極道の密にされる健気少年

安達

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冷血な極道

お見舞いは波乱だらけ *

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なんだ…?誰だ睡眠の邪魔をするのは…。駿里が気持ちよく寝ていると息苦しさと口の中に違和感を感じた。これは誰かにキスをされている。しかもこの唇は寛也ではない。あれだけ寛也に抱かれたあとなのに一体誰だよ。拒まなければ…。寛也に見つかったら大変だ。怒られてしまう。そう思うのに体が痛くて辛くて駿里は目を開けることが出来なかった。もう少しぐらい寝かせて欲しい。そう思いながら駿里は未だに目を開けることが出来ずにいると寝ている駿里にキスをしてくる人物はヒートアップしてきた。服の中に手を入れ乳首を遠慮なしに擦り摘む。駿里が快楽にビクリと身体を震わせればそこを重点的に攻めてくる。ああこれは絶対に…。こんなことをしてくる人はあいつしかいない。そしてその人物は駿里が止めなければ絶対にやめてくれない。だから駿里はまだだるい身体を起こそうと自分にムチを打ちながら目を開け目の前にいる人物を睨みつけた。するとずっとキスをしていた人物は駿里が目を覚ましたことを確認すると唇を解放してくれた。

そしてその人物とは…。




「おいおいやっと起きたのかよ。お前警戒心無さすぎるだろ。これだから心配で堪んねぇんだよ。まぁ今はそれよりも飯だ。ほら、飯食いに行くぞ。腹減ったろ?」



そういったのは松下だ。彼はどうやら寛也に駿里の世話を見るように頼まれたようだ。そしていつまで経っても起きようとしない駿里を起こしに来たのだ。お腹がすいているだろうと手料理まで作って。だが駿里はまだ身体中が痛く起きれる気力なんてない。もっと言えばお腹も空いていなかった。まだ寝たいのにその邪魔をされてしまった事でいじけてしまう。



「…食べないっ、まだ寝る。」



そう言って駿里は松下から顔を背けて毛布を顔まで被ってしまった。もうとにかく眠たいのだ。ご飯まで作ってくれた松下には申し訳なく思う。だが本当に眠い。体がだるい。そして痛い。そんなコンディションだから駿里はわざわざここまで起こしに来てくれた松下に八つ当たりのような言い方になってしまった。そんな駿里を見て松下は駿里のおしりを揉んだ。そこで何か分かったようで松下は悪い笑みを浮かべながら口を開いた。



「なんだよ。昨日組長とやったのか?今のお前を見たところかなり酷く抱かれたなぁ。この様子だと駿里、お前何かやらかしたな?ケツもこんなになっちまって。」

「なんで俺がなにかした前提なんだ…!」



たまったもんじゃないと駿里が隠していた顔を毛布から出した。松下はその隙を逃さず駿里から毛布を奪い取ると自分の膝の上に乗せ逃げられないようホールドする。当たり前に駿里は暴れようとするが暴れる度に体の色んなところが痛むため大人しくするしかなかった。松下はそんな駿里の耳元に口を近づけた。



「違うのか?じゃあなんでこんな目に遭ってんの?教えろ。」



松下はそう駿里の耳元で囁くように話した。耳の弱い駿里は直ぐに顔を背けようとしたがそれを松下が許さない。そして答えようとせず逃げようとする駿里に早く言えと言わんばかりに松下は駿里の耳を舐め始めた。



「やめっ、離せって…!!」

「なら言え。言わねぇなら俺もやめねぇよ。」



そう言うと松下は直ぐに耳舐めを再開する。駿里は葛藤した。これを言ってしまえば松下が興奮しかねない。だがこのまま黙っていても逃げることが出来ないためにずっと耳を舐められるのに耐えなければならない。駿里が悩みどうしようか考えながら松下からの耳舐めに耐えていると彼はいやらしく駿里の体を撫で始めた。まずい。もう駄目だ。耐えられない。ずっと耐えていた駿里だったがここまで来ると本気で焦りだしたようで慌てて声を荒らげた。



「まって、わかった言うからっ!寛也が寝てたから射精させようとしたんだっ、夜絶対抱かれちゃうから…っ、でも失敗してこうなったの!」



駿里がそう話終えると松下がやっと耳を舐めることを止めてくれた。そして松下は呆れ顔をして駿里を見る。



「お前のせいじゃねぇかよ。一丁前に煽ってんじゃねぇか。馬鹿かお前。」

「っ、うるさい!」



駿里にも自分の考えがどれだけ浅はかだったのか分かっている。だから駿里はそう言い松下から顔を背けた。そしていつまでも身体を拘束して解放してくれない松下の肩を叩きながら離せと睨みつける。だが彼は駿里を一向に離そうとはしない。




「もうなんでこんな力強いんだよっ、離せって!」

「極道舐めんなよ。」




そう言い悪い顔をした松下を見て駿里は全力で暴れる。この顔は何かを企んでいる時の顔だ。そして案の定何かを企んでいる松下に駿里は再び顔を固定され顔を近づけられる。




「やだっ、康二さんってばっ、もうばかばか!」




駿里はそんな風に猛抗議したが松下が聞きいれてくれることはなく再び耳舐めを再開されてしまった。そしてどうやら松下に変なスイッチが入ってしまったようで満足するまで松下はやめてくれなかった。そんな松下が駿里を攻めることに満足して顔を上げた時には駿里は涙目になっていた。そうなればもちろん機嫌は悪くなる。慌てて松下は謝ったが駿里は顔を背けて口すら聞いてくれなかった。まぁだからと言って駿里を離してやるつもりは松下には毛頭ないらしい。だから駿里は松下が一瞬でも力を抜いた瞬間を狙い逃げようとしたがそれももちろん失敗に終わる。



「っ、この怪力やろう…。」



そう言って駿里は松下のことを叩いた。ポカポカと力のない拳で叩いたところで松下にはなんのダメージもないようで彼はすました顔をして駿里を見ていた。その顔に腹が立った駿里は松下に言ってはいけない言葉を吐いてしまう。



「康二さんなんか嫌いだ…。」

「あ?てめぇ。」



寛也の時に身をもって知ったはずなのにうっかり自分の首を絞める言葉を駿里は言ってしまった。そして怒った松下に押し倒されてしまう。彼はそんな駿里の上に馬乗りになると頭上で腕を拘束した。



「離せっ!やだっ!」

「おい機嫌直せって。組長が居なくて寂しいのはわかるがな。じゃねぇともっとちょっかいかけんぞ。ああそうだ。お前に1番しなきゃいけねぇことあったな。飯、どうする?」



松下は脅すように低い声で言いながら駿里の身体を撫でる。その本気で怒っている声と松下の手つきに焦った駿里は慌てて声を上げる。



「お、起きるっ、起きて食べるからっ、起こせ…!」

「起こしてください、だろ?」



駿里の頬を怪しげに撫でながら松下はそう言うと駿里の服をたくりあげた。そして乳首を指でくすぐるように弄りだした。



「ちがっ、まって、ほんとに俺体辛いから…!」

「あ?んなこと知んねぇよ。お前が煽ったんだから責任もて。」




そう言って松下が駿里の首元に顔をうめて跡をつけ始めた時ーーー。






バァン!!!!




寝室のドアが壊れたのではないかと思うほど勢いよく開いた。その音のした方を松下と駿里が振り向くとそこにはさぞご立腹の寛也が立っていた。



「おいおい康二。てめぇはなにしてんだよ。俺は駿里の世話を頼んだんだ。誰も手を出せなんて言ってねぇだろ。」



どうしても外せない急な仕事が入って駿里が寝ている間に戻ってまた一緒に寝ようとしていた寛也はベットの上で松下に押し倒されている駿里を見て怒りが抑えられなくなっていた。そしてその怒りをそのまま松下にぶつける。だが松下はあまり気にしていないようだ。怯えているのは駿里だけだった。



「すみません。つい手が出ました。」

「たく、油断も隙もねぇな。」

「それで組長、仕事はどうでしたか?」

「話逸らしてんじゃねぇよ。お前は全く困った奴だな。」



そう言いながら松下を退けると仰向けで寝ている駿里の身体を起こし寛也は駿里を自分の膝に乗せた。



「おかえり寛也。」

「ただいま。」



松下には怒り怒鳴っていた寛也だったが駿里には別だ。おかえりと嬉しそうに微笑みながら言った駿里に寛也はキスを落とした。そんなラブラブな2人に耐えられなくなったのだろう。松下が口を開いた。



「組長。仕事の話を聞かせてください。」

「そう怒んなって。話してやるから。それよりも先に駿里に話すことがあるからちょっと待ってろ。」



2人がラブラブし始めたことで空気のようになってしまった松下は怒った。あまりにも怒った口調で言ってきたので寛也は思わず笑ってしまった。仕事では見ることの出来ない松下の顔だ。何だか幸せな気持ちになる。駿里と出会う前はつまらなかったプライベートが今やこんなにも楽しいのだから。そう思いながら寛也は駿里の頭を撫でた。



「俺に?」

「ああ。午後には多分お前の体も復活しているだろうから陣の見舞いに行こう。」

「行きたい!」



駿里は寛也がそういったことでとても嬉しそうに笑った。そんな駿里を見て寛也は正直面白くなかった。妬いてしまう。だが今は我慢しなければならない。駿里にとってあの事件以来の外出だ。そんな貴重な時間を割いてしまうことだけは避けなければと思いながらも我慢できずに寛也は言ってしまう。



「但しあまり奴に近づくなよ。触れることは許さない。それとあいつと長いこと目を合わせるな。分かったな?」

「はは、わかったよ。」



寛也から次々に条件が出てくるので駿里は思わず笑いがこぼれた。愛されてるなぁと実感しながら駿里は笑顔でそう返事をする。



「康二、お前も来い。仕事の話はその時にする。」

「分かりました。」
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