極道の密にされる健気少年

安達

文字の大きさ
上 下
293 / 637
駿里がお仕置きされた話

こんなはずじゃなかったのに

しおりを挟む
「どうしよう。やっぱり怒られちゃうよなぁ。」



リビングの一室でその駿里の声が響いた。駿里は今悩んでいたのだ。それは寛也に無断で外出するかどうかと言うことだ。だがそれは言うまでもなく駄目なことだ。確実に寛也に怒られてしまうから。しかしそんな危険を犯してまで駿里はやりたいことがあった。それは近々訪れるハロウィンのことだ。



「怒られちゃうだろうけどやっぱりパーティしたい…。」



年に数回こういった行事ごとがある。その行事ごとは駿里が外に出られるチャンスを作ってくれる。そして今回もそうだ。駿里はこのハロウィンを利用してパーティを開きたかった。寛也とみんなで楽しく過ごしたかった。しかし家にはパーティができるものが何も無い。飾り付けは愚かご飯だってない。だから駿里はそれを買いに行きたかったのだ。出来れば仕事から帰ってきたみんなを迎えたかったから。そしてその想いが大きくなればなるほど楽しみは増してしまい駿里は絶対してはいけない判断をしてしまった。



「よし。行こう。寛也もまだ帰ってこないしバレる心配もない。康二さん達もいないし大丈夫だよね。」



そういい駿里はあるのもを手に取った。それはカードだ。この家の玄関を開けるカード。これは寛也らしか持っていないものだった。それがなぜここにあるかって?それは松下が忘れて帰ったからだ。だからここにある。こんなチャンス二度とないだろう。そのため駿里はそのチャンスを使わせてもらうことにした。



「たしかこれをここにスキャンすれば良かったはず…。」



駿里が確かめるようにそう言いながらカードをスキャンするとピッと音が鳴って玄関の鍵が開いた。待ちわびたこの瞬間。駿里はなんだか嬉しくなった。初めて玄関を自分の力で開けることが出来たから。しかしドアノブを握った時ある違和感を覚えた。



「あれ…?」



駿里が覚えた違和感というもの…。それはドアが異様に軽かったのだ。ドアってこんなに軽かったっけ?いや違う。そんなはずは無い。ということは反対側から誰かがドアを開けたということになる。それが意味することは1つ。寛也が帰ってきたということだ。それがわかった瞬間先程まであった駿里の楽しさが一瞬にして消えた。



「随分楽しそうだな駿里。」



ドアの向こうから見えた寛也のこの顔。かなり怒っている。逃げるか?いや逃げられない。逃げる場所なんてない。ここは家なのだから。なら言い訳をするか?この状況で?いや出来ないだろう。駿里は為す術なくその場に立ち尽くす他なかった。



「え、っと…これはっ、」

「俺から逃げようとしたのか?」

「違うっ!」



寛也から今更逃げるなんてそんな事しない。寛也だってそれは分かっているはず。だから駿里は直ぐにそう言った。すると寛也は何故か笑ってきた。



「だろうな。それは分かってる。お前は俺のことが大好きだもんな。だからそこの心配はしてねぇんだよ。だがそうじゃねぇんだよ駿里。お前今何をしようとした?」

「…………っ。」

「答えらんねぇの?なぁ駿里。黙り込んでちゃ分かんねぇよ。」



久々のこの寛也の殺気に駿里は縮こまってしまった。そして喉も縮こまる。そのため声を出すことが出来なくなった。そんな駿里を見て寛也は靴を脱ぐと駿里の腕をガシッと掴んだ。



「まぁいい。続きはベットの上で聞いてやるよ。」

「ま、まって、ちかや!」

「待たねぇよ。」



声を荒げ焦る駿里の腕を引いて寛也は駿里を無理やり歩かせた。そして寝室に着くや否や駿里をベットの上に投げつける。



「うぁっ!」



寛也によってベットの上に投げられた駿里。その後直ぐに起き上がろうとした。そうしないと寛也に捕まってしまうから。しかし駿里が起き上がるよりも先に寛也が駿里の上に乗ってきたことで駿里は逃げられなくなってしまった。



「んで?何を企んでたんだお前は。」

「た、企んでたとかっ、そう言うわけじゃなくてっ、」

「ふーん。まぁ理由がなんであれお前をお仕置きする事には変わりねぇけどな。」

「まって、ちかやっ、話を聞いて…っ!!」

「お仕置きした後で聞いてやる。」



寛也はそう言うと駿里にこれ以上何も喋らせないように口に猿轡を着けた。それをしたことで駿里はもちろん言葉を発することが出来なくなってしまう。それに焦った駿里は寛也に誤解だと伝えようとするも何せ猿轡をつけられているのだ。それが言葉になることは無かった。



「ふく゛っ、ぅ、んん゛っ!!」

「だから話は後で聞いてやるって言ってんだろ。今は黙っとけ。」



寛也は駿里が何か言いたげにしている様子を見てもそう言った。そりゃそうだろう。言いつけが守れなかったのだから。どんな理由であろうとも駿里が外に出ていい理由なんてない。だから寛也は駿里に猿轡を着けたのだ。急用であろうともどうしても外に出なきゃいけない理由があったとしても駿里が外に出るのは許されない。寛也の許しなしで外に出る事は許されないことだ。なのに駿里は逃げようとした。そのため寛也はこんなに怒っているのだ。



「駿里。久々のお仕置き楽しみだな。」
しおりを挟む
感想 202

あなたにおすすめの小説

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...