極道の密にされる健気少年

安達

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相愛

57話 朝

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「駿里、すまない。また無理をさせてしまった」


「いいよ、いつもちゃんと謝ってくれるから。…………それに俺も嫌ではなかったし」


「お前は優しいな」


「好きだから」


「俺は愛している」


「俺も」


愛している人が朝起きると隣にいるのは本当に幸せだなと2人はお互いに思った。そこに誰かがブツブツ文句を言いながらこちらに近づいてくる。そして寝室のドアが開いた。


「おい、寛也てめぇ。自分から呼んだいたどんだけ待たせるんだ」


「悪い、忘れていた」


最初はカンカンに怒っていた天馬だったが、2人の幸せそうな表情と雰囲気を見て許してやった


「お詫びに朝飯もらうぞ」


「ああ、ご馳走する。駿里起きれるか?」


「うん、大丈夫。行こ!」


3人は森廣のあるリビングへと揃って向かった


「おはようございます皆さま。ご飯出来ておりますよ」


「美味しそう!」


今日は、駿里の大好きなフレンチトーストだった。3人はそれを美味しそうに頬張った




「寛也、急に呼び出してどうしたんだ?」


駿里は体が気持ち悪いと先程お風呂に入っていった。


「駿里の誕生日が明明後日なんだ。だから何かしてやりたいのだが何をしたらいいか分からん」


「なるほどな。ここにいつも来るのは誰なんだ?」


「北風、松下、島袋と森廣にお前だ」


「じゃあこのメンバーで壮大に祝おう。俺が計画してやるよ」


「ありがとう、お前はほんとに頼りになる」


「なんだよ急に、照れるだろうが」   


駿里が戻ってくると天馬と寛也が楽しそうに話していた。


「何話してたの?」


「大人の話だ」


「なんだそれ。俺だってもう大人なんだから聞きたい」


「お前はまだ子供だろ」


「だな」


天馬と寛也はいじける駿里を面白がって笑った。



「よし、じゃあ行くぞ」


「どこに?」


「事務所以外にどこがあるんだよ」


森廣を含めた4人は一緒に事務所へといった。









「にしてもこのマンション高層すぎる。3階まで行くのに時間が凄くかかりすぎじゃない?」


「文句を言うな。その分安全だろ」


「そーなんだけどさ、エレベーター壊れたら終わりじゃない?」


「それはない。毎日点検してるからな」


「金持ちの住むマンションは違いますな」


「なんだよその喋り方」



天馬は駿里の話し方にツボり3階まで行く間ずっと笑っていた。つられて駿里も笑い出した。










「お前それほんとに好きだな」


駿里は天馬作るガトーショコラが大好きだった。事務所に来る時は絶対に食べでいた。今日も当たり前の様にガトーショコラを頬張っている。


「本当に美味しんだもんこれ」


天馬は誕生日ケーキはガトーショコラで決まりだな、と思いどんな感じにするか決めながら新作を作っていた。


「さっきから何考えてんの?天馬さん」


「あ?大人の事情だよ」


「またそれじゃん」


「あと少しで駿里も大人の仲間入りだな。17歳から18歳になるのってだいぶ違うだろ?」


「そうだね、色々解禁になる」


「駿里、お前も目覚めたか?」


「何に?」


駿里の純粋さに、天馬は少し呆れ残念そうにした。


「もう少し大人になれよお前」


「なんの話だよもう」


「あっそうだ。駿里、ちょっと俺出てくるからな。おかわり欲しかったら冷蔵庫に入ってるから食べろ」


「ほんと!?ありがとう!」


いいよと返事をする様に天馬は駿里の頬とおでこにキスをした



「おい!松下、島袋!ちょっと来い!」


「なんでだよ、ここでいいだろ」


「めんどくせぇな」


天馬は駿里に聞こえない様に小声で、駿里の誕生日のことだ、と2人に伝えた。先程までの態度が嘘の様に松下はすぐに立ち上がり天馬についていった。島袋も同様に吸っていたタバコを置き、2人をすぐに追いかけた。


天馬は2人に自分が考えた駿里へのサプライズの話をして、それを北風と森廣にも伝える様にたのんだ。もちろん2人は快く引き受けてくれた。


「あとは、寛也に伝えるだけだな」

天馬はとても楽しそうに準備を始めていった。
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