極道の密にされる健気少年

謀叛

74話 絆

寛也は部下たちにそう言うと松下に近づいて行った。

｢来るな！！！｣

松下が叫び寛也は止まった。2人の距離は2メール程だ。


｢これ以上近づいたらほんとに撃つぞ！！｣


近くに来て寛也は分かった。松下の手は震えていた。


｢お前にそれができるのか？なぁ、松下。三浦裕太になんて言われた。どんな弱みを握られた。それとも俺の弱みをお前が庇ってんのか？｣


寛也はしっかり松下の目を見つめて言った。


｢うるせぇ！！ベラベラ喋ってんじゃねぇ！！｣

叫ぶ松下に構わず寛也距離を詰めて行ったその時




バン！！バン！！





静まり返った倉庫に2発の銃声が響いた。寛也は右肩と左足を撃たれた。さすがに森廣達は松下を殺そうと銃を構えた。

｢俺はまだ許可してねぇぞ！！｣


寛也は森廣達に声をはりあげていい、発砲を阻止した。松下を見ると、先程よりも手の震えが大きくなっていた。


｢康二。お前は俺の家族だ。どんな失敗をしようがどれだけミスしようが俺は笑って許す。俺はお前を失いたくない。だからこんな俺を庇ってこんなことをするな｣

寛也は松下に駿里を殺せないことは初めから分かっていた。それと同時に松下は自分の命を絶とうとしていることもわかっていた。血だらけになりながらも足をとめなかった。

｢ッ！来るなって言ってんだろ！！ほんとに死にたいのかよ！！｣


｢康二。もう辞めよう、そんな震えた手でまともに撃てるわけないだろうが｣


左足を引きずりながらも松下の元へたどり着いた寛也は、松下の持っていた拳銃を地面に投げて抱きしめた。


｢何があった｣


寛也の赤い血が松下の服についていく。抱きしめられた松下は泣きながら何度も謝った。

｢ッすみません、、ッすみませんすみません、、ッすみません｣

｢俺が聞きたいのはその言葉じゃない｣

松下しばらく黙っていた。その場にいたものは松下が話し出すのをずっと待っていた。


少し落ち着いた松下話し始めた。




｢あいつに組長を殺されたくなかったら、言うことを聞けって言われたんです。その時ちょうど組長出かけてたからその間に殺すって脅さて、、あいつは何人も人を殺してるんです！その中に赤浜もいたんです。赤浜が刑務所で死んだのはあいつの指示だったんです。警察の警備を振り切って人を殺せるやつに勝てるわけないって思って従ったんです。、、俺組長失うとか耐えられなくて｣

｢馬鹿なことしてんじゃねぇ！！｣


寛也は自分のことを庇った馬鹿松下に叫んだ。


｢俺を誰だと思ってんだ、絶対俺は死なない。1人で背負わせて悪かったな。それにお前、俺が重症を負わないように発砲しただろ、おかげで少し深い擦り傷程度の傷だ｣


寛也は松下を抱きしめ離さなかった
その間に森廣が煙草谷と北風に指示をして三浦裕太を追わせ、駿里の拘束を解いた。


そこへ森廣のスマホに着信が来た

『森廣さんすみません。本来なら組長に言わないといけないのですが、状況が状況なので。三浦裕太を捕らえました。どうしますか？』

｢拘束して事務所へ連れて帰る。俺もそっちに行くから待ってろ｣

電話を切った森廣は寛也をみると、寛也も森廣を見ていた。目線で察した寛也は行け、と指示をして森廣を行かせた。


｢康二、俺達も帰ろうな｣

そう言って駿里を抱き抱えて、松下を連れて車へと戻った。




マンションに着くと、寛也は松下に駿里のことを任せた。

｢康二、俺の部屋に行ってろ。｣

｢はい｣

｢駿里を頼むぞ、お前も休め｣


今の松下に三浦裕太を会わせたくなかった寛也は自分の部屋で休むように言った。駿里を抱きかかえた松下がエレベーターで最上階に行ったのを確認し、森廣達がいるであろう2階の拷問部屋に向かっていった。



｢組長、お待ちしておりました｣

既に1発、松下の親友の島袋に殴られていた三浦裕太が丈夫な椅子に縛られていた。

｢さて、始めようか｣