413 / 600
番外編
〜オメガバース〜 番には内緒
しおりを挟む
「今月の分だよ。」
駿里は主治医から薬を受け取った。
「ありがとうございます。」
「駿里君。まだ番に話す気は無いの?」
「はい。」
「そっか。僕は駿里の意見を尊重するよ。でもちゃんと相手の気持ちも考えるんだよ。それだけは頭の隅に置いておいてね。」
「分かりました。」
駿里はこうして月に1度病院を訪ねては避妊薬と抑制剤を貰っていた。
「寛也が帰ってくる前に早く戻らないと。」
駿里は病院に通っていることを寛也には内緒にしていたのだ。だから寛也が仕事を終えるまでに必ず家に帰らねばならなかった。だが、相手は寛也だ。いつまでも隠し通せるはずもなかった。
「っ…!」
「どうした。そんなに驚いた顔をして。」
「なんでもないよっ、寛也。今日早かったんだね。」
玄関に入ると寛也が待ち構えていた。間違った行動だと分かっているのに駿里は咄嗟に薬を後ろに隠してしまう。
「ああ。最近お前の言動が怪しかったからな。」
「そ、そんなことないっ…。」
どうやらすべてお見通しのようだった。駿里が病院へ行っていることも知っているのだろう。寛也の口調には怒りが混じっていた。
「なら後ろに隠してるもん出せ。」
駿里は下を向くばかりで中々出そうとしない。寛也はそんな駿里の傍にいき、抱きしめるようにして後ろに持っている袋を奪った。そしてその中身を見た寛也は再び駿里に視線を戻す。
「これはっ、その……。」
「だからお前最近ヒートが来なかったのか。これを見つけた以上は二度飲ませねぇからな。体への負担を考えろ。」
寛也は体調不良でヒートが来なかったのかと思っていた。だが、駿里が自主的に抑制剤を飲みヒートが来ないようにしていたことを知り怒りを募らせる。なぜなら体への負担が強い薬だったからだ。
「やだっ、飲ませてよっ!」
「避妊薬は一歩譲って許してやる。だが、抑制剤は駄目だ。」
本人が望んでいないのに避妊薬なしで行為及ぶのは流石に寛也もしない。ただ、抑制剤については駿里がなんと言おうと、どれほど嫌がろうとも飲ませる訳にはいかない。
「おい駿里、返事はどうした。それとも俺の言うことが聞けねぇのか。」
「…っわかった。」
少し横暴ではあるが、それほど強く言わなければ今の駿里は言うことを聞かない。きっとまた無断で外出して同じことを繰り返してしまう。
「良い子って言いたいところだがお前はいいつけを守らずに俺のいない隙を狙って無断外出してたよな。」
「それはっ…でも今日だけだよっ、」
お仕置きをされるのは目に見えていた。だから駿里は少しでも自分がしてしまったことを隠したかったのだ。
「嘘までつくか。康二は半年前から無断で出てたって言ってたぞ。俺らの腕を舐めるなよ。お前は俺との約束を何度も破ってこの薬のことも黙ってた。それ相応のお仕置きをされんのは当然だよな。」
ああ、嘘なんてつかなければよかった。寛也の怒りを抑えなければ体が壊れるまで抱き潰されてしまう。でも余計なことを言ってしまいそうで寛也にそう言われても駿里は何も言えなかった。
「でもその前に話はちゃんと聞いやる。駿里がこの俺にでさえ内緒でこれを買わないといけねぇぐらい悩んでたのは事実だからな。気づいてやれなかった俺にも落ち度がある。お仕置きはそのあとだ。話してくれるか?」
「うん。」
駿里は主治医から薬を受け取った。
「ありがとうございます。」
「駿里君。まだ番に話す気は無いの?」
「はい。」
「そっか。僕は駿里の意見を尊重するよ。でもちゃんと相手の気持ちも考えるんだよ。それだけは頭の隅に置いておいてね。」
「分かりました。」
駿里はこうして月に1度病院を訪ねては避妊薬と抑制剤を貰っていた。
「寛也が帰ってくる前に早く戻らないと。」
駿里は病院に通っていることを寛也には内緒にしていたのだ。だから寛也が仕事を終えるまでに必ず家に帰らねばならなかった。だが、相手は寛也だ。いつまでも隠し通せるはずもなかった。
「っ…!」
「どうした。そんなに驚いた顔をして。」
「なんでもないよっ、寛也。今日早かったんだね。」
玄関に入ると寛也が待ち構えていた。間違った行動だと分かっているのに駿里は咄嗟に薬を後ろに隠してしまう。
「ああ。最近お前の言動が怪しかったからな。」
「そ、そんなことないっ…。」
どうやらすべてお見通しのようだった。駿里が病院へ行っていることも知っているのだろう。寛也の口調には怒りが混じっていた。
「なら後ろに隠してるもん出せ。」
駿里は下を向くばかりで中々出そうとしない。寛也はそんな駿里の傍にいき、抱きしめるようにして後ろに持っている袋を奪った。そしてその中身を見た寛也は再び駿里に視線を戻す。
「これはっ、その……。」
「だからお前最近ヒートが来なかったのか。これを見つけた以上は二度飲ませねぇからな。体への負担を考えろ。」
寛也は体調不良でヒートが来なかったのかと思っていた。だが、駿里が自主的に抑制剤を飲みヒートが来ないようにしていたことを知り怒りを募らせる。なぜなら体への負担が強い薬だったからだ。
「やだっ、飲ませてよっ!」
「避妊薬は一歩譲って許してやる。だが、抑制剤は駄目だ。」
本人が望んでいないのに避妊薬なしで行為及ぶのは流石に寛也もしない。ただ、抑制剤については駿里がなんと言おうと、どれほど嫌がろうとも飲ませる訳にはいかない。
「おい駿里、返事はどうした。それとも俺の言うことが聞けねぇのか。」
「…っわかった。」
少し横暴ではあるが、それほど強く言わなければ今の駿里は言うことを聞かない。きっとまた無断で外出して同じことを繰り返してしまう。
「良い子って言いたいところだがお前はいいつけを守らずに俺のいない隙を狙って無断外出してたよな。」
「それはっ…でも今日だけだよっ、」
お仕置きをされるのは目に見えていた。だから駿里は少しでも自分がしてしまったことを隠したかったのだ。
「嘘までつくか。康二は半年前から無断で出てたって言ってたぞ。俺らの腕を舐めるなよ。お前は俺との約束を何度も破ってこの薬のことも黙ってた。それ相応のお仕置きをされんのは当然だよな。」
ああ、嘘なんてつかなければよかった。寛也の怒りを抑えなければ体が壊れるまで抱き潰されてしまう。でも余計なことを言ってしまいそうで寛也にそう言われても駿里は何も言えなかった。
「でもその前に話はちゃんと聞いやる。駿里がこの俺にでさえ内緒でこれを買わないといけねぇぐらい悩んでたのは事実だからな。気づいてやれなかった俺にも落ち度がある。お仕置きはそのあとだ。話してくれるか?」
「うん。」
21
お気に入りに追加
1,887
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる