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志方と島袋に連れ去られる話
どっちなの?
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「美味しい…。」
やっぱり寛也のご飯は最高だなぁ。いくらでも食べれる。美味しすぎるんだ。ただでさえこんなに美味しいのに寛也は駿里の好物ばっかり作ってくれる。だから駿里は余計に嬉しくて美味しさも増してくる。
「幸せそうだな。」
「幸せだもん。」
「そうかそうか。」
寛也はそう言いながらとても嬉しそうに駿里の頭を撫でた。その時駿里の目にカーテンが写った。そしてその時思った。外は今どんな感じなんだろうな…と。
「そろそろ雪降るのかなぁ。」
「あ?雪?」
駿里が突然話を変えたので寛也は少し驚いた様子でそう言った。それに冬だ。雪ぐらい振るはずだ…と寛也は思った。だがいつも締切ったカーテンの中で生活している駿里からすれば外の世界は未知なのだ。
「うん。だってもう冬じゃん。」
「あーそうだな。まぁ雪ぐらい降るだろうな。」
寛也はちょっとぶっきらぼうに答えた。きっと寛也は察したのだろう。次に駿里が言う言葉を。だから寛也は話をそらそうとしたが駿里の顔を見る限りそれは無理そうだったので諦めて駿里の話を聞くことにした。
「寛也…。」
「あ?」
「…外行ってもいい?」
駿里がそう言うと寛也はやっぱりそう来たかと顔をしかめる。できることなら駿里をこの家から1歩も出したくないから。このまま閉じ込めて自分だけしか見れないようにしたい。独占したい。だがそれでは駿里は窮屈だろう。だから寛也はその件について少し考えてやることにした。
「お前そんなに外出てぇの?」
「…うん。」
「外行っても寒いだけだぞ。」
「それでも出たいの…。」
「そんなに?」
「うん…。」
寛也はしつこく聞くことで駿里を怒らせようとした。そうしたらこの話題は必然的に終わるから。だがそれが出来なかった。どうやら駿里は本気で外に出たいようだ。いつも外に出たいと言えば大体寛也にお仕置きされる。なのにそのリスクを背負ってまで駿里はこういっている。だから寛也はそんな駿里の気持ちを汲んでやることにした。
「分かった。そんなに出たいなら出てもいい。」
「ほんとに…!?」
「けど条件がある。」
「わ、わかった。」
やっぱり一筋縄ではいかないよな、と駿里は体に力を入れた。だって寛也が出す条件だ。そりゃ身構えてしまうだろう。
「一度しか言わねぇからよく聞けよ。」
「う、うん。」
「1人では絶対に外に出るな。それと必ず俺に連絡をしろ。基本は俺と一緒に行くこと。俺がいない時は康二に頼め。これを守れるなら外に出してやる。」
「守れる…っ!」
寛也が出す条件だから夜死ぬほど抱かれるとかを想像していた駿里。だが違った。そんな簡単なことなら駿里にだって守れる。だから駿里は嬉しそうに笑った。
「いい子だ駿里。」
「寛也っ、せっかくなら遠くまで行きたい…っ!!」
「はぁ?雪見るだけだろ?外に出るのは30分以内だ。」
「え、なんでよっ、短すぎる…!」
小学生みたいな門限…いやそれ以下だ。だって30分だよ。何にもできないじゃん!せっかく外に行くんだ!普段出来ない事をしたい。普段させて貰えないことをしたい。なのにそんな制限をかけられては何も出来ない。そのため駿里は肩を落とした。そんな駿里を見て寛也は意地悪い顔をする。
「文句あんなら外には出さねぇ。」
「うっ……。」
外に全く出れないよりかは30分でも出れる方がマシだ。きっと気分転換にもなるから。だから駿里は納得はいかないけれど寛也の言った条件を呑むことにした。
「30分…。守る。」
「いい子だ。」
本当だったら寛也はきっと駿里をこの部屋から出したくない。だけどこうして駿里の願いを聞いてくれた。そんな寛也が駿里は嬉しかった。前だったら考えられないことだったから。そんなふうに駿里が嬉しさに浸っていると寛也が喋りだした。
「あーそういや明日から冷えるらしいぞ。雪見れるかもしれねぇな。」
「ほんと…!?」
「ああ。もし明日見れなくても来週には雪も降るだろうよ。」
「楽しみっ…!」
雪なんて久しぶりだ。というか駿里が外に出れるの自体久しぶりだ。お日様を直に浴びれる…それが駿里は何よりも嬉しかった。それも寛也とだ。余計に嬉しい。けれど寛也はそうでも無さそうだ。
「俺は雪降らねぇ方がいいけどな。」
「雪見るとテンション上がんない?」
「上がらねぇ。鬱陶しいだけだ。」
「はは、寛也寒いの嫌いだもんね。」
「ああ。寒いと外に行くのが嫌になる。」
寛也は本当に雪が嫌なようで駿里も見た事がないほど嫌な顔をしていた。寛也は仕事柄外に出なくてはいけない時がある。事務所での仕事であったら外に出ることがないだろうから寒さを感じることがないだろうが商談の時は別だ。その場所に行くまで寒さに耐えなくてはならない。この時期はコートを着ていても限度がある。それほど寒くなるから。だから寛也は冬が嫌いなのだろう。だけど駿里は違う。
「俺は寛也とは逆に外に出たくなる。」
「何言ってんだお前。意味わかんねぇ。」
「だって冬ってなんかいいじゃん。寒さが心地いいんだよね。」
「心地いいねぇ…。」
寛也と駿里は真逆だ。寛也は嫌で外に出て仕事をしている。駿里はこの部屋に閉じ込められて外に出たい欲をいつも我慢している。一緒に住んでいるけれど真逆の生活だ。だからこうして全く違う意見が出るのだろう。
「まぁ確かにお前には不自由な生活をさせちまってるからその分外に出れると嬉しさが増すよな。」
「それもあるけど俺は元々冬が好きなの。」
「なんでだ?」
「空気が好きなんだ。」
「へぇ…空気ねぇ。」
「うん。心地いいの。」
「ふーん。」
寛也はそう言うと何故か目を釣りあげた。こういう時の寛也は不機嫌な時だ。あるいはヤキモチを焼いた時もこうする。だけど駿里は何もおかしなことを言っていない。寛也を嫉妬させるようなことを言っていない。そのため少し焦った。だが駿里には焦る暇もなかった。
「それは俺といる時よりもか?俺よりも心地がいいのか?」
「何と張り合ってんのさ…!」
「答えられねぇの?」
「ち、ちがうって、怒んないでよ…。」
やっぱり寛也のご飯は最高だなぁ。いくらでも食べれる。美味しすぎるんだ。ただでさえこんなに美味しいのに寛也は駿里の好物ばっかり作ってくれる。だから駿里は余計に嬉しくて美味しさも増してくる。
「幸せそうだな。」
「幸せだもん。」
「そうかそうか。」
寛也はそう言いながらとても嬉しそうに駿里の頭を撫でた。その時駿里の目にカーテンが写った。そしてその時思った。外は今どんな感じなんだろうな…と。
「そろそろ雪降るのかなぁ。」
「あ?雪?」
駿里が突然話を変えたので寛也は少し驚いた様子でそう言った。それに冬だ。雪ぐらい振るはずだ…と寛也は思った。だがいつも締切ったカーテンの中で生活している駿里からすれば外の世界は未知なのだ。
「うん。だってもう冬じゃん。」
「あーそうだな。まぁ雪ぐらい降るだろうな。」
寛也はちょっとぶっきらぼうに答えた。きっと寛也は察したのだろう。次に駿里が言う言葉を。だから寛也は話をそらそうとしたが駿里の顔を見る限りそれは無理そうだったので諦めて駿里の話を聞くことにした。
「寛也…。」
「あ?」
「…外行ってもいい?」
駿里がそう言うと寛也はやっぱりそう来たかと顔をしかめる。できることなら駿里をこの家から1歩も出したくないから。このまま閉じ込めて自分だけしか見れないようにしたい。独占したい。だがそれでは駿里は窮屈だろう。だから寛也はその件について少し考えてやることにした。
「お前そんなに外出てぇの?」
「…うん。」
「外行っても寒いだけだぞ。」
「それでも出たいの…。」
「そんなに?」
「うん…。」
寛也はしつこく聞くことで駿里を怒らせようとした。そうしたらこの話題は必然的に終わるから。だがそれが出来なかった。どうやら駿里は本気で外に出たいようだ。いつも外に出たいと言えば大体寛也にお仕置きされる。なのにそのリスクを背負ってまで駿里はこういっている。だから寛也はそんな駿里の気持ちを汲んでやることにした。
「分かった。そんなに出たいなら出てもいい。」
「ほんとに…!?」
「けど条件がある。」
「わ、わかった。」
やっぱり一筋縄ではいかないよな、と駿里は体に力を入れた。だって寛也が出す条件だ。そりゃ身構えてしまうだろう。
「一度しか言わねぇからよく聞けよ。」
「う、うん。」
「1人では絶対に外に出るな。それと必ず俺に連絡をしろ。基本は俺と一緒に行くこと。俺がいない時は康二に頼め。これを守れるなら外に出してやる。」
「守れる…っ!」
寛也が出す条件だから夜死ぬほど抱かれるとかを想像していた駿里。だが違った。そんな簡単なことなら駿里にだって守れる。だから駿里は嬉しそうに笑った。
「いい子だ駿里。」
「寛也っ、せっかくなら遠くまで行きたい…っ!!」
「はぁ?雪見るだけだろ?外に出るのは30分以内だ。」
「え、なんでよっ、短すぎる…!」
小学生みたいな門限…いやそれ以下だ。だって30分だよ。何にもできないじゃん!せっかく外に行くんだ!普段出来ない事をしたい。普段させて貰えないことをしたい。なのにそんな制限をかけられては何も出来ない。そのため駿里は肩を落とした。そんな駿里を見て寛也は意地悪い顔をする。
「文句あんなら外には出さねぇ。」
「うっ……。」
外に全く出れないよりかは30分でも出れる方がマシだ。きっと気分転換にもなるから。だから駿里は納得はいかないけれど寛也の言った条件を呑むことにした。
「30分…。守る。」
「いい子だ。」
本当だったら寛也はきっと駿里をこの部屋から出したくない。だけどこうして駿里の願いを聞いてくれた。そんな寛也が駿里は嬉しかった。前だったら考えられないことだったから。そんなふうに駿里が嬉しさに浸っていると寛也が喋りだした。
「あーそういや明日から冷えるらしいぞ。雪見れるかもしれねぇな。」
「ほんと…!?」
「ああ。もし明日見れなくても来週には雪も降るだろうよ。」
「楽しみっ…!」
雪なんて久しぶりだ。というか駿里が外に出れるの自体久しぶりだ。お日様を直に浴びれる…それが駿里は何よりも嬉しかった。それも寛也とだ。余計に嬉しい。けれど寛也はそうでも無さそうだ。
「俺は雪降らねぇ方がいいけどな。」
「雪見るとテンション上がんない?」
「上がらねぇ。鬱陶しいだけだ。」
「はは、寛也寒いの嫌いだもんね。」
「ああ。寒いと外に行くのが嫌になる。」
寛也は本当に雪が嫌なようで駿里も見た事がないほど嫌な顔をしていた。寛也は仕事柄外に出なくてはいけない時がある。事務所での仕事であったら外に出ることがないだろうから寒さを感じることがないだろうが商談の時は別だ。その場所に行くまで寒さに耐えなくてはならない。この時期はコートを着ていても限度がある。それほど寒くなるから。だから寛也は冬が嫌いなのだろう。だけど駿里は違う。
「俺は寛也とは逆に外に出たくなる。」
「何言ってんだお前。意味わかんねぇ。」
「だって冬ってなんかいいじゃん。寒さが心地いいんだよね。」
「心地いいねぇ…。」
寛也と駿里は真逆だ。寛也は嫌で外に出て仕事をしている。駿里はこの部屋に閉じ込められて外に出たい欲をいつも我慢している。一緒に住んでいるけれど真逆の生活だ。だからこうして全く違う意見が出るのだろう。
「まぁ確かにお前には不自由な生活をさせちまってるからその分外に出れると嬉しさが増すよな。」
「それもあるけど俺は元々冬が好きなの。」
「なんでだ?」
「空気が好きなんだ。」
「へぇ…空気ねぇ。」
「うん。心地いいの。」
「ふーん。」
寛也はそう言うと何故か目を釣りあげた。こういう時の寛也は不機嫌な時だ。あるいはヤキモチを焼いた時もこうする。だけど駿里は何もおかしなことを言っていない。寛也を嫉妬させるようなことを言っていない。そのため少し焦った。だが駿里には焦る暇もなかった。
「それは俺といる時よりもか?俺よりも心地がいいのか?」
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