極道の密にされる健気少年

安達

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松下康二と駿里のお話

駿里の決断

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「ほんとは俺も仕事に行くつもりだったんだが最近やけに物騒な事件が多いからよ。だから組長がお前の事心配で俺をここによこしたんだ。」

「そうだったんだ。」



嘘偽りなく松下がそう教えてくれた。だがその内容の中で駿里は新たに気になることが生まれてしまう。その詳細を松下が教えてくれる可能性は低い。とてつもなく低い。だけど行動を起こさなきゃ結果は分からない。そう思い駿里は松下の方を向き口を開いた。



「康二さん…。」

「言わねぇよ。」

「まだ何も言ってない!」

「言わなくてもわかる。どうせ物騒な事件って何?とか聞いてくるんだろ。」

「…そう、だけど、」

「教えねぇよ。」



松下にそう言われて駿里は分かりやすく悲しげな顔をした。だがそれ以上松下に聞くこともなかった。それは分かっていたから。言えない理由があるということを。寛也に口止めされていたのかもしれないし駿里が知れば仕事に影響が出る内容だったのかもしれない。だから駿里は松下にこれ以上追求することはやめた。そんな駿里をみて松下は駿里の頭を引き寄せ軽くキスを落とした。



「…なにすんだ。」

「キスしただけだろ。」

「…………っ。」

「まーたそんな顔して。お仕置きすんぞ。」



そういい松下に顔を掴まれると駿里は本日何度目かも分からないキスをされた。しかも今回は深いキスだ。駿里の口が少し開いた隙を狙って松下は駿里の口の中に舌を入れてきた。



「ん…ふっ、ぅ、」



深い松下からのキスに駿里は酸欠になりそうになる。相変わらず松下は1度キスをしてきたら中々口を解放してくれないから。そんなこんなで駿里は酸素がなくなり苦しくなってきた。その失った酸素を取り戻そうと駿里なりに必死に呼吸をするも上手く出来ない。



「んく゛っ…、ぅ!」



苦しくて駿里は松下に抗議をする。だがその言葉はこもってしまい上手く喋れない。当然だろう。キスをされているのだから。だから駿里は松下の胸元を叩いてもうやめてと伝えた。すると松下は駿里の様子に気づいてくれたようで口を離してくれた。しかしあくまで口を解放されただけだ。駿里は未だに松下に顔を鷲掴みにされたままだ。



「く、くるしい…っ!」

「悪かった。つい止まらなくなっちまって。」



松下は苦しそうに息をする駿里の頭を撫でながらそう言った。いつもならここで駿里は罵声をあびせてくる。だが今はしなかった。何故だろうかと松下が駿里を見ていると何となく察することが出来た。駿里はずっと頭に物騒な事件というのがずっとチラついているようで松下との会話に集中できていない様子だった。



「なぁ駿里。そんな考え込んだ顔して。そんなに知りてぇの?」

「………え?」

「さっきからずっと考えてんだろ。物騒な事件の事。」

「…よく分かったね。」

「お前の事なんてお見通しだ。」



そういい松下は駿里の顔を解放し頭を少し乱暴に撫でた。その時駿里は松下の下半身が目に入った。松下の脹れた下半身が…。いつからこんなになってたんだろうか。気を抜けば直ぐに松下に抱き潰されてもおかしくない状況。そんな状況に駿里は1人静かに焦った。だが松下は今駿里を抱く気がないらしく黙り込んだ駿里を抱き寄せた。



「そんな知りてぇ?」

「…………。」

「怒らねぇから言ってみろ。」

「……知りたい、けど仕事に関わりそうなことだから我慢する。」




駿里がそう言うと松下が何故か嬉しそうにニカッと笑った。そんな松下に駿里が首を傾げていると松下がさらに笑ってきた。



「はは、偉いぞ駿里。お前にしては上出来だな。」

「もう康二さんっ、そんなベタベタ身体触んないで…!」

「まぁそんなに知りてぇなら言わんこともない。」

「ほんとに…!?」

「抱かせてくれんならの話だけどな。」

「うっ…。」



そう言われて分かりましたなんて駿里は言えない。知りたいけどそれが条件なら諦めるしかないから。



「…それはいやだ。」

「なら教えねぇ。世の中には知らなくていい事の方が多いからな。」



松下がそう言ったということはこの事件は駿里絡みの事件なのだろう。そしてその駿里の予想は当たっていた。近くにいる暴力団関係者が駿里のことを狙っているのだ。いつからなのかは目星がつかない状況でいつ駿里に危害が及ぶか分からない。だから松下はそれを言わなかった。その事をなんとなくではあるが駿里は察した。



「康二さんは相変わらず優しいね。」

「そんな事言うな。我慢できなくなるから。」



松下はそういい駿里を抱きしめる。だが駿里はこの時驚いた。この松下の行動に…。



「どうした駿里。幽霊でも見た顔をして。」

「いや…前の康二さんからは想像できない言葉だなって思って。」

「はぁ?」

「だって前だったら俺の言うことなんて聞いてくれなかったし俺が泣いても拘束して躾だとか言ってきてたじゃん。」

「馬鹿お前いつの話してんだよ。」

「俺がここに来たぐらいの話…。」

「めっちゃ前じゃねぇか。でもそう考えると俺とお前って結構付き合い長いな。」

「うん…たしかに。ここに来てからほとんど康二さんとしか話してなかったから。」



ここに来てからというものほぼ松下が駿里のお世話をしてくれた。北風や島袋もいたが彼らは今仕事で忙しいらしく顔すら見てない。それに比べて松下は初めから今現在までずっといる。駿里のそばにずっといてくれていた。



「そうだな。」

「俺康二さんがいなかったら恐怖で死んでたかも。」

「お前組長にビビって震えてたもんな。」

「震えてないし…っ!!」

「何強がってんだよ。ガクガクだったじゃねぇか。」

「そりゃ怖いもんは怖いんだもん…。」



今思い出しても駿里は震えることがある。あの時の寛也の目や行動がどれほど怖かったことか…。それをさりげなくサポートしてくれた松下には今でも感謝はしている。



「まぁそりゃそうか。」

「うん。」

「でもお前俺にはあんま怖がってなかったろ?」

「あ、だって康二さんマヌケそうだったから。」

「…もう1回言ってみろ。」



松下の声色が変わった。まずい…。駿里は瞬時にそう思ったが既に時遅し。ゆっくり松下の顔を見てみると案の定怒った顔をした松下が居た。



「え…怒ってる?」

「どうだろうな。」

「絶対怒ってるやつじゃんか…!」

「今のはお前が悪いだろ。抱くのやめようとしたけどやっぱ抱いてやる。来い。」



松下はそういい駿里の腕を引っ張るとソファの上に寝かせた。そしてそんな駿里の上に松下は覆いかぶさった。



「だめっ、ちょ、ほんとにだめだって、ていうか康二さんだって、怒られるんだよ…!!」

「別にちょっと怒られるくらいいいだろ。組長俺に手を出せねぇから。」

「だからって最低だ…っ!!」

「なんとでも言えよ。抱くことはやめねぇからな。」

「やだっ、こうじさんっ、服脱がすなっ!!」



せっかくさっき脱がされかけた服を着たのにあっという間に松下によって駿里は丸裸にされてしまう。電気は明るいまま。だから駿里の姿は全て松下の目に入ってしまう。駿里はもう恥ずかしさやら焦りやら感情の大渋滞に陥っていた。



「服脱がさねぇと出来ねぇだろ。何言ってんだ。」

「ちかや、が、かえってっ、かえってきたら言いつけてやる!!」

「好きにしろ。俺はお前の合意の上だって言うから。」

「なっ…さいてい!!」



松下がそういえば寛也は信じようが信じまいが駿里にお仕置きしてくるだろう。だから駿里はそれを言われるのだけは嫌だったのだ。



「康二さんのばか!!」

「おいおい言ってくれんじゃねぇか。この悪い口塞いでやろうか?」



松下がそういいながら駿里の顔を鷲掴みにする。そして顔を近づけてきた。その松下の行動に思わず駿里は抵抗をやめた。



「…いやだ。」

「やけに聞き分けがいいじゃねぇか。」

「でも抱かれるのもいやだ…。」

「なぁ駿里。よく考えろ。お前の態度次第では俺はお前を優しく抱く。酷くしない。だから駿里。お前は今どうしたらいいと思う?」

「…大人しくする。」

「ん。いい子。」

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