極道の密にされる健気少年

安達

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駿里がお仕置きされた話

駄々

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「や、やっぱりやだ…っ!!」

「おい今更暴れんな。」



ソファに移動したのはいいものの駿里は時間が経てば経つほど嫌になってきた。これから擽られる。その事実を受け入れたくなかった。それに最悪の場合それだけじゃ済まなくなるから。だからソファに連れてこられた駿里は寛也の膝の上で大暴れしていた。だがもちろん寛也は駿里を逃がしてくれない。



「いやっ、やっぱやらないってば!!」

「おら暴れんなって言ってんだろが。」



何を言っても言うことを聞かない駿里。そんな駿里を寛也はより強い力で拘束する。そもそも今更逃がす気なんて寛也にはさらさらない。もちろん松下もだ。そして傍観者である志方も島袋も同様だ。だからいくら逃げようとしたことで駿里は逃げられない。4人に囲まれているのだから。そのため逃げられないなんてこと駿里はちゃんと分かっている。だがそれでも暴れずにはいられなかった。



「や、やめるっ、やめるから離してっ!」

「無理だろ。」



暴れながら声を荒らげる駿里に松下は舌なめずりをしながらそう言った。松下はこの状況が楽しくて仕方がないようだ。抵抗する駿里を見ると興奮するから。そしてそれは志方も同じだった。駿里が嫌がり逃げようとすればするほど志方も松下も駿里を逃したくない…そう思うのだ。だから…。



「つかやめるんなら余計に離さねぇよ。それでもいいのかよ。」

「…………っ。」

「なぁ駿里。黙ってちゃ分かんねぇぞ。康二の言う通りなんだからよ。お前がやめるっていうなら俺も参加するけどいいのか?島袋だって参加することになるぞ。」

「それは…っ、」



やめるなら余計に逃げられない。松下のその言葉に駿里は絶望する。そして次の志方の発言によって駿里の絶望はより深くなった。けれど嫌なものは嫌なんだ!もしかしたらそれを言い続けたらやめてもらえるかもしれない。その可能性はゼロではないのだから。そのため駿里はめげすに言い続けることにした。



「で、でも嫌なの……っ、だからおねがいっ、ほんとにやなのっ!」



ここまで言えば駿里が本気で嫌がっているということは寛也らに伝わるだろう。だがそれでやめてくれる寛也ではない。もちろん松下と島袋と志方もだ。彼らは慈悲なんて優しいものかけてくれないから…。




「でもお前さっき自分でやるって言ったじゃん。」

「…そうだけどっ、」




確かに言った。松下の言う通りだ。 駿里は自分の口でそう言ってしまった。けど嫌なものは嫌なのだ。松下らが解放してくれないことも分かっている。だけど駄々を捏ねてしまうのだ。そんな駿里をさすがに不憫に思ったのか圷がやっと口を開いた。



「…組長、15秒ぐらいにしてやったらどうですか?」



ずっと傍観していただけの圷のその言葉に駿里は分かりやすく嬉しい顔をした。そんな駿里をみて志方と松下は思わず笑ってしまう。



「はは、分かりやすいやつ。」

「…康二さんうるさい。」

「おい駿里。そんなこと言ってると時間伸ばすぞ?」

「やだっ!」

「だからやめてやれって康二。組長、あまりにも駿里が可哀想ですよ。」



そもそも駿里は何も悪くない。松下らにちょっかいをかけられた挙句にこうなってしまったのだから。だから元はと言えば島袋と志方と松下が悪いのだ。なのに彼らは一切助けようともせず…。



「それだとなんにも面白くねぇだろ。」



島袋がそう言っていた。せっかく圷が出してくれた助け舟を簡単に島袋は壊した。そんな島袋を駿里は心底恨んでやった。だが今回は圷も圷で引かなかった。



「面白い面白くないの問題じゃねぇよ島袋。俺はやりすぎだって言ってんだよ。駿里だってもうこんなに泣きそうじゃねぇか。組長、お願いしますよ。今回だけ許してやってください。」



圷にそう言われ寛也が迷い始めた。寛也はどうも圷に言われると弱いようだ。だから駿里は期待した。もしかしたらこのまま逃げられるかもしれないから。その為ものすごく駿里は期待した。なのに…!!



「うるせぇ。圷は引っ込んでろ。」



松下がそう言ってきた。せっかく圷が庇ってくれたのにそれを台無しにされた駿里は思わず松下を睨んでしまう。だがそれだけでは済まなかった。松下だけではなく志方まで松下に続くよう話し始めてしまった。



「そうだぞ圷。お前はいちいちうるせぇんだよ。それにこいつが自分で言ったんだ。やるってな。男に二言はねぇよ。」

「…………。」



志方と松下にそう言われ圷が黙り込んでしまう。そんな圷をみて駿里は泣いた。思わず負けないでよと圷に対して叫びたくなったがそんなことをしてもいいことは無いので駿里は黙り込んでいた。すると圷が口を開いた。



「んー30秒か…。」



圷はただそう呟いた。そして駿里は嫌な予感がした。それもとんでもないほどの嫌な予感が…。



「……あ、圷さん?」

「んーいやまぁ頑張れ駿里。」

「な、なんでっ、圷さん助けてよ…っ、」



こんな簡単に松下らに言い負かされてしまうなんて駿里は思ってもいなかった。そしてそれは松下らも同じだったようでその圷の言葉に志方も松下も島袋も悪い笑みを浮かべた。



「助けられるもんならしてぇけどよ…自分で出した言葉は消せねぇよ駿里。可哀想だが頑張れ。」



圷はどうやら諦めたようだ。松下らを見て諦めたのだ。何をしてもきっと松下らが引かないと思ったから。そして駿里はそんな圷のせいで最悪の状況に逆戻りしてしまう。それだけなら良かったがあまりにも駿里が駄々を捏ねたことで寛也がもう待てないと言わんばかりの言葉を言ってきた。



「圷もそう言ってる事だし諦めろ。それと駿里、これ以上駄々をこねるなら志方も島袋もいれてやるからな。」

「や、やだっ…!」

「なら腹を括れ。いい加減にな。」



4人だ。4人に擽られるのだ。寛也はそう言ったが駿里の答えの選択肢なんてない。腹を括るしか駿里には手段がなかった。だから…。



「………わかった。」

「いい子じゃねぇか。」

「でもぜったい、30秒ね…約束だよ。」

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