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志方と島袋に連れ去られる話
嘘
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「邪魔だっつってんだろ。組長が通ってんだろ?」
「う゛゛っ!!」
門番を気絶させ部屋に入る道中にすれ違った奴ら全員を気絶させた志方。寛也も寛也でそこまでやれと言わなかったが志方がやりたかったらしい。だから寛也も志方のその行動に何も言わなかった。だって栗濱組の連中が死のうが生きようが全くもって興味が無いから。だが志方の裾に着いていた血痕を見て何かを思ったのだろう。ずっと黙っていた寛也が口を開いた。
「志方、お前やんのはいいが服汚すなよ。」
「クリーニングに出せばいいですよ。」
「違ぇよ。血臭ぇのが嫌なんだよ俺は。」
「今から栗濱を殺すのに?」
「俺は殴り殺すつもりだから血は出ねぇよ。」
「あーなるほど。」
と、2人が呑気に話していると前から顔を真っ青にした男が走ってきた。そしてその男は寛也を見つけるやいなや大声を出して寛也にすがりついてきた。
「あ、旭川さん!!ちょっと待ってください!!」
「おら志方、前に目標が出来たぞ。早く気絶させろ。」
「お任せを。」
寛也は走ってきた男の話すらも聞くことはしないらしい。その証拠に志方に気絶させろと指示したのだから。志方も志方でその指示に当然従う。そんなこんなで出会った男たち全員を気絶させながら栗濱がいるであろう部屋の前に来た。そして寛也はその部屋のドアを開けずになんとドアを破壊した。要は足で蹴り倒したのだ。
「おい何事だ…………って、あさひ、かわ、さん。」
なにか喧嘩でも起きたと思ったのか初めのうちは栗濱は呑気そうに話していた。だが寛也の顔を見た途端栗濱の顔色が変わった。まるで血がかよっていないように顔が真っ白になった。そりゃそうだ。帰ったはずの寛也が何故かこの部屋にいるのだから。
「…お、お久しぶりです。旭川さん。」
「なぁ栗濱。お前いるじゃねぇか。何嘘とかついてんだよ。」
「…す、すみません。立て込んでいたものでもてなすことが出来そうになくて、、」
「別に俺はそんなもん期待しちゃいねぇよ。お前にはな。」
「…はい。」
栗濱は手をガタガタと震わせていた。そして寛也の機嫌を取ろうとしているのか栗濱はその場に膝立ちをして寛也にゴマすりをするようにしていた。だがそれをしたところで当然寛也の機嫌がとれるわけがない。だから志方が呆れ顔をしながら口を開いた。
「おいお前。突っ立ってねぇで茶ぐらい出せよ。」
「は、はい!」
志方は栗濱の近くに立っていた男にそう言った。するとその男はそそくさとこの部屋を出ていった。この部屋にどうもいたくなかったのだろう。だがそれは寛也らにとっては好都合だった。それは栗濱ただ1人がこの部屋に残されたから。
「おい。座らせてもらうぞ。」
「ど、どうぞ!」
「それで、お前の息子達はどこにいるんだ。」
「…い、今は出ております。」
「まだ嘘をつくか。」
息子達もここに居ることはわかっている。そもそも栗濱自身も表面上の情報では外に出ているということになっていた。だがそれも嘘だった。そして今も嘘。どこまでも嘘をつき続ける栗濱に痺れを切らした寛也は呆れ顔をしながらため息をついた。
「はぁ。志方、どうやらこいつは俺に喧嘩を売っているようだ。今すぐあいつらに電話をしろ。今から派手に喧嘩をするってな。ああそうだ。この家も崩落するだろうから周りの一般人を逃がすようにも言ってやんねぇとな。」
「ま、待ってください旭川さん…!!」
寛也の言っていたことが冗談に聞こえなかった栗濱は慌てた様子でそう言った。まぁ寛也も寛也で本気でそう言った。だって栗濱が死んだところでなんの代わりばえもしないから。
「なんだよ。何焦ってんだお前。」
「よ、要件はなんですか?どうして息子達を…?」
「要件?言わなくても分かるんじゃねぇの?」
「す、すみま、せん、わからなく、て、」
そう狼狽える栗濱を見て寛也は思った。ああそうか。まさか佐久間庵を取り戻しに来たなんて思わねぇよな、と。寛也には今駿里という宝物がいる。だからまさか庵を取り戻しに来たなんて栗濱は思わないだろう。だから寛也はわざわざ説明をしてやった。栗濱ごときに。
「チッ、だりぃなお前。」
「す、すみません!!」
「まぁいい。端的に言うと佐久間 庵を返して貰いに来たんだよ。あいつは俺の大切なもんなんだよ。正しくは俺が可愛がってる奴の大切なもんだ。だから俺の大切なもんでもあるんだよ。なのにお前が盗んで痛げあげているそうじゃねぇか。なぁ栗濱。これは一体どういうつもりだ?」
「……そ、そんな、」
栗濱も予想していなかっただろう。まさか龍之介らと旭川組の組長である寛也が繋がっているとは。いやそれが分かっていたら庵には手を出さなかっただろう。寛也を敵に回すなんて馬鹿な真似したら命の保証は無いから。
「も、申し訳ございません゛!!!!」
命だけは助かりたいのだろう。栗濱は命乞いをするように寛也に土下座を始めた。だがそんなことを寛也はして欲しいのではない。寛也が栗濱にして欲しいのは佐久間 庵を早く差し出すということ。なのに時間をどこまでも無駄にする栗濱に寛也は苛立ちを隠せない。何せ今は可愛い可愛い駿里が寛也の帰りを待っているのだから。
「あーイライラすんなぁお前。こっちは時間ねぇのに。おい志方。」
「はい。」
何をしろと言われた訳でもないのに志方はそう返事をして寛也の指示通りに的確に動いた。
「栗濱、これ以上時間を無駄にすんなら息子を殺す。それが嫌なら佐久間 庵がいる所に案内しろ。早く。」
「う゛゛っ!!」
門番を気絶させ部屋に入る道中にすれ違った奴ら全員を気絶させた志方。寛也も寛也でそこまでやれと言わなかったが志方がやりたかったらしい。だから寛也も志方のその行動に何も言わなかった。だって栗濱組の連中が死のうが生きようが全くもって興味が無いから。だが志方の裾に着いていた血痕を見て何かを思ったのだろう。ずっと黙っていた寛也が口を開いた。
「志方、お前やんのはいいが服汚すなよ。」
「クリーニングに出せばいいですよ。」
「違ぇよ。血臭ぇのが嫌なんだよ俺は。」
「今から栗濱を殺すのに?」
「俺は殴り殺すつもりだから血は出ねぇよ。」
「あーなるほど。」
と、2人が呑気に話していると前から顔を真っ青にした男が走ってきた。そしてその男は寛也を見つけるやいなや大声を出して寛也にすがりついてきた。
「あ、旭川さん!!ちょっと待ってください!!」
「おら志方、前に目標が出来たぞ。早く気絶させろ。」
「お任せを。」
寛也は走ってきた男の話すらも聞くことはしないらしい。その証拠に志方に気絶させろと指示したのだから。志方も志方でその指示に当然従う。そんなこんなで出会った男たち全員を気絶させながら栗濱がいるであろう部屋の前に来た。そして寛也はその部屋のドアを開けずになんとドアを破壊した。要は足で蹴り倒したのだ。
「おい何事だ…………って、あさひ、かわ、さん。」
なにか喧嘩でも起きたと思ったのか初めのうちは栗濱は呑気そうに話していた。だが寛也の顔を見た途端栗濱の顔色が変わった。まるで血がかよっていないように顔が真っ白になった。そりゃそうだ。帰ったはずの寛也が何故かこの部屋にいるのだから。
「…お、お久しぶりです。旭川さん。」
「なぁ栗濱。お前いるじゃねぇか。何嘘とかついてんだよ。」
「…す、すみません。立て込んでいたものでもてなすことが出来そうになくて、、」
「別に俺はそんなもん期待しちゃいねぇよ。お前にはな。」
「…はい。」
栗濱は手をガタガタと震わせていた。そして寛也の機嫌を取ろうとしているのか栗濱はその場に膝立ちをして寛也にゴマすりをするようにしていた。だがそれをしたところで当然寛也の機嫌がとれるわけがない。だから志方が呆れ顔をしながら口を開いた。
「おいお前。突っ立ってねぇで茶ぐらい出せよ。」
「は、はい!」
志方は栗濱の近くに立っていた男にそう言った。するとその男はそそくさとこの部屋を出ていった。この部屋にどうもいたくなかったのだろう。だがそれは寛也らにとっては好都合だった。それは栗濱ただ1人がこの部屋に残されたから。
「おい。座らせてもらうぞ。」
「ど、どうぞ!」
「それで、お前の息子達はどこにいるんだ。」
「…い、今は出ております。」
「まだ嘘をつくか。」
息子達もここに居ることはわかっている。そもそも栗濱自身も表面上の情報では外に出ているということになっていた。だがそれも嘘だった。そして今も嘘。どこまでも嘘をつき続ける栗濱に痺れを切らした寛也は呆れ顔をしながらため息をついた。
「はぁ。志方、どうやらこいつは俺に喧嘩を売っているようだ。今すぐあいつらに電話をしろ。今から派手に喧嘩をするってな。ああそうだ。この家も崩落するだろうから周りの一般人を逃がすようにも言ってやんねぇとな。」
「ま、待ってください旭川さん…!!」
寛也の言っていたことが冗談に聞こえなかった栗濱は慌てた様子でそう言った。まぁ寛也も寛也で本気でそう言った。だって栗濱が死んだところでなんの代わりばえもしないから。
「なんだよ。何焦ってんだお前。」
「よ、要件はなんですか?どうして息子達を…?」
「要件?言わなくても分かるんじゃねぇの?」
「す、すみま、せん、わからなく、て、」
そう狼狽える栗濱を見て寛也は思った。ああそうか。まさか佐久間庵を取り戻しに来たなんて思わねぇよな、と。寛也には今駿里という宝物がいる。だからまさか庵を取り戻しに来たなんて栗濱は思わないだろう。だから寛也はわざわざ説明をしてやった。栗濱ごときに。
「チッ、だりぃなお前。」
「す、すみません!!」
「まぁいい。端的に言うと佐久間 庵を返して貰いに来たんだよ。あいつは俺の大切なもんなんだよ。正しくは俺が可愛がってる奴の大切なもんだ。だから俺の大切なもんでもあるんだよ。なのにお前が盗んで痛げあげているそうじゃねぇか。なぁ栗濱。これは一体どういうつもりだ?」
「……そ、そんな、」
栗濱も予想していなかっただろう。まさか龍之介らと旭川組の組長である寛也が繋がっているとは。いやそれが分かっていたら庵には手を出さなかっただろう。寛也を敵に回すなんて馬鹿な真似したら命の保証は無いから。
「も、申し訳ございません゛!!!!」
命だけは助かりたいのだろう。栗濱は命乞いをするように寛也に土下座を始めた。だがそんなことを寛也はして欲しいのではない。寛也が栗濱にして欲しいのは佐久間 庵を早く差し出すということ。なのに時間をどこまでも無駄にする栗濱に寛也は苛立ちを隠せない。何せ今は可愛い可愛い駿里が寛也の帰りを待っているのだから。
「あーイライラすんなぁお前。こっちは時間ねぇのに。おい志方。」
「はい。」
何をしろと言われた訳でもないのに志方はそう返事をして寛也の指示通りに的確に動いた。
「栗濱、これ以上時間を無駄にすんなら息子を殺す。それが嫌なら佐久間 庵がいる所に案内しろ。早く。」
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