極道の密にされる健気少年

安達

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駿里がお仕置きされた話

駿里がお仕置きされた話 *

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「あと少しだな。」



あれから駿里はコツを掴み口に入れられて直ぐに飲み込むことに成功していた。まぁコツを掴んでも今しかその能力は発揮できないがそれでも今助かっている事実がある。だけどいくらコツを掴んでも限界はあるのだ。達せさせられたことによる体力低下。キスをされたことによる酸素不足。そのため駿里はもう出来そうになかった。



「はぁ…っ、ちか、ちかやっ、ぅ、もぅ、やめるっ、」

「ん?じゃあちょっと休憩するか?」

「ちょっとじゃないっ、するっ、いっぱいするっ、」

「ああ。いいぞ。けどよ…。」



駿里がいっぱい休憩したいと言ってくれたことに軽く承諾してくれた寛也だが歯切れ悪くそう言ってきた。そのため駿里は寛也の顔を見た。どんな顔をしているかによってその先に言われることの予想ができるから。



「駿里?どうしたそんなに見て。」

「…なんでそんな顔してるの?」

「質問を質問で返すな馬鹿。」

「え…ぁ、ごめん。」

「別に謝る必要ない。」

「う、うん…。」



そう頷いた駿里だが終始不思議そうな顔をしていた。そんな駿里に寛也も不思議そうな顔をする。お互いに全く同じ顔をしていたのでそれが面白くて2人は笑い出してしまった。



「あははっ、なにその顔。寛也がその顔すると面白いね。」

「お前が言うな。とぼけた顔しやがって。ほんとに可愛い奴め。」



とぼけた顔ってなんだよと思った駿里だが寛也がそう言い終わったあと抱きしめて頭を撫でてきたのでそれは言わずにおいた。幸せだったから。どんな状況でも駿里はやはり寛也に抱きしめられるのは嬉しいのだ。




「ちかや。」

「ん?」

「もうちょっとこのままでいたい。」

「そうだな。」



寛也にあれだけいたげられた後だというのに駿里はこんなふうに甘えてくる。寛也からすればとんでもない話だ。可愛くて仕方がないだろう。だから勿論寛也は駿里の言うとおり抱きしめ続ける。だが今ご飯が中途半端になってしまっていたのだ。あと少しで終わる。だから終わってからまた2人の時間を過ごしたいと思った寛也は駿里に声をかける。



「なぁ駿里。」

「なに?」

「こうすんのもいいがあと二口ぐらいだぞ?」

「…ほんと?」

「ああ。」



もうそんなに食べていたとは知らなかった駿里は顔を上げてそう言った。それも無理はないだろう。駿里はずっとお皿から背を向けていた。いや実際のところは背を向けさせられていたと言った方が正しいかもしれない。だからどのくらい残っているのか駿里からは見えなかったのだ。そのため嬉しさから駿里は目を輝かせる。



「なら食べる。」

「よし、そうしよう。」

 

寛也がそう言うと駿里が口を開けた。自ら開けたのだ。これまでは1度もしなかった駿里のその行為。だから寛也はご褒美をあげることにした。



「疲れてるようだから一口はまけといてやる。ほら、これは普通に食え。」



寛也はそう言うと口移しではなく箸で駿里の口の中にご飯を入れた。久々のありのままのご飯を食べれた駿里はなんとも幸せな気持ちになった。寛也の作ってくれたご飯を初めてちゃんと味わうことが出来たから。



「…美味しい。」

「なんで悔しそうな顔すんだよ。」

「おいしいから…。」



だから幸せになる。痛げられてもどうでも良くなるほど美味しい。だから駿里は悔しくなる。このご飯を食べるだけで気持ちがひっくり返るほど幸せになるから。そんな駿里をみて寛也は首を傾げたが最後の一口を駿里に食べさせるべく手を動かし始めた。



「また変なこと言って…。相変わらず意味わかんねぇ奴だな。まぁいい。じゃ駿里、最後行くぞ。」

「…うん。」



駿里がそう言うと寛也はこれまでと同様に唇を合わせてきた。だがそれだけだった。舌は入れてこない。後孔にも指を挿れられなかった。そのため駿里は軽々とご飯を食べることが出来た。



「なんだその顔は。」

「…だ、って、今まではずっと俺が嫌がっても優しくしてくれなかったのに。」

「俺だって鬼じゃねぇからな。最後くらい優しくしてやるさ。お前がここまで頑張ったからよ。」



そう言われて駿里は寛也に仕返ししてやるという気持ちが完全に薄れてしまった。結局そうなのだ。寛也はいつも駿里の限界をちゃんと見分けている。どれだけいたぶってきても最後は褒めてくれるし優しくしてくれる。だから駿里は寛也に怒れない。これこそが寛也の戦略なのだ。だがだとしてもともういいやと駿里はなるのだ。だからその後は…。




「寛也、おれちゃんと頑張ったよ。」



めいいっぱい甘やかしてもらうんだ。いたぶられた分絶対甘やかしてもらう。寛也にめいいっぱいギューして貰うんだと駿里はそう言いながら寛也に抱きついた。



「そうだな。偉かったぞ。根をあげるかと思いきや最後までやったからな。」

「じゃあぎゅーして。」

「勿論だ。」

「もっと…!」

「はは、分かった。」



寛也はそう笑いながら駿里をぎゅーっと強く強く抱きしめた。その寛也の行動に駿里はとても幸せそうに笑っていた。そんな駿里の顔を見て寛也は…。



「駿里。また今度2人で出かけような。」

「行きたい…っ!」

「ああ。行こう。」

「約束ね!」

「ああ。約束だ。」



2人は小指を交じ合わせて約束と笑いあった。そんな日がいつ来るかは分からない。けれどいつかは来る。その日を楽しみ駿里は日々寛也との時間を…そして寛也も駿里との時間を大切に過ごしていく。この幸せをかみ締めながら…。



駿里がお仕置きされた話ーーーend

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