也が駿里には悟られないように考え込んでいると駿里が…。
「だから寛也は康二さんと話してきていいよ。俺はここでゆっくりしとくから。」
駿里は寛也に微笑んでそう言った。どうやら駿里は全てを聞いていたようだ。まぁあれだけ目の前で電話をされてしまえば誰であろうと起きるだろう。
「…聞いてたのかよお前。」
「うん。聞いてた。」
「狸寝入りとは感心せんな。」
寛也はそう言って駿里の唇にキスを落とした。それを駿里は当然受け入れる。
「寛也が気づかなかったのが悪いんだ。」
「はは、言うじゃねぇか。可愛いやつめ。」
「そういえば康二さんはいつくるの…?」
「そろそろ来るはずだ。」
「…喧嘩しちゃダメだよ。」
駿里はそれだけが心配だった。2人は極道。だから喧嘩になればとんでもないことになると駿里は思っているのだろう。だからそう心配そうな顔をしてそう言った。そんな駿里をみて寛也は思わず笑ってしまう。それは嬉しかったから。
「心配してくれてんのか。ありがとうな。けど大丈夫だ。俺達は大人だから。」
「…俺が子供みたいな言い方するなっ、」
「実際そうだろ?まぁけどやる事はやるから大人の仲間入りかもな。いや実際そんな事どうでもいいだろ。お前は誰がなんと言おうともいつまでも可愛い可愛い俺の嫁なんだからよ。子供だろうが大人だろうがな。」
「…そ、そういうこと普通に言わないでよっ、」
寛也に嫁と言われて恥ずかしさを隠せなくなった駿里。そのため駿里は顔を布団で隠して寛也から視線を逸らした。そんな駿里をみて寛也は悪い笑みを浮かべた。そして駿里の布団を剥ぎ取った。
「照れてんのか?可愛いやつだな。」
「照れてないからっ、もう早く行ってっ、康二さんが来ちゃうよ…っ!」
「はは、可愛いやつめ。けどそうだな。いい子で待ってるんだぞ。」
「……寛也が早く帰ってきてくれるならいい子にしてる。」
「ああ。そうしよう。」
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