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金バッチとお話
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「なんの冗談だよ…。」
そんな約束…。ましてや俺と星秀さんは今日初めて会ったんだ。それなのに大切にするとかそんなの信じられねぇよ…。
「誠也、お前敬語使えねぇの?」
あ…。まずい。怒らせたか…?どうしよ…。とりあえず早く謝らねぇと…!
「ご、ごめんなさい…。」
「ん?俺は別に怒ってねぇよ。それに敬語使えなくていい。使えないならそれでいい。俺にはタメ口で話せ。よし、風呂に行こうか。」
星秀さんは裏表がない分こうやって言ってくれる言葉の信憑性が高い。信用できる。だから俺は星秀さんのその言葉に頷いた。
「ん。いい子だな誠也。じゃあちょっと耳塞いでてくれるか?」
「…耳?」
「ああ。あの馬鹿どもを静めるから。」
馬鹿ども…?あー渚たちのことか。そういうことなら耳塞いどきますよ。そんなこんなで耳を塞いだ俺を見て星秀さんはまた俺の頭を撫でてきた。
そしてその後…。
「おいてめぇらうるせぇ!!」
って叫んだ。星秀さんが。あの星秀さんが。寡黙で無表情で笑わなくて物静かな感じの星秀さんが叫んだ。だから俺も思わず驚いてしまった。けど驚いたのはどうやら俺だけじゃなかったらしい。
「せ、星秀…?んだよ急に。驚かすなよ。」
星秀さんが叫んだ後、この部屋は沈黙に包まれた。その沈黙を破ったのは渚だった。渚はちょっと焦った様子でそう言いながら星秀さんと俺に近づいてきた。
「叫ばねぇとてめぇら静かにならねぇだろ。」
「そういうなって星秀。んで、お前はなんで叫んだんだ?誠也だってびっくりするだろ急に叫んだりしたら。」
今度は蓮ってやつがきた。こいつは俺が1番嫌いな奴。そんで俺に1番酷いことをしたやつだ。だから嫌いだ。そんな蓮から身を隠すために俺は星秀さんの腕の中に隠れてやった。
「お?誠也?そりゃなんの真似だ?俺から隠れてんのか?」
「蓮、やめろ。そういうところだ。」
俺が隠れたことが相当気に食わなかったらしく蓮が俺に触れようとしてきた。それをなんと星秀さんが阻止してくれた。俺を守るかのようにして。
「…星秀。お前もあんま調子乗んなよ。健二さんから気にいられてるからって誠也まで独り占めする気か?」
「笑わせるな。俺は指示に従ってる迄だ。気に入られてるとかそんなこと知ったこっちゃねぇよ。それより蓮こそ、そうやって文句ばっか言ってるから出世出来ねぇんじゃねぇの?まぁいいけどよ。俺は誠也と風呂に入ってくる。その間問題を起こすなよ。」
そこまで言うと星秀さんは立ち上がった。そして他の4人の幹部たちに背を向け俺の方を見た。
「誠也。風呂に行こう。抱きかかえてやるから手を伸ばしてみろ。」
「は、はい。」
「いい子だ。」
そう言って星秀さんは風呂へと俺を抱きかかえて歩き出した。他の4人に背を向けて…。でも星秀さんはこの4人と仲が悪いって感じでは無さそうだ。蓮ってやつも喧嘩はしてたけど星秀さんを嫌ってる感じはない。ていうか兄弟喧嘩みたいな感じだ。多分この人たちは付き合いがものすごく長い。俺は直感だかどそう感じた。
「悪かったな誠也。」
「…え?」
「喧嘩をしてしまったから怖かっただろ。」
あ、そういうことか。この人って本当はいい人なんだろうな。ヤクザって仕事に着いたのもなにかわけがあったのかも…。
「大丈夫。怖くなかったから。」
「そうか。俺達も仲が悪いわけじゃないんだ。ただ付き合いが長い分お互い言いたいことは言いまくる。兄弟みたいなもんだからな。」
やっぱりそうだ。俺の直感は当たってた。付き合いが長いってことは昔からの知り合いなのか?けどあまり踏み込んでいい話じゃない。知りたい気持ちはあるけど…星秀さんが言いたくないかもしれないから俺は深く聞くことはやめた。
「そうなんですね。」
「ん?誠也、お前敬語になってね?」
「あっ…。」
「はは、無理する必要はねぇが俺は敬語じゃない方が嬉しいぞ。」
あ…。星秀さんが笑った。この人こんな感じで笑うんだ…。
「どうした?俺の顔になんか着いてるか?」
「あ、い、いや。星秀さんが笑うの初めて見たから…。」
「あー確かに俺あんま笑わねぇからな。けど別に全く笑わねぇってわけじゃねぇぞ。あいつらと飲む時とか笑ってるし。」
「へぇ…。」
星秀さんにとってあの4人はいい仲間なんだろうな。言わないだけでお互いが感謝してるような存在。俺には酷いことしたから許さないしここから逃げる気も失せてない。けど星秀さんのそばにいるのだけは悪くない。
「そういや誠也も酒飲むのか?」
「お、俺は未成年だから。」
「そういやそうだったな。つかちょうどお前ぐらいの歳の時だな。俺がヤクザになったの。」
「そうなのか!?」
「お、いい反応。」
俺は驚きのあまりについ声を荒らげてしまった。そんな俺を見て星秀さんがまた笑ってきた。この人ってこんなに笑う人だったんだ。
「つ、つい…。」
「それでいいんだ誠也。もっと話そう。俺とあいつらの事も教えてやる。」
「…どうしてそこまでしてくれんのか?星秀さんになんか…メリットがあんのか?」
「メリット?それを言うならあるな。お前が俺と話してくれる。俺はそれだけで嬉しい。だからなんでも聞くといい。俺が答えられる範囲なら答えてやるから。」
答えられる範囲…。ここから逃げ出す材料を聞い出せるかもしれない。星秀さんには申し訳ないけど俺はここに留まろうと思ってない。だから利用させてもらう。
「星秀さん。ありがとう。じゃあ…」
そんな約束…。ましてや俺と星秀さんは今日初めて会ったんだ。それなのに大切にするとかそんなの信じられねぇよ…。
「誠也、お前敬語使えねぇの?」
あ…。まずい。怒らせたか…?どうしよ…。とりあえず早く謝らねぇと…!
「ご、ごめんなさい…。」
「ん?俺は別に怒ってねぇよ。それに敬語使えなくていい。使えないならそれでいい。俺にはタメ口で話せ。よし、風呂に行こうか。」
星秀さんは裏表がない分こうやって言ってくれる言葉の信憑性が高い。信用できる。だから俺は星秀さんのその言葉に頷いた。
「ん。いい子だな誠也。じゃあちょっと耳塞いでてくれるか?」
「…耳?」
「ああ。あの馬鹿どもを静めるから。」
馬鹿ども…?あー渚たちのことか。そういうことなら耳塞いどきますよ。そんなこんなで耳を塞いだ俺を見て星秀さんはまた俺の頭を撫でてきた。
そしてその後…。
「おいてめぇらうるせぇ!!」
って叫んだ。星秀さんが。あの星秀さんが。寡黙で無表情で笑わなくて物静かな感じの星秀さんが叫んだ。だから俺も思わず驚いてしまった。けど驚いたのはどうやら俺だけじゃなかったらしい。
「せ、星秀…?んだよ急に。驚かすなよ。」
星秀さんが叫んだ後、この部屋は沈黙に包まれた。その沈黙を破ったのは渚だった。渚はちょっと焦った様子でそう言いながら星秀さんと俺に近づいてきた。
「叫ばねぇとてめぇら静かにならねぇだろ。」
「そういうなって星秀。んで、お前はなんで叫んだんだ?誠也だってびっくりするだろ急に叫んだりしたら。」
今度は蓮ってやつがきた。こいつは俺が1番嫌いな奴。そんで俺に1番酷いことをしたやつだ。だから嫌いだ。そんな蓮から身を隠すために俺は星秀さんの腕の中に隠れてやった。
「お?誠也?そりゃなんの真似だ?俺から隠れてんのか?」
「蓮、やめろ。そういうところだ。」
俺が隠れたことが相当気に食わなかったらしく蓮が俺に触れようとしてきた。それをなんと星秀さんが阻止してくれた。俺を守るかのようにして。
「…星秀。お前もあんま調子乗んなよ。健二さんから気にいられてるからって誠也まで独り占めする気か?」
「笑わせるな。俺は指示に従ってる迄だ。気に入られてるとかそんなこと知ったこっちゃねぇよ。それより蓮こそ、そうやって文句ばっか言ってるから出世出来ねぇんじゃねぇの?まぁいいけどよ。俺は誠也と風呂に入ってくる。その間問題を起こすなよ。」
そこまで言うと星秀さんは立ち上がった。そして他の4人の幹部たちに背を向け俺の方を見た。
「誠也。風呂に行こう。抱きかかえてやるから手を伸ばしてみろ。」
「は、はい。」
「いい子だ。」
そう言って星秀さんは風呂へと俺を抱きかかえて歩き出した。他の4人に背を向けて…。でも星秀さんはこの4人と仲が悪いって感じでは無さそうだ。蓮ってやつも喧嘩はしてたけど星秀さんを嫌ってる感じはない。ていうか兄弟喧嘩みたいな感じだ。多分この人たちは付き合いがものすごく長い。俺は直感だかどそう感じた。
「悪かったな誠也。」
「…え?」
「喧嘩をしてしまったから怖かっただろ。」
あ、そういうことか。この人って本当はいい人なんだろうな。ヤクザって仕事に着いたのもなにかわけがあったのかも…。
「大丈夫。怖くなかったから。」
「そうか。俺達も仲が悪いわけじゃないんだ。ただ付き合いが長い分お互い言いたいことは言いまくる。兄弟みたいなもんだからな。」
やっぱりそうだ。俺の直感は当たってた。付き合いが長いってことは昔からの知り合いなのか?けどあまり踏み込んでいい話じゃない。知りたい気持ちはあるけど…星秀さんが言いたくないかもしれないから俺は深く聞くことはやめた。
「そうなんですね。」
「ん?誠也、お前敬語になってね?」
「あっ…。」
「はは、無理する必要はねぇが俺は敬語じゃない方が嬉しいぞ。」
あ…。星秀さんが笑った。この人こんな感じで笑うんだ…。
「どうした?俺の顔になんか着いてるか?」
「あ、い、いや。星秀さんが笑うの初めて見たから…。」
「あー確かに俺あんま笑わねぇからな。けど別に全く笑わねぇってわけじゃねぇぞ。あいつらと飲む時とか笑ってるし。」
「へぇ…。」
星秀さんにとってあの4人はいい仲間なんだろうな。言わないだけでお互いが感謝してるような存在。俺には酷いことしたから許さないしここから逃げる気も失せてない。けど星秀さんのそばにいるのだけは悪くない。
「そういや誠也も酒飲むのか?」
「お、俺は未成年だから。」
「そういやそうだったな。つかちょうどお前ぐらいの歳の時だな。俺がヤクザになったの。」
「そうなのか!?」
「お、いい反応。」
俺は驚きのあまりについ声を荒らげてしまった。そんな俺を見て星秀さんがまた笑ってきた。この人ってこんなに笑う人だったんだ。
「つ、つい…。」
「それでいいんだ誠也。もっと話そう。俺とあいつらの事も教えてやる。」
「…どうしてそこまでしてくれんのか?星秀さんになんか…メリットがあんのか?」
「メリット?それを言うならあるな。お前が俺と話してくれる。俺はそれだけで嬉しい。だからなんでも聞くといい。俺が答えられる範囲なら答えてやるから。」
答えられる範囲…。ここから逃げ出す材料を聞い出せるかもしれない。星秀さんには申し訳ないけど俺はここに留まろうと思ってない。だから利用させてもらう。
「星秀さん。ありがとう。じゃあ…」
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